- 更新日 : 2026年4月16日
【ひな形付き】ES(従業員満足度)とは?調査方法、向上への取り組みを解説
職務内容や待遇、労働環境、人間関係など、仕事や職場に対する従業員の満足度を表す指標です。
- 会社が与える環境への満足を指し、貢献意欲を示すエンゲージメントと区別する
- ミッション共感やマネジメント信頼など5つの要素で構成される
- アンケート調査で課題を洗い出し、離職率低下や生産性向上につなげる
不満を防ぐ衛生要因と、やりがいを生む動機付け要因の両面から施策を進めましょう。
ES(従業員満足度)とは、職務内容や待遇などの労働条件、労働環境や福利厚生、人間関係など、仕事や職場に対する従業員の満足度を表す指標のことをいいます。
この記事では、ESの意味や構成要素、ESを高めるメリット、ESの調査方法、ESを高めていく方法などについて解説していきます。
目次
ES(従業員満足度)とは?
従業員満足度は英語のEmployee Satisfactionのことであり、その頭文字からESと呼ばれています。
ES(従業員満足度)とは、職務内容や待遇、労働環境や福利厚生、人間関係など、さまざまな労働条件や職場環境に対する従業員の満足度を表す指標です。
近年、人材不足や人材の流動性の高まりなどもあり、ESを重視する会社が増えてきています。
働き方改革を進めていくうえでも、ESの向上は、会社が取り組むべき課題のひとつです。
ESを高めると、従業員の仕事に対するやりがいや人材の定着率向上の効果が期待できます。
離職者が減少し、従業員が仕事にやりがいを感じて働くことができるようになれば、生産性向上や企業価値向上につなげられるでしょう。
その結果として、顧客ニーズに合った商品やサービスの提供が可能となり、顧客満足度を高められます。
エントリーシートの省略も「ES」と呼ばれるので注意
従業員満足度のことをESと呼びますが、就職活動している学生が会社に応募するために提出する応募書類も、エントリーシートの略称としてESと呼ばれることがあります。
略称が同じESになり、紛らわしいためネット検索などをする際には注意が必要です。
従業員満足度と従業員エンゲージメントの違い
ESとよく混同されやすい言葉に「従業員エンゲージメント」が存在します。
ESが受動的な会社から与えられる環境に対する現状の満足感を指すのに対し、エンゲージメントは能動的な会社に対する自発的な貢献意欲や愛着を指します。
たとえば、給与の高さや休日の多さに満足していても、「自ら進んで新しい業務や困難な課題に挑戦しよう」とまでは思っていない状態があるでしょう。これは「ESは高いが、エンゲージメントは低い状態」といえます。
企業の持続的な成長のためには、両者の違いを理解し、ES(働きやすさ)を満たしたうえで、エンゲージメント(働きがい・貢献意欲)を高める施策を打つ必要があります。
まずは満足度を土台として整え、そこから自発的な貢献意欲へとつなげていく視点が大切です。
従業員満足度が注目される背景
なぜ今、これほどまでにESが注目されているのでしょうか。社会構造の変化により、人材確保の難易度がかつてなく上がっていることが大きな要因です。
ここでは、ESが重視されるようになった3つの時代背景を解説します。
少子高齢化に伴い労働人口が減少している
ES向上の背景にある最も大きな要因が、少子高齢化に伴う労働人口の減少です。
日本全体の労働力そのものが減少の一途をたどっており、自社に適した人材を外部から新たに採用することが年々難しくなっているためです。
たとえば、退職者が出て欠員が生じても代わりの人材を採用できず、事業の縮小や撤退を迫られるケースが急増しています。そのため、採用で欠員を補うという従来のアプローチから、「今いる社員が辞めない職場」をつくるアプローチへと発想の転換が求められています。
人材の流出を防ぎ、事業を維持・拡大するための最重要の経営課題として、ES向上が欠かせないものとなっています。
人材の流動化が進んでいる
人材の流動化が社会全体で進んでいることも、ESが注目される大きな理由です。
終身雇用を前提としない自律的なキャリア形成が一般的になり、ビジネスパーソンにとって転職への心理的ハードルが大きく下がったためです。
入社して数年の若手社員だけでなく、組織の中核を担う中堅層であっても、自らの市場価値を客観的に測り、より良い労働環境や成長機会を求めて好条件の企業へ移る動きが活発化しています。
他社への優秀な人材の流出を防ぐためには、一度きりの給与アップといった一時的な待遇改善ではなく、継続してこの会社で働き続けたいと思える環境づくりが不可欠です。
価値観・働き方が多様化している
従業員が抱く価値観や働き方のニーズが多様化していることも背景に挙げられます。
仕事や会社に求めるものが高い給与だけではなくなり、人によって大きく異なるようになったためです。
給与面だけでなく、ワークライフバランスや社会課題への貢献を重視する人、あるいはリモートワークの可否や副業の解禁といった柔軟な働き方を企業選びの基準にする人が増えています。
昔ながらの画一的な制度だけでは多様な価値観に応えきれなくなっているため、現場の多様なニーズを丁寧に汲み取り、個々の満足度を引き上げるきめ細やかな施策が求められています。
ES(従業員満足度)を構成する要素
ES(従業員満足度)を高めていくためにはどのように進めていけばよいのか、漠然としていて分かりにくいかもしれません。
ESを構成している要素を把握して、それぞれの満足度を向上させていく方法を考えていくとスムーズに進められるでしょう。
ここからは、ESを構成する要素について解説していきます。
① ミッション・ビジョン・カルチャーへの共感
会社が掲げるミッション(使命)やビジョン(将来展望)、カルチャー(企業風土)への共感は、ES(従業員満足度)を構成する要素のひとつになります。
会社が掲げるミッションやビジョン、カルチャーに従業員が共感できれば、従業員は自らの業務に誇りを持って取り組むようになり、会社のために貢献しようと自ら考え行動します。
② マネジメントへの信頼・納得感
マネジメントへの信頼や納得感も大切な要素です。
上司と部下が円滑なコミュニケーションを取れているか、上司が部下の能力を正確に把握して適切な業務指示を出しているか、部下にとって納得感のある評価をしているかなども、ES(従業員満足度)を構成する要素になります。
上司が仕事を丸投げしていたり、部下が正当な評価をされていないと感じたりするような状況では、信頼関係を築くことは困難です。
管理職は、適切なマネジメントができているかを振り返るようにしましょう。
③ 職場における人間関係
会社内の人間関係を理由とした退職は、離職理由の上位になっています。
人間関係が良好でなければ、従業員が仕事に対する意欲を失ってしまうこともあるでしょう。
職場における人間関係は、その職場で働く従業員に強い影響を与えます。
良好な人間関係を保ち、従業員が安心して仕事ができるような職場環境の構築が必要です。
④ 個々人が社会・会社に与える影響
ES(従業員満足度)を構成する要素には、従業員の社会に対する貢献度や会社に与える影響力とも関係性があります。
自分のおこなっている業務は社会に何も貢献していない、自分は会社に何の影響も与えられないと思っていては、ESは低下してしまいます。
自分の仕事が社会への貢献や会社の業績に影響を及ぼしていると感じられることは、ESを高めていくうえで欠かせない要素となるのです。
⑤ 職場環境・福利厚生
職場環境や会社の福利厚生を整備することもES(従業員満足度)を向上させるための取り組みのひとつです。
従業員が利用しやすい福利厚生制度を導入する、就業規則を整備して労働基準法などの法律を上回る休暇制度を設ける、などといった取り組みはワーク・ライフ・バランスを実現しやすくします。
職場環境を整えることで従業員が働きやすくなれば、業務効率が向上するため、ESを高めることにつながっていきます。
従業員満足度を左右する「動機付け要因」と「衛生要因」
ES(従業員満足度)を論理的に考えるうえで非常に役立つのが、アメリカの臨床心理学者ハーズバーグが提唱した二要因理論です。
これは、「満足を生む要因」と「不満を防ぐ要因」は全くの別物であるという考え方です。この2つを分けて捉えることで、自社が打つべき施策の方向性が見えてきます。
満足度を向上させる「動機付け要因」
従業員の満足度を積極的に引き上げるのが、動機付け要因です。
仕事のやりがいや自己実現、成長の実感を直接的に刺激する要素であり、強い満足感やモチベーションを生み出す要因です。
具体的には、難易度の高い仕事への抜擢、責任あるポジションへの昇進、出した成果に対する正当な承認や称賛などが該当します。
動機付け要因が満たされると従業員の意欲は飛躍的に高まります。従業員をより高いパフォーマンスへ引き上げるためには、この動機付け要因へのアプローチが必要不可欠です。
不満を引き起こす「衛生要因」
欠けていると強い不満を招くのが、衛生要因です。
労働環境や給与水準など、従業員が働くうえでの最低限の土台となる、当たり前の条件を指します。
具体的には、給与や賞与などの待遇、労働時間や休暇などの労働条件、職場の設備や人間関係などが該当します。
衛生要因は、改善されても「当たり前の環境が整っただけ」と受け取られやすく、強いやりがいやモチベーションには直結しにくい性質を持ちます。しかし、少なくとも平均的な水準まで引き上げて不満をゼロにすることが、ES向上の大前提となります。
ES(従業員満足度)を高めるメリット
ES(従業員満足度)を高めることは、従業員だけにメリットがあるように感じますが、実際には会社にもメリットがあります。
ESを高めることによって双方が得られるメリットについて見ていきましょう。
離職率が低下する
ESを高めることで得られる最も直接的なメリットは、離職率の低下です。
仕事や環境に満足している従業員は、あえてリスクを冒して他社へ転職するメリットを感じにくくなるためです。
満足度の高い従業員が増えると、ポジティブな口コミが広がって会社の採用イメージアップにもつながります。また、人材の定着が進むことで、従業員が培った貴重なノウハウやスキルが社内にしっかりと蓄積されるという利点もあります。
結果として、新たな人材を採用しゼロから教育するための莫大なコストを削減できるでしょう。
顧客対応が向上し、顧客満足度が高まる
ESの向上は、巡り巡って顧客への対応品質を底上げし、顧客満足度(CS)を高めることにもつながります。
ESが高まると、会社そのものや自社製品・サービスに対する愛着、さらには「もっと会社に貢献したい」という意欲が自然と高まります。
従業員が自発的かつ積極的に業務改善に取り組むようになれば、商品やサービスの質が根底から上がるでしょう。活き活きと誇りを持って働く従業員の姿勢は、接客やサポートを通じて顧客にも必ず伝わります。
従業員を満たすことが、結果として顧客に選ばれ続ける好循環を生み出すのです。
生産性が向上する
組織全体の生産性が向上することも、経営上の大きなメリットです。
仕事の内容、労働環境、待遇、人間関係といった要素に不満がなければ、従業員は余計なストレスを抱えることなく前向きに本来の業務へ集中できるようになります。
集中力が高まって成果が上がり、それが適正に評価されて会社への貢献を実感することで、さらに仕事への意欲が高まるという強力な好循環が生まれるでしょう。
従業員一人ひとりのパフォーマンスの向上が、組織全体の成果を力強く押し上げ、企業価値や業績の向上に直結します。
ES(従業員満足度)の調査方法
ES(従業員満足度)を高めるためには、調査が欠かせません。
ESを調査する方法はいくつかありますが、アンケートによる調査が一般的でしょう。
ここからは、ESの調査方法について解説します。
① 調査の目的を決める
ES(従業員満足度)の調査においては、まず調査の目的を明確にして、目的や概要など、その内容を従業員に周知することから始めます。
目的を明確にしてから調査を実施しなければ、課題があってもその課題を解決する方向性を見い出すことができず、せっかく実施した調査結果が有効活用できないことになってしまうためです。
調査目的を決めるときには、従業員の仕事に対する意欲や働き方を向上させるためなど、目的をなるべく詳細に決めることが大切です。
② アンケートを作成する
目的が決まったら、設定した調査目的に合わせて具体的なアンケート項目を作成します。
目的に沿った的確な設問を用意しなければ、分析に必要な精度の高いデータが得られません。
仕事の内容や職場環境、処遇、人間関係、会社風土、福利厚生といった要素の中から、自社の課題となりそうな項目を中心に設問を組み立てましょう。このとき、設問数が多すぎると回答者の負担になり回収率が落ちるため、本当に必要な質問に絞り込むことが大切です。
また、現場の課題感は役職によって異なるため、管理職と一般職で一部の設問を分けるといった工夫も有効です。
③ 調査を実施する
作成されたアンケートを用いて、実際に従業員へ調査を実施します。
事前に調査の目的や概要、結果の活用方法を従業員へ周知しておくことで、不信感が払拭され回答率の向上が期待できるためです。
回答内容には上司への評価や職場の人間関係といったデリケートなプライバシー情報が含まれる場合があるため、匿名性の担保など情報の取り扱いには細心の注意を払いましょう。
業務の負担にならないよう適度な回答期間を設定することで、無理なく高い回収率を維持しやすくなります。
④ 結果を分析する
回答を回収した後は、集まったデータをもとに調査結果を詳細に分析します。
最初に定めた調査目的に沿って集計・分析をおこなうことで、組織に潜む根本的な課題を明確にできます。
まずは単純集計で組織全体の傾向をつかみ、次に「部署別」や「年代別」といった属性ごとに比べるクロス集計をおこないましょう。どの層に課題が集中しているのかを探ります。項目同士の相関関係を見る分析も組み合わせると、不満の原因がより立体的になります。
また、数値データだけでなく、自由記述欄に寄せられた現場の生の声も合わせて読み解くことが課題発見につながるのです。
⑤ 結果をもとに改善する
分析結果から浮き彫りになった課題に対して、具体的な改善策を策定し実行に取り組みます。
調査を実施してデータを集めただけで「やりっぱなし」にしてしまうと、従業員の期待を裏切ることになり、かえって満足度や会社への信頼感が下がってしまいます。
労働条件の是正、人事評価制度の透明化、福利厚生の見直しといった見つかった課題に対し、影響度や緊急度から優先順位を決定したうえで対策を講じましょう。
人事部だけでなく経営層も含め、会社が一体となって改善に取り組む姿勢を見せることが、ESの確実な向上につながります。
ES(従業員満足度)調査の無料テンプレート・ひな形
従業員満足度調査を実施し、組織の成長につなげるためには、適切なツールが欠かせません。
自社に合わせたシートを1から作成するのは手間がかかりますが、テンプレートを活用すれば、運用を効率化できます。
マネーフォワード クラウドでは、今すぐ実務で使えるES(従業員満足度)調査のテンプレートを、エクセルとワードの形式で無料でダウンロードできます。
自社の様式に合わせてカスタマイズし、ぜひご活用ください。
ES(従業員満足度)を高める方法
ここまで、ES(従業員満足度)を高めるメリットや調査方法について見てきました。
それでは、具体的にどのようにESを高めていけばよいのか、その方法について解説します。
異動や配置を柔軟におこなう
従業員の適性やキャリア志向に合わせて、異動や配置転換を柔軟におこなう仕組みを整えます。
自身の能力や適性に合致した仕事に就くことでモチベーションが上がり、結果としてESが高まりやすくなるためです。
会社都合の配置だけでなく、定期的な面談で本人の希望を丁寧にヒアリングし、能力や適性を最大限に活かせる異動・配置を検討することが大切です。
また、新規プロジェクトや空きポジションに対して自ら応募できる「社内公募制度」を設けることで、意欲のある社員が自律的に手を挙げやすくなり、成長実感を後押しできるでしょう。
職場環境を改善する
物理的および制度的な職場環境を、従業員が働きやすい状態へと改善します。
日々の業務を行う環境の快適さが、従業員の定着率や生産性の向上に直接つながります。
部署間のコミュニケーションが取りにくい物理的なレイアウトであれば、フリーアドレスやリフレッシュスペースを設けるといった対策が効果を発揮するでしょう。
また、フレックスタイム制やテレワークなど、時間や場所にとらわれない柔軟な勤務形態の導入も、多様な働き方を支援し満足度を大きく高めます。
労働時間を削減する
長時間労働を削減し、定時内で成果を出せるよう業務プロセスを根本から効率化します。
慢性的な残業や非効率な業務過多は、従業員の心身を疲弊させ、ESの著しい低下や離職を直接的に招くためです。
不要な業務を洗い出して削減・自動化を進めることで、組織全体の残業時間の短縮を図ります。同時に、特定の優秀な社員にだけ残業が偏っていないか、業務の偏在もあわせて確認し是正します。
労働時間の削減はワークライフバランスの充実と「いきいきした働き方」につながり、結果的に定着率や生産性にも大きくプラスに働くでしょう。
業務を効率化する
業務そのものの無駄を省き、スムーズに仕事が進むよう効率化を推進します。
手続きが煩雑であったり、非効率で形骸化したルールが残っていたりすると、本来の業務に集中できず日々の意欲を削いでしまいます。
具体的には、紙の申請書を用いた稟議のペーパーレス化や、参加人数が多すぎる形骸化した定例会議の時間・人数の見直しなどを積極的に進めましょう。
無駄な作業ストレスを減らすことで本質的なコア業務に集中できるようになり、現場の意思決定のスピードも上がります。障害なく仕事が進む環境が、従業員のフラストレーションを和らげます。
評価制度を見直す
従業員の努力が正しく報われるよう、人事評価制度を透明性の高いものに見直します。
「これだけ頑張って成果を出しても正当に評価されない」という不満は、組織への不信感を生み、優秀な層の流出を真っ先に招きます。
最終的な売上などの結果だけでなく、そこに至るプロセスや挑戦の姿勢も評価する目標管理(MBOなど)の仕組みを導入し、評価の理由を1on1面談で上司から丁寧にフィードバックしてもらう仕組みがおすすめです。
あいまいな説明やブラックボックス化した評価はモチベーションの低下に直結するため、公平で誰もが納得できる分かりやすい評価基準を整えることが、次の成果へ向けた強い動機づけになります。
レポートラインを整理する
組織内の指揮命令系統を明確に整理し、風通しを良くします。
「誰に相談し、誰に報告・承認をもらうべきか」が不明確な状態だと、業務の遅れや現場での混乱を招き、無用なストレスを生んでしまいます。
組織図を常に最新の状態にアップデートし、複雑で階層の深い承認フローをできるだけフラットに見直します。
指示系統や相談先が明確になることで若手社員も迷わず動きやすくなり、シンプルな構造が現場の意思決定を早め、業務推進のストレスを取り除けるでしょう。
福利厚生を整える
従業員の生活を多角的に支援する福利厚生制度を整え、充実させます。
手厚く実利的な福利厚生制度は、従業員の生活基盤を安定させ、会社へのエンゲージメントを育む要因となります。
住宅手当や食事補助、スキルアップのための研修補助や健康支援など、自社で働く従業員の属性やニーズに本当に合ったものを調査して検討しましょう。
一方で、過去に導入したものの現在はほとんど使われていない形骸化した制度については、内容の見直しや縮減・廃止まで視野に入れ、浮いた予算をニーズの高い制度へ再配分する工夫が必要です。
ES(従業員満足度)が高い会社の事例
2024年版の日本における働きがいのある会社ランキングのベスト100の中から、ES(従業員満足度)が高い会社の具体的な取り組み事例を見てみましょう。
参考:2024年版 日本における「働きがいのある会社」ランキング|Great Place To Work Institute Japan
株式会社あつまる
集客プラットフォーム事業を展開する株式会社あつまるでは、半期に一度、特に素晴らしい成果を収めた従業員の功績をたたえる表彰制度を実施しています。
非日常体験や国内研修、海外研修などが表彰内容によって贈られ、表彰された従業員は国内外の一流の方々の価値観を学ぶことができます。
このような表彰制度も、従業員のモチベーション向上につながり、ESを高める取り組みといえるでしょう。
株式会社All Ads
革新的なマーケティングにより世界を牽引する企業になることをビジョンに掲げる株式会社All Adsでは、従業員が常にベストな状態で仕事ができるように働く環境を提供しています。
ワークスペースにはミーティングスペースやソファーが配置され、カフェラウンジはリフレッシュスペースとして多目的に利用できます。
そのほか、恋活休暇や結婚記念日休暇、誕生日休暇といった休暇制度や、認可外保育園補助、子供手当、住宅手当など、従業員をサポートする制度が充実しています。
DHLジャパン株式会社
物流業界の大手企業であるDHLジャパン株式会社では、毎年無記名式の従業員を対象とした意識調査を実施しています。
従業員の生の声が反映された調査結果をもとに、働きやすさの改善や向上につながるアクションを実行しており、日本では99%の従業員がこの調査に参加し、職場環境の改善に生かされています。
従業員目線で課題や問題点を精査し、即時実行に移すことは、ESを高める取り組みです。
こうした取り組みが、従業員同士の一体感の醸成に結び付いています。
アチーブメント株式会社
人材教育コンサルティング事業を行うアチーブメント株式会社では、組織の理念に共感した人材を採用し、育成の体系を整えることで、ES(従業員満足度)が高い組織を目指しています。
一人ひとりの付加価値を高めるための、理念から一貫した社員教育に力を入れています。
従業員同士が支援し合える組織風土づくりにも取り組んでいます。
株式会社ディスコ
精密加工装置の製造・販売事業を行う株式会社ディスコでは、従業員満足志向の経営に力を入れています。
無記名による従業員満足度調査を2003年度から実施し、経営陣で構成されるESコミッティで改善策を議論しています。
100を超える調査項目のすべてに目を通して状況を把握し、調査結果を全従業員にフィードバックしています。
従業員満足度を高めることによる企業収益向上の好循環を生み出すための投資を、積極的に行っています。
ES(従業員満足度)調査を実施・向上させる際の注意点
ES調査は、組織を良くするための有効な手段ですが、進め方を誤るとかえって従業員の不満を煽り、逆効果になるリスクもあります。
調査自体を実施することが目的化しないよう、前後のコミュニケーションやフォローに十分配慮することが大切です。せっかくの調査を確実な成果に結びつけるための注意点を解説します。
事前に組織全体の理解と協力を得る
調査を実施する前に、経営層から現場の従業員まで、組織全体の深い理解と協力を取り付けることが大切です。
調査の目的や結果の扱いが不明確なまま突然実施すると、「会社に不満分子として特定されるのではないか」と警戒され、建前の回答ばかりで本音が集まらなくなってしまうためです。
全体会議や社内報、社内メルマガ等を通じて、「これは評価のためではなく、より良い職場づくりを行うための取り組みである」と、トップ自らが直接メッセージを発信することが有効です。
「回答が個人の評価に悪影響を及ぼすことは絶対にない」と匿名性を強く保証し、協力的な土壌を事前につくることが、精度の高いデータ収集の前提となるでしょう。
結果は必ず従業員へフィードバックする
集計された調査結果は、良い内容であっても悪い内容であっても、必ず従業員全体へフィードバックをおこなう義務があります。
従業員が勇気を出して届けた声が「確かに経営陣に届いている」と示すことが、会社への信頼を保つために必要なプロセスです。
たとえば、会社に対する厳しい評価や不満が浮き彫りになった場合でも、それを隠さず真摯に公開し、課題を認めたうえで今後の改善アクションを具体的に示しましょう。
調査結果のサマリや改善方針を速やかに全社へ共有し、「回答しても何も変わらない」という徒労感を抱かせない透明性の高い対応が、次回の調査に対する協力姿勢を育みます。
不満の解消だけで終わらせない
調査で見えた課題に対応する際、労働環境への「不満の解消」だけで終わらせない視点を持つことも重要です。
前述の「二要因理論」の通り、残業時間や給与といった衛生要因の不満を取り除くだけでは、マイナスがゼロになるだけで、本当の意味でのモチベーションの向上にはつながりません。
残業時間の削減やオフィスの環境改善といったマイナス要因の解消と並行して、社内表彰制度の充実や、裁量のある仕事への抜擢といった「やりがいを刺激する仕組みづくり(動機付け要因)」も同時に走らせる必要があります。
不満の解消とやりがいの向上というふたつの軸で改善サイクルを回すことが、本質的で持続的なESの向上につながります。
ES(従業員満足度)を高めて会社も従業員もWin-Winの関係に
ESを高めていかないと、従業員のモチベーションが上がらず、離職率が高くなってしまいます。結果、生産性が上がらないといった、会社従業員双方にメリットのない状況になってしまうでしょう。
ES調査などで改善点を洗い出し、それを見直すことによって、ESを高められます。
それが従業員の満足感を生み出し、生産性を上げ、会社の業績や顧客満足度の向上にもつながります。
ESを高める対策を行って、会社も従業員もWin-Winの関係になるように進めていきましょう。
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