贈与税を非課税にできる制度「住宅取得等資金の贈与の特例」を有効活用しよう

読了まで約 6

「住宅取得等資金の贈与の特例」は一定の要件を満たすことで住宅取得等資金の贈与税の一定額を非課税にできる制度です。

これをうまく利用すると贈与税の大幅な節約ができます。ここではこの制度がどのようなものなのかを解説するとともに、非課税にするための要件や非課税にできる限度額についても解説します。

贈与税を非課税にする「住宅取得等資金の贈与の特例」とはどんな制度か?

「住宅取得等資金の贈与の特例」は平成27年1月1日から平成33年12月31日までの期間に、父母や祖父母などの直系尊属から子や孫などへ贈与された住宅取得等資金について、一定額を非課税にするという制度です。

この場合の住宅取得等資金を贈与する側を「贈与者」、贈与される側を「受贈者」と呼びます。

住宅取得等資金とは子や孫が自分で住むための家屋の新築、取得、増改築等に使う目的のお金です。そのため賃貸物件として第三者に貸し出す目的で住宅を取得した場合などは住宅取得等資金には含まれません。

「住宅取得等資金の贈与の特例」における要件

贈与税を非課税にするための受贈者の要件

住宅取得等資金の贈与の特例を利用して贈与税を非課税にするためには、まず受贈者が要件を満たしていなければなりません。その要件は以下の9点です。

1.贈与を受けたときに日本国内に住所がある。
2.贈与を受けたときに贈与者の直系卑属(子や孫など)である。
3.贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上である。
4.贈与を受けた年の合計所得金額が2000万円以下である。
5.贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を自分で住むための家屋の新築、取得、増改築等に使う。
6.贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に住むか、3月15日以後速やかに住み始めることが確実であると見込まれる。
7.受贈者の配偶者や親族などの一定の特別な関係にある人から家屋を取得していない。
8.受贈者の配偶者や親族などの一定の特別な関係にある人との請負契約により新築もしくは増改築等したものではない。
9.平成26年分以前の年分において、旧非課税制度の適用を受けたことがない。
※旧非課税制度とは平成27年度の改正前の「住宅取得等資金の贈与税の非課税」を指します。

なお1については贈与を受けたときに日本国内に住所がなくても、
(1)受贈者が日本国籍を持っており、かつ、贈与者か受贈者のいずれかが贈与前5年以内に日本国内に住所を有していたこと
(2)贈与者が日本国内に住所を有いていたこと
が証明できれば、要件を満たしているとみなされます。

贈与税を非課税にするための家屋の新築、取得、増改築等の要件

次に家屋の新築、取得、増改築等の要件について見ておきましょう。

新築または取得した場合の要件
1.その家屋の登記簿上の床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下である。かつその床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住用に使われる。
2.家屋がつぎのいずれかに該当する
(1)新築家屋
(2)使用されたことのある家屋で、その取得の日20年以内に建築されている(耐火建築物であれば25年以内)
(3)使用されたことのある家屋で「耐震基準適合証明書」等により耐震基準を満たすことが証明できる
(4)(2)、(3)に該当しない、使用されたことのある家屋で取得までに耐震改修を行うことができ、贈与の申告期限までに耐震基準を満たすことを証明できる

増改築等をした場合の要件
1.増改築後の家屋の登記簿上の床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下である。かつその床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住用に使われる。
2.増改築等の工事が、自己が所有・居住している家屋について行われたものであり、増改築等に該当する工事を行っている。
3、増改築等工事証明書など、一定の証明書がある

これらの要件を満たしたうえで、贈与税の申告期間内に必要書類を提出した場合にのみ、住宅取得等資金の贈与の特例の適用を受けることができます。

「住宅取得等資金の贈与の特例」の限度額は?

贈与税の非課税限度額は取得時期によって変動する

住宅取得等資金の贈与の特例で非課税にできる金額には限りがあります。この金額を「非課税限度額」と呼びます。

住宅取得等資金の贈与の特例の非課税限度額は「省エネ等住宅」と「それ以外の住宅」で大きく異なり、家屋の新築、取得、増改築等の対価に含まれる消費税が10%か、それ以外かでも変動します。また家屋の新築、取得、増改築等の契約締結日によっても変動するため、事前に確認が必要です。

表1(家屋の新築、取得、増改築等の対価に含まれる消費税が10%以外)

契約締結日/家屋の種類良質な住宅用家屋それ以外の住宅
平成28年1月1日から平成32年3月31日まで1200万円700万円
平成32年4月1日から平成33年3月31日まで1000万円500万円
平成33年4月1日から平成33年12月31日まで800万円300万円

表2(家屋の新築、取得、増改築等の対価に含まれる消費税が10%)

契約締結日/家屋の種類良質な住宅用家屋それ以外の住宅
平成31年4月1日から平成32年3月31日まで3000万円2500万円
平成32年4月1日から平成33年3月31日まで1500万円1000万円
平成33年4月1日から平成33年12月31日まで1200万円700万円

(出典:「住宅取得等資金の贈与税の非課税」のあらまし

平成28年9月以前に表1の非課税限度額の適用を受けたものは、再度表2の非課税限度額の適用を受けることは可能です。

「省エネ等住宅」とは?

住宅取得等資金の贈与の特例における「省エネ等住宅」は、以下のいずれかの要件を満たす家屋を指します。

1 省エネルギー性の高い住宅(断熱等性能要求4又は一次エネルギー消費量等級4)
2 耐震性の高い住宅(耐震等級2以上又は免震建築物)
3 バリアフリー性の高い住宅(高齢者等配慮等対策等級3以上)

省エネ等住宅として住宅取得等資金の贈与の特例の適用を受けるためには、贈与税の申告書に次のいずれかの書類を添付し、その事実を証明しなくてはなりません。

1.住宅性能証明書
2.建設住宅性能評価書の写し
3.長期優良住宅建築等計画の認定通知書等の写しおよび住宅用家屋証明書(その写し)または認定長期優良住宅建築証明書
4.低炭素建築物新築等計画認定通知書等の写しおよび住宅用家屋証明書(その写し)または認定低炭素住宅建築証明書

これらの証明書などの発行については、国土交通省か地方整備局に問い合わせれば説明してもらえます。なお建築後使用されたことのある家屋の場合、取得の前後2年以内に各種証明のための調査を終えているか評価されたものに限られます。

まとめ

住宅取得等資金の贈与の特例の適用を受けるためには、受贈者と家屋の新築、取得、増改築等の要件を確実に満たす必要があります。

また「省エネ等住宅」か否かや契約締結日によっては非課税限度額も大幅に変わります。事前にしっかりと確認して、有効活用しましょう。

関連記事
贈与税の税率は何%?暦年課税と相続時精算課税の違いを解説
贈与税の申告書の書き方をわかりやすく解説
贈与税の税率の活用による節税方法まとめ

監修:緒方 康人 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
創業は70年を超え、税務・会計はもちろんのこと経営コンサルティングや法務、労務、ITにいたるまで、多岐にわたる事業を展開し今では4500件を超えるお客様と関与させて頂いております。
「顧問先さまと共に繁栄するゆびすいグループ」をモットーとして、お客さまの繁栄があってこそ、ゆびすいの繁栄があることを肝に銘じお客さまのために最善を尽くします。
お客様第一主義に徹し、グループネットワークを活用することにより、時代の変化に即応した新たなサービスを創造し、お客様にご満足をご提供します。



【おすすめ】確定申告でお困りの方へ

マネーフォワード クラウド確定申告なら

  • 面倒な作業はすべて自動化
  • 万全のサポート体制で未経験者でも安心!
  • 月額800円ですべての機能を使い放題!
マネーフォワード クラウド確定申告を無料で試してみる

「マネーフォワード クラウド」シリーズのサービス資料