- 作成日 : 2025年7月9日
クラウド型のグループウェアとは?導入のメリットや選び方を解説
クラウド型のグループウェアは、社内の情報共有や業務効率化を進めるうえで注目されているツールです。インターネット環境があれば場所を問わず利用でき、初期費用も抑えられるため、リモートワークや複数拠点を持つ企業にとっても導入しやすい点が魅力です。
本記事ではクラウド型のグループウェアの基本的な仕組みから、オンプレミス型との違い、導入メリット、主な機能やサービスの選び方までをわかりやすく解説します。
目次
クラウド型のグループウェアとは
近年、クラウドサービスの普及に伴い、グループウェアもクラウド上で提供されるケースが増えています。まずはグループウェアの基本的な定義と、クラウド型グループウェアの特徴について解説します。
グループウェアの基本的な定義
グループウェアとは、社内の情報共有やコミュニケーションを効率化するためのソフトウェアです。メール、スケジュール管理、文書管理、掲示板など複数の機能を一つのプラットフォーム上で提供し、メンバー間の共同作業を円滑にします。これにより、プロジェクトの進捗状況の見える化や意思決定の迅速化が可能になり、リモートワークなど場所を問わない働き方でもスムーズな情報共有が実現できます。
クラウド型グループウェアの特徴
クラウド型グループウェアは、インターネット経由で提供されるグループウェアの形態です。サービス提供企業側がサーバーやアプリケーションを管理するため、利用企業は自社でサーバーを設置・維持する必要がなく、初期費用が低く抑えられます。また、システムの保守やアップデートも自動化されているため、契約後すぐに利用を開始できる手軽さもあります。さらに、インターネットさえあれば社外や自宅からでもアクセス可能で、拠点間の連携やリモートワークにも適しています。一方で、データやセキュリティ設定は提供元に依存するため、自社サーバー運用と比べてカスタマイズの自由度が低い点や、セキュリティ管理をベンダーに委ねる形になる点には留意が必要です。
クラウド型グループウェアの導入メリット
クラウド型のグループウェアを導入することで得られる主なメリットを解説します。コスト面での利点から、リモートワークへの適応、そして常に最新のソフトウェアを利用できる点まで、クラウドならではの恩恵を紹介します。
初期コストを抑えてスタートできる
クラウド型サービスではサーバー機器の購入やソフトウェアの大規模なライセンス費用が不要なため、導入時の初期投資を大幅に抑えられます。多くのクラウド型グループウェアはユーザー数に応じた月額課金制を採用しており、小規模な人数からでも無駄なく利用を開始できます。オンプレミス型のように社内にサーバーを構築する作業もないため、Web上の申し込みだけで短期間で使い始めることが可能です。
リモートワークや拠点間連携に強い
クラウド上で提供されるグループウェアは、インターネット環境さえあれば場所を選ばずアクセスできます。そのため、自宅や外出先からでも社内と同じ情報基盤に接続でき、テレワーク下でもチームのコミュニケーションや情報共有が滞りません。例えば、共有カレンダーで会議の予定を確認したり、クラウド上のドキュメントを共同編集したりできます。地理的に離れた拠点間でも同一のグループウェア上で常に最新情報を共有できるため、リモート環境での業務推進に非常に有効です。
常に最新バージョンを使える
クラウド型では、提供元による定期的な機能追加やバージョンアップが自動で反映されます。その結果、ユーザー企業は自社でソフトウェアの更新作業を行わなくても、常に最新の機能やセキュリティ修正が適用された状態でサービスを利用できます。新しい機能がリリースされた際も追加インストールの必要がなく即座に使えるため、ツールの陳腐化を防ぎ、常に業務効率の向上につなげられます。
クラウド型グループウェアとオンプレミスの違い
クラウド型とオンプレミス型のグループウェアには、導入方法や運用コスト、セキュリティ管理やカスタマイズ性などさまざまな点で違いがあります。それぞれの特徴を理解することで、自社に適した形態を判断しやすくなります。ここでは「導入・運用コスト」と「セキュリティ・カスタマイズ性」の観点で両者を比較します。
導入・運用コスト
オンプレミス型は自社でサーバー機器を購入してソフトウェアを導入するため、初期費用が高額になりがちですが、クラウド型はサーバー不要で低コストから始められます。また、オンプレミス型では社内でのサーバー管理やソフトウェア更新に手間と費用がかかります。クラウド型ではこれらの運用作業をサービス提供側が担うため、日常の管理負担やランニングコストを抑えられます。ただしクラウド型は利用ユーザー数に応じた月額費用が発生し、ユーザーが非常に多い場合には長期的な総コストがオンプレミス型より高くなる可能性もあります。自社の規模や利用期間に応じてトータルコストを比較検討しましょう。
セキュリティやカスタマイズ性
セキュリティ面では、オンプレミス型は自社内にサーバーを置いてデータを管理できるため、外部への情報漏洩リスクを低減しやすいとされています。自社のセキュリティポリシーに沿った運用が可能で、機密情報を社内に留めたい企業に向いています。一方、クラウド型も事業者による高度な対策が施されており、安全性は十分確保されています。ただし、細かなセキュリティ設定はベンダーの提供範囲内となるため、自社独自の対策を反映しにくい面があります。
カスタマイズ性に関しては、オンプレミス型ではソフトウェアを自社仕様に柔軟にカスタマイズでき、既存システムとの連携もしやすい利点があります。これに対しクラウド型は基本的に提供される標準機能の範囲で利用する形となり、他の社内システムとの統合や機能改変には制約があります。自社の業務フローに合わせてツールを作り込みたい場合、オンプレミス型の方が適しているケースもあります。
クラウド型グループウェアの主な機能
クラウド型グループウェアは、企業内の情報共有とコラボレーションを支えるさまざまな機能を備えています。ここでは代表的な機能として、「スケジュール・タスク管理」「掲示板・チャット・ワークフロー」「ファイル共有・ストレージ」の3つのカテゴリに分け、その内容を解説します。
スケジュール・タスク管理
組織の全員が共有できるスケジュール機能と、業務の抜け漏れを防ぐタスク管理機能はグループウェアの基本です。スケジュール管理では各メンバーの予定を共有し、誰がいつ空いているかを全員が把握できます。これにより会議の調整やリソース配分が円滑になります。また、タスク管理では担当者へのタスク割り振りや進捗確認、期限管理によってプロジェクトの進行状況を一元管理できます。チーム全体でタスクを可視化することで業務の抜け漏れを防ぎ、効率を高められます。
掲示板・チャット・ワークフロー
情報共有とコミュニケーションを促進する機能として、掲示板とチャットがあります。掲示板機能では社内のお知らせや議事録、ナレッジ共有などを掲載し、必要な情報を誰もが確認できます。またチャット機能では、1対1からグループまでリアルタイムなメッセージのやり取りが可能となり、メールより手軽に相談や報告ができてコミュニケーションが活性化します。
さらに、稟議書の承認などをデジタル化するワークフロー機能も重要です。経費精算や休暇申請など各種申請手続きをオンラインのフォームで起案し、承認者がグループウェア上で確認・決裁できる仕組みです。これにより承認スピードが上がり、履歴管理も容易になるため社内手続きの効率化に寄与します。
ファイル共有・ストレージ機能
グループウェアには、社内ファイルサーバーのような役割を果たすファイル共有・ストレージ機能も備わっています。ドキュメントや画像、PDFなどのファイルをクラウド上にアップロードして保存し、メンバー間で共有できる機能です。メールにファイルを添付する手間を省き、最新版の資料を常に全員が閲覧できます。アクセス権限も設定できるため、機密資料の閲覧制限も可能です。また、クラウド上に保管されていることで外出先や自宅からでも必要なファイルにアクセスでき、テレワーク中でも支障なく業務を進められます。
グループウェア クラウドの選び方と比較ポイント
数多くのクラウド型グループウェア製品から最適なものを選ぶ際には、いくつか注目すべき比較ポイントがあります。ここでは「利用人数と料金プラン」「導入実績・サポート体制」「他の業務システムとの連携可否」の3点に絞り、サービス選定時に確認すべき事項を解説します。
利用人数と料金プラン
自社の利用人数に適した料金プランかを確認しましょう。クラウド型グループウェアは通常、ユーザー数に応じた月額料金プランが設定されており、小規模向けから大規模向けまで段階的に用意されています。ユーザー数の増減に合わせて費用が増減するため、将来的な人員拡大も見据えて適切なプランを選ぶことが大切です。多くのサービスで無料トライアルが提供されているので、事前に試用して使い勝手を確認することも重要です。
導入実績・サポート体制
サービスの導入実績やサポート体制も重要な比較ポイントです。顧客数が多く実績のあるサービスは、その分信頼性や機能の安定性が期待できます。また、導入事例が自社と近い業種で豊富なら、使い方の参考になり安心です。
さらにサポート体制の充実度も確認しましょう。導入時の設定支援や運用中の問い合わせ対応が迅速か、日本語のマニュアルやFAQが整備されているかといった点です。特にクラウド型は機能追加が頻繁なため、困ったときに相談できる窓口があると初心者でも安心して利用できます。
他の業務システムとの連携可否
最後に、他の業務システムとの連携が可能かどうかも確認しましょう。勤怠管理やCRMなど既存ツールと連携できれば、データの二重入力を防ぎ業務効率化につながります。具体的には、シングルサインオン(SSO)対応や外部カレンダーとの同期、API連携の有無などをチェックします。
特にGoogle WorkspaceやMicrosoft 365のような総合サービスでは、各種ツールとの親和性が高くスムーズに連携できます。自社のIT環境を踏まえ、グループウェアがシステム間のハブとして機能できるかを考慮することが大切です。
おすすめのクラウド型グループウェアサービス紹介
最後に、代表的なクラウド型グループウェアのサービスを3つ紹介します。グローバルに広く利用されているGoogleとMicrosoftのサービス、そして日本企業に多く導入されているサイボウズのサービスについて、それぞれ特徴を見てみましょう。
Google Workspace(旧G Suite)
Google Workspace(グーグル ワークスペース)は、Googleが提供するクラウド型グループウェアの代表格です。旧称のG Suiteから名称が変わりましたが、提供されるサービス内容は同じで、Gmail(メール)、Googleカレンダー(スケジュール)、Googleドライブ(ファイル共有)、Googleドキュメント/スプレッドシート(文書・表計算の共同編集)、Google Meet(ビデオ会議)など、業務に必要なツールが一通り揃っています。各ツールが相互に連携し、ブラウザさえあればどこからでも利用可能です。クラウドサービスとしての信頼性も高く、中小企業から大企業、教育機関まで幅広い導入実績を持っています。
Microsoft 365(旧Office 365)
Microsoft 365(マイクロソフト 365)は、Microsoftが提供するクラウド型の統合オフィスソリューションです。旧称Office 365として知られるように、Word・Excel・PowerPointなどのOfficeアプリケーションに加え、Outlook(メール・カレンダー)、OneDrive(クラウドストレージ)、Teams(チャット・オンライン会議)、SharePoint(社内ポータル/情報共有)といった幅広い機能が統合されています。Office製品との高い互換性とWindows環境との親和性を備えており、既にMicrosoft Officeに慣れ親しんだ企業にとって導入しやすいグループウェアと言えます。企業規模を問わず利用されており、国内の大企業でも標準的に採用されています。
サイボウズ Office・Garoon
サイボウズ Office(サイボウズ オフィス)およびサイボウズ Garoon(サイボウズ ガルーン)は、日本のサイボウズ株式会社が提供する代表的なグループウェア製品です。サイボウズ Officeは中小規模向けに展開されているグループウェアで、スケジュール管理、掲示板、ファイル共有、ワークフローなど多彩な機能をシンプルな操作性で利用できます。クラウド版とオンプレミス版の両形態が用意されており、自社ニーズに合わせて導入形態を選択可能です。必要に応じてカスタマイズも行いやすく、日本企業のニーズに合わせた柔軟な設定が可能です。
一方、サイボウズ Garoon(ガルーン)は大企業向けに開発された上位モデルのグループウェアです。スケジュール管理や設備予約、ワークフローなど多種多様な業務機能を備え、数千人規模でも安定して利用できる高いパフォーマンスが特徴です。サイボウズ Officeと同様にクラウド/オンプレミス両対応で、大規模組織の複雑な組織構造や承認フローにも柔軟に適応します。日本国内の大手企業や官公庁でも多数導入されており、高い信頼を得ています。
クラウド型のグループウェアを導入して、業務効率化を始めましょう
クラウド型のグループウェアは、情報共有やコミュニケーションを円滑にし、組織全体の業務を効率化する強力なツールです。初期コストを抑えて導入でき、拠点や働き方を問わず活用できる点も大きな魅力です。もし、今の業務に少しでも非効率を感じているなら、この機会にクラウド型グループウェアの導入を検討してみてはいかがでしょうか。まずは自社に合ったサービスのトライアルから始めて、効果を実感してみてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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