• 作成日 : 2022年10月27日

内部統制に役立つ資格6選|内部監査との違いや整備が必要な企業を説明

会社の信頼度向上と透明化を実施する内部統制において、担当者個人として資格が必要なわけではありません。もちろん、内部統制を専門にした人材に対して与えられる資格も存在していません。しかし、内部統制を実施するにあたり、持っておくと役に立つ資格があることも確かです。

本記事では、内部統制の概要と内部統制に役立つ資格について解説します。内部統制の実施を検討している、あるいは担当者になる予定の方はぜひ参考にしてください。

そもそも内部統制とは

内部統制に役立つ資格6選|内部監査との違いや整備が必要な企業を説明

内部統制とは、企業の事業目的・経営目的を達成するために必要なルールや仕組みを作り、それらに沿って適切に運用することを言います。法令順守はもちろんのこと、会社が抱える資産の保全や業務効率化などが含まれ、実施する項目は多岐にわたります。

よく金融商品取引法の内部統制と混同されますが、こちらは投資家に対する信頼性向上が目的です。一方の会社法における内部統制は社会全体からの信頼性向上が主な目的となっており、両者に違いがあることに注意しなければなりません。

内部監査との違い

内部統制とよく似た言葉に内部監査があります。金融商品取引法の内部統制と同じくよく混同される言葉ですが、指しているものが違います。

内部統制は先述のとおり、実施している企業の活動を健全に遂行するためのルールや規則を定めることです。一方の内部監査とは、定めた内部統制がきちんと機能しているかどうかを判断するものを指します。ルールの策定などは内部統制、実際の運用における効果測定は内部監査と覚えておくとよいでしょう。

内部統制を整備しなければならない企業

内部統制に役立つ資格6選|内部監査との違いや整備が必要な企業を説明
内部統制を整備しなければならない企業というものがあります。基準は会社法(第362条)と金融商品取引法(第24条)で異なるものの、いずれかに該当する場合は設置が義務化されます。以下は内部統制を整備しなければならないと法律で規定されている会社の条件を一覧にまとめたものです。

会社法金融商品取引法

    大会社
  • 資本金5億円以上

  • 負債額200億円以上



ただし、義務付けられた条件を満たさない会社でも内部統制を整備して問題ありません。内部統制を整備することで企業評価を高めることができるため、一部の企業では条件に適していなくても採用されています。

必ずしも内部統制に資格は必要ではない

内部統制に役立つ資格6選|内部監査との違いや整備が必要な企業を説明
大前提として、内部統制を実施するにあたって特別な資格が必要なわけではありません。例えば一般社団法人 日本経営調査士協会が定めているIPO・内部統制実務士という資格がありますが、全員がこの資格を持っていないと内部統制に携われないわけではないのです。

しかし、内部統制は非常に広範囲の業務を俯瞰的に見ておく必要があります。特定の資格が必須ではなかったとしても、役に立つ資格があることは事実です。内部監査に関係する人は取っておいて損はないでしょう。

内部統制に役立つ資格6選

内部統制に役立つ資格6選|内部監査との違いや整備が必要な企業を説明

繰り返しになりますが、内部統制を担う人材に資格の有無は関係ありません。しかし、より正確かつ大局的に内部統制による業務改善などを期待している場合、以下に紹介する6つの資格を保有している人材がいるのが望ましいとされています。

  • CIA(公認内部監査人)
  • QIA(内部監査士)
  • CFE(公認不正検査士)
  • CISA(公認情報システム監査人)
  • CCSA(内部統制評価指導士)
  • IPO・内部統制実務士

それぞれの試験の特徴や難易度などを詳しく解説します。

CIA(公認内部監査人)

内部統制に関わる資格の代表的な存在がCIA(公認内部監査人)です。国際資格ですが受験は日本語で可能で、近年受験者集が急増している資格としても一目置かれています。

日本では一般社団法人 日本内部監査協会が主催しており、日本企業・外資系企業問わず、その専門性が重宝されています。教材は少ないものの回答は選択式で難易度はそれほど高くないとしている資格情報サイトもあるようです。ただ、試験科目の中には会計や経理の知識を問う問題も含まれるため、受ければ誰でも合格できるわけではありません。

受験資格(初回申込み要件)

  1. 四年制大学(学士号)または大学院(修士号)の卒業生

  2. 上記に該当しない方で、初回受験登録時に5年以上の実務経験がある者

試験内容PartⅠ:内部監査に不可欠な要素
PartⅡ:内部監査の実務
PartⅢ:内部監査のためのビジネス知識
※各科目の受験も可能
合格率未公開
受験料登録料(初回):25,000円
PartⅠ:44,000円
PartⅡおよびⅢ:38,000円
試験日程通年

内部監査士

CIA同様、「一般社団法人 日本内部監査協会」がかかわっている資格に内部監査士があります。こちらはCIAとは違って受験だけではなく、特定の期間に開催される講習を修了して合格することで付与される資格です。

年間6回開催されており、オンデマンド配信であるため忙しい人でも取得しやすい資格になっています。ただし、CIAが国際基準であるのに対し、内部監査士は国内資格である点に注意が必要です。また、受講資格もCIAと異なるため、事前に確認しておかなければなりません。

受講資格

  1. 内部監査に携わっている者

  2. 1.に該当しない場合には、大学等において、会計学・商学・経営学・経済学・法学・情報学等のいずれかを学んだ者、及びこれと同等の資格・能力の者


受講内容

  • 内部監査の本質と現代経営における役割

  • 内部監査の基本知識

  • 内部監査の監査技術

  • 内部監査の実施手順

  • 内部統制の理解と評価・監査の方法

  • 内部統制システムの構築と運用

  • リスクマネジメントと内部監査

  • 品質管理監査のポイント

  • 環境監査のポイント

  • 広告宣伝業務監査のポイント

  • 研究開発管理監査のポイント

  • 営業業務監査のポイント

  • 製造業務監査のポイント

  • 経理業務監査のポイント

  • 購買業務監査のポイント

  • 子会社・関連会社監査のポイント

  • 情報システム監査のポイント

  • 不正調査と内部監査の役割 内部監査と監査役監査・公認会計士監査の関わり

  • 新しい業務改善手法と内部監査

  • 内部監査報告書の作成と運用

合格率未公開
受講料正会員・個人会員員:165,000円
非会員:236,500円
受講日程年6回偶数月開催

CFE(公認不正検査士

一般社団法人 日本公認不正検査士協会が実施しているCFE(公認不正検査士)も、内部監査に役立つ資格のひとつです。アメリカに本拠地を置く世界最大の不正検査士の教会で、SOX法制定以降の日本でもその需要が高まっています。

試験問題自体は「不正検査士マニュアル」と呼ばれる同協会が作成したものから出題されます。一見すると簡単そうですが、このマニュアルはページ数が2,000ページ近く存在しており、自力で勉強するのは至難の業です。また、受験資格の中には協会が定めるポイント基準をクリアしなければならず、先述のCIAやQIAよりも門戸が狭くなっている点に注意しましょう。

受験資格

  • 公認不正検査士協会の会員(個人・法人・大学生)

  • 同協会が定める「資格点数」が40ポイント以上あること

試験内容

  1. 財務取引と不正スキーム

  2. 法律

  3. 不正調査

  4. 不正の防止と抑止

合格率未公開
受験料

  • 登録料(初回のみ):5,500円
    ※法人会員の役職員は免除

  • 4科目受験料:1科目5,500円×4科目=22,000円


試験日程原則6月・12月の土・日曜日に実施予定(各日2科目)

CISA(公認情報システム監査人)

CISA(公認情報システム監査人)は、ISACAが実施・認定している資格です。日本ではISACA 東京支部が実施しており、企業の情報システムの監査業務やシステムそのものの企画や開発も行っている情報システムのプロです。

欧米金融機関でのCISA資格保持者の採用は当たり前となるほど広く浸透しているのが特徴で、日本においてもその専門性から需要が急増しています。注意点として、資格が正式に認定されるには、合格後に情報システムか監査関連の実務を5年以上経験しなければなりません。公式サイト上では「合格率が高い」とあるものの、合格後すぐに名乗れない点に注意が必要です。

受験資格18歳以上であること
※ただし少なくとも5年の実務経験がなければ認定されない
試験内容

  1. 情報システム監査のプロセス

  2. ITガバナンスとITマネジメント

  3. 情報システムの調達、開発、導入

  4. 情報システムの運用とビジネスレジリエンス

  5. 情報資産の保護

合格率未公開
受験料会員:575ドル
非会員:760ドル
試験日程随時

IPO・内部統制実務士

先にも少しだけ紹介したIPO・内部統制実務士も、内部統制を整備する際に有資格者をあてがいたい資格のひとつです。一般社団法人 日本経営調査士協会が定めている資格で、この資格を足掛かりにさらに上位資格である上級IPO実務士や上級内部統制実務士などに挑戦することもできます。

IPOと内部統制両方の知識が必要となるものの難易度自体はそれほど難しくないと言われています。これからIPOや内部統制を整備する企業においては重要な人災となるため、積極的に採用しているケースも少なくありません。勉強面でもテキストによる自学以外に、養成講座を受講する方法があります。

受験資格
試験内容IPO・内部統制 基本知識、実務分野
合格率未公開
受験料11,000円
試験日程年2回(原則8月と翌年2月)

まとめ

内部統制の整備に資格保有者はマストではないものの、内部統制を確実に整備・運用するためには紹介した資格を保有している人材が必要と言っても過言ではありません。既存の人材に受験させるのか、それとも外部から有資格者を向けるのかは企業によって方針が違いますが、迎え入れるだけでも安心感が違うでしょう。内部統制を確実に構築・運用するためにも、本記事で紹介した資格を検討してみてもよいかもしれません。

よくある質問

内部統制に資格は必要?

内部統制を実施するうえで必須の資格はありません。ただし、内部統制にはさまざまな方面での知識が必要となるため、本記事で紹介した資格を有する人材がいたほうがよいでしょう。

内部統制に役立つ資格とは?

内部統制に役立つ資格は以下の5種類です。

  • CIA(公認内部監査人)
  • QIA(内部監査士)
  • CFE(公認不正検査士)
  • CISA(公認情報システム監査人)
  • IPO・内部統制実務士

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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内部統制を構築する5ステップを解説

監修:中川崇

田園調布坂上事務所代表。広島県出身。大学院博士前期課程修了後、ソフトウェア開発会社入社。退職後、公認会計士試験を受験して2006年合格。2010年公認会計士登録、2016年税理士登録。監査法人2社、金融機関などを経て2018年4月大田区に会計事務所である田園調布坂上事務所を設立。現在、クラウド会計に強みを持つ会計事務所として、ITを駆使した会計を武器に、東京都内を中心に活動を行っている。