- 更新日 : 2025年2月19日
防災マニュアルを企業が作成するには?記載事項や便利なテンプレートも紹介
防災マニュアルは、企業活動を災害から守るために欠かせない文書です。地震や台風、火災などの自然災害だけでなく、停電やシステム障害といったリスクにも対応できる指針を設定しておくことで、従業員や企業そのものを守る役割を果たします。無料のテンプレートも活用しながら、いざというときに役に立つ防災マニュアルを作成しましょう。
当記事では、防災マニュアルの基本的な役割から作成時のポイントまで、分かりやすく解説します。
目次
企業に必要な防災マニュアルとは?
企業における防災マニュアルとは、災害や非常事態が発生した際に、迅速かつ適切な行動を取るための指針をまとめた文書です。従業員や関係者の安全を守り、企業活動への影響を最小限に抑える役割を担います。
地震、火災、台風などの自然災害や停電、システム障害といったリスクに備え、防災マニュアルを用意しておくと、適切な行動により被害を軽減できます。
防災マニュアルは従業員だけでなく、企業そのものを守るためにも必要不可欠です。災害後に迅速な復旧を行うための行動計画や、業務の継続を支える仕組みを明記しておくと、取引先や顧客への影響も最小限に抑えられます。また、リスク管理の徹底は、企業の信頼性や社会的責任を果たす姿勢を示すことにもつながります。
企業が安心して活動を続けるには、防災マニュアルを適切に整備し、全従業員に周知することが不可欠です。
BCPとの違い
BCP(事業継続計画)とは、地震や台風、システム障害などの非常事態が発生した際に、事業を継続させたり早期に復旧させたりするための計画を指します。企業活動を停止させないことを目的とし、重要な業務の優先順位や代替手段、復旧の手順を具体的に示します。
一方、防災マニュアルは、主に従業員の安全確保に重点を置いています。災害発生時の避難経路や緊急連絡網、備蓄品の管理など、従業員や関係者が生命を守るための具体的な行動を指示する内容が中心です。
BCPと防災マニュアルの違いは、目的と対象にあります。BCPは事業継続を、防災マニュアルは従業員を守ることに重点を置いています。これらは相互に補完し合う関係にあり、両方を適切に整備することで、企業は災害への備えをより万全なものにできます。
企業の防災マニュアルの無料テンプレート
抜け漏れのない防災マニュアルを作成するには、テンプレートが便利です。無料のテンプレートを使用することで、簡単に防災マニュアルを作成できるので、ぜひ活用してください。
企業用の防災マニュアルに記載する内容
防災マニュアルには、災害時に従業員の安全を守り、企業のリスクを軽減するための情報を抜け漏れなく記載する必要があります。ここでは、記載すべき主要な項目を解説するので、防災マニュアル作成時の参考にしてください。
災害時の組織体制・役割分担
災害発生時の混乱を防ぐには、組織内の役割分担を明確にすることが不可欠です。
指揮を執る災害対策本部の責任者を明確に定め、情報収集や従業員への指示、避難誘導を担当するメンバーを指定します。また、各部署での役割や責任を細かく設定し、事前に共有しておくことで、災害時のスムーズな対応が可能になります。
全員が自分の役割を正しく理解できるように、定期的な防災訓練を実施することも大切です。日頃から災害への対策を行い、いざというときに従業員の安全を確保できるようにしましょう。
情報収集の方法
災害時には、正確で迅速な情報収集が大切です。防災マニュアルには、信頼性の高い情報源を記載しておきましょう。たとえば、気象庁や自治体が発信する緊急情報や災害時に役立つ防災アプリは、マニュアルに記載しておくと便利です。
また、情報を集約する担当者や部署を決め、必要な情報を迅速に従業員全体に共有する体制を整えます。デマや誤情報の拡散を防ぐため、情報の確認手順や判断基準も明記しておくとよいでしょう。
緊急連絡網の作成
災害時に迅速かつ確実に従業員や関係者と連絡を取るためには、緊急連絡網の整備が必要不可欠です。連絡網には、従業員全員の連絡先情報を記載し、非常時に利用する連絡手段(電話、メール、チャットツールなど)を具体的に指定します。
緊急連絡網の情報は定期的に更新し、全従業員が最新の内容を確認できる体制を作っておきましょう。緊急時の対応訓練の中で連絡網の運用を確認し、不備があれば改善しながら、連絡手段の信頼性を高めます。
避難経路・避難方法
従業員の安全を確保するためには、避難経路と避難方法を記載することが大切です。建物内のエリアごとに最適な避難ルートを示し、非常口や避難場所の位置を図面で明示します。
また、避難時の行動指針として、火元の確認や周囲への声掛け、持ち出すべき必要最低限の物品についても具体的に記載しましょう。避難方法は、地震や火災など災害の種類ごとに異なるので、従業員が状況に応じた適切な行動を取れるよう記載しておくことも大切です。マニュアルに沿って、定期的な避難訓練も実施しましょう。
備蓄品のチェックリスト
企業で必要な備蓄品をリスト化して管理しておくと、災害時のリスク軽減につながります。飲料水や非常食、応急手当用品、毛布、ヘルメット、懐中電灯、携帯電話の充電器など、必要な物資を具体的に記載し、それぞれの保管場所をマニュアルに記載します。
消費期限や定期的な補充・更新のスケジュールも合わせて記載しておくと、備蓄品の不備を防げます。同時に、備蓄品の点検や補充を定期的に行う仕組みも導入しましょう。
企業の防災マニュアルを作成する際のポイント
企業の災害対応能力を向上させ、従業員の安全と事業継続を強化するためには、防災マニュアルを作成する際にいくつかの点に注意する必要があります。下記の点を意識しながら、企業の防災マニュアルを効果的に作成しましょう。
あらゆる被害を想定しておく
防災マニュアルを作成する際には、特定の災害に偏ることなく、あらゆる被害を想定する必要があります。地震だけでなく、台風、火災、洪水、津波、さらには停電やシステム障害といったリスクも考慮しましょう。
また、企業の所在地や業種ごとのリスク特性を考慮し、特に注意が必要な災害を優先して対策することも求められます。幅広い災害を想定しておくと、企業の防災体制がより実践的で信頼性の高いものになります。
5W2Hを意識する
防災マニュアルを分かりやすく実践的なものにするには、5W2Hの要素を取り入れることが有効です。災害マニュアルで大切な5W2Hは下記の通りです。
Who(誰が) | 対応する責任者や従業員の役割 |
---|---|
What(何を) | 災害時に行うべき具体的な行動 |
When(いつ) | 各行動を行うタイミングや優先順位 |
Where(どこで) | 避難場所や備蓄品の保管場所 |
Why(なぜ) | それぞれの行動の目的や意図 |
How(どうやって) | 具体的な手順や方法 |
How much(どの程度) | 備蓄品の数量や行動の範囲 |
これらを明確に記載することで、誰が読んでも理解しやすく、非常時に迷わず行動できる防災マニュアルが完成します。
定期的に内容を見直す
防災マニュアルは、一度作成したら終わりではなく、定期的に内容を見直すことが重要です。防災マニュアルをもとにした避難訓練を実施し、その中で指摘された問題点や改善点を反映させることで、実践に即した内容にアップデートできます。また、従業員の入社や退職、部署の変更に応じて緊急連絡網や役割分担を更新する必要もあります。
災害に関する法規制は改正されることもあるので、最新情報を取り入れながら時代に即したマニュアルを維持することも大切です。継続的な見直しを行い、防災マニュアルの効果が最大限に発揮されるように維持しましょう。
防災マニュアルで万が一の備えを
企業にとって防災マニュアルの整備は、従業員の安全確保と事業継続の両面で欠かせない取り組みです。防災マニュアルは、災害発生時に迅速で適切な対応を行うための指針として機能し、被害を最小限に抑える助けとなります。
防災マニュアルは継続的に見直し、訓練を通じて実効性を高めることも重要です。従業員や顧客の信頼を守り、社会的責任を果たす企業であり続けるために、防災マニュアルを充実させておきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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