- 作成日 : 2025年1月14日
攻めの経営を促す役員報酬のインセンティブプランについて解説
現代のビジネス環境は変化のスピードが加速し、企業に「攻めの経営」が求められています。
単なるコスト削減や効率化では競争に打ち勝つことは困難で、中長期の企業価値向上を見据えて、役員報酬のインセンティブプランを策定する必要があるでしょう。
そこで本記事では、コーポレートガバナンス・コードにおける「攻めの経営」の位置づけやインセンティブプランの種類などを解説します。
目次
なぜ「攻めの経営」に役員報酬のインセンティブプランが必要か
「攻めの経営」には、企業が市場で競争優位を築き、持続的に成長するための積極的な戦略が求められます。
これを実現するためには、経営陣がリスクを取って積極的に新たなチャレンジに取り組むことが不可欠です。
しかし、このような経営方針を実行するためには、役員のモチベーションと行動が重要な要素となります。そこで、役員報酬のインセンティブプランが重要となるのです。
日本企業の役員報酬制度は、従来、固定給中心であることが多く、業績に連動する報酬体系が十分に整っていない場合があります。
このような制度では、経営陣がリスクを取った戦略的決定を行う動機づけが不十分となることがあるため、経営陣が「攻めの経営」を推進するためには、業績や企業価値の向上と連動したインセンティブプランが必要です。
現状維持の打破と成長戦略促進のためのインセンティブ
従来型の固定報酬中心の役員報酬制度では、経営陣がリスクを取って新たな挑戦をする動機付けが不十分であるため、企業の成長戦略を推進するには限界があります。
このような状況では、役員が短期的な安定を重視し、長期的な成長を犠牲にすることが少なくありません。
業績連動型インセンティブ報酬は、経営陣が企業の成長戦略を実行に移すための手段となります。
これにより、経営陣は単に短期的な利益追求に留まることなく、企業全体の成長に焦点を当て、イノベーションや新規事業の立ち上げ、マーケットの拡大に対して積極的に関与することが期待されるでしょう。
社員と経営陣のベクトルを揃える重要性
「攻めの経営」を実現するためには、企業の成長に向けて社員と経営陣が同じ方向を向き、共通の目標に向かって一丸となって取り組むことが大切です。
経営陣が企業価値の向上を追求する一方で、社員もまた自分たちの努力が企業全体の成功に直結していると感じることがモチベーションの源泉になります。
株主との利害関係が一致することで、企業の方向性が明確化され、その目標に向かって経営陣と社員が協力し合う環境が整います。
役員報酬のインセンティブプランを業績連動型で設計することにより、経営陣は企業のパフォーマンスを最大化するための具体的な行動を取ることができ、社内の環境を見直すきっかけにもなるでしょう。
「攻めの経営」を阻害する要因とその解決策
固定報酬比率が高く、インセンティブ報酬比率が低いという状況は、経営陣の意欲を十分に引き出すことができず、結果的に「攻めの経営」を阻害する要因となります。
固定報酬の割合が過剰に高いと、経営陣は安定した報酬を確保しているため、企業の成長や業績向上に向けたリスクを取るインセンティブが薄れ、保守的な姿勢を取る傾向が強くなります。
このような状況では、企業が攻めの姿勢を取ることが難しく、革新的な戦略や新規事業の立ち上げが後回しにされることがあるのです。
業績連動型のインセンティブ報酬を導入することで、経営陣は企業の成長に対して直接的な関心を持ち、短期的な利益のみならず、長期的な企業価値の向上に貢献するようになります。
このような報酬体系では、企業の業績が向上すれば、経営陣にも相応の報酬が支払われるため、成長を目指すモチベーションが高まり、積極的な経営戦略が取られるようになるでしょう。
導入前に知っておきたいインセンティブプランの種類
インセンティブ報酬制度は、企業の目標と連動した報酬が提供される仕組みです。
報酬は、従業員個人の成果だけでなく、チームや組織全体の成果に基づくことも多く、業績評価の透明性を高め、目標達成に向けた意欲を引き出します。
短期インセンティブと長期インセンティブの違い
インセンティブプランには、短期インセンティブと長期インセンティブがあります。それぞれ報酬支給のタイミングによる分類や効果などが異なります。
主な違いは、以下の通りです。
項目 | 短期インセンティブ | 長期インセンティブ |
期間 | 単年度 | 複数年 |
目的 | 年度目標達成 | 企業価値向上 |
形態 | 主に現金報酬 | 主に株式報酬 |
株式報酬制度とは|種類とメリット・デメリット
株式報酬制度は、企業の経営陣や従業員に対して報酬の一部を自社の株式で支給する仕組みです。
報酬の受け取り手が企業の株主として、企業の成長に直接的な関心を持ち、長期的な視点で経営に取り組むよう促すことができます。
特に企業の長期的な成長を目指す場合に有効的で、経営陣や従業員が株主として企業の成功に直結した利益を享受できるため、業績向上のための動機付けが強化されます。
ストックオプション
ストックオプションは、企業が従業員や経営陣に対し、一定条件で自社株を購入できる権利を付与する制度です。ストックオプションの中でよく使われるのは、税制適格ストックオプションと1円ストックオプションの2種類あります。
税制適格ストックオプションは、日本の税制において一定の要件を満たしたストックオプションであり、税制上の優遇措置が受けられる点が特徴です。この制度では、オプションを行使して株式を取得した段階では課税されず、その後の株式売却時に譲渡益課税が適用されます。
一方、1円ストックオプションは、権利行使価格を極端に低く設定したストックオプションで、主にスタートアップ企業や成長初期の企業で用いられることが多い制度です。
このタイプのストックオプションでは、対象者が実質的に1円で株式を取得できるため、権利行使に伴う経済的負担がほぼありません。
リストリクテッドストック(譲渡制限付株式)
リストリクテッドストック(譲渡制限付株式報酬制度)は、企業が従業員や役員に付与する株式に一定の譲渡制限を設け、条件を満たした場合にのみその制限が解除される報酬制度です。企業が従業員や役員に対して一定数の株式を無償または低額で付与する仕組みです。
しかし、譲渡や売却は制限され、付与条件や業績目標の達成、一定期間の勤続などの要件が満たされた場合にのみ譲渡制限が解除されます。制限期間中に条件が満たされなければ、株式は没収されることもあります。
企業価値向上のためには、経営陣や従業員が株主の利益と一致した目標を持つことが求められるようになり、特に役員報酬については短期的な成果ではなく、長期的な成長に対する貢献を評価する報酬制度が重視されます。
そのため、近年導入が増加しているのです。
パフォーマンスシェア
パフォーマンスシェアとは、企業の業績目標の達成度に応じて役員や従業員に株式を付与する仕組みです。
単なる固定報酬や譲渡制限付株式(リストリクテッドストック)とは異なり、業績に基づいて報酬額が変動するため、経営陣の成果をより直接的に反映させる特徴を持っています。
具体的には、事前に設定した業績指標(例:売上高、営業利益、株主価値指標など)に対する達成度を基準に、付与される株式の数量や価値が変動します。
これにより、受益者は企業の中長期的な業績向上を強く意識した行動を取るよう促されるのです。
現金報酬との組み合わせ
現金報酬は、短期的な業績や達成目標に対する直接的な報酬として機能する一方、株式報酬は中長期的な企業価値向上への貢献を促す役割を果たします。
この両者を適切に組み合わせることで、短期的な動機付けと長期的な視点のバランスを取ることが可能です。
金銭報酬と株式報酬のベストミックスを設計する際には、まず業界特性や企業の戦略目標を踏まえた報酬比率の設定が重要です。たとえば、変化の激しい業界では短期的な業績向上が求められるため、金銭報酬の比率を高めることが適切かもしれません。
一方で、安定成長を目指す企業では、株式報酬を重視することで長期的なインセンティブを提供できます。
攻めの経営を促すインセンティブプラン設計のポイント
攻めの経営を促すインセンティブプラン設計の方法は、主に以下の通りです。
- 経営戦略との連動
- 公正で透明性の高い評価制度の構築
- モチベーション向上に繋がる適切な報酬水準
- 企業文化・成長ステージに合わせた設計
経営戦略との連動:KPI設定の重要性
業績評価指標を選定する際には、経営戦略との整合性を確保することが重要です。
企業が長期的な成長を目指す場合は、売上や利益の短期的な増加だけでなく、市場シェアの拡大、新規顧客獲得、または研究開発投資の成果といった長期的な視点からの指標を含めることが効果的です。
具体的には、下記のようにKPIを設定し、評価指標などを決めていきます。
KPIの種類 | 評価指標例 | 適する企業の特徴 |
財務KPI | ROE、EBITDA | 収益性重視 |
非財務KPI | ESG、顧客満足度 | 持続的成長重視 |
公正で透明性の高い評価制度の構築
攻めの経営を促すインセンティブプランを効果的に機能させるためには、公正で透明性の高い評価制度の構築が不可欠です。
特に評価が曖昧な場合、インセンティブプランの信頼性が損なわれるだけでなく、従業員や経営陣のモチベーション低下にもつながる恐れがあります。さらに報酬委員会を設置することで、インセンティブプランの設計および運用が客観性を持つようになります。
報酬委員会には、社外取締役や独立した専門家を含めることで、中立的かつ透明性の高い意思決定が可能です。この委員会が担う役割としては、評価基準の策定や報酬水準の適正性の確認、評価結果の最終承認などが挙げられます。
報酬制度が企業全体の利益や戦略目標に一致しているか、第三者の視点からチェックする仕組みが整うでしょう。
モチベーション向上に繋がる適切な報酬水準
業界平均や企業規模を考慮した報酬水準の設定も大切です。報酬水準を適切に設定するためには、業界全体の動向を詳細に分析することが必要です。
同業他社が採用している報酬体系やその水準をベンチマークとし、自社の競争力を考慮した上で調整を行います。
たとえば、業界平均よりも低い報酬では優秀な人材を引きつけることが難しく、逆に過剰に高い水準では企業の財務健全性を損なう恐れがあります。
したがって、報酬が市場の基準を反映しつつも、自社の成長ステージや収益力に見合ったバランスの取れた設定が求められます。
企業文化・成長ステージに合わせた設計
攻めの経営を促すインセンティブプランを効果的に設計するには、企業の成長段階や組織文化に適したプランを選択することが重要です。
一律のプランでは、企業の特性や現状に適合せず、期待する成果を得ることが難しい場合があります。そのため、成長ステージや企業文化を考慮し、柔軟かつ戦略的にプランを設計する必要があるでしょう。
ベンチャー企業における「攻めの経営」と株式報酬
成長ステージにあるベンチャー企業は、迅速な意思決定と高いリスクを伴う挑戦を求められる一方で、人材確保や資金調達といった課題を抱えています。
このような環境では、従業員や経営陣が一体となって目標に向かうための仕組みとして、株式報酬制度が効果的です。
多くのベンチャー企業では、現金報酬を十分に提供する余裕がない場合が多いため、優秀な人材を引き付け、維持するためには、魅力的な報酬体系を構築する必要があります。
ストックオプションやリストリクテッドストックといった株式報酬制度を導入することで、現金を多く用いずに、将来的な企業の成長に基づくリターンを約束できます。優秀な人材の獲得とエンゲージメントの向上が期待できるでしょう。
中小企業における「攻めの経営」とインセンティブ報酬制度
中小企業では現金のインセンティブだけでなく、株式報酬やストックオプション、または業績に連動した報酬プランを導入することが有効です。
企業の成長に応じたリターンを得られる仕組みを提供することができ、従業員は長期的な視点で企業の成功にコミットするようになります。
たとえば、ストックオプションを導入することで、従業員は企業価値の向上に直接的に関わることになり、株価の上昇が自分の利益につながることを実感できます。
さらに、資金的な制約がある場合でも、インセンティブプランを効果的に設計するために、報酬のタイミングや形態を工夫することが可能です。
短期的には金銭的報酬を少額で支払いつつ、長期的には株式報酬を利用することで、現金の流出を抑えながらも従業員のエンゲージメントを維持できます。企業は資金繰りを維持しながらも、従業員に対して十分なインセンティブを提供することができるのです。
譲渡制限株式報酬導入時の会社法上の留意点
譲渡制限株式報酬を導入する際には、株主総会での決議が必須です。これは、譲渡制限株式報酬を授与する際に株式の発行が伴うため、株主に対する重要な影響を与える可能性があるからです。
具体的には、株主総会で譲渡制限株式報酬制度の導入に関する議案を提出し、承認を得る必要があります。この決議には、報酬の対象者や報酬額、付与の条件など、詳細な内容を明示することが求められます。
議案の内容に関して、株主が十分に理解できるように説明を行い、議決権行使に影響を与える可能性があることを考慮する必要があるでしょう。
成功事例から学ぶ|効果的なインセンティブプラン事例
効果的なインセンティブプラン事例は、主に以下の通りです。
- 急成長企業の「攻めの経営」を支えるインセンティブプラン
- 事業承継を視野に入れた長期インセンティブプラン
- デジタル化推進に貢献するインセンティブプラン
急成長企業の「攻めの経営」を支えるインセンティブプラン
メルカリでは、譲渡制限株式ユニット、通称「RSU(Restricted Stock Units)」の導入を行っています。
RSUは、企業の株式を従業員に付与する仕組みで、一定の条件を満たすことでその株式が従業員に完全に帰属するという特徴を持っています。具体的には、従業員が一定の勤続期間を満たすか、あるいは特定の業績目標を達成した場合にのみ株式が譲渡される仕組みです。
メルカリがRSUを採用した背景には、急成長企業特有の課題である人材確保と維持が挙げられます。スタートアップや急成長企業では、優秀な人材を引きつけ、また離職を防ぐことが競争優位性を維持する上で必要不可欠です。
メルカリ全体の中長期的な成果や責任を意識するようになれば、インセンティブ制度を導入して成功したと言えるようになると言われており、現在も継続して続けています。
事業承継を視野に入れた長期インセンティブプラン
ヤマハでは、2025年1月から一般職、エキスパート職*¹を対象に新しい人事制度を導入することを発表しています。事業承継を視野に入れた長期インセンティブプランは、特に経営の安定性が重視される製造業において重要です。
ヤマハの場合、同社が築いてきた高度な技術力やブランド価値を次世代に引き継ぐため、リーダーシップを発揮する人材の育成が重要課題とされています。
そのため、この人事制度は、次世代の経営者候補がリスクを恐れず、革新的なアイデアを実現するための環境づくりにも寄与しているのです。
デジタル化推進に貢献するインセンティブプラン
株式会社アビストは、単に上層部の指示に従うのではなく、全社員が自発的にアイデアを提案できる文化を大切にしています。
全社員が自由な発想でアイデアを提案できる環境を積極的に促進しており、社員一人ひとりが持つ創造性を引き出し、デジタル技術を用いた革新的なアイデアが自然に生まれるような土壌を作り出しています。提案したアイデアが実際に業務に組み込まれると、その成果に対して明確な報酬を提供する仕組みです。
これにより、デジタル化の促進に向けて社員が積極的に取り組むモチベーションを高めているのです。
導入時の注意点とリスクヘッジ
インセンティブプラン導入時の注意点とリスクヘッジは、主に以下の通りです。
- コストと効果のバランス
- 社内における理解と合意形成
- 法律・税務上のコンプライアンス
- パフォーマンスシェア|損金算入の条件
- 専門家(コンサルタント)の活用
コストと効果のバランス
インセンティブプランは、企業の成長を促進し、従業員のモチベーション向上を目指す一方で、その運用には一定のコストが伴います。これらのコストを適切に試算し、期待される効果を定量的に評価することが、成功するインセンティブプラン設計の鍵となります。
まず、インセンティブプランの導入・運用コストについては、直接的なコストと間接的なコストを区別して考えることが重要です。
- 直接的なコスト:報酬額や株式報酬の発行に伴う経費、プランの設計や管理に必要な人件費、税務や法務の専門家への支払い など
- 間接的なコスト:インセンティブプランの実施に伴う従業員の業務負担や、プラン運用における管理業務の増加、システム導入にかかる初期投資 など
効果を定量的に評価するためには、設定した目標に対して実際にどれだけ達成できたのかを数値で示す必要があります。例えば、業績目標に対して達成度が90%だった場合、その成果に基づいて報酬額を算定し、プランが実際に目標達成に寄与したかを評価するのです。
このように、プラン導入前に設定した目標や指標を基に、効果を測定する仕組みを導入しておくことが重要です。
社内における理解と合意形成
プランの成功には、役員や従業員がその意図や運用方法をしっかりと理解し、協力的な姿勢を持つことが必要です。
これを実現するためには、制度の目的や効果、導入の背景を十分に説明し、全員が納得できる形で合意を得るプロセスを設けることが重要です。
役員への説明においては、インセンティブプランが企業戦略とどのように連動し、どのように企業の成長を促進するかを明確にする必要があります。
役員層は企業の全体的な方向性を見据えた決定を行うため、報酬プランがどのように業績やモチベーションに繋がるか、またその影響がどのように測定・評価されるかを具体的に示しましょう。
従業員への説明は、インセンティブプランの目的や設計内容を明確に伝えることが中心です。従業員が「自分にも直接関係する」と感じられるような説明を行うことが大切です。
合意形成のプロセスについては、最初から一方的な決定ではなく、従業員や役員と一緒に議論を重ねながら進める必要があります。
まずは情報提供をし、意見交換の場を設けることで、参加者全員が意見を述べることができる環境を作ります。このようなオープンなディスカッションを通じて、各層の理解を深め、最終的な合意に結びつけることが可能です。
法律・税務上のコンプライアンス
インセンティブプランを企業に導入する際、法律および税務上のコンプライアンスを遵守することが大切です。これを怠ると、後々企業が不利益を被るリスクが高く、また、役員や従業員に対して不当な税務負担がかかる可能性もあります。
会社法の観点から見ると、インセンティブプラン、特に株式報酬を導入する場合には、株主総会での決議が求められる場合が一般的です。
株主総会で承認を得ることで、インセンティブプランの内容が正当であることを証明し、企業内外での透明性を確保します。
税務面では、インセンティブプランに関連する報酬がどのように課税されるかを事前に確認しておきましょう。特に株式報酬に関しては、税法上の取り扱いが複雑で、個々の報酬の性質やタイミングによって課税方法が異なります。
パフォーマンスシェア|損金算入の条件
パフォーマンスシェアは、企業が従業員に対して特定の業績指標を達成した場合に自社株式を付与するインセンティブプランの一種です。
税務上「報酬」として取り扱われるため、付与した株式が従業員にとってどのタイミングで課税されるのかを正確に理解する必要があります。
一般的に、パフォーマンスシェアは業績目標が達成され、その株式が実際に従業員に付与されたタイミングで、従業員には所得税が課されます。
企業としてはその金額を給与として計上し、源泉徴収を行う義務があるのです。企業がパフォーマンスシェアに関する費用を損金として算入するためには、一定の要件を満たす必要があります。
また、パフォーマンスシェアの付与に関する契約が正式に文書化されており、その内容が企業の経営戦略や財務状況に整合していることも求められます。
専門家(コンサルタント)の活用
インセンティブプランの導入は、設計や運用に関して高度な専門知識が求められます。
特に、プランが企業の財務状況や法的要件、税務上の課題に適合しているかを確実にするためには、外部の専門家(コンサルタント)を適切に活用することが重要です。
外部専門家を選定する際の基準としては、インセンティブプランに関する深い知識と豊富な実務経験を有している業者を選ぶ必要があります。
報酬制度に関する法的要件、税務上の処理方法、企業戦略に基づく最適なインセンティブ設計など、多岐にわたる専門知識を持っていることが求められるでしょう。
業者が選定できたら、最初に企業のニーズや目的を明確にし、それを基にインセンティブプランの目指す方向性を共有することが大切です。
まとめ
近年、攻めの経営を実現するために、役員のインセンティブ報酬制度を改善する企業は増えている傾向があります。
自社にあったインセンティブ制度を導入できれば、役員はもちろん、社員のモチベーションも上げられ、企業価値の向上を期待できます。
まずは、自社にインセンティブ報酬を導入する目的やその効果をしっかりと定めて、報酬プランを作成することから始めましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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