- 更新日 : 2025年3月3日
1on1ツールとは?選ぶポイントやおすすめのツールを紹介
従業員の成長を支援し、会社への定着を促進するには、1on1ミーティングの実施が有効とされています。従業員から課題をヒアリングする取り組みが重要視される一方、非効率的で現場に負荷がかかるほか、対話の質が低いという悩みを抱えているのではないでしょうか。
そこで本記事では、対話を支援する1on1ツールについてご紹介します。1on1の質を高め、ヒアリングした内容を有効活用したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1on1ツールとは
1on1ツールとは、上司と部下、メンターとメンティーが1対1で行う対話を支援する人事領域のツールです。
近年、成長を促す1on1ミーティングの重要性が高まっている一方で、継続的に取り組む必要があるために、日常のコア業務を圧迫する可能性があります。さらに傾聴する力や適切に質問するスキルが上司に求められることから、事前準備などを支援するツールへのニーズが高まっているのです。
1on1ツールの利用によって、1対1の対話とフィードバックをより効果的に実施できるようになるために、今後も導入が進んでいくと考えられます。
1on1の重要性
もともと1on1ミーティングは、部下のパフォーマンスの向上など成長やキャリア形成を支援するマネジメント手法の1つです。一般的に、部下の課題や悩みを上司と共有する場として、1on1ミーティングは実施されています。
特に変化が激しく、将来の見通しや予測が難しい近年では、部下の帰属意識を育みながら優秀な人材の離職を防止する手法として、1on1は注目されているのです。さらにデータ活用の観点から、1対1の対話記録を情報資産としてマネジメントや組織的課題の解決に活かすという考え方も台頭しています。
また働き方が多様化したことで、リモート環境で働く部下とのコミュニケーション不足を解消する必要があることも、1on1ミーティングの重要性が増している理由の1つです。
主な1on1ツールの機能
ここでは、1on1ツールに搭載されている主な機能を5つご紹介します。
目標や数値の管理機能
1on1ツールを介して、目標に関する達成率やそのプロセスの定量的・定性的なデータを蓄積し、管理できる機能です。コミュニケーションを強化して、目標達成やキャリア形成を支援しながら従業員を育成したい方は、目標や数値の管理機能が充実している1on1ツールをチェックしてみてください。
ログ保存機能
対話のログ保存機能は、1on1ツールの必須機能です。メールや口頭での報告など1on1ミーティングのログが分散していると、上司は集めた情報を必要なときに見返すことができません。人材育成・フォローや組織の課題解決に向けて1on1を活用するためにも、一元管理による実施状況の把握や過去ログの振り返りは非常に重要です。
スケジューリング機能
手作業による1on1ミーティングのスケジューリングは非効率的で、上司にかかる負荷が大きくなります。1on1ツールのスケジューリング機能を活用すれば、希望時間の表示、定期開催の設定や会議室の予約なども簡単にできるので、日程調整にまつわる手間を大幅に削減可能です。
外部ツールとの連携機能
日常の業務で使用している外部ツールとの連携機能が充実していれば、データ連携が可能になるために、さらなる業務効率化を期待できます。たとえば、SlackやTeamsへの通知、Googleカレンダーへの予定の追加などです。人材評価ツールやタレントマネジメントシステムとのデータ連携機能が搭載されている1on1ツールもあります。
アンケート機能
1on1ミーティングを効果的に進めるためには、事前準備が欠かせません。アンケート機能は、部下が気になっていることや考えていることを上司に対して事前に共有する機能です。トピックの事前提出機能や、話したいトピックとともに上司に期待する対応を事前に選ぶ機能などがあります。
1on1ツールの導入がおすすめなケース
上司が多くの部下を抱えており、1on1の実施が日常のコア業務を圧迫している場合、スケジュール管理やアジェンダの設定を支援する1on1ツールの導入がおすすめです。
部下が主体・主役のはずの1on1ミーティングにおいて、上司が聴く側に回れていない、あるいは雑談に終始してしまうと、1on1の効果を発揮できません。そこで部下がトピックを提出できる機能などで事前準備を支援し、対話の質を高められる1on1ツールの導入を検討しましょう。
また1on1ミーティングのログが社内で1か所に蓄積されておらず、現場の声を把握しにくい企業にもツールの導入がおすすめです。現場の声を活かせず課題の解決が後手に回っている企業や、人材育成・評価につなげられていない企業は1on1ツールの導入を検討しましょう。
1on1ツールを導入するメリット・注意点
ここでは、1on1ツールの導入によって企業や従業員にどのようなメリットをもたらすのか見ていきましょう。1on1ツールを導入する際の注意点についても、あわせて解説します。
メリット
ツールの利用によって1on1ミーティングのログから現場の一次情報を得られるので、口頭による伝達と比べて正確に対話の内容を把握できます。現場に潜む課題を早期に発見することで、優秀な人材が流出する前に人員配置の見直しなどの対応策を打てるようになるでしょう。
1on1ミーティングでの対話の内容はセンシティブな情報が含まれているため、完全に公開すると従業員のプライバシーを侵害してしまいます。ツールを利用すれば、しかるべき人にのみ情報共有するよう設定できるので、手作業よりも効率的かつ正確に公開範囲を設定可能です。
また事前準備や実施後の処理の支援など、1on1ミーティングの品質を保つ工夫が施されており、上司の資質、スキル、経験値を問わず、ツールの利用によって対話の質を保てます。
さらにスケジューリングを支援するツールなら1on1の日程調整が簡単になり、フォーマットを提供するツールであれば面談シートを標準化できるので業務効率化も可能です。
注意点
1on1ツールを導入する際には、ヒアリングした情報をどのように活用していくのか、その運用方針について事前に周知を図るようにしましょう。話した内容が他のメンバーに筒抜けになったり、知らないうちに評価につながったりするようであれば、部下は不安や不満を感じるようになるかもしれません。
1on1ミーティングを通じて上司と部下が信頼関係を築くためには、安心して発言できる心理的安全性を醸成することが重要です。
また上司についても、1on1ツールの利用をポジティブに捉えられるような配慮が必要です。「面談記録の作成は5分程度で入力できる範囲でOK」といった目安を伝えておくことで、ツール利用時の心理的なハードルを下げられます。
1on1ツールを選ぶポイント
1on1ツールを選ぶ際には、対話の質を高める機能のほか、実施頻度を保つための機能が搭載されているか確認しましょう。ここでは、1on1ツールを選ぶポイント5つをご紹介します。
テンプレートやトピックの充実により、事前準備を効率化できる
1on1ミーティングをうまく機能させるためには、「適切なトピックを見つける作業の負荷が高い」「緊張をほぐすための雑談に時間がかかりすぎる」といった課題を解決する必要があります。
短時間で効果的な対話を実現するコツは、効率化された事前準備です。たとえば部下が話したいトピックを事前に提出できる機能や、質問や進行フローが決められた会話テンプレートが搭載されていれば、トピック選びやスキル不足の悩みを解決できるでしょう。
ログ機能で、1on1後の処理や共有を簡易化できる
1on1ミーティングの履歴や内容を保存・蓄積できるログ機能は、フィードバックなどに役立つ重要な機能です。面談の目的ごとに入力フォームを用意できれば、抜け漏れなくヒアリングし、面談記録を保存できます。場合によっては生成AIによる要約の作成や、自動文字起こし機能が必要なケースもあるでしょう。
1on1のログごとにアクセス権限を設定できれば、必要に応じて人事部や上位役職者などと速やかに情報を共有可能です。第三者へのメモの共有や引き継ぎが容易にできる1on1ツールもあるのでチェックしてみてください。
人事制度や既存の管理システムと連携できる
1on1ツールの中には「カスタム評価」機能があり、あらゆる人事評価制度にマッチした評価項目を作成できるものがあります。人事評価ツールと連携できる1on1ツールもあるのでチェックしてみてください。
またデータを活用したタレントマネジメントシステムをすでに利用している場合、1on1ミーティングのログデータと連携することで、より細やかに人材育成を支援できるようになるでしょう。
自社の予算に見合っている
1on1ツールの多くは、公式サイトで利用料金が明示されていません。そのため気になる1on1ツールを見つけたら、運営会社に見積もりを依頼して費用感を把握することになります。問い合わせの際には、ツールによって1on1を定着させられるかどうか試すために、少人数によるスモールスタートが可能か確認するようにしましょう。
クラウド型のサービスは、継続的にコストが発生する点に留意が必要です。初期費用やサポート費用が発生したり、最低利用ユーザー数が決められていたり、必要なストレージ容量によっては料金が高くなったりすることがあります。1on1ツールにかかるコストが自社の予算に見合っているかどうか、導入前によく確認しておくことが重要です。
サポート体制が充実している
導入前はもちろん、導入後のサポート体制が充実している1on1ツールを選ぶようにしましょう。1on1ツールを活用する際に、それぞれの企業が抱える課題に合ったサポートを提供してくれるツールがおすすめです。1on1ツールの導入支援や研修の実施とあわせて、人事施策の支援を受けられる場合もあります。
おすすめの1on1ツール
ここでは、おすすめの1on1ツールを5つご紹介します。
TeamUp
TeamUpは、1on1の対話とフィードバックを社内に定着させるためのツールです。部署ごとに1on1実施状況を見える化し、一人ひとりの状態を人事や経営者も含めて把握することで、従業員を全社的にフォローし育成することを目指しています。シンプルなUIなので、誰でもわかりやすく、使いやすいツールです。
事前準備の効率化 |
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1on1後の処理や共有 |
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連携 |
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料金 | 要問い合わせ
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サポート |
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無料トライアル |
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出典:TeamUpの機能|TeamUp
Co:TEAM
Co:TEAM(コチーム)は、米国発の「パフォーマンスマネジメント」の実現を目指して開発された1on1ツールです。1on1に目標運用と人事評価を掛け合わせ、1か所に集約した面談データ、目標データ、人事データを活用することで、高精度な人事評価につなげることを目指しています。そのためマネジメントアクションの管理や実行を支援する機能が中心です。
高頻度なフィードバックによって個人のパフォーマンスを向上させるほか、一元管理しているデータを分析し、施策を検討することで組織の課題の解決にも活かせるでしょう。
事前準備の効率化 |
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1on1後の処理や共有 |
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連携 |
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料金 | 要問い合わせ
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サポート |
「アカウント開設などの初期準備」「評価情報の登録支援」「社内向け説明会」をツール利用料金に含む |
無料トライアル | あり、要問い合わせ |
出典:料金プラン|コチーム
タレントパレット
タレントパレットは、データ活用を駆使して人材の見える化や発掘・育成、組織の見える化など科学的人事戦略を実現するタレントマネジメントシステムです。1on1ミーティング機能を拡充しており、タレントパレットのモチベーションデータやスキル・経歴データとの掛け合わせで、従業員のエンゲージメントや定着率の向上を目指しています。
事前準備の効率化 |
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1on1後の処理や共有 |
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連携 |
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料金 | 要問い合わせ
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サポート |
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無料トライアル | – |
出典:料金プラン|タレントパレット
Kakeai
Kakeai(カケアイ)は、テクノロジー・UX・特許をベースに、属人的になりがちな対話を変え、マネジメントの進化を目指す1on1ツールです。1on1特有の問題を解決するソリューションとして、世界のHRtechサービスTOP30に選ばれるなど高い評価を受けています。
スムーズで部下にとって意義のある1on1の実施はもちろん、データやAIからヒントを得た改善方法を実践することで組織の成長にもつなげられるツールです。
事前準備の効率化 |
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1on1後の処理や共有 |
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連携 |
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料金 | 要問い合わせ
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サポート |
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無料トライアル | – |
出典:Kakeai(カケアイ)
シナジーHR 面談
シナジーHR 面談は、「面談記録を社内資源に」を掲げてあらゆる社内の面談を見える化し、従業員の育成を支援する1on1ツールです。1on1ミーティングのログは従業員ごとに蓄積されるので、個人の気持ちの変化などを詳しく把握できます。
標準化された入力フォームに従って1on1ミーティングを進められるので、抜けや漏れなくヒアリングが可能です。ログを一元管理できるので、関係者へのログの共有も簡単に行えます。
事前準備の効率化 |
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1on1後の処理や共有 |
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連携 |
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料金 |
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サポート |
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無料トライアル |
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出典:機能|シナジーHR 面談
ツールを利用し、1on1の定着を図ろう
1on1は、従業員を個別に支援するマネジメント手法として注目されています。1on1を定期的に実施するためには、上司にとって負担のない事前準備はもちろん、部下にとって手応えのあるミーティングであることが大前提です。
自社の実情に適したツールを選んで1on1を定着させ、従業員の育成・フォローや組織の課題解決に役立てましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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