• 作成日 : 2024年3月27日

IPOにおける反社チェックの重要性、対応項目、手法を解説

IPOを実現するには、反社チェックの実施が不可欠です。反社チェックにより、上場審査に通るだけでなく、社会的な信用を獲得することにもつながります。

本記事では、IPOにおける反社チェックの重要性や手法、対象者などを解説します。また、IPOの際に提出する書類や事前の対応項目も紹介します。

反社チェックとは

はじめに、反社チェックの意味と目的を解説します。

反社チェックの意味

反社チェックとは、自社の利害関係者(役員・従業員や株主、取引先など)に反社会的勢力(反社)またはその関係者がいないかどうかをチェックすることです。一般的には、暴力団員や暴力団の関係会社、半グレ集団などが反社に該当します。

反社チェックの目的

一般的に反社チェックは、以下3つの目的で実施します。

  • コンプライアンス遵守
  • 反社会的勢力への資金提供の阻止
  • 安定的な経営の実現(イメージ低下やトラブルなどの防止)

つまり反社チェックとは、反社との関わりを断絶し、経営上のリスクを軽減するために行うプロセスだといえます。

反社チェックの対象者

反社チェックは、自社および子会社などの従業員や取引先、主要株主が対象者となります。人数や会社数が多すぎる場合には、主要な関係者に絞って行われるケースもあります。

特に、従業員の採用時や取引先との契約前に反社チェックを実施することで、企業や従業員が反社勢力から不当な要求をされたり、トラブルに巻き込まれたりするリスクを軽減できます。

反社チェックの手法

反社チェックでは、主に以下4つの手法が活用されます。

  • 公開情報の調査
  • チェックツールの活用
  • 調査会社への依頼
  • 公的機関への問い合わせ

手軽かつ低コストに行いたい場合には、公開情報の検索(新聞やインターネット検索など)による調査がおすすめです。より詳しく情報を調査したい場合には、コストや労力はかかるものの、チェックツールや調査会社、公的機関を活用すると良いでしょう。

手法ごとにメリット・デメリットがあるため、目的や状況に応じて使い分けることが重要です。

IPOにおける反社チェックの概要

反社チェックは、通常の事業運営だけでなく、IPOでも重要な手続きです。この章では、IPOで重要とされる理由や関連する手続きなどを解説します。

IPOで反社チェックが重要である理由

IPOで反社チェックが重要である理由は、証券取引所による上場審査の基準となっているためです。
例えば東京証券取引所では、「反社会的勢力による経営活動への関与を防ぐための社内体制を構築し、関与防止に努めている旨およびその実態が公益もしくは投資者保護の観点から妥当と認められること」を上場審査基準の1つとしています。

つまりIPO申請時には、関連する全ての人物や企業が反社会的勢力と無関係であることを証明することが必須となります。意図せず反社会的勢力との関係を持っていることが指摘された場合、IPOを実現できません。
こうした事態を防ぐためにも、事前に反社チェックを実施し、必要に応じて対策しておくことが不可欠です。

参考サイト:日本取引所グループ「新規上場ガイドブック

IPOに向けた反社チェックを開始するタイミング

反社チェックは、可能な限り早いタイミングから開始することがベストです。
理由としては、仮に反社またはその関係者がいる場合、排除する対応に時間を要する可能性があるためです。

対応が後手に回ると、IPOのスケジュールにも支障を来すため注意しましょう。

IPO申請に際して必要となる反社チェック関連の手続き

IPOを成功させるには、反社チェックを実施するだけでは不十分です。
東京証券取引所への上場に際しては、申請時に「反社会的勢力との関係がないことを示す確認書」を提出する義務があります。確認書には、取引先や役員などの経歴、株主の身分などを記載することが求められます。

また、主幹事証券会社による引受審査でも、反社との関係性をチェックされることがほとんどです。その際は、証券会社が反社チェックの結果を含む「上場適格性調査に関する報告書」を作成し、取引所に提出します。

参考サイト:有価証券上場規程施行規則(東京証券取引所)第204条1項5号、6号

IPOに向けて実施すべき反社会的勢力への対応項目

前述のとおり、IPOの際は引受審査の段階から反社との関係性が厳密に審査されます。
そのため、IPOの準備を開始する前から(現時点で準備中ならば今すぐ)反社会的勢力への対応を実施することが理想的です。
具体的な対応は、法務省の「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」に記載された内容が参考になります。

この章では、本指針をもとに反社会的勢力への対応として重要な4項目を解説します。

行動規範などの明文化

大前提として、反社会的勢力の不当要求に対する行動規範や倫理規定、社内規則などを明文化することが重要です。
また、明文化した行動規範などは、経営トップが主体となって社内外に宣言することも大切です。事前に明文化された規定や規範を設けることで、要求に応じざるを得ない状況を回避しやすくなります。

社内体制の整備

規範や規定を実現するためには、明文化や宣言だけでは不十分です。
実行に移すための社内体制を整備したり、外部専門機関との連携体制を構築したりする必要があります。具体的には、主に以下の対応が求められます。

  • 不当な要求が生じた際の対応を統括する部署を設置する
  • 反社に関する情報を一元的に管理・蓄積する
  • 反社との関係を避けるための取り組みを実施する
  • 対応マニュアルを整備する
  • 反社チェックの実施方法や使用ツールの事前整備、日々の業務フローへの組み込みを行う

契約書における反社排除条項の記載

反社会的勢力との関係を断ち切るには、当該勢力が取引先や株主になることを防ぐことも重要です。そのために、取引約款や契約書に反社排除条項を事前に盛り込むことが不可欠です。

定期的な反社チェックの実施

IPOを円滑かつ問題なく行うには、直前での反社チェックのみでは不安が残ります。
定期的に反社チェックを実施し、IPOの実施有無に関係なく日頃から反社会的勢力との関係を断絶しておくことが大切です。

具体的には、従業員の採用時や取引先との契約前といったタイミングでの反社チェックを定着させると良いでしょう。

参考サイト:「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針

まとめ

上場審査基準になっている点から見ても、反社チェックはIPOの実現を目指す企業にとって必須のプロセスです。
反社チェックを実施し、必要に応じた対策を行うことで、投資家や社会からの信頼を得ることが可能です。

また、早い時期から行動規範の明文化や社内体制の整備を行い、反社会的勢力との関わりを回避することも重要です。

IPOを目指す企業は、本記事の解説を参考に反社チェックに取り組んでいただければと思います。


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