更新日 : 2022年3月31日

ストックオプションとは?発行前に知っておきたい仕組みやメリットを徹底解説!

    ストックオプションとは?発行前に知っておきたい仕組みやメリットを徹底解説!

    ストックオプションは、発行する企業側にとっても、受け取る従業員や関係者にとっても非常に重要なものである一方、そのストックオプションの仕組みの難しさから設計に失敗する企業が少なくありません。この記事では、ストックオプションの仕組みからメリット・デメリットについて、実際の成功例や失敗例もみていきながら解説していきます。後悔のないストックオプション行使が実現されるように、学んでいきましょう。

    ストックオプションとは?

    「ストックオプション」とは、チケットの前売り券のようなもので、株式を買う権利のことを指します。例えば、将来、株式の金額が値上がりしても、オプションを行使することによってストックオプション発行時の決めた価格で株式を購入することができるといった特徴があります。

    ストックオプションの仕組みとは?

    ストックオプションとは?仕組みやメリット、税制非適格について解説!
    ストックオプションの仕組みのポイントは、決められた期間内に、決められた価格で購入できる「権利」であることです。

    例えば、株価が1株5,000円のとき、「今後10年間は好きなタイミングで株を10,000株まで1株5,000円で購入してもよい」というストックオプションが付与されたとします。その後、業績上昇により、株式市場で3年後に1株10,000円になったとします。株価が10,000円になったとしてもストックオプションを持っていれば権利を行使することで、株を5,000円で購入できることになります。株式指示用では1株が10,000円のため、1株あたり5,000円も安く購入することができるのです。10,000株を1株5,000円で購入して、時価である1株10,000円で売却したら、「1株5,000円の利益×10,000株」で500万円の株式売却益が得られます。

    また、ストックオプションはあくまで「権利」のため、業績悪化により株式の価値が発行当初より下がったとしても、損を被ることはありません。

    新株予約権との違い

    ストックオプションと混同されがちな証券用語に「新株予約権」があります。これらは、まったく違う意味を持つというわけではありません。ストックオプションは、新株予約権の一種になりますが、取得できる人に違いがあります。

    ストックオプション取得できるのはその会社の役員や従業員といった社内の人に限られる
    新株予約権取得できるのはその会社の役員や従業員に限られるわけではない。一般の投資家や企業でも取得できる

    新株予約権、ストックオプションともに、株を事前に決めている価格で取得できる権利です。「新株予約権のなかで社内の人が取得するものがストックオプション」と覚えてください。

    ストックオプションのメリット・デメリット

    ストックオプションのメリットおよびデメリットについて、もう少し詳しくみていきましょう。

    ストックオプションをもらう側にとってのメリット・デメリット

    【メリット①】会社への貢献が直接もらう側にとっての利益になる

    自分が頑張って企業価値を向上させた結果が、ストックオプションの価値に直接反映されるため、給与だけでなく、株式という形で貢献に対する利益を獲得することができます。

    【メリット②】オプションの保有に必要な自己資金がゼロまたはほとんど必要ないためリスクが低い

    自社の株式を直接保有していた場合には、株価が下がった際に大きな損失を被るリスクがあります。一方で、ストックオプションの場合には、所有するために必要な資金はゼロまたはほとんど必要ないため、仮に価値がなくなってしまったとしても大きな額での損を被る可能性がほとんどありません。

    【デメリット】業績以外の要因で株価が変動し利益が減少する可能性がある

    会社の業績の恩恵を直接受けられる一方で、景気変動など、自分でコントロールできない要因で利益が変動してしまいます。

    ストックオプションを渡す側にとってのメリット・デメリット

    【メリット①】従業員や取締役の経営や企業価値に対する意識の向上

    ストックオプションは、おのおのの頑張りが直接企業価値に影響を与え、企業価値の向上が自身の利益につながるため、従業員にとっても企業価値は大きな関心ごととなります。その結果、経営者と従業員が同じ目標に向かって事業に取り組んでいく意識や文化を醸成していくことができるようになり、会社の求心力を高めていくような効果が期待できます。

    【メリット②】優秀な人材の確保、流出の防止ができる

    ストックオプションは、企業価値が高まるほど利益も大きくすることができるため、優秀な人材に対して将来的なインセンティブをフックに、優秀な人材を通常よりも低いレンジで採用することができます。特に上場を目指す企業では、優秀な幹部候補を採用したい場合には、大企業並みの給与を保証することができないため、その給与差を埋めるために、ストックオプションの活用は有効です。

    【メリット③】従業員側にリスクが少ない

    従業員が自分の資金で株を購入した場合、値下がりしたらその分損失が発生します。反対にストックオプションの場合、株価が下落しても権利を行使しなければ損失は発生しません。付与された従業員が金銭的な損失を被る必要がないこともストックオプションの利点といえるでしょう。

    【デメリット①】ストックオプションの付与基準が不公平もしくは業績が向上しない状況下では、マイナス影響となる可能性がある

    業績が芳しくない状況では、いくら頑張っても株価が向上せず、ストックオプション自体の価値がなくなってしまいます。また、配る基準が不明瞭の場合、経営者や従業員間で不公平感が出てしまい優秀な社員が退職してしまう恐れもあります。

    【デメリット②】ストックオプションを付与された従業員、付与されなかった従業員で差が生じる

    社内にストックオプションを付与された従業員と付与されなかった従業員のどちらも在籍している場合、従業員間で不公平感が生まれる可能性もあります。このような事態を防ぐためにも導入時点で付与基準をきちんと決めておく必要があります。

    ストックオプションの課税制度

    ストックオプションでは権利を行使すると大きな利益が手に入る可能性があります。「もしも」のときに備えて課税についても確認しておきましょう。

    税制適格ストックオプション

    「税制適格ストックオプション」は、税制の優遇を受けることができるストックオプションで、課税されるのは株式の譲渡をしたときになります。権利を行使した時点では課税はありません。インセンティブ目的で活用されるストックオプションは、税制適格ストックオプションであることが多くなっています。

    また、証券会社の特定口座の対象外となるため、行使した従業員が損益計算を行い確定申告する必要があります。

    ※ストックオプションの確定申告についてはこちらもご覧ください
    ストックオプションの確定申告|税金額の計算や課税時期、申告方法について

    なお、売却時の譲渡所得は以下のように計算します。

    (株式の売却価格-権利行使価格)×売却株数-手数料

    税制適格ストックオプションとするためには、以下の条件をすべて満たすことが必要です。

    • 無償で発行すること
    • 行使価額は発行時の時価以上とすること
    • 付与するのは会社(子会社も含む)の取締・執行役・使用人に限られる。監査役や法人は対象外となり、未上場会社の場合は発行済み株式総数の3分の1超(上場会社の場合は10分の1超)を保有する大口株主も対象外
    • 権利行使期間は付与決議後、2年経過した日から10年を経過する日まで
    • 権利行使限度額は年間1,200万円まで

     

    税制非適格ストックオプション

    「税制非適格ストックオプション」は、権利行使時および株式売却時に課税されます。権利行使時は給与所得として課税、売却時は譲渡所得として課税されます。

    税制非適格ストックオプションの場合、権利行使後の株を証券会社の特定口座に入庫すれば、売却時の損益計算は権利行使した従業員が行う必要がありません。源泉徴収されます。

    税制非適格ストックオプションの所得は以下のように計算します。

    権利行使時(給与所得):(権利行使日の終値-権利行使価格)×権利行使株数-手数料
    売却時(譲渡所得):(株式の売却価格-権利行使日の終値)×売却株数-手数料

    ストックオプションの導入に必要な手続き

    ストックオプションを導入する際に必要な手続きは以下の通りです。

    募集事項を決める

    株主総会の特別決議で募集事項を決定します。

    • ストックオプションの内容、数
    • 無償で発行する旨
    • 1個あたりの払込金額や算定方法
    • 割当日

    など

    募集事項を通知する

    原則募集事項の通知や公告が必要ですが、非公開会社の場合はこの手続きは不要です。

    募集新株予約権の申込・割当

    ストックオプションの割当対象者、割当数を決めます。

    払込

    ストックオプションが有償の場合は期日までに払込をしてもらいます。

    ストックオプションを導入する際の注意点

    優秀な人材確保するなどの理由でストックオプションを多く発行してしまうと、将来的に株価に大きな影響を及ぼす恐れもあります。大量の従業員の権利行使、売却で株価が下がると、一般投資家も株式を手放す人が増え、結果としてさらなる株価低下を招くというケースがあるためです。

    ストックオプションを導入する際は、多くの従業員が同じタイミングで権利行使、株式売却をする可能性、そしてそれに伴う影響のことも考える必要があるといえるでしょう。

    まとめ

    ストックオプションは、優秀な人材の確保だけでなく、企業価値の向上のために従業員の意識も高まるというメリットがあります。

    しかし、株価が上昇したところで、一気に権利行使、株式売却をされてしまうと、株価に悪影響を及ぼし一般投資家が不利益を被るという恐れもあります。また、権利行使した従業員が会社を辞めてしまうということも考えられます。

    ストックオプションを導入する際は人材確保という良い面だけでなく、権利行使後の人材離脱というリスクについても考慮するようにしましょう。

    よくある質問

    全体で何%配るべきですか?

    上場時に10~15%を上限として各ラウンドでは3~4%分ずつを配ることが一般的です。ストックオプションの発行上限は、投資家との投資契約書に記載されていることも多いため、まずは投資契約書の内容を確認しましょう。

    社員に配る際の配賦基準は何を使ったらよいですか?

    人事評価や在籍年数に応じて配賦基準を決めることが多いですが、企業の方針によってさまざまなため、経営陣とも企業文化に照らし合わせて方針を決めるとよいでしょう。

    信託型ストックオプションは採用すべきですか?

    信託型は、付与対象者を決めずに発行時の時価でストックオプションをプールしておけるため魅力的ですが、何も活躍していない社員がいきなり株式益を獲得できてしまうデメリットもあります。発行方針を決めたうえで活用するとよいでしょう。

    マネーフォワードでは
    さまざまなIPO準備サポートを
    取り組んでいます。

    資金調達・ツール選定・バックオフィス構築・資本政策など
    IPO準備における様々なお困りごとをマネーフォワードが一緒に解決いたします。
    まずは下記よりお問合せください。