• 作成日 : 2025年5月7日

iPhoneのメモを移行する方法を解説!事前準備も紹介

iPhoneの「メモ」アプリには日々のアイデアや大切な情報が詰まっているため、機種変更やバックアップ時に確実に移行したいものです。デバイスを新しいiPhoneに変更する場合、メモを正しく移行できないと大切な情報を失ってしまう恐れがあります。

この記事では、最新iOS環境に対応したiPhoneメモ移行の方法を解説します。iCloudやiTunes/Finder、AirDropなど主要な移行手段と手順について紹介します。

iPhoneのメモ移行の基本と事前準備

iPhoneのメモを移行する前に、事前準備を行っておくとスムーズです。まず、現在お使いのiPhoneでメモがどこに保存されているかを確認しましょう。メモは主に「iCloud」か「このiPhone」、またはGmailなどメールアカウント経由で保存されています。

iCloudに同期しているメモはAppleのクラウドサーバー上に常に最新の状態が保存されているため、通常のiPhoneバックアップ(iCloudバックアップやPCでのバックアップ)には基本的に含まれません。一方、iPhoneに保存されたメモや、一部のメールアカウントのメモは端末に紐づくため、バックアップ対象になります。移行漏れを防ぐため、現在のメモ保存先を把握し、必要に応じてiCloudへ移行、または同期設定を有効にしておきましょう。

事前に準備しておくこと

  • iOSのアップデート
    移行元・移行先のiPhone双方を、最新のiOSバージョンに更新します。特に「クイックスタート」で直接移行する場合、iOS 12.4以降である必要があります(より新しいバージョンが推奨されます)。
  • 通信環境の確保
    iCloud同期やクイックスタートにはWi-Fiネットワークが必要です。安定したWi-Fiに接続し、両方のiPhoneを同じWi-Fiネットワークに接続し、Bluetoothもオンにしておきます(クイックスタートやAirDropでのデータ転送に必要です)。
  • Apple IDの確認
    新しいiPhoneでも同じApple IDを使う場合は、そのApple IDとパスワードを事前に確認しておきましょう。異なるApple IDにメモを移行したい場合は、AirDrop機能を使った個別の転送、メモの共有機能、またはサードパーティ製のデータ移行ツールを利用する方法などを検討します。
  • バックアップの実施
    万一のトラブルに備え、移行元のiPhoneの全体バックアップを取っておきましょう(iCloudバックアップまたはPCでのiTunes/Finderバックアップ)。バックアップしておけば、メモ移行に失敗した場合でも、データの損失を防ぎ、復旧が可能になります。
  • iCloudストレージの空き確認
    iCloud経由でメモを同期・移行する場合、iCloudストレージ容量が不足していると新しいデータが保存されません。必要に応じてiCloudストレージプランをアップグレードするか、機種変更時の一時的な無料ストレージ増量を利用しましょう。
  • 旧端末のメモ整理
    大量のメモがある場合は不要なメモを削除し、「最近削除した項目」フォルダを空にしておきます。これにより、移行時間の短縮や、予期せぬトラブル防止につながります。

【同じApple ID間の移行】iCloudを利用する

移行元・移行先のiPhoneで同じApple IDを使用している場合、iCloudを利用した同期移行が最も簡単で確実な方法の一つです。iCloud上にメモを保存・同期しておけば、新しいiPhoneにサインインするだけで自動的にメモが引き継がれます。この方法は日頃からiPhoneでiCloudメモを使っている方に適しており、Appleの公式サービスなので安心感もあります。

ただし、iCloudを使うにはネット接続環境が必要であり、Apple IDが異なる端末間では直接同期できない点に注意しましょう。

iCloudでメモを移行する手順

  1. 旧iPhoneでiCloud同期を有効化する
    移行元の端末で「設定」アプリを開き、画面最上部の自分の名前(Apple ID)をタップし、「iCloud」を選択します。表示されるアプリ一覧の中から「メモ」のスイッチをオン(緑色)にして、このiPhoneのメモがiCloudと同期されるようにします。既にオンになっている場合はそのままで問題ありません。オンにした直後は、メモがiCloudにアップロード(同期)されるまでしばらく待ちましょう(安定したWi-Fi環境推奨での実施を推奨します)。
  2. 新iPhoneでiCloudにサインインする
    新しいiPhoneを初期設定中か、または初期設定後に「設定」アプリから、移行元の端末と同じApple IDでサインインします。サインイン後、「設定」→画面最上部の自分の名前(Apple ID)→「iCloud」を開き、同様に「メモ」同期スイッチがオンになっていることを確認してください(通常、サインイン時に他のiCloudデータと合わせて自動でオンになります)。
  3. メモの同期を確認する
    数秒〜数分待って「メモ」アプリを開き、フォルダ一覧で「iCloud」セクションのメモを確認します。移行元の端末にあったメモが新しいiPhoneのiCloudフォルダ内に表示されれば、同期は正常に完了しています。もし表示されない場合は、Wi-Fi接続が安定しているか、サインインしているApple IDが正しいかなどを再確認しましょう。

以上の操作で、iCloud上に保存されているメモは全て新しいiPhoneに引き継がれます。なお、移行元の端末で「このiPhone内」アカウントにのみ保存していたメモがある場合は、メモアプリ内で該当のメモを開き、移動機能を使ってiCloudアカウント内のフォルダへ移動しておくことで、 iCloud同期の対象に含めることができます。

iCloud移行のメリット・デメリット

メリット

iCloudを使った移行は非常に手軽です。個別に作業する必要がなく、自動的に全てのメモが同期されます。ネットワーク経由なのでケーブル接続も不要で、日常的にiCloudメモを利用していれば特別な手順なしに新iPhoneですぐメモを閲覧できます。また、一度同期設定を行えば、その後も常にメモが複数のデバイス間で同期され、実質的にリアルタイムでバックアップされている状態になるため、機種変更時だけでなく日常的なデータ保護の観点からも有用です。

デメリット

インターネット環境が必須であるため不安定な環境やiCloud側のサーバー障害・メンテナンスなどが発生している場合、同期に時間がかかったり、一時的に失敗したりする可能性があります。また、Apple IDが異なる端末間では直接同期できないため、異なるApple IDを利用している端末へメモをまとめて移行したい場合には不向きです。この場合は、後述するAirDropや共有機能を利用する必要があります。

さらに、iCloudの無料ストレージ(5GB)容量を超える大量のメモ(特に写真や動画などが添付されているなど)がある場合、 iCloud+の有料プランを契約しないと全てのデータをiCloud上に保存・同期できない点にも注意が必要です。

iCloud移行時の注意点と対処法

  • 同期先の確認
    新しいiPhoneでメモが見当たらない場合、まずは「メモ」アプリの「フォルダ」画面を開き、「すべてのiCloud」や該当する「iCloud」フォルダが選択されているか確認してください。もし「このiPhone内」などの別のフォルダが表示されている状態だと、iCloudのメモは見えません。併せて、「設定」アプリのiCloud項目で「メモ」の同期がオンになっているかも再チェックしましょう。
  • アップロード(同期)の待機
    移行元のiPhone側でiCloudメモ同期をオンにした直後は、全メモデータがiCloudサーバーへアップロードされるのに時間がかかる場合があります。特に大量のメモや添付ファイルがある場合は、しばらく移行元のiPhoneを安定したWi-Fiに接続したままにして同期完了するのを待つことが重要です。同期プロセス中に電源をオフにしたり、ネットワーク接続を切断したりすると、アップロードが中断される可能性があるため注意が必要です。
  • 同期不良
    まれにiCloud同期が正常に行われず、メモが表示されない、あるいは消えたように見えることがあります。そのような場合は、一度「設定」アプリでiCloudのメモ同期をオフにし、少し時間をおいてから再度オンにすることで、同期状態がリフレッシュされ問題が解決する可能性があります。ただしこの操作を行うと端末上のiCloudメモが一時的に削除され、iCloudから再ダウンロードされる挙動になります。念のため、操作前に重要なメモの内容をスクリーンショットで保存するなど、何らかの方法でバックアップを取っておくとより安心です。

また、 Webブラウザから iCloud.com にサインインし、「メモ」Web Appでデータが正しく保存されているか確認するのも有効な手段です。iCloud.com にデータがあれば、移行先・移行元のiPhone側の問題の可能性が高まります。データがない場合は、移行元のiPhoneのメモアプリ内にある「最近削除した項目」フォルダに誤って移動されていないか確認してみましょう。

iCloudストレージ容量の不足

新しいiPhoneへの移行に際して、iCloudストレージ容量が不足している場合、Appleが提供する「機種変更のための一時的なiCloudストレージ」を利用できる可能性があります。iOS 15以降では、新しいiPhoneまたはiPadを購入したユーザーは、デバイスの機種変更を目的として、現在利用しているストレージ容量に関わらず、一時的に必要な容量のiCloudストレージを最大21日間、無料で利用できます。 これを利用し、移行元のiPhoneでiCloudバックアップ(メモを含むデバイス全体のデータ)を作成し、そのバックアップを新しいiPhoneで復元することで、データを移行できます。この無料ストレージはバックアップ作成から21日間有効ですので、その期間内に新しいiPhoneでの復元作業を完了させる必要があります。

【異なるApple ID間の移行】iTunes/Finderを利用する

PCを使ってiTunes(Windows)やFinder(Mac)でiPhone全体のバックアップを取り、新しいiPhoneに復元することでメモを移行する方法です。これは移行元のiPhoneのデータを丸ごとバックアップし、新しいiPhoneに書き戻す形になるため、メモだけでなく連絡先・写真・アプリ設定など全データを一括で移行できます。インターネット不要で大容量データも確実に移せる点がメリットですが、パソコンが必要で手順もやや時間がかかります。

新しいiPhoneをクリーンな状態から復元するため、既に使い始めている場合は一度初期化が必要になる点にも注意しましょう。

iTunesバックアップからメモを移行する手順

  1. PC側の準備をする
    Windowsの場合は最新バージョンのiTunesをインストールしておきます。Macの場合はFinderを使用します(macOS Catalina 10.15以降)。USBケーブルで移行元のiPhoneをPCに接続し、PCがデバイスを認識したら、iTunesもしくはFinder上でiPhoneの管理画面(概要画面)を開きます。
  2. 移行元のiPhoneのバックアップを作成する
    iTunesのまたはFinderのiPhone管理画面で、「今すぐバックアップ」をクリックして、PC上にローカルバックアップを作成します。「iPhoneのバックアップを暗号化」にチェックを入れてパスワードを設定すると、ヘルスケアデータやWi-Fi設定、保存されたパスワードなどもバックアップ対象に含めることができます(このパスワードは復元時に必要になるため、忘れないように管理してください)。バックアップ完了まで待ちます。
  3. 新しいiPhoneに復元する
    新しいiPhoneをPCに接続します。初期設定の途中またはFinder/iTunesで接続した状態で、「Appとデータ」画面から「MacまたはPCからから復元」を選択するか、すでに初期設定済みの場合はFinderまたはiTunesの管理画面から「バックアップを復元」を選択します。先ほど作成した移行元の端末のバックアップデータを選択し、復元を開始します(暗号化した場合はパスワードの入力が必要です)。復元プロセスには時間がかかる場合がありますが、完了するまで両方のデバイスをPCに接続したままにします。
  4. メモ移行を確認する
    復元が完了し、新しいiPhoneが再起動したら、「メモ」アプリを開いて、データが引き継がれているか確認しましょう。「このiPhone内」アカウントに保存されていたメモは、バックアップに含まれていればこの時点で閲覧できるはずです。

この方法では、基本的に移行元の端末の状態が(Apple IDに依存しない範囲で)そのまま新しい端末にコピーされる形になるため、「このiPhone内」のメモは確実に移行できます。ただし、移行元の端末でiCloudに同期していたメモについては、バックアップには基本的に含まれていない(クラウド上のデータである)ため、新しい端末でも該当するApple IDでiCloud にサインインし、メモの同期をオンにしないと表示されません。必要に応じて、復元後にiCloudへのサインインと同期設定を行ってください。

iTunes移行のメリット・デメリット

メリット

オフラインで安全に移行できる点が大きな利点です。インターネット接続の速度や安定性に左右されず、USB ケーブル経由で確実にデータを転送できます。写真や動画、音楽など容量が大きいデータも一括で転送できるため、ストレージ容量が大きいiPhoneでも時間はかかりますが PC上に完全なバックアップを作成・保管できます。また、iPhone全体のバックアップを手元に残せるので、移行後もPC上にデータの保険が残ることになります。

デメリット

パソコンが必要であり、操作に慣れていないとやや煩雑に感じるかもしれません。バックアップと復元の両方に時間がかかり、その間iPhoneは基本的に操作できません。新しいiPhoneを一度初期化する必要がある場合もあり、既に利用を開始している場合は手間が増えます。また、前述の通り、 異なるApple IDへ復元する場合、アプリや購入済みコンテンツなどのデータは引き継げない、または正常に動作しない可能性があります。

さらに、前述のようにiCloud同期のメモはバックアップに含まれないため、その点を理解していないと「メモが移行されていない」と誤解する可能性があります。

iTunes移行の注意点と対処法

  • バックアップの容量とパスワード管理
    ローカルバックアップはPCのストレージ空き容量を消費します。事前に十分な空き容量があるか確認しましょう。また、バックアップを暗号化した場合、復元時にパスワードが必須となります。忘れてしまうと復元できなくなるため、厳重に管理してください。
  • ソフトウェアの最新化
    iTunesやmacOSは、可能な限り最新バージョンにアップデートしてからバックアップ・復元作業を行ってください。古いバージョンでは、新しいiOSデバイスや最新のiOSバージョンに対応していないことがあります。
  • 復元後の確認
    新しいiPhoneで復元が完了した後、メモ以外のデータも含め、意図した通りに移行されているか確認しましょう。万一「このiPhone内」にあったはずのメモが見当たらない場合、バックアップ作成時に問題があったか、復元プロセスでエラーが発生した可能性があります。その際は、再度バックアップから試すか、エラーメッセージに従って対処します。iCloud同期メモが表示されない場合は、適切なApple IDでiCloudにサインインし、メモ同期がオンになっているかを確認してください。
  • バックアップ/復元エラー
    稀にバックアップファイルが破損していたり、復元中に不明なエラーが発生したりするケースもあります。その場合は、PCやiPhoneを再起動する、USBケーブルやポートを変更してみる、セキュリティソフトを一時的に無効にする、などの基本的なトラブルシューティングを試してください。それでも解決しない場合は、Appleのサポート情報を参照するか、別のPCで試すなどの対応が必要になることもあります。また、最終手段として、どうしても復元できない場合には、サードパーティ製のバックアップデータ抽出ツールを利用して、メモデータだけでも取り出すことを検討するといった方法もあります。
  • 既存データとの競合
    新しいiPhoneにすでに何らかのデータ(例えば、初期設定後にいくつかメモを作成したなど)が存在する状態でバックアップから復元すると、既存のデータは全てバックアップの内容で上書きされ、消去されます。大事な新規データがある場合はあらかじめ別途避難(例えばメール送信など)させておくか、最初からバックアップ復元してから新規データを入れるように順序を検討しましょう。

以上の点に気を付ければ、PC経由のバックアップ復元でも安全にメモを移行できます。

【機種変更時・同じApple ID間の移行】クイックスタートを利用する

Appleは近年、iPhone同士を直接近づけてデータ転送する「クイックスタート」という機能を提供しています。これは移行元のiPhoneから新しいiPhoneへ、Wi-FiやBluetooth経由で直接データを移行する方法で、機種変更時に便利です。クイックスタートを使えば、メモの移行も含めてほぼワンタップで全データを引き継ぐことが可能です。

なお、この方法は両方のデバイスが手元にあり、かつ同じApple IDで使用する場合に限られます。

クイックスタートを利用すると、移行元のiPhoneから新しいiPhoneに対してワイヤレスで直接データ転送が行われます。移行先・移行元のiPhoneの電源を入れて近づけると、移行元のiPhone側に「新しいiPhoneを設定」というポップアップが表示されます。そこで「続ける」をタップし、画面の指示に従って移行元のiPhoneのカメラで新しいiPhoneに表示された青い球体のアニメーションをスキャンすると、データ移行が開始されます。

あとは両デバイスを近くに置いたまま、転送完了まで待ちましょう。メモはもちろん、写真やアプリ配置などほぼすべてのデータが転送されるため、新端末ですぐに従来通り使用できます。

クイックスタートの手順

  1. 端末を近接させる
    新しいiPhoneの電源を入れ、言語設定など初期設定を進めていくと、移行元のiPhone側にクイックスタートの案内が自動表示されます。両端末を物理的に近づけておきましょう(Bluetoothがオンになっていることを確認しましょう)。
  2. 移行元のiPhoneで「続ける」をタップ
    移行元の端末に「新しいiPhoneを設定」というポップアップが出たら「続ける」をタップします。その後、移行元のiPhoneに丸い雲状のアニメーション用カメラ画面が表示されます。
  3. アニメーションのスキャン
    新しいiPhone画面に表示された青い球体模様に移行元のiPhoneのカメラをかざし、スキャンします。スキャンが成功すると、移行元のiPhone側に「新しいiPhoneの設定が完了しました」と表示されます。
  4. パスコード入力と設定移行
    新しいiPhoneに移行元のiPhoneのロック解除パスコード入力画面が出るので、移行元の端末で使っていたパスコードを入力します。続いてFace ID/Touch IDやApple ID設定を進めます。転送方法の選択画面では「iPhoneから転送」を選択すると、端末間直接転送が開始します(※ここで「iCloudからダウンロード」を選ぶとクラウド経由になりますが、どちらでも最終的にメモは移行されます)。
  5. データ転送と完了
    あとは両デバイスを充電に繋いだまま近くに置いて待つだけです。転送が完了すると新しいiPhone側で全データ使用可能となり、メモアプリにも移行元の端末と同じ内容が反映されています。

クイックスタート利用のメリット・デメリット

メリット

クイックスタート最大の魅力はその手軽さとスピードです。煩雑な操作は「続ける」をタップする程度で、あとは自動でやってくれます。PCもケーブルも不要で、ユーザーの手間が非常に少なく、機種変更初心者でも迷いません。また、メモのみならず設定やアプリ配置までほぼ完全クローンされるため、新しいiPhoneでゼロから設定し直す必要がありません。

ネット環境も必要としない(※直接転送を選択した場合)ため、Wi-Fi環境がない場所でも実行できるのも利点です。

デメリット

移行元のiPhoneと移行先のiPhoneの両方が手元にないと使えない点が制約です。移行元の端末が故障して動かない場合や紛失した場合には利用できません。その場合はiCloudバックアップからの復元など別手段が必要です。また、転送中は両方のiPhoneを操作できないため、データ量によっては長時間使えなくなる不便さがあります。

数十GB単位のデータだと1時間以上かかることもあります(この間電話やメッセージも使えません)。さらに、Appleの仕様上、クイックスタートは同一Apple ID間の移行に限られます。別のApple IDへのメモ移行には直接対応していないため、その場合はAirDropなどの別の方法が必要になります。

最後に、転送が失敗すると途中から再開できず最初からやり直しになるため、一度で成功するようバッテリー残量や距離に注意する必要があります。

クイックスタート利用時の注意点と対処法

  • iOSバージョン要件
    クイックスタートは移行元の端末がiOS 12.4以上である必要があります。古いiPhoneでこの条件を満たさない場合、事前にiOSアップデートを行ってください。アップデートできないほど古い機種の場合はクイックスタートは使えません。
  • 通信設定
    移行元のiPhoneのBluetoothがオフになっているとクイックスタートの画面が出ません。「続ける」が表示されない場合はBluetoothとWi-Fiの設定を確認しましょう。また、直接転送ではなくiCloud経由を選ぶ場合はWi-Fi接続が必要です。
  • 電源と距離
    転送中にどちらかのデバイスの電源が落ちると失敗します。バッテリー残量は十分にある状態か、可能なら両方とも充電しながら実施してください。また、転送中にデバイス間を離しすぎると接続が切れる恐れがあります。できるだけ近く(数十センチ以内)に並べて置きましょう。
  • 完了後の確認
    移行完了後、新しいiPhoneでメモが全て揃っているか確認します。万一欠落があれば、移行元のiPhone側に残っている可能性があるので、移行元のiPhoneがまだ手元にあればiCloud同期を確認したり、AirDropなどで個別に転送したりするなどの対応を検討してください。通常は問題ありませんが、例えば移行元の端末の「このiPhone内」アカウントのメモ(iCloud等に同期されていないメモ)は、一般的には移行されますが、見当たらない場合は検索機能でタイトルを探すなどしてみましょう。

【特定のメモだけを移行】AirDropやメール送信を利用する

移行元のiPhoneから新しいiPhone、あるいは別のApple IDのiPhoneへ特定のメモだけを移行したい場合は、直接データ転送ではなく共有機能を使う方法が便利です。その代表格がAirDropによる転送と、メール送信による転送です。AirDropは近距離にあるApple製デバイス間でファイルをワイヤレス共有できる機能で、メモもその対象になります。

一方メール転送は、メモの内容をメールとして送り、新端末で受信・保存する方法です。これらは一つひとつのメモを個別に扱う必要がありますが、異なるApple ID間でも利用できるため、例えば家族や同僚にメモを渡す場合にも役立ちます。

AirDropでメモを移行する手順

iPhoneのメモをAirDropで共有するには、まず移行元のiPhoneで共有したいメモを開き、画面下(もしくは画面右上)の共有ボタン(四角と上矢印のアイコン)をタップします。表示される共有オプションから AirDropのアイコンをタップし、検出された転送相手(新しいiPhone)を選びます。新しいiPhone側には「○○さんが送信しようとしています」という通知が現れるので、「受け入れる」をタップするとメモの内容が受信されます。受信後、表示される指示に従いメモアプリなどに保存すれば移行完了です。

AirDropはインターネット不要で高速に送れるため、目の前にある2台のiPhone間で素早くメモを渡したい場合に非常に便利です。ただし、一度に送れるのは開いている単一のメモのみで、複数のメモをまとめて移すことはできません。そのため、たくさんのメモを移行したい場合には何度も操作が必要になり非効率です。

AirDrop転送のポイント

  • 送信側・受信側ともにWi-FiとBluetoothをオンにし、相互にAirDrop受信可能な設定(連絡先のみ受信か、またはすべての人受信)にしておきましょう。
  • メモ内の画像や添付ファイルもAirDropで一緒に転送されます。受信後、写真はメモ内に保存されるか、場合によっては個別のファイルとして受け取る場合があります。
  • 受信時にどのアプリで開くか選択する画面が表示されるので、『メモ』を選び、必要なら新規メモとして保存してください。

メールでメモを移行する手順

AirDropが利用できない距離である、相手が近くにいないといった場合はメールでメモを送る方法が有効です。手順はAirDropと似ており、移行元のiPhoneで目的のメモを開いて共有ボタンをタップし、「メールで送信」もしくは「メール」アプリのアイコンを選択します。自分自身宛てまたは相手のメールアドレス宛てにメモ内容を送信し、新しいiPhoneでそのメールを開いて内容をコピーし、メモアプリに貼り付けて保存します。

場合によってはメール添付ファイル(.txtなどテキスト形式)としてメモが送信されることもありますが、受信後にそれを開いてコピー&ペーストすれば大丈夫です。

メール転送はインターネット経由で送れるため、物理的に離れた場所でもメモを渡せます。また、受信側がiPhone以外(Android端末やPCのメールなど)でも受け取れる柔軟性があります。

しかし、こちらも一度に送れるメモは1件ずつで、大量のメモ移行には不向きです。またレイアウトが複雑なメモだとレイアウト崩れが起こる可能性もある点に注意しましょう。

メール転送のポイント

  • メール本文にメモのテキストが挿入される形で送られます。新しいiPhoneで受信後、メール本文を長押し選択してコピーし、新規メモに貼り付けて保存すると良いでしょう。
  • メモに画像が含まれる場合、メール送信時に画像が添付ファイルとなります。受信側ではその画像をカメラロールに保存し、必要であれば新しいメモに再挿入してください。
  • GmailなどIMAPメール経由でメモを保存していた場合、実はそのメモはメールサーバ上に「Notes」フォルダとして保管されています。同じメールアカウントを新端末で設定すればメモが同期されることもありますが、環境によるので確実なのは手動でメール送信する方法です。

iPhoneのメモを他OSデバイスへ移行する方法

最後に、iPhoneのメモをAndroidやPCなど他のOS環境へ移行する方法について触れておきます。Appleのメモアプリは基本的にAppleデバイス間でしか同期できませんが、いくつか代替手段があります。

Google KeepやEvernoteを利用

iPhoneとAndroid間でメモを共有したい場合、双方にインストールできるサードパーティのメモアプリを使う方法があります。例えばGoogle KeepをiPhoneとAndroid双方に入れて同じGoogleアカウントでログインすれば、どちらから作成したメモも双方で閲覧・編集可能になります。iPhoneのメモをGoogle Keepにコピー&ペーストして保存し直すことで、Androidから続きを見ることができます。

EvernoteやMicrosoft OneNoteなどでも同様のことが可能です。

メール/テキストでエクスポートする

単発のメモなら、メールで送信したりテキストファイルに書き出してAndroid端末やPCに転送する方法が有効です。受け取った側ではそれを自分の好きなメモアプリに貼り付けることで内容を引き継げます。フォーマットは崩れるかもしれませんが、テキスト情報だけでも残すことが目的ならシンプルで確実です。

iCloud.comを利用する

PCやAndroidブラウザからでも、iCloudのウェブサイト(icloud.com)にログインすればメモを閲覧・編集できます。iPhoneからAndroidに乗り換える場合でも、しばらくはiCloud.com上で以前のメモを参照することが可能です。ただし常にブラウザ経由になるため利便性は高くないので、他のメモサービスへの移行を検討することをおすすめします。

他OSへの移行はどうしても一手間かかりますが、テキストデータとして抽出して他サービスに乗せ換えるという発想で対応できます。方法はいくつか用意されていますので、環境に合わせて使い分けてください。

まとめ

iPhoneメモを移行するための主要な方法を紹介してきました。普段からiCloud同期を使っている方はそのままiCloudで、移行先・移行元のiPhoneが手元にあるならクイックスタートで一括移行するのが簡単です。

iPhoneの メモ移行と一口に言っても状況によりベストな方法は異なりますので、本記事を参考にご自身に合った方法を選んでみてください。

新しいiPhoneでもこれまで通りスムーズにメモが活用できるよう、しっかりと準備してデータ移行を成功させてください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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