- 更新日 : 2024年8月8日
IR資料とは?決算説明会資料の作成方法や押さえるべきポイントを解説
IR資料とは、企業が投資家や株主に向けて提供する重要な情報をまとめた資料のことです。
この資料は、企業の経営戦略や財務状況、業績見通し、リスク管理など、投資判断に必要な情報を網羅しています。
IR資料の種類には、有価証券報告書、中期経営計画、アニュアルレポート、決算短信があり、これらは企業の透明性と信頼性を高める役割を果たします。
本記事では、IR資料の作成方法を詳しく解説します。
目次
IR情報とは
IR情報とは、企業が投資家や株主等に対して提供する情報のことです。
IRは「Investor Relations」の略で、企業と投資家の関係を築くための活動全般を指します。
具体的には、企業の経営戦略や財務状況、業績見通し、重要なイベントや決定事項などを含む情報が提供されます。
企業の経営陣は、定期的に決算報告書やアニュアルレポートを発行し、これに加えてプレスリリースや投資家向け説明会を開催することで情報提供を行います。
これらの活動を通じて、企業は透明性を高め、投資家との信頼関係を築くことが求められるのです。
IR資料とは
IR資料とは、企業が投資家や株主に対して提供する情報をまとめたものです。
IR資料には、主に以下の種類があります。
【IR資料の主な種類】
- 有価証券報告書
- 中期経営計画
- アニュアルレポート
- 決算短信
「有価証券報告書」は詳細な財務情報を含む法定報告書で、「中期経営計画」は3-5年の経営戦略を示す計画です。
「アニュアルレポート(年次報告書とも)」は年間の業績のみならず経営内容について総合的に報告する報告書、「決算短信」は四半期ごとの業績を速報する報告書となります。
これらの資料は、投資家が企業の現状や将来性を評価するために重要であり、企業の透明性と信頼性を高めます。
IR資料の作成方法
IR資料を作成する際の手順は、主に以下の通りです。
- 目的や対象者を明確にする
- 情報を収集・整理する
- 資料のデザインを決定する
- 外部からのフィードバックを受ける
詳しく解説します。
1.目的や対象者を明確にする
IR資料は、企業と投資家や株主等とのコミュニケーションツールであり、これらの資料を通じて企業の経営状況や戦略、将来性を伝えることが目的です。
そのため、財務状況や経営戦略、リスク要因などの情報を詳細かつわかりやすく提供することが求められます。
加えて企業のビジョンやミッション、社会的責任に対する取り組みを含めることで、企業の総合的な価値を伝えることも重要です。
2.情報を収集・整理する
IR資料に必要な情報は多岐にわたるため、各部門からの協力が必要不可欠です。
財務データは財務部門から、経営戦略や事業計画は経営企画部門から、そして市場動向や競合分析はマーケティング部門から取得します。
これに加え、CSR活動やESG情報については、サステナビリティ部門などからの情報が必要となります。
情報の収集には、社内の公式報告書やデータベース、定期的な部門ミーティングなどを活用し、収集した情報を整理する際には、まずその情報をカテゴリごとに分けることが重要です。
例えば、財務情報、事業戦略、リスク管理、ESG情報など、IR資料の各セクションに対応する形で分類します。
この過程では、情報の重要度や関連性を考慮し、どの情報をどのセクションに配置するかを決定すると良いでしょう。
3.資料のデザインを決定する
IR資料の作成において、情報の伝達効果を高めるために資料のデザインを決めておくことは重要です。
まず、全体のレイアウトを決定します。IR資料は、複数のセクションで構成されているため、各セクションがどのように配置されるかを明確にすることが必要です。
一例として、表紙、目次、経営概要、財務データ、事業戦略、リスク要因、ESG情報、付録などの順に配置します。
4.外部からのフィードバックを受ける
IR資料の初稿が完成した段階で、社内の関係部門や経営陣のレビューを受けることが大切です。
資料の内容が企業の戦略や実績を正確に反映しているか、情報の一貫性や正確性が保たれているかを確認します。
アンケートやインタビューを通じて具体的なフィードバックを収集するようにしましょう。
IR資料の作成で押さえるべきポイント
IR資料の作成で押さえるべきポイントとして、主に以下2つがあります。
海外投資家向けに英訳版も作成する
ストーリー性を持たせて数字を提示する
詳しく解説します。
海外投資家向けに英訳版も作成する
グローバルな投資家基盤を築き、企業の国際的な評価を高めるためにも、海外投資家向けに英訳版も作成することが大切です。
海外投資家に対して企業の情報を提供し、グローバルな視点での投資判断をしてもらうためは、正確でわかりやすい資料作成を行う必要があります。
正確でわかりやすい翻訳や品質管理、適切なレイアウトとデザインなどを意識した上で作成しましょう。
ストーリー性を持たせて数字を提示する
IR資料の作成において、ストーリー性を持たせて数字を提示することは、情報の伝達効果を高め、投資家や株主の理解を深めるために有効です。
企業の長期的な目標や価値観を明確に示すことで、資料全体の方向性を設定します。例えば、持続可能な成長を目指す企業であれば、そのビジョンを具体的に説明し、資料の序章で読者に共有します。
このように、企業の未来像を描くことで、読者が資料を通じて企業の成長ストーリーを追いやすくなるでしょう。
まとめ
IR情報とは、企業が投資家や株主に提供する経営戦略、財務状況、業績見通しなどの情報です。IR資料を作成し、投資家から信頼を得て支援を受けられるようにすることが必要となります。
資料を作る際は、まず目的や対象者を明確にし、必要な情報を各部署から収集した上で、わかりやすい資料を作成しましょう。
よくある質問
他社のIR企業はどこで見る?
基本的に 他社のIR情報は企業のコーポレートサイトから見られます。
企業によってIR情報の掲載方法が異なりますので、詳しくは対象企業のホームページをご確認ください。
他社のIR資料で見るところはどこ?
企業研究する際、主に以下のような情報を見るのがおすすめです。
- 売上高
- 営業利益(や純利益)
- 好調(不調)の要因
- 来期以降の経営戦略
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
ブックビルディング方式による株価の決定とは?特徴や入札方式との違いなどを解説
スタートアップの経営者にとって、上場によるIPO(新規株式公開)は目指すべきゴールの1つともいえるでしょう。IPOによって市場で取引される株式の価格が決まりますが、その価格の決め方を正しく理解しておくことは非常に重要です。 本記事では新規上…
詳しくみるガバナンスとは?コーポレートガバナンスコードや体制づくりについて解説!
昨今、企業は会計不正や品質偽装、贈収賄などの内的要因に加え、自然災害や地政学、パンデミックなどの外的要因にも激しく晒されています。これらのリスクをいかに最小限に留められるかは、重要なポイントであるといえるでしょう。 言い換えれば、リスク最小…
詳しくみる持株比率と議決権比率の違い|会社経営に必要な割合についても解説
持株比率とは、ある企業の株式を保有している株主の割合のことです。一方、議決権比率は株主の持っている影響力の割合を示します。本記事では、持株比率と議決権比率の違いや会社経営に必要な持株比率を解説します。持株比率と議決権比率の関係性について詳し…
詳しくみる資金調達に有効な特別目的会社(SPC)とは?その特徴など全体像を解説
M&Aや不動産投資は規模が大きいため、投資をする企業は多額の資金調達を必要とします。しかし、既存の負債や信用力などの観点から、容易に資金調達を実行できないケースも存在します。そのような場合に、特別目的会社(以下、SPC)を用いた手法…
詳しくみる6つの上場廃止基準をわかりやすく解説|適確性に欠けた場合の措置も紹介
「上場廃止」という仕組みは、投資家を保護する目的で作られました。とはいえ、上場廃止になると取引がしにくくなることはわかっていても、「どのような基準で上場廃止になるのか」については詳しく理解していない人もいるでしょう。 本記事では、上場廃止と…
詳しくみる主幹事証券会社とは?IPOにおける役割や探し方・選び方を解説
自社企業が上場するためには、IPOのスケジュール管理や資金調達などを行う主幹事証券会社の選定が欠かせません。主幹事証券会社では、経営者とともに株式上場に向けたさまざまなサポートを行います。そのため自社企業の上場を検討している経営者は、主幹事…
詳しくみる