• 作成日 : 2025年5月7日

EXACT関数の使い方や複数条件指定の方法を解説

EXACT関数は、ExcelやGoogleスプレッドシートにおいて、文字列が完全に一致するかどうかを判断するための便利な機能です。文字の大文字と小文字まで厳密に比較することができるため、データの整合性を確保する上で重要な役割を果たします。本記事では、EXACT関数の基本的な使い方に加え、複数の条件を指定する方法や、他の関数との違いについて詳しく解説します。データ分析を行う際に、どう活用できるのかについても触れていきます。

EXACT関数の使い方

EXACT関数は、ExcelやGoogleスプレッドシートにおいて、2つの文字列が完全に一致しているかを判定するための非常に便利な関数です。この関数を使うことで、アルファベットの大文字と小文字の違いも区別して、文字列の一致を正確に確認することができます。具体的には、文字列が同じであればTRUE(真=正しいという意味)を返し、異なればFALSE(偽=間違っているという意味)を返します。

この関数を使用する方法はシンプルで、次のような構文に従います。

使用方法:

=EXACT(文字列1, 文字列2)

ここで、「文字列1」と「文字列2」は比較したい2つの文字列を指します。例えば、A1セルに「Apple」とあり、B1セルに「apple」と入力されている場合、以下のように記述します。

=EXACT(A1, B1)

この式の結果はFALSEになります。なぜなら、EXACT関数は「A」と「a」のように大文字と小文字を別の文字として認識して比較を行うからです。この性質があるため、EXACT関数は正確なデータ処理や文字の一致確認が求められるシーンで非常に役立ちます。

EXACT関数の実践例

具体的な使い方を見てみましょう。例えば、顧客名簿を作成する場面を考えてみます。顧客情報が入力された表があり、登録されたメールアドレスが、正しいものと一致しているかどうかを確認したい場合、EXACT関数を活用することで、誤入力を簡単にチェックできます。

まず、C列に正しいメールアドレス、D列に入力されたメールアドレスがあるとします。E列に以下のようにEXACT関数を記入します。

=EXACT(C1, D1)

このように記入することで、E列にはそれぞれの行で、入力されたメールアドレスが正しいかどうかがTRUEまたはFALSEで表示されます。これにより、入力ミスや重複を効果的に洗い出すことができます。

このように、EXACT関数はデータの整合性を保つための強力なツールとなります。正確な比較が行えるため、特にデータの検証やデバッグ(誤りを探して直す作業)の際に、非常に役立つ機能です。

EXACT関数の利用シーン

EXACT関数は、特定の状況で非常に役立つ機能です。主にデータの正確さを確認するために使用され、特に文字列の比較が求められるシーンで力を発揮します。具体的には、データの重複チェックや、ユーザー入力のバリデーション、さらにデータ分析など、さまざまな場面で活躍します。

データの重複チェック

データ管理を行う際、重複データが存在すると混乱を招きます。このような場合にEXACT関数を利用すれば、異なるエントリが同一の文字列かどうかを簡単に確認できます。特に、顧客情報や製品リストなどの管理を行う際に、同じレコードが存在するかをチェックするために非常に便利です。

ユーザー入力のバリデーション

オンラインフォームなどでユーザーが入力したデータの正確性を保つために、EXACT関数を活用することができます。たとえば、パスワード確認の際に、誤入力を防ぐために使用することが一般的です。この場合、ユーザーが入力した2つのパスワードが完全に一致するかどうかを判断できるため、セキュリティ強化にもつながります。

データ分析

データ分析を行う際、特定の条件に基づいてデータをフィルタリングする必要があります。このとき、EXACT関数を使うことで、正確な一致を確認し、必要なデータのみを抽出することが可能です。たとえば、特定の顧客が購入した製品のリストを作成する場合、一致する顧客名や製品名を確認するためにこの関数を使うと効率的です。

条件付き書式との併用

EXACT関数は、条件付き書式と組み合わせて使用することも非常に効果的です。特定の条件を満たすデータに対して視覚的な強調を行う際、EXACT関数を用いることで、正確なデータの判別が容易になり、視覚的にわかりやすくなります。これにより、データの異常を素早く発見できるようになります。

他の関数との組み合わせ

EXACT関数は、他の関数と組み合わせて使用することでその効果をさらに引き出すことができます。たとえば、IF関数と組み合わせることで、特定の条件を満たした場合にのみ処理を行うなど、柔軟なデータ処理が可能になります。このように、EXACT関数は単体でも強力ですが、他の関数との連携によってさらに多様な利用が実現できます。

EXACT関数で複数条件を指定する方法

EXACT関数を使って、複数の条件を確認することができます。この方法により、より柔軟にデータを比較することが可能になります。特に、異なる条件に基づいた一致を確認したい場合に非常に便利です。

複数条件を指定する方法

複数の条件を設定するためには、AND関数(すべての条件が満たされているかを確認する関数)やOR関数(どれか1つでも条件が満たされていればよいときに使う関数)と組み合わせて使うことが一般的です。これにより、複数のEXACT関数を使用して、異なるテキストの一致状況を一度に確認することができます。

たとえば、A1セルとB1セルの文字列が同一であり、さらにC1セルとD1セルも同様であるかどうかを確認したい場合、次のように記述します。

=AND(EXACT(A1, B1), EXACT(C1, D1))

この関数を使うことで、2つのテキストセット全体が同時に一致している場合のみTRUE (真)が返されます。

OR関数との組み合わせ

一方で、どちらか一方でも一致していれば良いという場合には、OR関数を利用すると効果的です。このようなケースでは、複数のEXACT関数をOR関数で繋げて使用します。

具体的には、次のように記述します。

=OR(EXACT(A1, B1), EXACT(C1, D1))

この場合、A1とB1が一致するか、C1とD1が一致するか、いずれかがTRUE (真)であれば全体としてTRUEが返されます。

複数条件を用いることで、データ分析や表計算の精度を高めることが可能になります。また、EXACT関数は大文字と小文字を区別して比較を行うため、必要に応じて文字列を一貫させる工夫(例えばUPPER関数やLOWER関数で文字をすべて大文字・小文字に揃える)も重要です。特にデータの出所(情報の元となる場所)が異なる場合はこの点に注意が必要です。

EXACT関数で2つの範囲を比較する方法

EXACT関数を使用することで、2つの範囲を1行ずつ対応させて比較することが可能です。この関数は、特に異なるデータソースを照合したり、データの整合性を確認したりする際に役立ちます。ここでは、具体的な手順を通じて、EXACT関数を利用した範囲の比較方法をご紹介します。

範囲を比較するための手順

EXACT関数を用いて2つの範囲を比較するための具体的な手順を以下に示します。

  1. 比較したい2つの範囲を特定します。例えば、範囲A1:A10とB1:B10があるとします。
  2. 空いているセルに、次のような数式を入力します。
    =EXACT(A1, B1)
  3. 数式を入力したセルを選択し、右下の小さな四角(フィルハンドル)をドラッグして下方向にコピーします(または、メニューから「編集」→「フィル」→「下方向へコピー」でも可能です。Macでも同様に操作できます)。この操作により、A1とB1を比較し、次にA2とB2を、そしてA3とB3を比較することができます。
  4. 各セルにTRUEまたはFALSEが表示されます。これによって、各対応するセルの内容が一致しているかどうかを確認できます。

注意点と応用例

範囲比較を行う際の注意点として、EXACT関数はアルファベットの大文字と小文字を区別して比較します。たとえば、「apple」と「Apple」は異なると見なされるため、両者が異なる結果を返します。この特性を生かすことで、特定のデータの整合性チェックやデータクリーニングの過程で有効に活用できます。

さらに、EXACT関数の結果を利用して、条件付き書式を適用することもできます。この機能を使えば、一致しているデータや不一致のデータを視覚的に把握することができるため、作業効率が向上します。

EXACT関数とイコールの違い

EXACT関数は文字列の比較に特化した関数であり、イコール(=)演算子とは異なる動作をします。この章では、EXACT関数とイコールの違いを詳しく説明します。

まず、EXACT関数の主な特徴は、大文字と小文字を区別して文字列を比較する点です。たとえば、「Apple」と「apple」は、EXACT関数を使用すると異なる文字列とみなされ、結果はFALSEとなります。このように、EXACT関数は厳密な比較が求められる場合に非常に役立ちます。

一方で、イコール演算子(=)を使用した場合は、大文字と小文字の違いを無視するため、同じ文字列として扱われます。したがって、「Apple」と「apple」は、イコール演算子を使えばTRUEと判断されることになります。この点が、EXACT関数とイコール演算子の大きな違いです。

具体的な例として、以下のような数式を考えます。

EXACT関数を使用した例:

=EXACT(“Apple”, “apple”) → 結果はFALSE

イコール演算子を使用した例:

=”Apple”=”apple” → 結果はTRUE

もう一つの重要な違いは、EXACT関数がNULL (データが存在しないことを示す値)や空白を含む文字列をどのように扱うかです。EXACT関数は、両方の引数が全く同じでなければFALSEを返しますが、イコール演算子はNULLや空白を許容する場合があります。そのため、比較の結果が異なるケースがあります。

このように、EXACT関数とイコール演算子はそれぞれ異なる特性を持っています。正確な文字列比較が求められるシーンではEXACT関数を、柔軟な比較が必要な場合はイコール演算子を使うことが適切です。どちらを使用するかは、目的に応じて選ぶことが重要です。

EXACT関数がうまくいかない場合

EXACT関数は、2つのテキストが同じかどうかを判定するための便利なツールですが、思わぬ理由で期待通りに動かないことがあります。この章では、EXACT関数がうまく機能しない主な原因について詳しく解説します。

まずEXACT関数は大文字小文字を区別するため、同じ内容でもキャピタリゼーション(大文字・小文字の組み合わせ)の違いによって、結果が異なることがあります。例えば、”apple”と”APPLE”は、EXACT関数を使用すると異なるものとして評価されます。大文字小文字を無視した比較が必要な場合には、他の関数を検討する必要があります。

次に、空白や不可視文字の存在も、正確な結果に影響を与える原因となります。テキストの前や後に余計な空白が含まれている場合、EXACT関数はそれを見逃さず、結果を「不一致」として返してしまいます。このような場合は、TRIM関数(余計な空白を削除する関数)を用いて余分な空白を除去することが推奨されます。

さらに、使用するデータのフォーマットにも注意が必要です。たとえば、日付や数値がテキスト形式で入力されている場合、意図した結果が得られないことがあります。特に数値を比較する場合、数値として直接入力されているかどうかを確認することが重要です。数字がテキスト形式である場合、EXACT関数は常に不一致と見なすため、確認作業が必要です。

加えて、計算式を含むセルを比較する際も、注意が必要です。計算式が返す結果とその結果をテキストとして比較する場合、結果が一致していないと判断されることがあります。このため、計算式の結果を固定の値として扱う必要がある場合には、VALUE関数(数値に変換する関数)などを併用することで対処できます。

このように、EXACT関数が正しく機能しない原因は様々ですが、問題を把握することで、適切な対策を講じることが可能です。これにより、データの精度を向上させ、より信頼性の高い分析が行えるようになります。

EXACT関数はGoogleスプレッドシートでも使える?

EXACT関数はGoogleスプレッドシートでも利用可能です。Google スプレッドシートにおいても、 完全一致の判定(文字列がまったく同じかどうか)の判定を行うために使用されます。

スプレッドシートでも同様にEXACT関数は、他の式や関数と組み合わせて使うことで、リスト内のデータの整合性を保つために欠かせない機能になっています。文字列が完全に一致しているかどうかを簡単にチェックできるため、データベースの管理や報告書の作成時にも非常に便利です。

スプレッドシートにおける利用例

スプレッドシートでEXACT関数を使う場面は実に多様です。例えば、データの重複チェックや、顧客データの登録時に入力ミスがないかを確認する際に非常に有効です。これにより、データベースの整合性を保つだけでなく、分析を行う際の信頼性も向上します。

また、IF関数(条件によって結果を変える関数)と組み合わせて使用することで、条件に応じた異なる出力を得ることも容易です。例えば、

=IF(EXACT(A1, A2), “一致しています”, “一致していません”)

のように記入することで、条件に応じたメッセージを表示できます。

このように、EXACT関数はGoogleスプレッドシートにおいても非常に実用的な機能であり、正確なデータ管理を実現するための貴重なアシスタントとなってくれます。

まとめ

EXACT関数は、データの正確な比較を行うための強力なツールです。特に、異なるデータセット間での一致や不一致を検証する際、その精度が大いに役立ちます。さらに、複数条件の指定や範囲の比較などの応用が可能で、業務効率の向上にも貢献します。ビジネスにおいては、データの整合性を保つことが重要であり、EXACT関数がその一助となります。正確なデータ処理を行うことで、より信頼性のある意思決定を行うことができるでしょう。


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