• 作成日 : 2025年1月6日

スイングバイIPOとは?メリット・デメリットや事例をわかりやすく解説

スイングバイIPOは、市場の動向を巧みに捉え、短期間で利益を上げることを目指し、スタートアップ企業が一時的に大企業の傘下に入ることです。

スイングバイの基本的な概念から具体的な実践方法、成功のためのポイントまで解説します。

スイングバイIPOとは

スイングバイIPOとは?メリット・デメリットや事例をわかりやすく解説

スイングバイIPOとは、従来のIPO(新規株式公開)のプロセスを活用しつつ、特定の戦略を採用して投資家にとっての利益機会を最大化する手法を指します。

具体的には、スイングバイIPOでは、IPO後の株価の短期的な動きを見極め、その流れに乗って利益を狙います。

この手法は、株式市場の流動性や、IPOに対する投資家の関心の高まりを活用することが重要です。

従来のIPO投資が長期的な視点で株式を保有し、企業の成長を見守ることを重視するのに対し、スイングバイIPOは短期的な売買を行うことで迅速な利益確保を目指します。

スイングバイIPOのメリット

スイングバイIPOとは?メリット・デメリットや事例をわかりやすく解説

スイングバイIPOのメリットは、主に以下の通りです。

  • 資金調達力を強化できる
    大企業の傘下に入るため、投資家は企業の成長可能性に対する信頼感を持つことができ、安定的に資金が調達できる。
  • 上場までの時間を短縮できる
    新規市場へ参入したり、市場シェアを拡大したりといったことが容易にでき、IPO時にポジティブな評価を受けやすい。
  • 企業の信頼性を向上できる
    大企業の傘下になるため、市場や投資家からの信頼性が高まる。企業のブランド価値が向上する可能性が高い。
  • シナジー効果を創出できる
    資本市場からの支援を受けやすくなるため、他の企業との提携や合併、買収といった戦略的な動きが行いやすくなる。

技術系企業や新規ビジネスモデルを展開する企業にもスイングバイIPOが適しています。

特にイノベーションが求められる業界では、競争が激しく、迅速な市場参入が企業の成否を分けることがあります。

スイングバイIPOにより、資金調達のスピードを確保することで、技術開発や新サービスの提供に必要なリソースを直ちに得ることが可能です。

スイングバイIPOのデメリット

スイングバイIPOとは?メリット・デメリットや事例をわかりやすく解説

スイングバイIPOのデメリットは、主に以下の通りです。

  • 統合にともなう文化の衝突の可能性がある
    上場を通じて企業が他の企業との統合や提携を進めることが多いため、異なる企業文化や経営スタイルが交錯することが避けられない。
  • 企業の独立性が喪失する可能性がある
    上場を果たした後に他の企業と連携する際に、相手の意向や文化に合わせなければならない場面が多くなる。
  • 親会社との間で問題が発生する可能性がある
    会社との間で経営方針や戦略について意見の不一致が生じやすくなり、業務上の衝突を引き起こす可能性がある。
  • M&Aに高額なコストがかかる
    スタートアップ企業の事業構造が複雑な場合、デューデリジェンスに時間がかかり、コストが増加する可能性がある。

資金を急いで調達する必要がない企業や、十分な内部資金を持っている企業は、スイングバイIPOの迅速な資金調達の利点を享受できません。

また、企業の独自性やブランドの維持を重視する企業もスイングバイIPOには向いていないことがあります。

他の企業との統合や提携に伴い、自社の文化やアイデンティティが影響を受ける可能性があるため、自社の特性を大切にしたい企業にとっては、この手法が逆効果となることもあるでしょう。

スイングバイIPOの事例

スイングバイIPOを行った企業は、主に以下2社です。

  • ソラコム
  • yutori

詳しく解説します。

【事例➀】ソラコム

ソラコムは2017年にKDDIの傘下に入り、スイングバイIPOを実施しました。

【企業概要と事業内容】
IoTプラットフォームSORACOMの開発・提供

【KDDIによる買収の経緯】
KDDIのIoT/M2Mの導入実績とソラコムのIoT通信の知見を合わせて、新しいIoTビジネスを出すことを目的とした

【成功要因と得られた効果】
IoTの契約回線数は2年で10倍の100万回線を突破、2024年に独立上場

【事例➁】yutori

yutoriは、人材紹介サービスを提供する会社で、2018年に創業しました。2020年7月にZOZOと資本業務提携を結んでいます。

【企業概要と事業内容】
衣料品、雑貨等の企画及び小売・卸売事業

【買収先企業との統合過程】
ハードとソフトの統合で飛躍的な成長を目指した

【成功要因と得られた効果】
2年3ヶ月でZOZOと資本提携し、3年後に独立上場

スイングバイIPOに成功するためのポイント

スイングバイIPOとは?メリット・デメリットや事例をわかりやすく解説

スイングバイIPOで成功するためのポイントは、主に以下3つです。

  • M&Aのタイミングの見極め
  • シナジーが期待できる企業の見極め
  • 従業員への説明責任を果たす

詳しく解説します。

M&Aのタイミングの見極め

スイングバイIPOに成功するための重要なポイントの1つが、M&Aのタイミングを見極めることです。

M&AはスイングバイIPOを実現するための強力な手段となり得る一方で、適切なタイミングを逃すと、逆に企業の成長機会を損なうリスクも存在します。

まず、市場環境の変化を見極めることが必要で、経済状況や業界のトレンド、競争の激化など、外部要因が企業のM&Aに与える影響は大きいです。

例えば、市場が活況を呈している時期や、新しい技術が台頭している時期には、M&Aによって新たな市場に参入したり、技術を取り込んだりするチャンスが増えます。

逆に、市場が不安定な状況や経済の低迷期にM&Aを進めると、リスクが高まるため、十分な調査と分析が必要です。

シナジーが期待できる企業の見極め

シナジーとは、企業同士の統合や提携によって生まれる相乗効果のことであり、これを正しく理解し、適切なパートナーを選ぶことが、スイングバイIPOの成果を最大限に引き出す鍵となります。

シナジーが期待できる企業を見極めるためには、まず業界内での位置づけや市場ニーズを分析することが必要です。

企業同士の製品やサービスが補完し合う関係にある場合、シナジーの可能性が高まります。

従業員への説明責任を果たす

企業がスイングバイIPOを行う際には、従業員の不安や疑問を解消し、理解を得ることが大切です。

従業員がこのプロセスを理解することで、彼らの業務に与える影響や、今後のキャリアパスがどうなるのかを予測できるようになります。

説明が不十分な場合、従業員は不安を抱え、業務に対するモチベーションが低下する可能性があるでしょう。

企業のリーダーシップが明確で透明なコミュニケーションを図ることで、従業員は企業の方向性に対して理解と納得を持ちやすくなります。

まとめ

スイングバイIPOを行うということは、大企業の傘下に入ることであり、市場からの信頼を獲得しやすくなるといったメリットがあります。

投資家からの信用が高まり、ブランド力や企業価値の向上が期待できます。

これにより、企業は取引先やパートナーシップの機会が増え、新たなビジネスチャンスをつかみやすくなるため、特にスタートアップで多額の資金調達が必要な企業はおすすめです。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事