• 作成日 : 2023年8月8日

持株比率と議決権比率の違い|会社経営に必要な割合についても解説

持株比率とは、ある企業の株式を保有している株主の割合のことです。一方、議決権比率は株主の持っている影響力の割合を示します。本記事では、持株比率と議決権比率の違いや会社経営に必要な持株比率を解説します。持株比率と議決権比率の関係性について詳しく知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

持株比率と議決権比率の違い

持株比率と議決権比率の違い|会社経営に必要な割合についても解説
持株比率と議決権比率は、株式投資と企業経営において重要かつ似たような概念ですが、それぞれ異なる意味を持っています。

本章では、持株比率と議決権比率の意味を正しく理解して、両者の違いを確認しましょう。

  • 持株比率とは
  • 議決権比率とは

両者の比率は必ずしも一致しないことを前提に読み進めてください。

持株比率とは

持株比率とは、株主が保有するの株式の割合を示すものです。その株主が企業全体のどれくらいの株式を所有しているか示す重要な指標となります。

持株比率の計算式はシンプルで、以下のようになります。

持株比率(%)= (保有株式数 / 発行済み株式数)× 100

たとえば、ある企業が合計で1,000株の株式を発行していて、そのうちの100株を自身が保有している場合、持株比率は次のように計算できます。

持株比率 = (100株 / 1,000株)× 100 = 10%

上記の数値は、自身がその企業の10%を所有していることを意味します。この比率が高ければ高いほど、企業に対する所有権が大きくなります。

議決権比率とは

議決権比率とは、特定の株主が持っている企業の議決権の割合です。この割合は、その株主が企業に対してどれだけ影響力を持っているか示しています。

議決権比率の計算式は、以下の式になります。

議決権比率(%)= (保有する議決権の数 /行使できる議決権の合計数)× 100

ただし、すべての株式が議決権を持っているわけではありません。

たとえば、企業が議決権のない株式を発行した場合、これらの株式は持株比率の計算には含まれますが、議決権比率の計算には含まれません。

したがって、持株比率と議決権比率は必ずしも一致しないといえます。

企業が1,000株の議決権がある株を発行し、そのうえで200株の無議決権株を発行したとします。仮に普通株を100株、無議決権株を50株保有している場合、以下のように計算できます。

持株比率:(100株 + 50株) / (1,000株 + 200株)× 100 = 12.5%

議決権比率:100株 / 1,000株 × 100 = 10%

このように、無議決権株が発行されている場合、持株比率と議決権比率は異なる値となる可能性があります。

会社経営に必要な持株比率

持株比率と議決権比率の違い|会社経営に必要な割合についても解説
株主の行使できる権利は、持株の比率ごとに異なります。
持株比率別の行使できる権利は、以下の表のとおりです。

持株比率行使できる権利
持株数が1株以上配当受取権、株主総会の議決権等
持株比率が1%超え提案権(企業の方針や経営について提案する権利)
持株比率が3%以上監査請求権(企業の適正な経営を確認するために監査請求ができる権利)
持株比率が33.4%以上自己株式の取得請求権(自己株式を企業に買い取らせることができる権利)
持株比率が50.0%超単独で重要な決議を通すことが可能
持株比率が66.7%以上議決権の3分の2を有し、普通決議だけでなく、特別決議も単独で可決が可能
持株比率が90.0%以上株主の強制買い上げ(スクイーズアウト)を実行が可能

少なくとも、会社経営には1/2を超える持株比率は必要であることが表から理解できます。

本章では、以下の場合の持ち株比率について詳しく紹介していきます。

  • 持株比率が50.0%(1/2)を超える場合
  • 持株比率が66.7%(2/3)以上の場合
  • 持株比率が90%以上の場合

それぞれ詳しく見ていきましょう。

持株比率が50.0%(1/2)を超える場合

50.0%(1/2)以上の持株比率を有すると、株主は企業の決定において強い影響力を持つようになります。

具体的には、株主総会での普通決議を単独で通すことが可能です。これは、自身が提案した方針や意思決定を、反対意見によって阻止されることなく進められることを意味します。

普通決議とは、企業の日常的な運営に関わる重要な決定のことです。たとえば、役員の選任や報酬、配当の決定、事業計画の承認などが該当します。

このような決定は企業の経営方針を大きく左右するため、50%以上の持株比率を持つことで、経営者は自身の意志を企業の経営に反映しやすくなります。

したがって、会社経営には50.0%(1/2)を超える持株比率が必要といえるでしょう。

持株比率が66.7%(2/3)以上の場合

66.7%(2/3)以上の持株比率を持つ株主は、普通決議だけでなく、特別決議を単独で可決ができます。

会社法等の法律や企業の定款により、特定の重要な決議には株主の66.7%(2/3)以上の賛成が必要な場合があるためです。

特別決議とは、企業の基本的な経営方針や構造を大きく変えるような重大な決定のことです。たとえば、会社の合併や分割、会社の解散、定款の変更などが含まれます。

このような重大な決定を一人で決められるというのは、会社の運営において大きな権限を示しています。

つまり、会社経営においては66.7%(2/3)以上の持株比率を有することで、企業の方向性を大きく左右する重大な決定も自身の意志で動かすことが可能です。

持株比率が90%以上の場合

90%以上の持株比率を持つ株主は「スクイーズアウト」と呼ばれる株主の強制買い上げ権利を行使することが可能です。これは、その株主が企業の残りの株式を保有する小株主から株式を買い取り、企業を完全に私有化できる権利を指します。

スクイーズアウトを行うことで、株主が全ての株式を所有することになり、株式の売買による市場からの影響を受けることなく、自由に企業の経営を行えます。また、企業の全ての利益や資産を独占することも可能です。

ただし、スクイーズアウトを行使する際は、適切な買い取り価格を設定し、小株主の利益を守るための法的な手続きを経る必要があります。これらの手続きは各国の法律や企業の定款により異なります。

持株比率が低い場合に経営権を守る方法

持株比率と議決権比率の違い|会社経営に必要な割合についても解説
経営者として、企業の株式の半分以上を所有していれば、株主総会における重要な決定を単独で通すことが可能です。しかし、安定した経営権を保つためには、持株比率が2/3以上であることが理想的といえます。

なぜなら、2/3以上の持株比率があると、企業の経営に関する重要な事項を自己の意志で決定することが可能になるからです。

株式を分散して所有しており、社長自身の持株比率が2/3を下回っている場合には注意が必要です。この場合、社長自身が一部の決定を下すためには、ほかの株主の合意が必要となります。

さらに、持株比率が2/3を下回る場合、株主との信頼関係の構築が重要となります。経営者自身の持株比率だけでなく、株主との良好な関係が企業の持続的な成長と安定した経営に寄与するからです。

信頼関係を構築するための方法はいくつかあります。定期的なコミュニケーションの確保、透明性の高い情報開示、株主の利益を最優先する経営方針の維持などが考えられます。また、企業の将来計画や戦略について株主と一緒に考え、彼らの意見を尊重することも重要です。

つまり持株比率が低くても、適切な信頼関係の構築と良好なコミュニケーションによって、経営権を守りつつ企業の成功を追求することが可能といえるでしょう。

【持株比率別】株主の名称

持株比率と議決権比率の違い|会社経営に必要な割合についても解説
企業の株主というと、すべてが同じ立場にあると思われがちですが、実際には株主の持株比率により、その役割や名称は変わります。

この持株比率は、その人が企業を所有している割合を示すものです。それぞれの持株比率によって、株主の称号や役割が変わることがあります。

以下に、一部の具体的な例を紹介します。

  • 大株主:企業の株式の10%以上を保有している株主を指します。企業に大きな影響力を持つ可能性があります。
  • 主要株主:企業の発行済株式の20%以上を保有する株主を指す場合が多いです。その企業の運営方針に大きく影響を及ぼすことが可能です。
  • 筆頭株主:全株主の中で最も多くの株式を保有する株主を指します。企業の方針決定に最も大きな影響力を持つことが多いです。
  • 親会社:特定の会社の発行済み株式の議決権の過半数を保有している法人株主を指します。ただし、議決権の過半数を保有していなくても、役員等がその会社の取締役会の構成員の過半数を占め、意思決定機関を支配している場合も親会社と呼ばれることがあります。

株主の持株比率は、株主が企業に対してどの程度の影響力を持つか、またはその株主がどのように認識されるかを示す一因となります。

これらの称号は法的な効力を持つわけではありませんが、一般的な理解を深めるために参考にしてください。

まとめ

本記事では、持株比率と議決権比率の違いや会社経営に必要な持株比率について詳しく解説しました。結論、持株比率は株式の所有している割合を示し、議決権比率は株主の持っている議決権の割合を示します。持株比率と議決権比率は必ずしも一致しないことを留意する必要があります。

また、スムーズな会社経営をするためには、少なくとも1/2を超える持株比率は必要です。仮に株主比率が1/2を切ってしまう場合は、株主との信頼関係の構築が大切です。株主と良好な関係を築いて、経営権を維持しましょう。

よくある質問

持株比率と議決権比率との違いは?

持株比率と議決権比率は、企業の株主の所有比率と影響力を示す指標になりますが、それぞれ違う側面を見ています。 持株比率は、特定の株主が保有する企業の株式の割合です。その株主が企業全体のどれだけを所有しているかを示す指標であり、会社の利益や資産などに対する権利を表します。 一方、議決権比率は、特定の株主が持つ企業の議決権の割合です。その株主が企業に対してどれだけの影響力を持つか示す指標です。 議決権のない株式が発行されている場合、持株比率と議決権比率は異なることがあります。このような株式は持株比率の計算には含まれますが、議決権比率の計算には含まれません。 そのため、株主が企業に対してどの程度の経済的な権利と意思決定権を持っているか理解するためには、これらの両方の比率を考慮することが重要です。

株主の保有割合と権利の関係は?

持ち株比率別の権利は以下の通りです。

持株比率行使できる権利
持株数が1株以上配当受取権、株主総会の議決権等
持株比率が1%超え提案権(企業の方針や経営について提案する権利)
持株比率が3%以上監査請求権(企業の適正な経営を確認するために監査請求ができる権利)
持株比率が33.4%以上自己株式の取得請求権(自己株式を企業に買い取らせることができる権利)
持株比率が50.0%超単独で重要な決議を通すことが可能
持株比率が66.7%以上議決権の3分の2を有し、普通決議だけでなく、特別決議も単独で可決が可能
持株比率が90.0%以上株主の強制買い上げ(スクイーズアウト)を実行が可能


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