更新日 : 2022年1月31日

シリーズAとは?投資ラウンド、各フェーズの資金調達手法について徹底解説

    シリーズAとは?投資ラウンド、各フェーズの資金調達手法について徹底解説

    スタートアップにとって資金調達は、事業を成長させるうえで非常に重要な業務です。しかし、資金調達=資本関連の意思決定は後で修正がきかないものが多く、ポイントをよく理解したうえで決定していく必要があります。今回は、そのなかでも特に重要となるシリーズAやシリーズBといった、投資ラウンドについて解説します。

    シリーズAとは?

    「シリーズA」とは、投資ラウンドと呼ばれる投資家がスタートアップ企業に投資をする際の投資フェーズの種類のひとつになります。シリーズA以外にも投資フェーズがあり、投資ラウンドの書類には初期タイミングから「エンジェル→シード→シリーズA・B・C……」と、投資フェーズに応じて名称が変化していきます。

    そもそも投資ラウンドとは何か?シリーズAとシリーズBの違い


    事業の成長フェーズと投資フェーズは切り分けて考える必要があり、シリーズAと呼ばれる投資フェーズは、事業フェーズとしては「アーリー期またはミドル期」であることが一般的です。アーリー~ミドル期とは、スタートアップとして新しく始めた事業について「Unit Economics(顧客を獲得した際に得られる将来も含めた収入が、顧客獲得コストを上回っている状態)が達成している、または達成が見込まれる」状態のことを指します。

    また、この状態のことをプロダクト(製品)が、マーケット(市場)にフィット(有益)であることを指して「Product Market Fit(PMF)が成立している」と呼ぶこともあります。

    一方、シリーズBはシリーズAよりも事業フェーズが進んでおり、プロダクトの機能が拡充され、顧客をどのように攻略していくべきか、より明確になってきます。資金調達の目的としては、「顧客拡大のための開発費用」やPMFした製品をさらにマーケットに広げるために「マーケティング投資目的の調達」として行われる傾向があります。

    スタートアップの各フェーズに合わせた資金調達方法

    スタートアップには、それぞれの事業フェーズにあった資金調達の方法や金額規模の考え方があります。資本政策は、後戻りできないものなので、各フェーズの資金調達方法について確認していきましょう。

    シード(エンジェル・シード調達)

    シード期は、まだ製品開発またはPMFを仮説検証するフェーズとなります。このタイミングでは、PMFを仮説検証するための資金(期間にして1~2年分)の調達を行うこととなります。従業員数としても10人未満のスタートアップが多く、調達額としては社員の年収×2年分=数千万~数億円の金額となることが多くなります。

    出資者としては、ベンチャーキャピタルから個人投資家まで様々いますが、事業への有益なアドバイスをしてくれる投資家を選ぶようにしましょう。一度、投資をしてくれた株主は、簡単に入れ替えをすることはできないため、IPOまたはそれ以降も長く付き合うパートナーとして慎重に選ぶことが重要です。

    アーリー(シリーズA)

    アーリーフェーズになると事業規模がより拡大しており、PMFが見え始めている状態となっている一方で、継続的に事業として収益を上げていくにはまだ事業上、課題が残っています。シリーズBに向けて、投資家に対し解くべき課題の提示および解決に必要なリソースとして、1~2年分の必要資金を外部から調達することとなります。

    金額規模としては、数億円~数十億円になるため、個人投資家ではなく、ベンチャー向けのファンドを運営しているベンチャーキャピタルや事業会社からの調達がメインとなります。

    ミドル(シリーズB)

    ミドルフェーズでは、ある程度PMFも確実となっており、あとはマーケティング投資や開発投資を積極的に投下していくことで、売上(トップライン)をより拡大していくフェーズとなります。

    toC向けのサービスでは、テレビCM投資のための資金調達をするなど、上場に向けて事業規模を一気に拡大させていくフェーズとなります。このフェーズでは、事業計画もより精緻化されたものが求められ、投資金額に対する事業インパクトの的確な説明が求められます。

    レイタ―(シリーズC~・上場)

    ミドル期を無事乗り越え、事業が拡大したタイミングでIPOやシリーズCによる資金調達を行います。このタイミングでの資金調達は、既存事業の拡大のみならず、既存事業を生かした新規事業投資のための資金ニーズやM&Aまたは海外展開による事業展開など、より大胆な事業投資を目的とした大型の資金調達として株式市場から調達が行われます。

    資金調達を成功させるために重要ポイントと注意点

    各フェーズで共通して注意すべき重要なポイントがあります。

    資金の余裕があるうちに交渉を始めること

    事業運営で忙しいため、資金がギリギリになるまで資金調達の動き出しをせず、タイトな期間での調達が必要になってしまうケースがあります。よく見受けられるケースではあるのですが、資金がない状態での交渉となると投資家に足元を見られ、不利な条件での調達を強いられてしまいます。

    資金調達には、3カ月前後かかることが一般的なため、資金が尽きる半年より前には資金調達に動くようにしましょう。

    経営権を渡しすぎないこと

    事業をより拡大するために資金調達を行いますが、一方で、株式=経営権を外部に譲渡することとなります。このとき、必要な資金のために経営権を渡しすぎてしまうと、重要な意思決定を自分たちでできなくなってしまったり、IPO時に創業者利益をほとんど受けられなくなってしまったりすることがあるので、資金調達の際は必ず将来も含めた経営権の希薄化を考慮して、金額を決めるようにしましょう。

    また、投資契約のなかには、取締役を強制的にベンチャーキャピタルから派遣できる条文が含まれていたりすることがあります。結ぼうとしている契約書が、経営にとってどんなリスクがあるのか、必ず詳しい弁護士に確認をとるようにしましょう。

    コミットする意思のない事業計画を立てないこと

    投資家は、経営者が立てた事業計画を信じて投資をしてくれます。一方で、スタートアップの事業計画ほど不確実性の高いものはありません。だからといって、調達時にまったくコミットする気のない事業計画は立てないようにしましょう。

    資金調達ができたらOKというわけではなく、むしろ立てた事業計画へコミットすることが当然求められ、もしも計画の変更があれば合理的な理由の説明が必要となります。「実は最初からコミットする気はなかった……」という姿勢が見られれば、投資家から信頼を失い、次回の投資ラウンドで支援してくれる投資家はいなくなってしまうでしょう。

    複数の投資家に話を聞いてもらうこと

    出資をしてくれる投資家を見つけたとしても、ほかの投資家にも話を聞いてみましょう。資金調達は、経営者にとって非常に重要な交渉事となります。投資家が1社のみの場合、投資家サイドの競争環境がないことから、不利な交渉を強いられ、バリュエーションが不当に低かったり、契約書に不利な条文が盛り込まれる可能性があります。

    複数の投資家に話を聞いて出資条件を比較することで、自社にとって適切かつ有利な条件で調達を行うことができます。可能な限り、今後の事業拡大によりプラスとなるような条件で、資金を調達するようにしましょう。

    まとめ

    今回は、シリーズAと投資ラウンドについてご説明しました。LinkedInの創業者 リード・ホフマンの名言のひとつに、「スタートアップとは、崖の上から飛び降りながら、飛行機をつくるようなものだ」という言葉があります。

    名言の通り、将来の不確実性が高いなかで事業をつくりながら、資金についても冷静にプランニングしていくことはとても困難かとは思いますが、自社の事業フェーズを見極めながら、最適な資金の調達を検討いただければと思います。

    よくある質問

    バリュエーションは高いほうがいいのか?

    不当にバリュエーションを上げてしまうと、次回ラウンドでそれ以上のバリュエーションを達成するための事業目標が高くなりすぎてしまい、調達が困難になるケースがあります。バリュエーションは上げすぎず、適切と思える範囲で交渉しましょう。

    必要な金額の計算方法は?

    事業によって違いますが、一般的には事業計画上1~2年分の資金を調達します。

    投資契約時に気をつけたほうがいい条件とは?

    経営権の譲渡に関する条文や、自社がM&Aされることとなった場合の条文は、投資家も強気の内容を盛り込んでくることが多いため、注意して確認しましょう。

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