- 作成日 : 2025年5月7日
ペーパーレス会議システムとは?選ぶポイントやおすすめのシステムを紹介
会議のたびに大量の資料を印刷・配布する作業に、時間とコストがかかっていませんか?
ペーパーレス会議システムを導入すれば、紙の資料を使わずにデジタルデータで会議を進行できるため、資料準備の負担軽減や効率化が期待できます。
本記事では、ペーパーレス会議システムとは何かを基本から解説し、導入によるメリットや注意点、選び方のポイントを紹介します。
目次
ペーパーレス会議システムとは
ペーパーレス会議システムとは、会議資料をデジタル化し、パソコンやタブレット上で共有・閲覧できるようにする企業向けのシステムです。 紙の資料を使用せずに済むため、印刷や配布にかかる手間・コストを大幅に削減できます。 このシステムを使えば、参加者全員が自分のデバイスから同じ資料にアクセスでき、オンライン・オフラインいずれの会議形式にも対応可能です。
紙の資料に書き込みをしたり並べて比較したりする感覚を再現できる機能も備えており、紙媒体に慣れた方でも抵抗なく利用できるよう工夫されています。
なお、ペーパーレス会議システムは会議資料の共有だけでなく、会議の進行をサポートする便利な機能や資料の管理機能も搭載している点が特徴です。単にペーパーレス化するだけでなく、会議自体をスムーズに運営できる総合的なツールとして、多くの企業や自治体で活用が進んでいます。
ペーパーレス会議システムの主な機能
ペーパーレス会議システムには、会議の準備から実施、終了後のフォローまでを支援するさまざまな機能が搭載されています。
ここでは、代表的な機能を紹介します。
資料の共有・準備を効率化する機能
会議前の準備段階で役立つ機能が揃っています。
例えば、会議で使用する資料をシステム上にアップロードすれば、参加者は各自で最新の資料を入手できます。 わざわざ紙に印刷して配布する必要がなく、資料差し替えがあってもシステム内で簡単に更新通知を出せます。
また、会議の予定通知やリマインドをシステムから一斉送信できる機能もあり、日程変更や開催案内もスムーズです。
資料共有と事前準備に関わる手間を大幅に軽減できるのがペーパーレス会議システムの特徴です。
会議を円滑に進めるための機能
会議中の進行や参加者間のスムーズな情報共有をサポートする機能も充実しています。
例えば、発表者と参加者の画面を同期表示する機能により、発表者が資料をめくると参加者の画面も同じページに切り替わるため、全員が同じ内容を同時に把握できます。
逆に参加者が自分のペースで資料を閲覧できるモードを備えたシステムもあり、状況に応じて柔軟に使い分け可能です。
ホワイトボード機能(電子黒板)やテキストチャット機能を使えば、遠隔地からの参加者ともリアルタイムに意見交換ができます。 さらに、資料上に直接手書きでメモを書き込んだりマーキングしたりする注釈したりする機能もあり、紙と同様に書き込みながら議論を進めることができます。 投票・採決機能を備えたシステムなら、会議中にアンケートや意思決定の投票を実施し、その場ですぐ集計結果を共有することも可能です。
このような機能により、離れた場所にいる参加者とも一体感を持って議論でき、会議の質と効率を高めることができます。
セキュリティ・管理に関する機能
機密情報を扱う会議でも安心して利用できるよう、セキュリティや運用管理の機能も整っています。 アクセス権限の設定機能により、資料ごとや会議ごとに閲覧できるユーザーを制限したり、閲覧権限・編集権限を細かくコントロールしたりできます。例えば、社外ゲストには特定の資料のみ閲覧許可を与える、重要資料は会議終了後自動削除する、といった設定も可能です。
すべてのデータは暗号化されており、通信経路のセキュリティも強固に保護されています。 さらに、資料のダウンロード禁止や画面キャプチャの抑止など情報漏洩を防ぐための工夫も施されています。
管理者向けには、誰がいつ資料にアクセスしたかのログ確認や、ユーザーの追加・削除、会議スペースの作成といった運用管理機能も用意されています。
高度なセキュリティ機能と管理機能によって、デジタル化による情報漏洩リスクを最小限に抑え、安全にペーパーレス会議を実現できます。
ペーパーレス会議システムのメリット
ペーパーレス会議システムを導入すると、企業には次のようなメリットがあります。
資料準備にかかる時間・手間の大幅削減
紙資料の印刷・製本・配布が不要になります。資料はシステムにアップロードするだけで全参加者と共有できるため、準備時間が大幅に短縮され、担当者の負担も軽減されます。資料の差し替えもワンクリックで済むため、直前の修正にも迅速に対応可能です。
印刷コスト・紙資源の削減
紙やインクの消費が減るため、印刷費用を大幅に削減できます。また、資料保管のファイリング作業やシュレッダー処理にかかる手間・コストも省けます。紙資源の節約は環境への配慮(SDGsへの貢献)にもつながり、CSRの観点でもメリットが大きいでしょう。
会議運営の効率化
参加者全員が事前に資料を確認し、自分のデバイスで同じ資料を見ながら議論できるため、「資料が手元にない」「どのページを見ているかわからない」といった無駄がなくなります。会議の進行がスムーズになり、議論に集中できる時間が増えます。ホワイトボード機能や投票機能も活用すれば、意見集約や迅速な意思決定が可能です。
リモート参加・ハイブリッド会議への対応
紙資料を配布しなくて済むため、リモートワーカーや遠隔拠点からでも問題なく会議に参加できます。オンライン会議ツールと連携すれば、画面共有を通じてリアルタイムに資料を共有でき、離れた場所の参加者ともスムーズに議論できます。出張の移動時間や会議室手配にとらわれない柔軟な会議運営が可能です。
議事録作成・情報共有の簡易化
会議中に資料へ書き込んだメモや付箋情報はそのままデジタル保存されるため、議事録の作成が容易になります。会議の内容や決定事項をシステム上に記録・共有できるので、不参加メンバーへの情報共有もスムーズです。過去の会議資料や議論の記録も検索ですぐ参照でき、会議後のフォローや次回準備にも役立ちます。
セキュリティ強化とコンプライアンス向上
紙資料の場合、回収漏れや廃棄ミスによる情報漏洩リスクがありました。ペーパーレス会議では資料へのアクセス権限を制御でき、不要になれば確実に消去できるため、情報管理レベルが向上します。また、閲覧履歴がログに残るため、誰が資料を閲覧したか透明化され、不正利用の抑止にもつながります。
ペーパーレス会議システム導入時の注意点
便利なペーパーレス会議システムですが、導入・運用にあたって注意すべき点もあります。デメリットや課題を把握した上で、適切に対策しましょう。
初期コストがかかる
システム利用料やライセンス費、必要に応じてタブレット端末などの機器購入費が発生します。クラウド型なら月額費用、オンプレミス型ならサーバー導入費用などが必要です。ただし、紙代や印刷機維持費の削減効果と比較して費用対効果を検証することが大切です。
社内浸透までに教育が必要
新しいツールを使いこなすまで、利用者教育と慣れが必要です。ITに不慣れな社員が多い場合、最初は戸惑いや抵抗が予想されます。事前に研修を行う、段階的に導入するなど、スムーズに使い始めてもらうための工夫が求められます。
ネットワークトラブルの可能性がある
ネットワークや端末にトラブルがあると会議に支障をきたします。例えばWi-Fiが不安定だと資料表示が遅れる、端末の電池切れで途中離脱するといった恐れがあります。対策として、会議室の通信環境を整備する、バッテリー管理を徹底する、万一に備えて紙の資料を少部数用意しておく、といったバックアップ策が必要です。
情報漏洩リスクへの対策が必要
デジタルデータは便利な反面、扱い方によっては社外への流出リスクがあります。参加者がデータを不正に持ち出したり、端末紛失で第三者に閲覧されたりする恐れもあります。システムのセキュリティ機能(閲覧権限やダウンロード制限など)を適切に設定し、利用者にも情報管理ポリシーを徹底することが重要です。
ペーパーレス会議システムの選定ポイント
自社に最適なペーパーレス会議システムを選ぶ際には、以下のポイントに注目しましょう。
自社の会議ニーズに合致する機能が搭載されているか
自社の会議の形式や規模に適した機能を持つシステムを選ぶことが重要です。例えば、オンライン会議が多いならWeb会議ツール連携が充実したもの、役員会議で投票機能が必要なら採決機能を備えたもの、といったように求める機能を洗い出しましょう。必要な機能が過不足なく揃っているかをチェックします。
納得できるコスト・料金体系であるか
システムごとに料金モデル(買い切り型かサブスクリプション型か、ユーザー数課金か固定料金か)が異なります。自社の予算内で導入・運用できる製品を候補に挙げ、その中から費用対効果の高いものを比較検討しましょう。安価でも機能不足では意味がないため、価格と機能のバランスを見極めることが大切です。
ユーザーフレンドリーで使いやすいか
現場の利用者がストレスなく操作できる使いやすさも選定の重要ポイントです。画面のメニュー構成が分かりやすいか、直感的な操作が可能か、マニュアルなしでも基本的な操作ができるか、といった観点で確認しましょう。システムによっては初心者向けのシンプルモードを備えているものもあります。社内の誰もが使いこなせるかどうかをチェックしてください。
利用中のデバイス・OSに対応しているか
利用者が使用する端末やOSに対応しているかを必ず確認しましょう。Windowsパソコンだけでなく、iPadやAndroidタブレット、スマートフォンで閲覧できるかなど、マルチデバイス対応かをチェックします。役員はタブレット、一般社員はPCといったケースも多いため、主要なプラットフォームに幅広く対応している製品が安心です。オフライン環境でも閲覧可能か(事前に資料をダウンロードできるか)もポイントになります。
セキュリティ対策が充実しているか
会議資料に機密情報を含む場合も多いため、セキュリティ機能が充実しているかは重要です。データの暗号化やアクセス制限、操作ログの記録などが備わっているか確認しましょう。クラウド型の場合は提供事業者のセキュリティ基準(認証取得状況など)もチェックしておくと安心です。
おすすめのペーパーレス会議システム
代表的なペーパーレス会議システムを紹介します。各製品の特徴を把握し、自社のニーズに合うものを選ぶ際の参考にしてください。
Smart Session(日本インフォメーション株式会社)
Smart Session(スマートセッション)は日本インフォメーション株式会社が提供するペーパーレス会議システムです。直感的に操作できるシンプルな画面設計で誰でも使いやすい点が特徴です。国際規格のISMS認証を取得しており、セキュリティ面も強化されています。すべてのデータが暗号化され安全に保管されます。画面同期や手書きメモ、キーワード検索など会議を効率化する豊富な機能を備えつつ、シンプルモードへの切替も可能なため幅広い年代の社員が抵抗なく利用できます。小規模から大規模会議まで柔軟に対応でき、多くの企業で導入実績があります。
moreNOTE(富士ソフト株式会社)
moreNOTE(モアノート)は富士ソフト株式会社が提供するペーパーレス会議システムです。社内会議から役員会、商談まで様々なシーンで使える汎用性の高さが魅力です。PC、タブレット、スマートフォンなど多様なデバイスに対応しており、テレワークやWeb会議でも簡単に資料共有ができます。
社外ユーザーでも専用アプリ不要でブラウザから資料にアクセスできるため、取引先とのオンライン打ち合わせでも威力を発揮します。紙の資料のように手書きで書き込みができるほか、閲覧権限を細かく設定できるなど機能が充実しており、使い勝手とセキュリティを両立したシステムです。
ConforMeeting/e(日本電気株式会社)
ConforMeeting/e(コンフォミーティング・イー)は日本電気株式会社(NECグループ)が提供するペーパーレス会議システムです。大手企業の会議DXを支えてきた実績があり、会議準備から進行、フォローまで総合的に支援する豊富な機能を備えています。柔軟な権限設定により資料の不正アクセスを防ぎ、高度なセキュリティと安定性が評価されています。
発表者と参加者それぞれの画面をモニタリングできる機能や、一斉の画面同期・発言権管理など、大人数の会議でも秩序立てて進行できる工夫がされています。直感的なUIで操作しやすく、会議の意思決定スピードを高めることが可能です。
MetaMoJi Share(メタモジ・シェア)は株式会社MetaMoJiが提供する、リアルタイムコラボレーションに強みを持つペーパーレス会議システムです。紙の資料と同様の感覚で手書きメモや図形を書き込めるのはもちろん、複数人が同時に資料にアクセスしてリアルタイムに編集・共有することができます。会議中のホワイトボードへの書き込みや各参加者のメモを一つの議事録にまとめる機能があり、その場で議論内容を集約して記録に残せます。
PDFなどの資料をインポートして自由にページを挿入・編集できる柔軟性も備えており、ブレインストーミングを伴う会議やアイデア出しの場面で力を発揮するシステムです。
LiveOn Paperless (ジャパンメディアシステム株式会社)
LiveOn LiveOn Paperless は、Web会議システム「LiveOn」を展開するジャパンメディアシステム株式会社が提供するペーパーレス会議システムです。オンライン会議と資料共有を一体化できる点が特徴で、特にリモート会議を頻繁に行う企業に適しています。会議ごとに発行される専用のアクセスキーやパスコードを使って参加メンバーを限定でき、高度なセキュリティを確保します。
Web会議中にPDF資料を簡単に共有・表示できるため、遠隔地の参加者とも資料を見ながらディスカッションが可能です。
まとめ
ペーパーレス会議システムを導入すれば、資料のデジタル化によって会議の準備・進行・振り返りまで一貫して効率化できます。これまで会議のたびにかかっていた印刷コストや作業工数を削減することで、浮いた時間やリソースを他の業務に充てられるでしょう。
一口にペーパーレス会議システムと言っても、製品ごとに特徴や強みはさまざまです。気になる製品があれば資料請求やトライアルを利用し、操作感や社内での受け入れやすさを確認してみてください。
大切なのは、導入する自分たちだけでなく会議の参加者全員が使いやすいと感じられるかどうかです。
ペーパーレス会議システムを活用してよりスマートで生産的な会議運営を実現しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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