- 更新日 : 2024年10月25日
マネーフォワードクラウドPresents「& money」 THECOO株式会社 取締役CFOコーポレート本部長 森茂樹さんに聞く!(後編)
さまざまな企業のリーダー、ファイナンス部門の方にフォーカスを当て、その仕事や企業の成長戦略の裏側、その仕事術に迫ります。今回お話を伺ったのは、THECOO株式会社 取締役CFOコーポレート本部長 森茂樹さん。インフルエンサーマーケティングを中心とした広告代理店事業、そして会員制ファンコミュニティアプリ「Fanicon」の運営を主事業としているTHECOO株式会社。後編では森さんのキャリアヒストリーや仕事の流儀について、さらにTHECOOのこれからについてお話を伺います。
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プロフィール
森茂樹
京都府生まれ、神奈川育ち。慶應義塾大学商学部卒、南カリフォルニア大学MBA。 外資系企業数社にて、マーケティング、経営企画、ファイナンスの要職を経て、 前職はファッションアパレルEコマースの受託開発・コンサルティングを手がけるスタートアップにて、執行役員経営管理本部長として管理部門構築、資金調達などに携わる。2018年より現職。
趣味はスノーボード
聞き手: 田中泉
インタビューをはじめ多方面で活動。9年間アナウンサーを務めたNHKでは「ニュースウオッチ9」リポーター「クローズアップ現代+」キャスターとして報道番組を中心に、国内外の現場で最新のニュース・事象を幅広く丁寧に取材・リポート。2022年秋より政策研究大学院大学の英語修士課程に在籍中。趣味は素敵なお店の開拓。1988年生まれ。
ファイナンスの必要性を感じて
田中 森さんは、そもそもどうしてファイナンス、お金を扱う職種へと進まれたのでしょうか。
森 外資系企業を何社か渡り歩きました。20代は外資系の自動車会社にいたんです。マーケティングをやっていました。非常に大きなバジェットをもらっていたので、年間バジェットをどこにどう振り分けていくのかとかそういう仕事をしていました。そこでも結局ファイナンスがすぐ出てくるんです。これは何のために、何を根拠にこういうようなお金の使い方を考えているんだと、全部説明させられるんですね。で、なんだこいつらと思いながら、でもやはり外資系なので、ファイナンスが強いんです。だから、この世界でもし生きていくのであれば、あっち側、ファイナンス側の考え方を理解しないとにっちもさっちもいかんって感じて。その後数年後に留学をして、一応ファイナンスというものを勉強して、その後のキャリアをファイナンスに変えたという感じです。
田中 もともとやりたかったというよりは、実際にご自身の体験として出会って世の中にはファイナンスが必要なんだというふうに。
森 そうです。実は新卒で、外資系のいわゆる証券会社に入ったんですがファイナンスだったんですね。当時、1994年、5年、もうほんとに円高で80、78円とか付けたんです。1年ぐらい前に内定をもらいますよね。で、職種別採用で行くところが決まっていたんですが、入ってみたら、ハイヤリングマネジャーがいないんです。自分の担当、採用してくれた人が。要するに、証券業界が当時ちょっと終わっていたので。それでファイナンスの部門に行きなさいって言われて、えーっと思って、僕はそんなことがしたかったんじゃないって1年で辞めたんですが。でも、結局回りまわってそこに戻ってくるっていう。おもしろいですね。
田中 企業の人事担当者の見る目があったのか(笑)、なんかめぐり合わせなのか、いまのお話を伺っていると子どもの頃になりたかった職種だったわけではなくて・・・
森 もう全然。
田中 最初は何をやりたかったんですか。
森 子どものときは、これも笑っちゃいますけど、医者になりたかったですね。
田中 そこに共通点はありますか。いま考えてみると。
森 うーん、ないですね。でも、自分にとって何がいいのかなっていうのを常に考えています。それは子どものときもそうでしたし、いまもそうです。なぜなら僕がまわりの人と接するにあたって、自分がいわゆるハッピー、幸せではないと絶対にいい波及がないと思うんです。ですから、自分がどういう精神状態で幸せを感じていて、それを分け与えるわけではないんですが、いい影響を常に与えられるようにと考えています。なので、そうしたときに自分が接する仕事っていうのは1日の約半分の時間を費やしますので、何をしている時が自分が一番幸せなんだというのを常に日々感じています。
若いCFOからのインプットを絶やさない
田中 森さんご自身のステップアップのためには、日ごろどんなことをされていますか。
森 スタートアップのCFOで50代の方ってあまりいらっしゃらないんです。
田中 もっとお若い方が多い?
森 皆さんお若いです。一回りぐらい違う方に話を聞きに行ったりしますので、そういう意味で言うと、年齢とか経験とか知識とかよりも、やはり実を取るというところで、まだまだ、とはいえこの年齢ですけど、アップグレード、アップデートできると、変化できると思っておますので、まずはきちんとしたインプットを絶やさないことですね。その中で、アンテナが立って、そのアンテナをもっと深掘りして、自分に必要なことをきちんと学習していくというか、そのサイクルは常に意識しながら回しています。
田中 場合によっては一回りも若い方と交流される中で、何か意識されていることもあるんですか。
森 絶対に年齢を感じさせないということですね。ため口とかですね、誰に対しても絶対使わないっていう。日本の社会はやはりそれがベースになっていますので、その時点で、教えていただけることも、あ、ちょっと失礼に当たるかもしれないって思わせても絶対いけないので、その人が感じてきたこと、学んだことを僕が誰であろうと吸収したいので。で、年齢言わないと、同い年ぐらいだと思っていただく方もいて・・・
田中 だってお若いですもん。お話しをしていても(笑)。
森 そこだけはラッキーなんです。年齢なんて、いまはそんなに聞かれないので、「え、僕よりも上だったんですね」とか言われて、「あ、そうなんです」って言う。
田中 年齢の話題が出るのも、ほんとに日本の企業ならではというか、逆に外資系企業にずっといらっしゃったら、そんなお話もそんなに出ない、
森 出ないです。上司に年齢も聞いたことないですし。
田中 ちなみに趣味はスノーボード。ちょうどスノーボードの季節でもありますが、そうしたオフタイムが仕事に及ぼす影響はいいものがありますか。
森 日々いいことも悪いことも役割を通じて、絶やすことなく、土日も絶やすことなく意識をしています。金曜日でおしまいで月曜日からスタートっていう意識ではまったくないので。ですから、冬に雪山に行くとさすがにそれは頭から離れるので、で、ボケッとしているとけがをしたりするので(笑)、滑ることに集中するっていう、あの時間がすごく好きですね。滑っているときに雪をスーッと通る音って、とてもいい音なんです。その音を感じながら、あの瞬間だけでも一瞬別世界に行くという。
田中 唯一ちょっとオフになれる時間というか。仕事のことを考えていたら滑れないですもんね。
森 滑れないですね(笑)。やっぱり雪、マイナスイオン出ていますよね。ほんとに出ていると思います。
身の丈を理解して未来を見通す
田中 自然に囲まれて、ほんとに無になれる場所ですね。そんな森さんですが、この激変する社会の中で、未来を見通すファイナンスのキーワードはどんなことだとお考えでしょうか。
森 未来を見通すうえで自分の立ち位置をしっかり見定めることですね。身の丈をまず理解すること。そこから、個人でも会社でも自分の持っているものというものをきちんと理解したうえで、次に何をしたらいいのかを常に見据えることですかね。
田中 新しい時代の働き方、コロナ禍も経て組織のありよう、人の働き方も変わっていますが、これからの組織のあるべき姿についてはどうお考えですか。
森 外資系が非常に長かったので、言い訳ができないぐらい個人の能力が問われる環境ですので、そこはほんとに揉まれてきました。ですから、まず個人がしっかり身の丈に応じて何が必要で、強み、弱み何を持っているのか。それをどうやって伸ばしていけばいいのかということを組織云々の前に、個人がしっかり自覚して学ぶことですね。そうすることで、ワールドカップのサッカーではないんですけど、それで初めて組織に入る資格ができるというふうに考えています。外資系はそうじゃないとすぐ退場を食らいますので。ですから、スタートアップもそういうような組織、そういうような個人の方、高い意識を持った方々が来る、来始めてはいると思うんですけど、まだまだ、なんでしょうかね。そこには至ってないのかなという気はしています。そういう方々が高い志を持って日々学ぶことを大切に考えて組織に入ってくることで、日本のスタートアップの世界も少し変わるんじゃないかなと思います。アメリカはまったく違う環境ですから。
田中 THECOOについても、そうしていきたいというふうに。
森 そうですね、はい。
自分も従業員もTHECOOで“いい時間”を過ごせるように
田中 ご自身のお立場からこれからのTHECOOをどう導いていきたいとお考えですか。
森 導くというとなんか偉そうで大それてしまいますが、僕は先ほど申し上げたように自分のありようというのを満たすように満たすように心がけています。ですが僕はTHECOOの代表ではないのでまた別の考えで、常に20~30人のときから従業員の皆さんに言い続けているんですが、終身雇用ではないので、もしかするとここで数年、10年、どれくらいの時間を過ごすかっていうことも人それぞれになると思うんです。会社があるこの明治通りを歩いたときに、昔はちょっと明治通りの原宿よりのところに小さいオフィスがあったんですけども、この明治通りをいつか歩いたときに、パッと見上げて、ああ、ここですごくいい時間を過ごしたんだなあって、いい思いもしたし、悪い思いもしたし、成長することもできたし、そういうようないい思い出がつくれるような場所であってほしいと考えています。ですから自分のありようを通して、そういうことを伝えて、影響を及ぼしながら、そういう話をしていきたいと。それにはやはり日々、前向きに仲間と切磋琢磨すること、いいことも悪いこともきちんと受け入れて、それを組織に還元していく。それがまた自分に戻ってくるということができる環境であってほしいなと考えております。
田中 いまTHECOOは、そういう組織になりつつありますか。
森 そうですね。正直申し上げて社員数が100名を超えてからいわゆる100名の壁というのがありました。またフェーズが変わったんだと思います。それはよく冗談で言っていますが、茹でガエルにならないように、そういう環境になったんだということで、また新しいフェーズに入ったんだと意識を変えて、まず経営陣がしっかり認識をしたうえで訴えかけていくことが今後は必要だと考えています。
田中 森さんご自身のこれからの挑戦、そして野望は。
森 僕の高校時代の同級生とかは集まって話すと、もう仕事の話は一切しないんです。それなりにいわゆる学歴とかを積んできた連中ですけど、もう先が見えちゃっているんです。それこそいい企業で仕事している連中ばかりですけど。そうすると55歳の大きな壁があり、それに行くか行かないかっていうのはもう見えているので、その集まりに行くと「おまえ、何頑張ってんだよ」って言われるんです。ですから、実はあまり行かないようにしているんです。やはり僕の意識は会社もそうですし、自分もまだまだ変われると思っていますので、良く変われるって信じていますので、それを愚直に続けていきたい。そういう環境に自分を身を置いておきたいって考えています。
田中 THECOOのCFOというのは挑戦し続けられる場所という感じですね。
森 挑戦を続けないといけないですね(笑)。
田中 これからの挑戦、楽しみにしております。
森 期待していてください。ありがとうございます。
田中 ありがとうございます。
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