• 作成日 : 2024年5月10日

設備資金とは?運転資金との違いや日本政策金融公庫からの借入時の注意点を解説

店舗の開業やオフィスを契約するなど、事業を始めるために必要な資金の調達に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。

事業を始めるために必要なお金として、設備資金があります。設備資金を適切に調達することは、ビジネスの発展において重要なステップです。

本記事では、設備資金の概要や運転資金との違い、借り入れる際の融資条件などを詳しく解説します。

設備資金とは

設備資金とは?運転資金との違いや日本政策金融公庫からの借入時の注意点を解説
設備資金とは、企業が事業運営のために必要な機械や設備の購入、更新、または改善に充てるための資金のことです。

設備資金を調達するには自己資金の投入のほか、リース契約や金融機関から融資を受ける方法があります。

銀行ローンは一般的に低利で長期的な資金調達が可能ですが、厳格な信用審査が必要になるケースもあります。

一方、リース契約を利用すると、大きな初期投資をせずに最新の設備を利用開始することが可能です。

設備資金の項目例

設備資金とは?運転資金との違いや日本政策金融公庫からの借入時の注意点を解説
設備資金に該当する項目の例として、主に以下5つがあります。

  • 店舗や事務所、オフィス、医院などの敷金・礼金
  • 店舗や事務所、オフィス、医院などの内装工事費
  • 店舗や事務所、オフィス、医院で使う備品購入費
  • Webサイトの作成費用
  • ソフトウェアの導入費用

たとえば、飲食店を開業する場合、店舗を借りるための物件の敷金や保証金、内装や外装工事費用、Webサイト制作費などが該当します。

設備資金は、事業運営に必要不可欠な機器やサービスなどを購入するために用いられる資金です。

設備資金と運転資金の違い

設備資金とは?運転資金との違いや日本政策金融公庫からの借入時の注意点を解説
設備資金と運転資金は、どちらも企業がスムーズに運営を行うために不可欠な資金ですが、その使用目的と期間に大きな違いがあります。

設備資金は、主に企業が事業活動を行うために必要な物理的な資産や設備を購入、改修、または更新するために用いられます。これには機械や建物、大型のITシステムなどの長期的な投資が含まれ、通常、これらの資産は企業の収益能力を長期にわたってサポートするためのものです。

一方で運転資金は、企業の日常的な運営活動を支えるために必要な資金です。これには原材料の購入、従業員の給与支払い、その他の短期間で消費される費用が含まれます。運転資金は流動性が高く、企業の日々の活動を円滑に行うためにすぐに使われることが特徴です。

設備資金と運転資金の特徴

特徴
設備資金支払いは一時的
運転資金支払いは継続的

例えば、美容院の場合、設備資金と運転資金はそれぞれ以下のように分けられます。

例)美容院の設備資金・運転資金

項目例
設備資金
  • 敷金(店舗保証金)
  • 内外装工事費
  • 美容器具購入費
  • その他、レジなどの設備購入費
  • 運転資金
  • 広告宣伝費
  • 美容師を採用するのにかかる費用
  • 材料費
  • 家賃や光熱費など

  • 創業時は運転資金より設備資金のほうが高額になる傾向があるため、創業するまでにある程度資金を貯めておくことがおすすめです。

    借入の返済期間

    設備資金と運転資金に、借入の返済期間の長さがあります。

    設備資金は、企業が長期的な成長と競争力の強化を目的として、新しい機械や設備の購入、既存設備のアップグレードに投資するために使用されます。

    これらの投資は企業の基盤を強化し、長期間にわたって収益を生み出す能力を向上させるため、設備資金の返済期間は通常長く設定されているのです。

    対照的に、運転資金は企業の日常運営に直接関連する短期的な資金ニーズを満たすために用いられます。これには、在庫の購入、日々の運営費、短期的な債務の支払いなどが含まれます。運転資金の返済期間は短いことが一般的で、これは運用資金が消費される速度が速く、回転が早いためです。

    例として、日本政策金融公庫が設備資金向けに行っている「一般貸付」と「新規開業資金」の融資では、設備資金と運転資金で返済期間に以下のような差がつけられています。

    日本政策金融公庫「一般貸付」「新規開業資金」の返済期間

    設備資金運転資金
    一般貸付10年以内(うち据置期間2年以内)5年以内(うち据置期間1年以内)
    ※特に必要な場合7年以内
    新規開業資金20年以内(うち据置期間5年以内)10年以内(うち据置期間5年以内)

    ※2024年4月時点
    出典:
    日本政策金融公庫|一般貸付
    日本政策金融公庫|新規開業資金

    根拠資料

    設備資金と運転資金の違いとして、借入時に提出する必要がある根拠資料が異なることがあります。

    設備資金を借りる際には、企業が投資する具体的な設備や機械の見積書領収書の提出が求められます。これは、融資する金融機関が資金を指定された目的、つまり設備の購入やアップグレードに正確に使用されることを確認するためです。

    見積書は、購入予定の設備の価格や仕様、購入先といった詳細を事前に明確にし、金融機関がリスクを評価しやすくするために重要です。また、領収書は資金が適切に使用されたことを証明する役割を果たし、融資後の監査やフォローアップにおいて中核的な役割を担います。

    運転資金の場合は、通常、企業の流動性や短期的な資金需給を支援するために使用されるため、資金の使途が多岐にわたり、同様の具体的な文書の提出要求は少ないことが一般的です。その代わり、運転資金を借りる際には、企業の信用状況や現金流の健全性が主に評価されます。

    提出が必要な根拠資料
    設備資金
  • 見積書
  • 領収書
  • 運転資金
  • 事業計画書
  • 財務諸表 など
  • 日本政策金融公庫から設備資金を借り入れる際の融資条件

    日本政策金融公庫は、中小企業や個人事業主が設備投資を行うための資金を支援するために、特定の融資プログラムを提供しています。

    設備資金の融資を受ける手段として、日本政策金融公庫では「一般貸付」と「新規開業資金」があり、それぞれ融資条件が異なります。

    一般貸付新規開業資金
    対象ほとんどの業種の中小企業の方新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方
    融資限度額4,800万円7,200万円(うち運転資金4,800万円)
    返済期間10年以内(うち据置期間2年以内)20年以内(うち据置期間5年以内)
    利率(年)基準利率(返済期間、または担保の有無によって異なる)基準利率(ただし、特定の要件に該当する方が必要とする資金は特別利率)
    ※原則として土地にかかる資金を除く

    一般的に、創業時は多くの資金が必要になるため、創業する際は新規開業資金を利用したほうが良いでしょう。

    ※2024年4月時点
    出典:
    日本政策金融公庫|一般貸付
    日本政策金融公庫|新規開業資金

    設備資金を借り入れる際の注意点

    設備資金とは?運転資金との違いや日本政策金融公庫からの借入時の注意点を解説
    日本政策金融公庫など金融機関から設備資金の融資を受ける際には、主に以下の注意点があります。

    • 事業に関係ない費用は含められない
    • 資金使途や金額の変更はできない

    詳しく解説します。

    事業に関係ない費用は含められない

    日本政策金融公庫など金融機関から設備資金として融資を受ける場合には、事業に関係のない費用を含められません。

    設備資金は、新しい機械や設備の購入、既存の設備のアップグレード、または事業拡張のための施設投資に充てられるものです。

    資金がこれらの明確な目的に沿って使用されることを保証するため、金融機関は融資前に詳細な事業計画や投資計画の提出を求めます。

    設備資金の対象にならない費用は、主に以下の通りです。

    設備資金の対象にならない費用の例

    • 店舗付き住宅を購入する場合の住宅部分
    • 株式会社など法人を設立するための資本金
    • 増資のための出資金

    事業に使用するものなのか厳密に確認し、使用するものであればその根拠を説明できるようにすることが重要です。

    出典:日本政策金融公庫|よくあるご質問 事業を営む方 個人・小規模企業の方(国民生活事業)

    資金使途や金額の変更はできない

    設備資金を借り入れる際、特に注意すべき点の一つが、資金の使途や金額に関して後から変更を加えることができないという制約です。

    設備資金は、申請時に提出された事業計画や投資計画に基づいて承認されます。これらの計画には、購入する設備の種類、必要な金額、予想される収益の増加などが詳細に記されており、金融機関はこれらの情報に基づいてリスクを評価し、資金の提供を決定します。

    したがって、一度承認された融資条件、特に資金の使途や金額は、原則として変更が許されません。

    特に日本政策金融公庫など金融機関から設備資金として融資を受ける場合には、資金使途や金額の変更はできません。

    仮に設備資金として融資を受けた後に運転資金として使うなど、本来の使途以外に使った場合は、資金使途違反とみなされペナルティが課されます。

    出典:日本政策金融公庫|日本公庫 中小企業事業資金のご利用にあたって

    まとめ

    事業を開始する際には、店舗の開設やオフィス契約など、多額の設備資金が必要になります。この資金を効果的に調達する方法を理解することは、ビジネスの成功に不可欠です。

    特に、設備資金は長期的な投資に使われ、運転資金と異なり、その資金使途や金額の変更は許されない点に注意が必要です。また、資金調達の際は、見積書や領収書の提出が求められるため、事前の準備が重要となります。

    よくある質問

    設備資金とは?

    設備資金とは、企業が事業運営のために必要な機械や設備を購入したり、修繕したりする際の費用です。

    設備資金と運転資金の違いは?

    設備資金と運転資金は、資金の使用目的と支払いの発生する期間が異なります。 設備資金は、企業の収益能力を長期にわたってサポートするための設備を購入するために必要な資金で、一時的に支払いが発生するものです。 一方で運転資金は、企業の日常的な運営活動を支えるために必要な資金で、継続的に支払いが発生します。


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