- 更新日 : 2024年10月25日
マネーフォワードクラウドPresents「& money」 株式会社エアークローゼット執行役員アセット戦略室長 森本奈央人さんに聞く!(後編)
さまざまな企業のリーダー、ファイナンス部門の方にフォーカスを当て、その仕事や企業の成長戦略の裏側、その仕事術に迫ります。今回お話を伺ったのは、株式会社エアークローゼット執行役員アセット戦略室長、森本奈央人さん。プロのスタイリストが“あなたのため”に選んだお洋服を自宅へ届けてくれるファッションのサブスクリクションを展開するエアークローゼット。後編では森本さんのCFOとしての流儀、そしてこれからのエアークローゼットについてお伺いします。
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プロフィール
森本奈央人
慶應義塾大学卒業、公認会計士試験合格後に有限責任監査法人トーマツにて監査業務に従事。2016年に株式会社エアークローゼットへ入社。管理業務に従事した後、カスタマーコミュニケーショングループ、パーソナルスタイリンググループ、経営管理グループの統括を経て、現在はアセット戦略室を統括。趣味は、漫画とお酒。
聞き手: 瀧口友里奈
経済キャスター/東京大学工学部アドバイザリーボード
東京大学卒。セント・フォース所属。「100分de名著」(NHK)、「モーニングサテライト」(テレビ東京)、「CNNサタデーナイト」(BS朝日) 、日経CNBCの番組メインキャスターを複数担当。ForbesJAPANで取材•記事執筆も行い、多くの経営者を取材。東京大学大学院在学中。
夢のある仕事を求めエアークローゼットへ
瀧口 森本さんは公認会計士でいらっしゃいます。どうしてこのお金を扱う職種に進まれたのでしょう。
森本 ここで申し上げるのが適切か悩ましいんですけども、高校生の時に医者になるかどうかを少し悩んでいて、ただ僕、血がダメで・・・。医学部に進むとどうしてもそこと向き合わなければいけないので医者はやめようと思ったんです。で、何か代わりのものを探していたときに三大資格の一つで会計士というのがあるっていうのを高校3年生ぐらいのタイミングで知って、高3のときに暇だったので、ちょっと勉強を始めてみようって思ったのがきっかけでした。大学入学直前の春休みがとても暇だったので。
瀧口 大学受験とかは特に。
森本 高校から大学がそのまま行けたので。
瀧口 実際に公認会計士になられて如何ですか?
森本 当時、会計士の勉強を始めたときは正直、会計士が実際にどんなことをしているのかわかっていたかというとそうでもありませんでした。そのあと実際に資格を取って、最初に監査法人、まさにその会計士のメインの仕事をしているところに進み、かなりおもしろかったです。やはり、その企業の動きが最終的に出てくるアウトプットとしての数字の見方がわかるというか、その世の中の動きがあってはじめてこの数字が出てくるんだというところがわかるようになったときはおもしろかったですね。
瀧口 監査法人からエアークローゼットに入られたのも、大きな転機だったのでは。どのような決断をされたのでしょう。
森本 監査法人はとても大事な仕事だと思いますが、自らが世の中に大きな変革を起こせるかという難しいかなと少し思った時期があって。まあ、当時僕、3年ぐらいしか勤めていなかったので、全体像をどこまで見えていたのかというところはあるのですが。そこで何かを変革できる仕事ってなんだろうと考えていたときに、大学時代の友人がエアークローゼットにジョインしていてその彼の話を聞くうちに、そのときはまだまだでしたが、日本の文化を変えた、ないしは新しい文化を作ったと言える、そんなビジネスに夢を感じて最終的に転職を決めました。
自分はバランス重視のCFO
瀧口 ちなみにご自身は、どんなタイプの財務担当者だと思われますか。
森本 なかなか難しい質問ですが(笑)。 “バランス”は重視しているタイプかなと思っています。よく、攻めだったり守りだったり、特に管理部門にいると表現として出てくることも多いですが。どちらかに寄っているかというと、多分そんなこともなく、自分自身としても事業サイドも経験してきたというところも含めて、全体のバランスを意識しながら動いていることが多いかなと思います。
瀧口 逆にこれ、バランスを意識されないタイプの方だとどういう動きになるんですか、財務担当の方っていうのは。
森本 たとえばですが、守りの方ですとリスクの方をしっかり見ていって、そのリスクの分析みたいなところをメインで動かれるような方もいらっしゃるのかなとか。逆に、攻めの方だとどんどん投資をしていくようなところをメインに見られている方も、いらっしゃるのではと思います。
瀧口 その両方を同時にバランスを取ってこられたということ。この前の話でコロナはやはりかなり大変な時期だったとおっしゃっていましたが、そのときの森本さんの役割動きは?
森本 対外的なコミュニケーションはかなり取ったかなと思います。コロナが弊社の事業に与える影響やその先でどうなっていくのかというところは、社内のメンバーと話しつつ。たとえば金融機関の方に対しての説明や資金面というところも対外的に出て行って確保する必要があったかなと思うので、そこに向けての説明が一番多かったと思います。
瀧口 コミュニケーションの部分ですね。
森本 そうですね。
瀧口 ここからは森本さんのプライベートの部分も伺っていきたいと思いますがご自身のステップアップのためにどんなことをされていますか。
森本 まあ、一番多いのがいろいろな方と交流というか、コミュニケーションをさせていただいていることかなと思っていて。それがCFOとかそういった方々だけではなくて、それ以外の、たとえば代表をされている方もそうですし。いろいろな立場の方々とお話をするようにしています。逆にたくさん本を読んでとか、そういう勉強はあまり得意ではないので人と話すというところでなるべくいろいろな知識のインプットをするようにしています。
自分は『キングダム』の王翦タイプ?
瀧口 ちなみにご趣味は?
森本 趣味は、一つはお話ししたコミュニケーション、なるべくお酒を飲みながらというか、僕自身お酒を飲むのがけっこう好きなので、お酒を飲みながらコミュニケーションをとったり、あとは本はあまり読まないんですが漫画はめちゃくちゃ読みますね(笑)。
瀧口 私も好きです(笑)。どんな漫画を読まれるんですか。
森本 漫画であればなんでも。一方で、タイミングによって読むものが違うというか、寝る前であれば頭をあまり使わなくていいような、ほのぼのしたような漫画を読みますし、週末とか時間があるときはたとえば『キングダム』とか、少しこう勉強にもなりそうなところを含めた漫画を読むことが多いかなと思います。
瀧口 寝る前に『キングダム』を読むとちょっと、興奮して寝れなくなってしまいますよね。
森本 そうなんです(笑)。
瀧口 ほのぼの系とはどういうのですか。
森本 料理漫画とか。僕は料理するわけではないのでそこで知識を得ようとして読んでいるわけではないので、あまり気にせず読めるというんですかね(笑)。
瀧口 漫画って仕事にもつながってくる部分ありますか。
森本 たくさん読んでいるとつながるところもあれば、つながらないものもあって、先ほどの『キングダム』だとマネジメントにつなげてという解説本が出ているくらいですし。あとは全く別で、素直に元気・勇気を貰えるところもあるかなと思います。知識という面で言うと少しですけど、どちらかというとそれ以外の気持ちの面が大きいのかなと思います。
瀧口 『キングダム』の武将に例えると、自分はどの武将かなとか、そういう投影しながら読んだりしますか?(笑)
森本 あまりしないんですけが社内の中でそういう話題になったことがありまして、そのときに代表の天沼に言われたのは、王翦(おうせん)でしたね(笑)。
瀧口 王翦ですか。なるほど。しっかりこう支えていくっていう感じですね。
森本 先ほどバランスいいとか言っておいて、王翦は負けない戦さはしないと書かれているので、矛盾してしまうかもしれないですが。(笑)
瀧口 そういう会話が社内で出てきたりするんですね。
森本 けっこう必読書に近い形でみんな読んでいると思います。
瀧口 ちなみに代表の天沼さんは武将で例えると(笑)。
森本 やっぱり王様(嬴政)じゃないですか(笑)。大きなビジョンをもって会社を動かしていて、必要あれば最前線で戦ってと。
瀧口 王様ですか。オフィスでの楽しい会話が垣間見える感じがしました。では、ここから、未来に向けてのお話を伺っていきたいと思いますが。この激変する社会、未来を見通していくためのファイナンスのキーワードってなんでしょう?
変化に強い組織を意識する
森本 これが “ファイナンス”なのかどうか、もう少し広いところなのかもしれないんですけが、やはりその変化への対応かなと思っています。コロナの動きもそうですし、ウクライナの動きも、いまそういったところって正直見通せるかというと、全く、ある日突然現れるみたいな、そういった側面があるかと思うんです。今後正直何が起きていくかわからないというところは絶対なくならないと思うので、何かが起きたときにそこにしっかり即応できるという、そんなところに日々意識しておくことというのが大事なのかなと考えています。
瀧口 さらにこれからの時代の組織のあるべき姿、新しい時代の働き方、何かエアークローゼットで意識していることはありますか。
森本 少し重複しますが“変化に強い組織であること”が非常に大事だと思っています。社内でコロナの陽性者が数人出たときに、その翌日からリモートワークにしたり、何かが起きたときにすぐ対応できる、そういった組織づくりは意識しています。たとえば、別で、弊社は「オール・ハンズ・オン・デック」(all hands on deck)という名称で、この要素を意識しようという、そんなテーマを設けて2カ月に一度そこに対して他薦で投票もしていって、表彰するというようなことを実施しています。これは弊社のカルチャーの部分をしっかり意識していくっていうところもそうですが、2カ月に一回向く方向が変わるというか、意識するポイントをあえて変えることで、そういった変化に対して、それについていく形をしっかり作るように意識しています。
会社の成長を支えるのが自分の役割
瀧口 エアークローゼットでは女性向けのお洋服のサブスクリプションサービスを提供していらっしゃいますが、これからさらにこういった部分やっていきたいというお話がありましたらお聞かせいただけますか。
森本 まず一つはいまのこの女性向けのエアークローゼットはまだまだ規模としても小さいですし、認知度を計っても4%ぐらいですので、ここを広げていくというところが一番最初にやっていくこと。一方でその先ですとたとえばメンズの展開はずっと考えています。弊社も創業者が男性3人だったりもするので、「メンズとか早くやりたいね」と話ながら、いろいろな状況を見ながらそこのところについては判断していきたいと思っています。
瀧口 認知度の上昇を狙うというのはやはり広告戦略を強化していくということですか。
森本 たとえばいま「デジタルマーケティング」に力を入れていますが、そういったところを含めてしっかりと力を入れていく、そう考えています。
瀧口 森本さんご自身がエアークローゼットをどう導いていきたいか、如何でしょう?
森本 僕自身の役割としても会社、あるいはサービスの成長を加速しくための手段というところをしっかりと持っていきたいなと思います。またそれが実現できるように自分自身としても動いていきたいなというふうに考えています。
瀧口 プライベートで何かありますか。
森本 一つあるのは、知見を広げていく中で、いろいろなところに足を運んでみたいなって。まだ海外は行きづらい状況でありますが、国内でも行ったことがないところが多いのでそういったところに行ってみたいです。現地に行って現地の人と交流していろいろなことを学んでみたいです。
瀧口 今日は貴重なお時間、どうもありがとうございました。
森本 ありがとうございました。
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