更新日 : 2022年5月30日

東京プロマーケットとは?上場にかかる費用や申請スケジュールを紹介

    東京プロマーケットとは?上場にかかる費用や申請スケジュールを紹介

    事業を拡大するために上場したいけれど、グロース市場やスタンダード市場は、ハードルが高くて上場をあきらめているという事業主はいませんか?そのような場合は、新規上場の要件や、上場維持の基準が緩和されている東京プロマーケットを選ぶことも選択肢のひとつです。この記事では、東京プロマーケットの特徴や審査基準について紹介します。会社の知名度や信用を上げたい事業主は、ぜひお読みください。

    東京プロマーケットとは?

    東京プロマーケットとは、東京証券取引所(以降、東証)が運営している株式市場のひとつです。「プロマーケット」、またはTOKYO PRO Marketの頭文字をとって「TPM」といわれることもあります。

    東証は2022年3月時点で、東証一部、東証二部、東証マザーズ、JASDAQの4つの一般市場と、プロ向け市場の東京プロマーケットを運営しています。一般市場は、個人・法人(企業)を問わず、誰でも投資家として市場に参画できますが、プロ向け市場に参加できるのは、東京プロマーケットの基準を満たしている特定の投資家(プロ投資家)のみになります。基準を満たしていない投資家は、東京プロマーケットに参画することはできません。

    一般市場を利用して企業が資金調達をするためには、4つの一般市場のいずれかに上場することが必要です。そのため、企業は、株主数や利益額などの厳格な基準を満たすことが求められます。このように、上場するための厳格な審査基準を設けることで、投資の知識が多くない投資家が、損失を被るリスクを最低限とし、ある程度安全な株取引が行えるのを担保しているのです。

    上場すれば、企業は株式市場を通じて投資家から幅広く資金調達をできるようになります。しかし、上場基準を満たすためには、膨大な準備期間と費用が必要です。さらに、上場後は最低でも半年に1回は決算の開示や監査法人による内部統制監査が必要になり、継続的な企業側の労務負担やコスト負担が必要となります。

    しかし、地方企業などの中には、上場によって知名度を上げて人材を確保したいなど、上場の目的が資金調達ではない場合があります。そうした企業が、必要以上に時間とお金をかけて一般市場に上場するのは、得策とはいえません。

    東京プロマーケットは、このような企業のニーズの受け皿となるために誕生しました。東京プロマーケットは、一般市場に比べて上場基準が柔軟に設定されています。その反面、投資家の企業の将来性を見る力が一般市場以上に求められるので、市場へ参画できる者を特定投資家に限定しているのです。

    他の株式市場との違い

    東京プロマーケットと一般市場との大きな違いは、上場基準にあります。東京プロマーケットには、一般市場に上場するために必要な株主数の基準や流通株式数の基準に制限がありません。上場企業数はまだ少ないですが、上場企業数は毎年増加傾向にあり、東京プロマーケットへの上場を足がかりに、一般市場に上場するケースも生まれています。

    市場別の上場企業数と上場基準(2022年3月21日時点。東京プロマーケットは12月末時点)

     東京プロ
    マーケット
    東証一部東証二部東証マザーズJASDAQ
    上場企業数472,181475430690
    株主数基準制限なし800人以上400人以上150人以上400人以上
    流通株式数基準

    制限なし2万単位以上2千単位以上1千単位以上2千単位以上

    東京プロマーケットの上場基準

    東京プロマーケットの上場基準は、J-Adviserが調査・確認する、J-Adviser制度を採用し、基準を設けています。J-Adviserの詳細については、後述します。

    上場基準調査・確認のポイント
    新規上場申請者が東証の市場評価を害さない、東証に相応であること・法律体系・会計体系・税制などを理解している
    ・予算統制(年次/半期/月次)が整備されている
    ・上場予定日から12ヶ月間の運転資金を確保している
    新規上場申請者が事業を公正かつ忠実に遂行していること関連当事者取引や経営者が主体的に取引の状況を把握し、牽制する仕組みがある
    ・代表取締役や社員の資質に問題がない
    新規上場申請者のコーポレート・ガバナンスおよび、内部管理体制が、企業規模や成熟度などに応じて整備され、適切に機能していること・社内規定が整備され、適切に運用されている
    ・事業運営および、内部管理に必要な人員が確保されている
    ・法令遵守のための社内体制が整備され、適切に運営されている
    新規上場申請者が、企業内容、リスク情報などの開示を適切に行い、開示義務を履行できる体制を整備していること・上場後の開示体制が整備され、開示規則・開示義務に対し十分な理解がある
    ・内部者取引および情報伝達・取引推奨行為防止のための体制が整備されている
    反社会勢力との関係を有していないこと。その他、公益または投資者保護の観点から東証が必要と認める事項・反社会勢力との関係がない
    ・反社会勢力排除のための社内体制が整備されている
    ・設立以降から株主の異動状況を把握している

    参照:https://www.jpx.co.jp/equities/products/tpm/listing/index.html

    東京プロマーケットの上場企業

    東京プロマーケットに上場している企業数は、47社(2021年12月末日現在)あり、市場には以下のような特徴があります。

    【東京プロマーケットの特徴】

    • 東京以外の地方企業が約7割
    • 従業員100名以下の企業が約7割
    • IT・情報通信系に偏らず、サービス・建設・製造など幅広い業種が上場している
    • 株主数25名以下が約7割
    • 社歴9年以下が15%、また30年以上の企業も19%あり、さまざまな社歴を持つ

    一般市場のように、市場区分ごとに定められたコンセプトにそった業種や規模の企業が上場しているのではなく、さまざまな地域や規模、業種、社歴の企業が同一市場に混在しているのが、東京プロマーケットの特徴です。

    上場企業が増えている理由

    東京プロマーケットに上場する企業は、年々増加傾向にあります。

    新規上場企業数の推移(直近5年)

     2017年2018年2019年2020年2021年
    上場企業数4社5社7社9社14社

    参照:銘柄一覧(日本取引所グループ)

    東京プロマーケットへの上場企業が増えている理由のひとつに、2022年4月からスタートとなる市場区分の再編が挙げられます。市場区分の再編により、これまでの東証一部、東証二部、東証マザーズ、JASDAQの4つの市場から、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3つの市場に移行され、同時に上場維持基準が大幅に厳格化されることになります。

    例えば、従来のJASDAQでは、流通株式の時価総額は10億円以上であることが新規上場要件のひとつでした。また、JASDAQでの上場を維持するためには、流通株式の時価総額が2.5億円以上であることが必要です。

    ところが、2022年4月からの再編に伴い、新規上場要件と上場維持基準の形式基準(数値基準)は、ほぼイコールになりました。つまり、上場時の基準を維持しなければ、上場廃止となってしまうのです。

    このように、上場維持基準が厳格化されることから、上場にあたり形式基準(数値基準)のない東京プロマーケットが、改めて注目を浴びるようになったのです。

    東京プロマーケットの特徴

    東京プロマーケットへの上場は、以下のような企業におすすめです。

    • 早く一般市場に上場したい
    • 優秀な人材を採用したい
    • 持ち株比率を減らしたくない

     

    東京プロマーケットの市場に上場することで、金融機関や自治体などからの評価が高まるため、企業の成長スピートがアップします。そのため、形式基準(数値基準)を満たすことができず、一般市場に上場できない会社でも、東京プロマーケットに上場してから一般市場に上場するというステップを踏むことで、一般上場に早く上場することができます。

    また、上場することで企業の信頼性が高まれば、企業のイメージアップにもつながり、優秀な社員を獲得しやすくなるでしょう。

    さらに、東京プロマーケットには、流通株式数や流通株式比率の要件もありません。そのため、上場時に株式を手放す必要はなく、経営権を維持したまま上場することができます。

    以降では、東京プロマーケットのメリット・デメリットについて解説します。

    上場のメリット

    東京プロマーケットに上場するメリットは、主に以下の3点です。

    • 上場の形式基準(数値基準)がない
    • 上場の準備期間が短い
    • 上場にかかる費用が安い

     

    まず、東京プロマーケットは、新規上場時に利益額や時価総額などの形式基準を求められません。そのため、業績の低下や株式市場の景気の悪化で、株価が予想以上に下がった場合でも、上場が延期になるなどの事態を避けることができます。
    企業が一般市場に上場する際は、2年の監査期間が必要になります。しかし、東京プロマーケットに上場する際に必要な監査期間は、1年です。上場の準備期間が短く済むことのほか、それに伴うコストも下げることができる点は、メリットといえるでしょう。

    上場のデメリット

    デメリットは、以下のとおりです。

    • 資金の流動性が低い
    • 資金調達がしにくい

     

    東京プロマーケットの最大のデメリットは、流動性が低く、資金調達に時間がかかる点です。東京プロマーケットは、特定の投資家しか株式を売買することができないため、一般市場に比べると活発な取引は期待できず、流動性は低くなってしまいます。ただし、流動性は低くても、資金調達ができないわけではありません。

    東京プロマーケットの上場にかかる費用

    東京プロマーケットの上場にかかるコストは、上場するまでの準備と、上場してからの維持コストに分類できます。いずれも、業種や会社の規模によって異なりますが、上場までに2,000~4,000万円、上場後は毎年1,500~2,500万円程度の費用がかかります。一般市場なら、上場までに2億円、上場後も毎年5,000万円がかかるといわれているので、東京プロマーケットの上場にかかるコストの方が、非常に低いことがわかります。

    上場準備の費用

    東京プロマーケットの上場前の準備段階では、以下のような費用が発生します。上場時に資金調達をする場合は、下記に追加して証券会社への費用が発生します。

    上場準備にかかる費用目安

    項目内訳費用目安
    監査法人・ショートレビュー
    ・監査費用等
    2,000~4,000万円
    ※ただし、会社規模・業種により異なる
    信託銀行など・株主名簿の作成事務
    ・管理、配当等の各種処理費用
    印刷会社・ディスクロージャー・IR情報の作成、開示支援
    ・制作
    ・印刷費用
    J-Adviser・上場指導
    ・上場審査
    ・上場時の成功報酬 など
    東証・新規上場料

    上場後の費用

    東京プロマーケットは、上場後も以下のような費用が発生します。

    上場後にかかる費用目安

    項目内訳費用目安
    監査法人・監査費用 など1,500~2,500万円
    ※ただし、会社規模・業種により異なる
    信託銀行など・株主名簿の作成事務、管理
    ・配当等の各種処理費用
    印刷会社・ディスクロージャー・IR情報の作成、開示支援
    ・制作
    ・印刷費用 など
    J-Adviser・上場後のモニタリング費用
    東証・年間上場料

    東京プロマーケットの上場スケジュール

    東京プロマーケットに上場するためには、まずJ-Adviserを1社選んで、契約を結ぶところからスタートします。J-Adviserと契約後、J-Adviserのサポートを受けながら、以下の項目を進めていきます。

    1. J-Adviser契約
    2. 上場の準備
    3. 監査法人の監査
    4. 上場の審査
    5. 上場の申請

    J-Adviser契約後は、監査法人から監査を受ける事が必要で、東京プロマーケットは上場に必要な監査期間を1年と定めています。その後の上場審査、上場申請は、それぞれ最低3ヶ月の期間が必要です。J-Adviser契約から監査を受けるまでの上場の準備期間が6ヶ月かかるとすると、申請から上場までにかかる期間は、おおよそ2年かかることになります。
    ただし、すでに監査法人からの監査を受けており、内部管理体制や開示体制が整っていれば、J-Adviserとの契約後1年以内に上場することも可能です。

    1.J-Adviser契約

    東京プロマーケットは、東証から認証をうけたJ-Adviserが、東証に代わって上場希望会社の審査を実施します。J-Adviserとは、企業への経営支援の経験が豊富で、IPO(新規上場株)に関する深い知見を持っている、上場のプロフェッショナルと東証から認められた企業のことです。

    東京プロマーケットは、上場する際の形式基準がなく、上場基準を満たしているかどうかの判断はJ-Adviserが行います。そのため、上場するにはJ-Adviserの支援が必要不可欠です。

    J-Adviserは、上場希望会社の決算書や組織図、株主名簿といった会社の基礎情報を確認するほか、上場の目的や、会社の沿革、ビジネスモデルを経営者にヒアリングし、反社会的勢力との関係かあるかどうかの確認(反社チェック)を行います。

    その後、上場に向けた課題と上場の準備プロセス、想定上場日を盛り込んだ実施計画書を、上場希望企業とJ-Adviserの間で共有し、J-Adviser契約を締結します。J-Adviser契約締結時には、J-Adviserの業務内容、報酬体系、契約解除条件の確認が必要です。

    上場希望企業は、J-Adviserを1社選定して契約します。東京プロマーケットに上場している間、契約した企業とは二人三脚で歩んでいくパートナーになります。上場に関する知識はもちろん、自分が本音で話ができる相手かどうかも、J-Adviser選定の重要なポイントといえるでしょう。

    2.上場の準備

    J-Adviser契約締結時に共有した実施計画書にもとづいて、上場希望会社に必要な体制を整備・運用していきます。

    1.内部体制の構築

    社内規定、上場に向けての業務フロー、内部監査体制を作っていきます。

    2.ガバナンス・コンプライアンス体制の構築

    会社が統治され、法令を遵守する体制を整えます。取締役会、監査役監査、労務管理を整備し、「家業」的な経営からの卒業を図ります。公私混同をなくすことで、企業の信頼性を高めます

    3.予算・利益管理体制の構築

    企業が成長していくために、計画を立て、比較・分析しながら成長していく体制を構築していきます

    4.決算・開示体制の構築

    上場後は、タイムリーに情報を開示していく必要があるため、企業の財務情報や経営状態がまとめてある決算短信有価証券報告書の簡易版である発行者情報を、スピーディーに作成する体制を構築していきます

    5.監査法人との契約

    監査法人の監査が必要になります。上場申請には最低1年間の監査が必要になるため、早めに監査法人を見つけて契約をすることが大切です

    6.重点審査検討会

    上場直前期の決算が確定したタイミングで、J-Adviserが準備状況を確認します。次の審査ステップに移行できるかを確認し、上場までに解決が必要な問題とスケジュールを協議します。

    3.上場の審査

    上場の準備が整ったら、いよいよ審査に入ります。

    1.組織体制の確認

    上場の準備段階で構築した各種体制が、機能しているかをJ-Adviserが確認します

    2.決算短信・発行者情報の作成

    上場の準備で、決算短信や発行者情報を作成する体制が整っているはずなので、改めて決算・開示体制を確認します

    3.流動性プロバイダーの選定

    流動性プロバイダーの選定とは、証券会社を選定することです。東京プロマーケットでは、流動性プロバイダーに自社株式の取扱を委託します

    4.上場適格性検討会

    上場審査プロセスの結果にもとづき、上場にふさわしい企業かどうかと、上場意向を表明するタイミングをJ-QSが最終協議します。J-QSとは、J-Adviser業務に関する十分な経験や知識を備えていると、東証が認定した資格です。

    4.上場の申請

    上場の審査を通過すると、上場申請の段階に入ります。

    1.上場意向表明

    J-Adviserが、東証に上場意向表明書を提出します。その後、東証がJ-Adviserにヒアリングを実施し、上場審査が適切に行われたかを確認します。意向表明から上場申請までは、約1ヶ月が必要です

    2.上場申請

    J-Adviserとの面談後、東証へ有価証券新規上場申請書を提出します。申請書が受理されると、上場予定が公になります

    3.上場

    上場日には、東証にて上場承認通知書などを授与する、上場セレモニーが行われます

    東京プロマーケットの上場を維持するために必要なこと

    東京プロマーケットに上場した後も、J-Adviserを通じて重要事項の開示が適時求められます。東京プロマーケットの上場を維持するためには、以下の項目を適切に開示することがポイントです。

    • 決算短信
    • 発行者情報/特定証券情報
    • 主要株主の異動、代表者の後退
    • 増資、設備投資
    • 業績予想の修正

     

    上場後、これらを確認して、上場の適格性が維持されていないと判断されると、上場廃止となる場合があります。

    また、東京プロマーケットに上場している間は、J-Adviserとの契約の締結は不可欠です。仮に、現在のJ-Adviserの契約を打ち切った場合、一定期間内に別のJ-Adviserが見つからないと、上場廃止となるため、注意が必要です。

    まとめ

    東京プロマーケットは、東証が運営している特定投資家(プロ投資家)向けの市場です。上場基準に形式基準がないため、一般市場よりも審査に通りやすく、コストも低く抑えられるというメリットがあります。
    そのため、東京プロマーケットには、企業の知名度を上げて優秀な人材を集めたい、金融機関や自治体からの信用を高めたいといった理由で、上場を目指すケースもあります。上場で会社の信用を高めたいけれど、一般市場の上場基準や上場維持基準をクリアすることが難しいという事業主は、東京プロマーケットを検討してみてはいかがでしょうか。

    よくある質問

    東京プロマーケットとは?

    東京プロマーケットは、新規上場時に利益額や時価総額などの形式基準(数値基準)を求められません。そのため、一般市場に上場するにはハードルが高いという企業でも、上場しやすいというメリットがあります。

    東京プロマーケットのメリットは?

    東京プロマーケットは、新規上場時に利益額や時価総額などの形式基準(数値基準)を求められません。そのため、一般市場に上場するにはハードルが高いという企業でも、上場しやすいというメリットがあります。

    東京プロマーケットのデメリットは?

    東京プロマーケットは、特定の投資家しか株式を売買することができないため、一般市場に比べると活発な取引は期待できません。そのため、流動性は低くなり、資金調達には時間がかかってしまいます。

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