• 作成日 : 2024年2月26日

MBO、IPOでのイグジットとは?概要やメリット・デメリットを解説

ビジネスを成長させたい経営者にとって、イグジットを理解することは非常に重要です。
しかし、この「イグジット」という言葉にピンと来ない方も少なくないでしょう。
さらに実際にイグジットを目指す場合、どのような要素を考慮すれば成功への道が開けるのかが気になるという方もいらっしゃるでしょう。
そこで、この記事では、MBO、IPOにおけるイグジットの概要、メリット・デメリットなどについて解説します。ぜひ、ご参考にしてください。

MBOとは

MBO(Management Buyout)は、企業の経営陣が金融機関や投資ファンドから資金を調達して自社の株式を既存の株主から買い取り、経営権を獲得する手法を指します。

IPOとは

IPO(新規株式公開)は、「Initial Public Offering」の略称で、未上場企業が新たに株式を発行して証券取引所に公開し、投資家に取得してもらうプロセスを指します。
具体的には、上場前に株主が所有していた株を売却し、売却された株式は証券会社を通じて投資家に購入されます。これによって創業者や上場前からの出資者は資金を回収し、利益を得られます。

そのため、日本の多くのスタートアップやベンチャー企業は、IPOを「出口戦略」の目標として掲げています。

イグジットとは

イグジットとは、創業者や出資者が株式を売却して利益を得て、投資に使った資金を回収するプロセスです。以下は、イグジットが行われやすい状況の例です。

  • 上場していない企業で高い成長率が期待される場合(ベンチャー企業など)
  • 企業再生を目指す企業

これらのケースでは、創業者や出資者が保有する株式を売却したり、IPO(株式公開)を行ったりするのが一般的です。
企業の成長が見込まれる状況で戦略的に売却を計画することは、企業売却で利益を得るために重要な手段となります。

特に急速に成長している企業は、売却によって膨大な利益を生み出す可能性があります。
同時に、後継者不在の企業もイグジットを検討するケースが増加しています。
これからは、日本でもイグジットを目的とした売却がますます増加することが予想されます。

イグジットを実行する場合には、イグジット戦略を立てる必要があります。
将来的に株式公開(IPO)するなら、いつ実行するかについても具体的に計画を立てます。

イグジット戦略をはっきりさせると、出資者や経営幹部の目標や達成すべきタイミングが明確になり、やるべきことも具体的になります。これにより、創業者や経営幹部のモチベーションが向上し、プロジェクトが推進されることもあります。

ただし、イグジット戦略を進める中で上手くいかないこともあるでしょう。その場合は柔軟に対応し、状況に応じて適切に戦略を組み直していくことが重要です。

企業オーナー(売り手側)がMBOによるイグジットで得られるメリット・デメリット

この章では、企業オーナー(売り手側)がMBOによるイグジットで得られるメリット・デメリットについて解説します。

メリット

・IPOと比較して少ない時間で行える
MBOはIPOと比較して準備期間が少なく、少ない時間で進めることができます。管理体制の構築など、IPOのような事前に満たすべき基準がないからです。また、引退後の資金を現金で手に入れることができます。

事業承継ができる
中小企業でよく見られる親族経営においては、後継者がいないため経営者が親族から経営権を移転させるMBOを選択することがあります。従来の経営陣が株式を購入し、事業を継承する手段です。

第三者に事業を売却するのではなく、共に働いてきた経営陣によって事業が承継されるため、経営者親族と従業員にとっても不安が少ないと考えられます。

デメリット

・事業運営が変化する可能性がある
MBOによって経営陣が株主になると、第三者による経営陣への監視が弱まり、事業運営が変化する可能性がある点には注意が必要です。

経営陣(買い手側)がMBOにより得られるメリット・デメリット

この章では、経営陣(買い手側)がMBOにより得られるメリット・デメリットについて解説します。

メリット

・経営権の一致
経営権をオーナーに集約することで、経営の意思決定が柔軟に行えます。
これにより、経営プロセスがよどみなく進み、従業員とのコミュニケーションも円滑になります。
一方、第三者が経営者の場合、その意思決定について従業員の理解が得られず、従業員の間に不満が生まれる可能性があります。

経営者がオーナー自身であると、従業員は安心感を抱きつつ働くことができ、それがモチベーション向上につながります。
逆に、外部に多くの株主が存在する場合、彼らが目の前の利益を求めるあまり、長期的な経営計画の立案を難しくさせる傾向があります。

経営陣が自社の株式を取得することで、持続可能な経営戦略を長期的な視点で構築できます。

デメリット

・株主との摩擦
MBOにおいて経営陣が自社株式を買い戻す場合、なるべく低価格で買い取る方法を模索します。これに対して株主は、株をできるだけ高値で手放したいと考えるでしょう。そのため経営陣と既存の株主との間に対立が生じる可能性があり、十分な注意が必要です。

資金調達手段が限られている
自社株式を買い戻すのに十分な資金がない場合、金融機関や投資ファンドからの融資や出資を受ける必要がありますが、MBOを実施する場合には証券市場を通した資金調達ができないため、資金調達手段が限られることはデメリットだといえます。

IPOでのイグジットのメリット・デメリット

この章では、IPOでのイグジットのメリット・デメリットについて解説します。

メリット

・社会的信用が得られる
企業の上場によって社会的な信用を得られ、新株の発行や銀行からの融資など、資金調達が円滑に進む可能性が高まります。

・資金調達手段の拡充
新規上場時の新株発行や上場後の新株発行による増資を通じて、証券市場を通した資金調達が可能になります。これにより、銀行借入以外の資金調達手段が拡大し、事業成長に必要な投資資金を、円滑かつ多様な方策で調達できるようになります。

株式による資金調達には返済義務がないという特長があり、これがIPOの最大のメリットだといえるでしょう。

デメリット

・費用と時間がかかる
IPOはM&Aと比較すると、膨大な費用と時間がかかります。
IPOでは上場監査が必要であり、その際には純資産や利益などに特定の条件が設定されます。上場後も、証券会社や東京証券取引所、監査法人に支払う維持費が発生し、株主総会の開催費用なども必要になります。

・株主への責任説明が生じる
上場すると多くの投資家が株主となり、経営の透明性などについて株主に対する責任説明などが生じます。

まとめ

創業者は、長期間にわたって多大な時間と労力を自ら立ち上げた企業に注ぎ込んでいます。
イグジットは、これらの投入した資本を現金などの形で受け取り、得られた利益を確定させる行為です。

MBOによるイグジットとIPOによるイグジットとではそれぞれのメリット・デメリットなどが異なるため、自社に適した方法を選択することが大きなポイントだといえるでしょう。


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