- 作成日 : 2025年7月9日
OneDriveのデータ移行ガイド|PC買い替え時やスマホ・USB・別アカウントからの移行方法は?
PCの買い替え、組織変更、ストレージの一元化など、様々な理由でOneDriveへのデータ移行やOneDriveアカウント間のデータ移行が必要になる場面があります。このデータ移行は、単純なファイル移動に見えて、実は計画を誤ると重要なデータの損失や業務の長時間停止に繋がるリスクを伴います。
この記事では、OneDriveのデータ移行を検討するユーザーに向けて、失敗しないための手順や注意点などを分かりやすく解説します。
目次
OneDriveのデータ移行が必要な場面
まずは、OneDriveのデータ移行が必要な場面と、それによって得られるメリットを見ていきましょう。
- PCの買い替え・データ引継ぎ
手動でのコピー漏れやデータ損失リスクを防ぎ、新しいPCですぐにファイルにアクセスできます。OneDriveのバックアップ機能を設定すれば、将来のPC故障にも備えられます。 - アカウントの統合・変更
散在するデータを一元管理し、ライフステージや所属組織に合わせた適切なアカウントでデータを運用できます。 - 既存ストレージからの集約
サーバー運用コストの削減、場所を選ばないアクセス、セキュリティポリシーの統一、Officeアプリとの高度な連携による生産性向上が実現します。 - データのバックアップ
「デスクトップ」「ドキュメント」「ピクチャ」といった重要フォルダを自動でクラウドにバックアップし、有事の際も迅速に業務を再開できます。 - チームでの共同作業
複数人でのOfficeファイルのリアルタイム共同編集、バージョン管理、Microsoft Teamsとのシームレスな連携により、チームの生産性を飛躍的に向上させます。
OneDriveのデータ移行前に確認すべき制限事項
データ移行に着手する前に、OneDriveの基本的な制約を理解しておくことが、予期せぬエラーを防ぎ、スムーズな移行を実現する鍵です。特に容量、ファイルサイズ、命名規則は必ず確認しましょう。
OneDriveのプラン
OneDriveには個人向けと法人向けがあり、機能や容量が大きく異なります。
- 個人向け (OneDrive Personal)
- 対象:個人のMicrosoftアカウントに紐づく。
- 容量:無料で5GB、Microsoft 365サブスクリプションで1TB以上が利用可能。
- 主な用途:個人のファイル保管、写真バックアップ、基本的な情報共有。
- 法人向け (OneDrive for Business)
- 対象:Microsoft 365のビジネスプランに含まれる。
- 容量:ユーザー毎に1TB以上が基本。管理者が容量を設定・管理できる。
- 主な機能:高度なセキュリティ(情報漏洩防止、監査ログ )、詳細な共有設定(有効期限、パスワード保護 )、SharePointやTeamsとの緊密な連携など、法人利用に必要な機能が充実。
容量、ファイルサイズ、アイテム数
計画段階で、移行したいデータが以下の制限に抵触しないか必ず確認してください。
- ストレージ総容量:契約プランの容量を超えると、データの移行ができません。
- 最大ファイルサイズ:1ファイルあたり250GBが上限です。ただし、利用するツールによってはこれより小さい制限が適用されることもあります。
- アイテム数:1つのフォルダ内に多数のアイテムがあると、パフォーマンスに影響が出る可能性があります。
ファイル名・フォルダ名のルール
移行エラーの最も一般的な原因が、命名規則とパス長の制限です。事前に修正することで、多くのトラブルを未然に防げます。
- 使用できない文字:ファイル名やフォルダ名に ” * : < > ? / |は使用できません。また、名前の先頭や末尾にスペースは使えません。
- 予約名:CON, PRN, AUX, NUL, COM0~9, LPT0~9, _vti_, desktop.ini などはファイル名やフォルダ名として使用できません。
- パス長の制限:フォルダ階層とファイル名を合わせたフルパスの長さは、クラウド上で400文字、ローカルPCの同期時には255文字という制限があります。
OneDriveのデータ移行の具体的な手順・方法
データ移行の方法は一つではありません。あなたの状況に最適なアプローチを選びましょう。ここでは代表的なケースごとの手順を解説します。
PCの買い替え時のデータ移行方法
PCの買い替えでデータを移行するなら、OneDriveを使うのが最も簡単で確実な方法です。まず、古いPCでOneDriveをセットアップし、移行したいファイルがすべてクラウドと同期されていることを確認します。特に「デスクトップ」「ドキュメント」「ピクチャ」は、「バックアップの管理」機能で同期しておくと安心です。次に、新しいPCで同じMicrosoftアカウントを使ってOneDriveにサインインすれば、クラウド上のデータが自動で同期され、OneDriveの新しいパソコンへの同期が完了します。
別アカウントへのデータ移行方法
個人用から法人用へ、あるいは古いアカウントから新しいアカウントへ等、別アカウントへデータを移行する際には、主に3つの方法があります。
- 手動でダウンロード&アップロードする方法
移行元のOneDriveからPCへファイルをダウンロードし、その後、移行先のアカウントへアップロードします。シンプルですが、データ量が多いと時間がかかります。 - 共有フォルダ機能を利用する方法
移行元のOneDriveで移行したいファイルを一つのフォルダにまとめ、そのフォルダを移行先のアカウントに「編集可能」権限で共有します。そして、移行先のアカウントで共有されたフォルダ内のファイルを自身の「自分のファイル」に移動させれば、所有権が移り移行が完了します。PCの容量を消費しない利点があります。 - 1台のPCで複数アカウントを同期する方法
PCに移行元と移行先の両アカウントを同期設定し、エクスプローラー(Finder)上でフォルダ間でファイルをコピーします。直感的ですが、PCのディスク容量を一時的に消費します。
スマホやUSBからの移行方法
モバイルアプリを使えば、スマートフォンで撮影した写真や作成したファイルをOneDriveにアップロードしたり、逆にOneDriveからダウンロードしたりできます。
また、USBメモリや外付けHDDもデータ移行に利用できます。古いPCのデータをUSBメモリにコピーし、新しいPCに移すというシンプルな手順です。
OneDriveのデータ移行に使用するツール
手動での移行が困難な、大容量・複雑なデータ移行には専用のOneDriveデータ移行ツールの利用が不可欠です。
Microsoftが提供する無料ツール
Microsoftが提供する無料の公式ツールとして、オンプレミス環境からの移行には「SharePoint移行ツール(SPMT)」、Google Driveなどからの大規模移行には「Migration Manager」があります。これらは基本的な移行ニーズをカバーしますが、それぞれに対象や機能の制限があります。
有料のサードパーティ製ツール
より高度な要件、例えば詳細な権限設定の維持や、公式ツールが対応していないサービスからの移行が必要な場合は、有償のサードパーティ製ツールが有力な選択肢となります。例えば、「MultCloud」や「FLY」等が挙げられます。
OneDriveのデータ移行を成功に導くためのポイント
データ移行の成功は、技術力以上に周到な計画と準備にかかっています。ここでは、プロジェクトを成功に導くための進め方とチェックポイントを紹介します。
1. 計画
プロジェクトの目標、範囲、体制、予算、スケジュールを決定します。
- 移行の目的とビジネスゴールが明確に定義されているか
- 移行対象のデータ範囲(スコープ)が具体的に特定されているか
- プロジェクト体制(チーム編成、責任者)が構築されているか
- 必要な予算と人的リソースが確保されているか
- リスクが洗い出され、対策が検討されているか
- ユーザーコミュニケーションプランが策定されているか
- プロジェクト全体の大まかなスケジュールが作成されているか
2. 準備
実際の移行作業に向けて、技術的・組織的な準備を整えます。
- 現状データの詳細分析が完了しているか
- データクレンジングが実施されているか
- 移行先の環境設計(フォルダ構成、権限ポリシー)が完了しているか
- 移行先の環境(アカウント、ライセンス、容量)が準備されているか
- 移行ツールが選定され、導入・テストが完了しているか
- 移行元データのバックアップが取得されているか
- パイロット移行(テスト移行)の計画が策定されているか
3. 実行
計画に基づき、実際にデータを移行します。
- パイロット移行が実施・評価され、本番計画に反映されているか
- 移行期間中、移行元データへのアクセス制限が実施されているか
- 移行作業の進捗が監視され、エラー対応手順が確立されているか
- 移行データの整合性がチェックされているか
- ユーザー受け入れテスト(UAT)が実施されているか
4. 移行後
データの整合性を確認し、新環境での業務をスムーズに開始させます。
- 移行完了と新環境利用開始が全ユーザーに通知されているか
- ユーザートレーニングが実施され、マニュアルが提供されているか
- ヘルプデスク体制が強化・周知されているか
- 旧環境のアクセス遮断および廃止計画が実行されているか
- プロジェクトの完了報告と反省会が実施されているか
OneDriveのデータ移行でよくあるトラブルと解決策
周到な準備をしても、データ移行中にトラブルが発生することはあり得ます。事前に典型的な問題とその対処法を知っておきましょう。
容量が不足している
移行前に不要なファイルを整理するデータクレンジングを行うか、必要に応じてプランをアップグレードすることで解決します。
ファイル名が無効、パスが長すぎる
ファイル名に禁止文字が含まれている、またはフルパスが長すぎることが原因です。移行ツールが持つスキャン機能などで事前に問題のあるファイルを特定し、ファイル名を修正したり、フォルダ階層を浅くしたりといった対応が必要です。
ファイルを移動できない
ファイルが他のアプリで開かれている、編集権限がない、ファイル名やパスに問題がある、といった原因が考えられます。まずはファイルを開いているアプリをすべて閉じ、自身の権限を確認します。それでも解決しない場合は、ファイル名の修正やOneDriveの再起動を試してください。
アクセス権限が意図通りに設定されない
移行元と移行先の権限モデルの仕組みが異なるために起こります。移行を機に権限設定をシンプルなものに再設計するか、高度な権限マッピング機能を持つ移行ツールを利用することが有効な対策です。いずれにせよ、移行後のテストが不可欠です。
ファイルが消えた・見つからない
移行作業を開始する前に、必ず元データの完全なバックアップを取得してください。万が一ファイルが見つからなくなった場合は、まずOneDriveの「ごみ箱」やファイルの「バージョン履歴」を確認します。
OneDriveのデータ移行は計画的に進めましょう
本記事では、OneDriveへのデータ移行に失敗しないための手順や注意点などを解説しました。
OneDriveへのデータ移行を成功に導くためには、なぜ移行するのかという目的を明確にし、周到な計画と準備を行うことが何よりも重要です。特にファイル名のルールやパス長の制限といった技術的な前提条件は、エラーの主原因となるため入念に確認してください。そして、PC買い替えや別アカウントへの移行といった自身のシナリオに合った最適な方法を選択し、本番前には必ずテスト移行を実施することが不可欠です。この記事が、OneDriveのデータ移行を成功に導く一助となれば幸いです。
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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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