• 更新日 : 2023年6月1日

内部統制強化を効率的に行っている企業は何をしている?ワークフローシステムの他社事例を公開!

内部統制のメリットは、オペレーションが安定する・法令順守を徹底できることですが、一方で、誤った効率の悪い内部統制にしてしまうと業務工数が想定より増加したり、経営の意思決定が遅くなったりするデメリットにもなる可能性があります。

上手く行っている会社は、ワークフローシステムといった最新のツールを入れて内部統制の目的を達成しながらも効率的に運営し、その内部統制のメリットをより受けています。

本日は、内部統制の効率的な運営方法について、他社事例も踏まえながら解説します。

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内部統制をわかりやすく説明

内部統制とは、経営目的を達成するために構築していく組織的なシステムのことを指します。はじめに内部統制について整理しましょう。

内部統制の4つの目的

内部統制には4つの目的があり、これらの目的を達成することで事業推進をよりリスクを低減しながら効率的に前へと進めることが可能となります。それぞれ見ていきましょう。

1.業務の有効性及び効率性

事業目的を達成するためには、業務を効果的かつ効率的に運営する必要があります。内部統制は事業活動の透明性が増し、安全性も確保される上に、業務やオペレーションが標準化されていくため、業務の有効性や効率性をより高めることが可能です。

具体的には、勘・経験といわれるものが、正しく言語化されていくため、ひとりで進めなければならなかった業務も分掌し、全体の業務をより効率よく機能させることができます。

2.財務報告の信頼性

財務情報は、企業の経営状況を判断する上で重要な情報であり、粉飾決算など、虚偽の記載が行われると、投資家や銀行などは多大な損失を受けます。それだけリスクのある財務情報であるため、不正や虚偽の表示がないことを監査法人等より証明をもらうことができれば企業の信頼性を大きく高めることが可能です。

3.事業活動に関わる法令などの遵守

企業は事業活動によって利益を求めますが、利益を追求するあまり順守すべき法令やルール、社会的な一般規範に違反してしまうと罰せられ、最悪の場合には事業を継続することができなくなります。企業全体で法令順守をする文化を持つことも重要になります。

4.資産の保全

事業を行うためには資産が必要ですが、皆さんがご想像されるような建物といった固定資産だけでなく、アイデアやノウハウのような無形の固定資産や、その無形資産を開発していく人材も、企業を成長させるために必要な資産となります。このような資産を取得・廃棄する一連のプロセスを整備し、運用の徹底をしていくことが重要となります。

内部統制の6つの基本的要素

目的について見ていきましたが、これらの目的を達成する上で必要な内部統制の要件として6つの要素が必要とされています。それぞれ確認していきましょう。

1.統制環境

統制環境とは、内部統制をつくっていく上で基礎となる、いわゆる「企業文化」にあたるものとなります。統制環境の良さがすべての内部統制が遵守されるかどうかにも影響されてくるため、重要な要素となります。この統制環境は、会社を形づくる「経営者の意向と姿勢」が統制環境をつくるものといわれています。

2.リスクの評価と対応

内部統制においてリスクマネジメントは重要な要素です。具体的には、事業を運営していく中でリスクを識別、分析、評価します。その上で内部統制の設計といった、想定されるリスクへの適切な対応を行うプロセスを指します。

3.統制活動

経営者の指示や命令が、会社において着実に実行されるための方針と手続きを、統制活動といいます。具体的には、権限および職責の適切な付与と、それに基づく職務の分掌や相互チェック体制などが挙げられます。

4.情報と伝達

内部統制を実現するために必要とされる情報を、従業員が識別、把握、処理し、経営者や外部顧客といった組織内外に対して正しく伝達し、相互にコミュニケーションを取れる状態のことを指します。

5.モニタリング

内部統制が有効に機能していることを継続的に監視し、評価するプロセスです。例えば、業務に関する作業者と上長承認者がある場合には、作業者は適切なフィードバックを受けられているかモニタリングして確認します。

6.ITへの対応

組織の事業活動に必要とされるITを適切に導入し、情報の迅速な伝達、ログ情報の調査体制、規程など、各種マニュアル化などへ対応することを指します。

近年では、IT統制というワードも流行してきました。システム自体の安全性を確かめたら、監査上の運用評価は1~2件だけ見て終わらせることができるため、効率的な監査対応を行っていく上でもITへの対応というのは重要になっています。

内部統制を効率的に行うには?

内部統制を効率的に運営するためには大きく2つのポイントがあります。

【設計時】本質的に重要な箇所について最小限の工数で達成できる統制にすること
【運用時】設計した内部統制の運用は、極力電子化していくこと

それぞれのフェーズについて詳しく説明していきましょう。

【設計時】本質的に重要な箇所について最小限の工数で達成できる統制にすること

内部統制は、すなわち各リスクに対して統制というルールや仕組みを導入しリスクを許容範囲内に抑えていく活動となります。そのため、入れようと思えばいくらでも統制を設定できてしまいます。

内部統制設計担当者としては、本質的に重要なリスクは何かというのを捉え、それに対して最も有効的な統制を考える必要があります。監査法人のアドバイスをもらいながら設計するとはいえ、監査法人の方は社内の人間ではありません。

社内の業務に一番詳しい内部統制の設計担当者が監査法人に現状を正しく伝え、不必要な統制を社内から発信し、監査法人の提案を取り下げていく必要があります。

監査法人との内部統制に関する交渉をうまく進め、最小限の工数で本質的に重要なリスクに対応をしていくという心構えが重要です。

【運用時】設計した内部統制の運用は、極力電子化していくこと

内部統制の運用は申請・承認といったプロセスを中心に行われていくことになりますが、これらは今まで「ハンコ」を使い、紙中心に行われてきました。

しかしコロナ禍の影響もあり、最近ではリモートワークを前提とした会社が非常に増えています。そんな中で紙を使った内部統制の運営となると、ハンコで承認をもらうために申請書を申請者・承認者間で郵送して回す必要があったり、出社されるまで承認を待つ必要があったりと、意思決定スピードが落ちるだけでなく、業務工数がより増加してしまいます。

そのため、内部統制の運用に関しては、電子上で行えるようシステム導入を進め、運用負荷をスリムにしていくことが重要です。

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内部統制強化を効率的に行っている企業は何をしている?

では、具体的にどういったアクションを行えばよいのでしょうか。さまざまな方法がありますが、代表的な例として「ワークフローシステムの導入」があります。

ワークフローシステムとは?

ワークフローシステムとは、稟議申請書や通知書を電子化し、あらかじめ定められたプロセスに従って、決済や発信の処理を行うことができるツールになります。

稟議・報告書・届出申請といった承認プロセスを電子化して、業務効率化やスピードアップだけでなく、システムによりプロセスが徹底されるため内部統制の強化にもつながります。

効率的な内部統制強化になぜワークフローシステムが選ばれるのか

効率的に内部統制を強化する際に、なぜここまで多くの企業にワークフローシステムが選ばれるのでしょうか。理由としては以下のものがあげられます。

過去の稟議等の検索が容易

内部統制の運用状況について、監査法人から資料の提出を求められます。また、日々の業務の中で過去の申請承認状況を確認する必要がある場面は多々あります。その際にワークフローシステムがあると、すぐに過去情報を検索することができることは効率的に運営する上で重要となります。

ハンコを押すために出社する必要がない

紙を前提とした内部統制の場合、「ハンコを押すためにわざわざ出社……」といったことがありましたが、ワークフローシステムを導入すれば、すべてシステム上で手続きするため、わざわざ出社をする必要がありません。アフターコロナの働き方を考えれば、ハンコのために出社というのは、従業員にとって負担をなることが予想されるため、留意すべき点といえるでしょう。

権限に従った内部統制を確実に設計できる

上場直前直後の会社は、まだまだ成長フェーズで組織異動も多いでしょう。組織異動に合わせて権限・承認者のフローを柔軟に変更していくことは、管理部の負担となります。

ワークフローでは、こうした組織変更についてもスピーディーに対応が可能となっています。

支払や経費精算に紐づけることも可能

最近のワークフローシステムでは、経費精算や支払に紐づけることも可能です。申請が形骸化することなく、最終的なキャッシュアウトまで確認できるため、内部統制機能の強化のみならず、予算管理といった業務にも貢献することができるでしょう。

ワークフローシステムを導入した企業事例を紹介!

例えば、財務報告の目的に関連した内部統制として「会計仕訳の申請承認」といったものがあります。従来は仕訳の承認のため、その都度仕訳帳を印刷し、そこに経理担当者と上長がハンコを押して承認を行うというのが一般的でした。

最近では、クラウド会計システムを導入する企業も多くなってきています。上場基準に耐えられ、上場実績のある会計システムを選ぶことが重要です。

上場を見据えてクラウド会計システムを導入した企業の導入事例もいくつかあるため、参照してみてください。


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効率的な内部統制についてご理解いただけましたでしょうか?

今回は、効率的な内部統制の強化方法について説明しました。内部統制は設計や運用を誤ると企業にとって大きな負担となりかねません。他社の事例を参考にしながら、効率的な設計を行っていきましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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