• 作成日 : 2022年11月11日

マネーフォワードクラウドPresents「& money」 Unipos株式会社 代表取締役社長CEO田中弦さんに聞く!(前編)

さまざまな企業のリーダー、ファイナンス部門の方にフォーカスを当て、その仕事や企業の成長戦略の裏側、その仕事術に迫ります。今回お話を伺ったのは、Unipos株式会社 代表取締役社長CEO田中弦さん。ピアボーナス®で感謝を送り合い、組織の心理的安全性を高め、風通しの良い組織を作るサービス「Unipos」を提供していらっしゃいます。前編ではUniposの事業について、そしてIPO後の事業転換ついてお話を伺います。
※「ピアボーナス」はUnipos株式会社の登録商標です。

プロフィール

田中弦
Unipos株式会社 代表取締役社長CEO
1999年にソフトバンク株式会社のインターネット部門採用第一期生としてインターネット産業に関わる。その後ネットイヤーグループ創業に参画し、2005年ネットエイジグループ(現UNITED)執行役員。2005年Fringe81株式会社を創業、代表取締役に就任。2013年3月マネジメントバイアウトにより独立。2017年8月に東証マザーズへ上場。2017年に発⾒⼤賞という社内⼈事制度から着想を得たUniposのサービスを開始。2021年10月に社名変更をし、Unipos株式会社 代表取締役社長として感情報酬の社会実装に取り組む。「心理的安全性を高める リーダーの声かけベスト100(ダイヤモンド社)」を2022年10月に刊行。趣味は写真とロードバイク。最近はしまなみ海道を走行しに行くなど、かなりのハマり具合。

聞き手: 瀧口友里奈
経済キャスター/東京大学工学部アドバイザリーボード
東京大学卒。セント・フォース所属。「100分de名著」(NHK)、「モーニングサテライト」(テレビ東京)、「CNNサタデーナイト」(BS朝日) 、日経CNBCの番組メインキャスターを複数担当。ForbesJAPANで取材•記事執筆も行い、多くの経営者を取材。東京大学大学院在学中。

ボーナス付きで感謝のメッセージを送り合う それが「Unipos」

瀧口 まずはUniposがどんな会社なのか教えてください。

田中 Uniposでは「ピアボーナス」という、概念、仕組みを使ったサービス「Unipos」を提供しています。ピアボーナスと言われても、多分よく分からないと思いますが、従業員同士で30円とか100円とかボーナス付きで感謝、称賛のメッセージを送り合うサービスをしています。

瀧口 ただのメッセージだけでなく、ちょっとお金が送れるということ。

田中 そうですね。「他の人たちが何をやっている」という情報を従業員の方から会社に対してコンテンツ提供するということ。それはとても大事な仕事で、ということは対価が必要で、対価があるとみんなとても真面目に書くという仕組みになっています。

瀧口 「ピアボーナス」という概念はUniposさんがされるまでにもあったのでしょうか。

田中 海外では結構あります。例えば部下に対して、「ちょっとコーヒーでも飲んでおいでよ」という形でスターバックスのカードを贈るみたいな習慣があるんです。それって一対一の、個人と個人の関係なんですが、僕らは、集団と集団の関係、一人と集団の関係というように全て公開でというやり方をしています。スタバのカードを全公開で贈るというとちょっと変な感じがするかもしれないですので、海外の習慣と日本でのピアボーナスはちょっと違う感じがします。「公開型」というのが日本ならではの一番の特徴だと思っています。

瀧口 みんなの前で表彰するというような・・・

田中 まさにそうです。褒めるときはみんなの前で、叱るときは一対一で。昔僕も上司から言われたことがあるんですが、それって真理だなと思っています。みんなの前で叱ると、心理的安全性がとても下がる。なぜかというと、恥ずかしいから。「二度と自分の発言がここでは認められないんだな」と思ってしまう。全公開でいいことをシェアすると「この会社ではこういうことが認められるんだな」とわかってくる、学習できるようになるというのが我々のシステムの面白いところです。

「Unipos」のベースにある心理的安全性とは?

瀧口 今ちょうど、キーワードとして出していただいた「心理的安全性」。この心理的安全性はグーグルが言い始めてから日本のスタートアップでもよく聞く言葉になりました。少しご説明いただいてもいいですか。

田中 「心理的安全性」っていろいろな定義があるんですが、一番わかりやすそうな僕らなりの定義で申し上げると、批判されたりせず安心して意見が言えるということ。しかもそれが組織に対して安心して言えるということ。個人だけでなく会社に対して、というのが「心理的安全性のレベルが高い・低い」ということになると思っています。

瀧口 なんでも言い合えるっていうこと。

田中 そうです。心理的安全性というと「安全性」とついているので、ちょっと優しい感じがしますが、逆に心理的安全性が高まると、上司に対しても「いや、ちょっとおかしくないですか」と言えるので、そういう意味では“ぬるく”ないんです。“甘く”もないんです。ストレートにものが言えて、でもお互い傷つかないという環境が、心理的安全性が高い環境だと思います。心理的安全性の定義について「田中さんの言っていることと、自分の思っていることとちょっと違いました」とおっしゃっていただくことも意外と多いです。

瀧口 Uniposのサービスの導入実績は如何でしょう。

田中 現在350社ぐらいの方に使っていただいています。5年前に始まったときは、僕がインターネット系の起業家ということもあって、インターネット産業の方に多く使っていただいたのですが、最近だと工場とか小売百貨店とか製薬メーカーさんとか、どこの業種というのはあまり関係なく広まってきています。

瀧口 あらゆる企業で組織である限りこういったサービスが必要になってくるのでは。

田中 分かりやすい例を言います。会議で最後の10分くらいで「何か意見とか質問とかある?」と聞いて返って来たことありますか、という話です(笑)。だいたい、シーンとしているじゃないですか。あれは、ここで何か意見を言うとバカにされるんじゃないか、とか、上司を差し置いて「おまえ、若造なのに」と思われないかという不安、そういった「対人リスク」の不安がとても高まっているので何も言えないという話なんです。もしそこで言えたら「そういう考え方もあるのね」とか。もしくは、「あ、こんなアイデア思いつかなかったな」という、それって絶対、会社にとっていいことだと思うのですが、結局そういうのがない状態がとてもよくないので損してしまいますよね、という話です。心理的安全性が低いということは。

泣けてくるほどの感情が湧いてくる!?

瀧口 そういうことですね。だから導入企業さんが、多くの業種にわたっていらっしゃるんですね。実際、Uniposの社内はどんな雰囲気なのでしょう。この、ピアボーナスが社内で飛び交っているのでしょうか。

田中 結構飛び交っています。僕、自分でサービスやっているからだって思われるかもしれませんが、泣けちゃうんですよね。

瀧口 泣けちゃう?

田中 たとえば、会社を辞める人に対して「今までこういうことをお世話になって、こういうふうに言ってくださったことがすごい心に残っています」ということをみんな辞める前に書くんですよ。そうすると、辞める本人も、別に喧嘩して辞めていくわけじゃないので、「この会社にいてよかったな」と思うだろうし。でもそういうのだけじゃなくって、言ってみればスランプであまり実績を出せていなかった人が、大きな仕事を成し遂げて「デカい受注しました」というような。“ああ、そんなこと知らなかったな”ということが手に取るようにわかるんです。そういったことにとても感動します。リアルタイムでそれを見ていると「ああ、この人、成長したな」とか「この人にお世話になったな」とか、そういう感動が沸き起こってくるんです。

瀧口Uniposさんの社内でもそういった雰囲気になっているんですかね。

田中 社員数が50人とか100人とか超えてくると、もう会社で何が起こっているかわからなくなってくると思うんです。

瀧口 可視化するのがなかなか難しい。

田中 ましてや1000人を超える会社だと月に10人とか20人とか入社してくるわけですよね。で、多分その方たちそれぞれにバックグラウンドとか、考え方とか、素敵な行動とかあると思うんですが、それ全部見ようとか、インタビューしようとかなると気が遠くなってしまいます。ピアボーナスのような仕組みがあると、手に取るようにわかるようになると思っています。

瀧口 日常的にわかるということなんですか。

田中 そうですね。毎日やってもいいですし、週に1回やってもいいのですが「誰々さんこういうことをしていました」ということを会社にシェアするので、まあ、日常的に使うようになっています。

時代の流れを掴み上場後の事業転換

瀧口 Unipos株式会社の歴史の部分も伺ってまいります。昨年2021年、Fringe81株式会社から社名変更されて、Unipos株式会社が誕生しました。社名変更にいたる経緯を振り返っていただいてよろしいですか。

田中 コロナが大きく影響したというのはありますね。もともと広告業をやっていました。広告業で取扱高60億円は超えていたと思うのですが、コロナで広告主さんたちが広告費をぎゅっと絞るということがあったと思います。それに伴ってサービスとしてのUniposもまだ立ち上がったばかりだったので。真似するものがあまりない先駆者的なビジネスをしようとすると先行投資がかさむんです。だからタイミングとしては非常にいいタイミングでした。一瞬コロナでいろいろなものが社会的にもストップした時期に、Unipos自体は年間だいたい1.4倍ぐらいのペースで伸び始めていて。また、いわゆる伝統ある大きな会社様での導入実績が積まれてきて、「これはちょっと、世の中変わるな」と。社会に実装するというタイミングがついにやって来たに違いないと思って、Uniposに集中しようということで社名も変更しました。それで、Sansan株式会社から資金調達をして、というのが経緯です。

瀧口 「Fringe81」で2017年に当時の東証マザーズに上場されていますが、このときにはUniposの事業はまだなかったということですか。

田中 ちょうど上場したのとほぼ同時期にUniposは生まれています。一応新規事業としてはやることが決まっていたので、目論見書には新規事業の紹介として入っています。ただ、目論見書のメインは全て広告事業で資金調達して、となっていますので。そういう意味では大きく変わってしまいました。コロナがなければ多分今でも広告事業とUnipos事業を並立してやっていたと思います。ただ世の中の変化と、あとはもうこのタイミングでしかピアボーナスを社会実装するタイミングがないだろうということもあったので、タイミングが悪かったなということもあり、逆にいいタイミングでもあるなっていう、非常に難しいところをピンポイントで抜いていくという事業転換でしたね。

瀧口 時代の流れというか、そこのポイントを掴んで事業転換された。

田中 やはりこれだけ働く環境とか働き方への意識が変わる瞬間ってなかったと思うんです。大きなオフィスがあって全員そこに基本的には出社をして。で、会社は好きに「転勤だ」って言って人事権を発動していた時代から、もう副業はオッケーになって、転勤とかもそんなに激しくやるのはナンセンスだよね、みたいになって。これ多分この3年ぐらいで変わったと思うんですけれど、この変化に対応したサービスを実行できるのって今しかないなと思いました。

瀧口 ダーウィンの進化論でも変わり続けるのが一番強いなんていいますけれども。でも、これだけ大胆な事業転換というのは、どうしてできたのだと思われますか。たくさんご苦労もあったと思いますが。

田中 まさに会社の生き残りをかけての資金調達でもあったので苦労はしました。でも、Uniposを使ってくださっているお客様が「ほんとうに会社で何をやっていたかわからなかったのに、今ではいろいろな人がどういった活躍をしているのかわかるんです」と。で、あと特に目立たない仕事をされている方とかもたくさんいらっしゃって、そういう人たちが会社でヒーローになりましたっていう、僕ら「サイレント・ヒーロー」と言っていますが、そういう人たちが次々に見つかるということをおっしゃっていただいて。なんていうか、このお客様だけじゃなくて、他のお客様にも是非「変わった」という体験をいただきたいなという思いが強かったです。あるお客さまから、「田中さん、潰れないでくださいね」と言われたんですね。Uniposはうちにとってのインフラなので、絶対潰れないでくれって言われて。それはそうだなって。それで生き残るために最善の決断をしたっていう感じです。

瀧口 この転換のときの市場や株主の方からの反応っていうのはどうでしたか。

田中 株価は非常に下がりましたのでご迷惑もおかけしたと思うし、いっぱいお叱りも受けました。でもここからは業績で返すしかないと思っています。当然、先駆者としてやるビジネスなので、先行投資がかかるんです。そういったこともあって、まだまだ赤字は続いていますが、必ずや業績でお返しできるようにと思っています。

瀧口 でもほんとにこれが日本全国、海外も含めて広がると、明るくなりますよね。働くこと自体に明るい気持ちがもたらされるとお話を伺っていて思いました。

田中 隣の部署の人のことすらあまり知らないっていう、知るすべがないっていうのが現実だと思うので、それをなんとか変えたいと思っています。

「諦めなければなんとかなる」その確信は現場にある

マネーフォワードクラウドPresents「& money」 Unipos株式会社 代表取締役社長CEO田中弦さんに聞く!(前編)

瀧口 これからIPOを考えてらっしゃる企業のCEO、さらにCFOの方に向けて何かありますでしょうか。

田中 僕が言えることあるのかなぁ。まあ、でも、とにかくもう生き残ることが重要かなと思っています。そういう意味ではいろいろなファイナンスの手段も含めて、やるべきことを全部やる。そうすればなんとかやっていけるかなと思いますので、気長にやるというのが一番だと正直だと思っています。

瀧口 結果をすぐに求めずにやり続けていくということ。

田中 そうですね。まあ、あまり短期でやっている人はいないと思うんです。IPOなので、M&Aじゃないですから。「いつかなんとかなる」と信じるしかないです。その信じる力が強くて、自分がやっていることで世の中が良い方向に向かっているんだと確信が持てれば、諦めることってないと思うので。「諦めなければなんとかなる」と思っています。

瀧口 その確信はどうやって得られているのでしょう。

田中 今でもそうなんですが、月に1回か2回、お客様の現場に訪問させていただいています。工場など現場に訪問して「Uniposをどうやって使っているんですか」とか「Uniposがあってよかったことありますか」という話を聞くと、ほんとうにいろいろな方が「あってよかった」という話や「今まで褒められたこととかなかったけど、この会社行ってよかったな」ということをおっしゃってくださいます。その力強い言葉が重なってくると、別にUniposのサービスがいいからという話じゃなくて、その人たちの人生が少しでも前に進むような後押しを多分できたんだろうなと思えるんです。それが確信に繋がっているのだと思います。

お話は後編に続きます。
またお届けした内容はポッドキャスティングでも配信しています。
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インタビューの雰囲気や臨場感あふれる息遣いなども是非聞いてみてください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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IPOサポートメディア編集部

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