• 更新日 : 2022年11月25日

東証マザーズ上場とは?上場基準や条件を解説

東証マザーズ上場とは?上場基準や条件を解説

東京証券取引所が運営している、ベンチャー企業(新興企業)向け株式市場の「東証マザーズ」。東証マザーズには、潜在的に高い成長力をもつ企業が数多く上場しており、企業は資金調達の場として東証マザーズ市場を活用しています。そんな東証マザーズへ上場する基準は何でしょうか。今回は、東証マザーズの上場基準や条件、上場までの流れなどについて解説していきます。
※この記事は2022年2月に作成しました。

東証マザーズとは:新興企業向けの株式市場

東証マザーズとは、東京証券取引所が開設した、成長力の高いベンチャー企業(新興企業)を中心とした株式市場です。東証マザーズは「マザーズ」と呼ばれることも多く、成長性を有する企業へより早く資金調達の場を提供することを目的に、1999年11月に開設されました。2022年2月現在、マザーズ上場企業数は426社に上り、なかには株式会社メルカリやライフネット生命保険株式会社といった知名度の高い企業もあります。

東証マザーズ以外の市場について

東証マザーズ以外に東京証券取引所が運営している株式市場は以下の4つがあります。

  • 市場第一部(東証一部):国内外を代表する規模・実績を誇る企業が上場する株式市場。2,182社が上場中
  • 市場第二部(東証二部):東証一部に次ぐ中堅企業向けの株式市場。473社が上場している
  • JASDAQ(ジャスダック):マザーズと同様に、新興企業向けの株式市場。新興市場の多い「グロース」と、老舗企業も多い「スタンダード」の二部構成。スタンダード・グロース合わせて694社が上場中
  • TOKYO PRO Market:特定投資家(プロ投資家)や非居住者向けの株式市場。50社が上場中している

東京証券取引所では、合計3,825社が上場しています。

東証マザーズに上場するメリットは何?

東証マザーズに上場する主なメリットは以下のとおりです。

資金獲得力の向上

東証マザーズという株式市場から不特定多数の人より多額の資金を調達することができます。また信頼性も上がり、金融機関からの融資も受けやすくなります。

従業員のモチベーション向上および優秀な人材確保

“上場企業で働いている”という意識が従業員のモチベーション向上につながります。また上場企業として会社の知名度が上がり、優秀な人材の応募増加も期待できます。

企業経営の健全化

証券取引所の審査に向けて内部管理体制の強化・充実を通して、企業経営の健全化が図れます。

特に「資金獲得力の向上」はベンチャー企業にとって大きなメリットです。東証マザーズに上場することで、上場前には難しかった大きな資金を調達して、成長を加速させることができます。

東証マザーズ上場企業の時価総額は?

東証マザーズに上場している企業の時価総額はどれくらいなのでしょうか。以下、2022年2月15日時点でのマザーズ上場企業時価総額トップ10をまとめてみました

企業名時価総額
(株)メルカリ5,630億円
ビジョナル(株)2,881億円
フリー(株)2,237億円
日本アセットマーケティング(株)1,262億円
そーせいグループ(株)1,206億円
Appier Group(株)1,031億円
弁護士トッドコム(株)1,013億円
(株)JTOWER945億円
(株)FRONTEO923億円
サンバイオ(株)872億円

全体的にIT企業や創薬企業が目立ちます。特に株式会社メルカリは、2位のビジョナル株式会社の2倍近い時価総額を誇っており、マザーズ市場を牽引していることがわかります。

東証マザーズへ上場するためには?

東証マザーズへ上場をするには、上場目標時期のおおよそ2~3年前から準備をして、上場審査に通る必要があります。上場するまでに対応しなければならない項目には例えば以下が挙げられます。

  • 監査法人(公認会計士)・主幹事証券会社等の選定
  • 資本政策の立案および実行
  • 株式事務代行機関の設置
  • ショートレビュー(予備調査)
  • 上場申請書類作成
  • 株主の整備
  • 各種規定や経理体制などの整備
  • 東京証券取引所へ上場申請

なお、マザーズの審査期間は約2ヵ月と、ほかの株式市場よりも早い上場が可能です。

上場の形式審査基準

上場審査の基準には、数字的な条件である「形式審査基準」と、質的な条件の「実質審査基準」の2種類があります。以下、東証マザーズにおける形式審査基準をいくつか抜粋してみました。

項目基準
株主数150人以上
流通株式数1,000単位以上
流通株式時価総額5億円以上
事業継続年数上場申請日から計算して、1年以上前より取締役会を設置および事業活動をしていること
単元株式数100株

参考:上場審査基準|日本取引所グループ

マザーズに上場するには、少なくても上記の形式審査基準を満たさなければいけません。

上場の実質審査基準

続いて東証マザーズにおける、質的な上場条件である「実質審査基準」を解説していきます。

リスク情報等を適切に運用・管理・開示できるかどうか

「事業活動に大きな影響を与える情報の管理および適宜開示できる体制が整えられたうえで、運用できているか」がチェックされます。上場にあたっては経営等に関するリスク情報の取り扱いはもちろん、開示・運用できる体制を整えなければいけません。

企業経営が健全かどうか

「特定の者へ便宜を図っていないか、(親会社がある場合)親会社から独立性を担保しているか」など企業活動における健全性が審査されます。

コーポレートガバナンスおよび内部管理体制が適切に整備・機能しているかどうか

「コーポレートガバナンス(企業統治)や内部管理体制を適切に整備・機能させて、法令に則り企業活動ができているのか」がチェックされます。内部管理体制を維持するために、人材を確保されているかどうかもポイントです。

事業計画が適切かどうか

「ビジネスモデルや事業環境、リスクをもとに適切に事業計画を策定しているかどうか」も実質審査基準として審査されます。上場したいからといって理想を詰め込んだ事業計画をつくるのではなく、実現可能性の高い事業計画をつくらなければいけません。

投資者保護の体制が整っているかどうか

「業績等に大きな影響を与える係争や紛争を抱えていないか、反社会的勢力の影響を受けない社内体制になっているか」など、投資者の不利益につながる事態を防止し、投資者保護の体制が整っているかどうかも審査の対象になります。

東証マザーズは赤字上場できる

東証マザーズの大きな特徴として、赤字であっても上場することができることが挙げられます。東京証券取引所が発行している「新規上場ガイドブック マザーズ編」には、以下のような記載があります。

(前略)事業ステージが早期であることや未だ黒字化を達成できていないことのみをもって マザーズへの上場可能性を否定するものではありませんが、事業ステージが早期であればあるほど、会社の将来の状況は不確実であり、場合によっては一般投資家の投資対象物件として提供するにはリスクが高いケースも想定されます。

引用:新規上場ガイドブック マザーズ編|日本取引所グループ

上記のとおり、「事業ステージが早期であることや未だ黒字化を達成できていないことのみをもってマザーズへの上場可能性を否定するものではありません」ということが明記されています。赤字だからといってマザーズ上場を諦める必要はありません。

2022年4月に東証市場再編される

ここまで、東証マザーズについて説明してきましたが、2022年4月、東京証券取引所は現在の市場区分を新しく以下3つの市場区分へと再編します。

  • プライム市場:規模・実績のある大企業向けの、東証一部に代わる株式市場
  • スタンダード市場:プライム市場上場企業に次ぐ規模・実績をもつ企業向けの株式市場
  • グロース市場:高い成長力をもつベンチャー企業向けの株式市場

 
再編に伴い、マザーズ市場も廃止され、マザーズ上場企業はグロース市場へと移る予定です。またグロース市場の上場基準は、マザーズの上場基準が採用されます。ベンチャー企業でこれから上場を目指す場合は、グロース市場がひとつの目標になるでしょう。

まとめ

東証マザーズに上場するには、少なくても株主数150人以上、流通株式時価総額5億円以上といった形式審査基準をクリアする必要があります。またリスク情報等の開示体制の整備や内部管理体制の充実など実質審査基準に対する対応も必要です。

2022年4月より東京証券取引所の市場区分が再編されますが、マザーズとグロース市場の上場条件は変わりありません。この記事がマザーズの上場基準をしっかり把握し、グロース市場に上場するかどうか、上場するとしたらいつ頃を目処にするかなどの判断に役立てば幸いです。

よくある質問

東証マザーズの上場基準は?

形式審査基準と実質審査基準がある。形式審査基準として株主数150人以上、流通株式時価総額5億円以上などの基準があり、実質審査基準として企業の健全性などが審査される。

東証マザーズに上場するメリットは?

株式市場より資金調達が可能になるため、資金獲得力が向上する。そのほか、上場による知名度アップから従業員のモチベーションUP、上場準備の過程で経営の健全化が図れるなどのメリットがある。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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上場までの道のりガイド

監修:伊藤達也 (伊藤達也税理士事務所)

伊藤達也税理士事務所
2013年、EY新日本有限責任監査法人金融事業部に入所。証券会社、インターネットメディア事業などの法定監査だけでなくIPO支援や内部統制構築支援に従事。また、創業手帳株式会社、弁護士ドットコム株式会社にてバックオフィス全般及び資金調達業務に従事。会計、税務、内部統制にかかる業務を行う中で、直接会社にサービスを提供するコンサルティングサービスに意義を見出し、2021年事務所設立。慶應義塾大学経済学部卒。