• 更新日 : 2023年10月13日

東証一部は廃止!企業が上場するメリットやデメリットを解説

企業が東証一部に上場する具体的なメリットがわからないと考えている方も多いのではないでしょうか。企業が東証一部に上場するメリットは、社会的信用が向上することや資金が調達しやすいなどがあります。

しかし、東証一部に上場するためには、コストが必要となるため、本当に自社を上場にする価値があるかどうかを判断する必要があるでしょう。本記事では、企業が東証一部上場するメリットとデメリットを解説します。企業を上場させたい経営者は、ぜひ参考にしてください。

2022年に東証一部は廃止

東証一部は廃止!企業が上場するメリットやデメリットを解説

東証一部は、2022年4月に廃止されましたが、廃止される前の市場区分は以下のとおりです。

  • 東証一部
  • 東証二部
  • マザーズ
  • JASDAQ

東証一部に上場する企業は他の区分と異なり、条件が厳しかったため、投資家から高い信頼がありました。主な一部上場企業は以下のとおりです。

  • トヨタ自動車株式会社
  • 任天堂株式会社
  • ソフトバンクグループ株式会社

2022年に東証一部が廃止されたあとに、新しく3つの市場区分に変更になりました。

  • プライム市場
  • スタンダード市場
  • グロース市場

プライム市場とは、投資対象となる時価総額があり、企業統治を備えている企業の市場です。スタンダード市場とは、一般的な投資家が売買できる時価総額があり、基本的な企業統治ができる企業の市場のことです。グロース市場とは、高い成長性のある事業計画や一定の市場評価がある、相対的にリスクが低い市場を指します。

東証一部が廃止された背景

東証一部は廃止!企業が上場するメリットやデメリットを解説
東証一部は、2022年4月に廃止されました。東証一部が廃止された理由として、2つ挙げられます。1つ目は、市場区分のコンセプトが曖昧であることです。新しい企業のための新興市場区分に、長い歴史を持つ老舗企業が上場することがありました。

廃止された背景の2つ目は、企業の価値向上への取り組みが持続されなかったためです。上場した後でも業績が停滞したり、取引が行われず流動性が低下したりする企業も存在していました。2つの問題点を解決するため、東証一部の廃止が行われました。

企業が東証に上場するメリット

東証一部は廃止!企業が上場するメリットやデメリットを解説
企業が東証に上場するメリットは以下のとおりです。

  • 社会的信用が向上する
  • 資金が調達しやすい
  • 社内体制を強化できる

企業が上場するメリットを把握することで、上場する際の判断ができるでしょう。それぞれメリットを解説します。

社会的信用が向上する

企業が東証に上場するメリットとして、社会的信用が向上することが挙げられます。上場企業は、厳格な審査と監視の下にあるため、社会的信用が向上します。審査では、企業のビジネスモデルや財務状況、経営陣の能力などが評価の対象です。

企業の社会的信用が向上することで、ユーザーやビジネスパートナー、取引先相手との関係を良好に築けます。企業は信頼がなければ取引してもらえないため、東証に上場することで、信頼してもらえる可能性が上がるでしょう。

資金を調達しやすくなる

企業が上場することで、資金調達がしやすくなります。東証に上場することで、一般の人々に広く認知してもらえるため、多くの方からの投資を受けられます。企業は新しいプロジェクトの資金調達や借入金の返済、企業の成長などに必要な資金の調達が可能です。

上場企業は非上場企業と異なり、公的な市場でIPOや社債を発行することで、資金を調達できます。しかし、非上場企業は、公的な証券市場で株式を売買できないため、銀行からの借入やベンチャーキャピタルなどから資金を集める必要があります。上場企業と非上場企業の主な違いは、公的な市場で資金を調達できるかどうかです。上場企業は、市場を通じて大きな資金を調達できるでしょう。

社内体制を強化できる

企業が東証に上場することで、社内体制を強化できる機会になります。上場すると、企業が公の目にさらされるため、企業の経営体制や財務状況、業績などの透明性が求められます。社内の組織体制やビジネスプロセスを見直すきっかけになるでしょう。

社内体制を強化することで、企業の運営を効率的かつ透明にでき、結果的に全体のパフォーマンスが向上します。東証への上場は資金調達の手段だけではなく、企業の健全な成長と進化を促すことにもつながるでしょう。

企業が東証に上場するデメリット

東証一部は廃止!企業が上場するメリットやデメリットを解説
一方、企業が上場するデメリットは以下のとおりです。

  • 上場にコストがかかる
  • 経営が監視される
  • 買収される可能性がある

企業が東証に上場するメリットを解説しましたが、デメリットを理解しなければ、上場しても失敗する可能性があります。企業が上場しても安心せず、気を引き締めることが重要です。

上場にコストがかかる

企業が東証に上場する際にかかるコストは以下の通りです。

上場前

項目費用相場
監査法人への支払い500万〜2,000万円程度
証券代行機関に関する手数料1,000万〜8,000万円程度
コンサルティング会社への報酬600万円〜1,500万円程度
弁護士への顧問料月額3〜5万円程度
顧問弁護士への報酬月額3〜15万円程度
内部統制の構築1億6,000万円程度

上場時

項目費用相場
上場審査料・新規上場料100万円〜1,500万円
公募・売出にかかる料金上場申請に係る株券等の公募

公募株式数×公募価格×1万分の9

上場申請に係る株券等の売出の場合売出株式数×売出価格×1万分の1

※マザーズへの上場の場合は、新規上場料と合計して2000万円が上限

登録免許税資本組入額×7/1000(最低15万円)

上場後

項目費用相場
上場維持費年間48万円〜456万円
新株の発行等で発生する料金上場株券等を発行・処分する場合

1株当たりの発行価格×発行又は処分する株券等×1万分の1

新株予約権の目的の株式が新たな新株予約権を発行する場合

新株予約権の発行価格×新株予約権の総数+新株予約権の行使に係る払込金額×新株予約権の目的となる株式の数)×1万分の1

上場株券等の売出しをする場合

売出株式数×売出価格×1万分の1

新株の上場にかかわる料金1株当たりの発行価格×新たに発行する株券等の数×1万分の8
合併の際に必要な料金(合併等に際して発行する株券等の数+交付する自己株式の株券等の数)×合併等の効力発生日の売買立会における株式の最終価格×1万分の2

上場に関連する費用は一定ではなく、個別の状況によって異なります。目安として一部上場するためには、監査法人や証券会社への支払いなど年間5,000万円のコストが必要です。上場しても維持することが難しく、上場に必要な莫大な費用と法令遵守や内部統制などの条件を対策しなければなりません。

経営が監視される

企業が上場すると、企業の経営はより厳しく見られるようになります。理由は、投資家が自分の投資したお金がちゃんと使われているか確認したいからです。会社が大きな損失を出した際に、なぜ起こったのか、どうやって修正するのかについて詳しく説明しなければなりません。

しかし、厳しい監視は良いことでもあります。経営者にとって、企業の運営を改善し、より良い結果を出すための後押しになるでしょう。経営が監視されることで、責任と透明性が強化されるため重要です。

買収される可能性がある

企業が東証一部上場すると、他の会社に買収される可能性があります。株が市場で自由に取引されるためです。たとえば、ある会社が大量にあなたの会社の株を買うと、株を購入した会社があなたの会社をコントロールする可能性があります。

買収は、新たな資金やリソースをもたらし、事業の成長を助けてくれるでしょう。買収される可能性があるからといって、上場を恐れる必要はありません。

まとめ

企業が東証一部に上場するメリットは、社会的信用が向上することや資金が調達しやすい、社内体制が強化できることが挙げられます。上場することで、信用があり取引しやすく、大金を使って、ビジネスができる可能性が高いです。

しかし、上場には年間5,000万円の莫大なコストがかかることも事実です。上場する前には、上場前から上場したあとに必要なコストを理解しなければなりません。上場するデメリットを把握しておかないと、上場を維持できなくなるリスクがあります。しっかりと上場するメリット・デメリットを理解しておくことが大切です。

よくある質問

東証一部上場とは?

東証一部上場とは、東京証券取引所の主要な市場である「一部」に上場している企業のことです。東証一部に上場するためには、企業の規模や利益水準、株式の流動性などの基準を満たす必要があります。 しかし、2022年4月に市場が再編され、東証一部はプライム市場やスタンダード市場などに変更されました。再編された理由として、市場区分のコンセプトが曖昧であることや企業の価値向上への取り組みが持続されなかったことが挙げられます。


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