• 作成日 : 2022年8月26日

マネーフォワードクラウドpresents「& money」 株式会社manaby取締役CFO 河治惇一さんに聞く!(後編)

さまざまな企業のリーダー、ファイナンス部門の方にフォーカスを当て、その仕事や企業の成長戦略の裏側、その仕事術に迫ります。今回お話を伺ったのは、株式会社manaby取締役CFO 河治惇一さん。「一人ひとりが自分らしく働ける社会をつくる」をミッションに障害のある方への障害福祉サービスを提供しています。後編では、自身のスキルアップについて、さらにこれからのmanabyについてお話をお伺いします。

プロフィール

河治惇一
慶応大学法学部卒業。中小企業向け投融資業務に従事した後、事業再生ファンドにて中小企業に対する投資実行、社外取締役就任、経営改善支援、エグジットを経験。2019年10月にCFOとしてmanabyに入社。2020年4月に取締役へ就任し現在に至る。趣味は読書。

堤友香
1987年8月13日生まれ。北海道出身。福島テレビ アナウンサー(2010.4~2014.3)を4年間務め、フリーアナウンサーに。TOKYO MX NEWSほか、フジテレビONEでは「プロ野球ニュース」など、幅広く活躍。現在は、日経CNBCで「FX経済研究所」キャスターを務めている。

お金に苦しむ会社を救いたい

堤 河治さんが、ファイナンス、財務関係の道に進もうと思われたのはどうしてですか?

河治 最初は銀行で投資業務をしていました。当時は事業会社のCFOになるイメージはなかったんですが、前の会社で事業再生ファンドに携わっていて、その中で、中小企業のちょっと傾いてしまった会社と出会うことがたくさんありました。その時、端的にもったいない、という思いがとてもあったんです。
どうして傾いてしまったのか原因を突き止めると、様々な要因、外部環境とかある中で共通してあるのが、やはり「お金の管理のずさんさ」なんです。その会社の社長さんがどんなに優秀でもそこがしっかりできてないと、浮き沈みがある中で会社がもう一回浮上することができないというのをたくさん、もう何十社、100社単位で見てきたので、そのときにそこをしっかりとできる人間になろうと思ったのが最初のきっかけです。それでmanabyにジョインしました。

堤 お金の部分がどうにかなれば、たくさん救われる会社があるのにという思いから。

河治 端的に言うとそうです。

堤 ちなみに小さい頃の夢もそういったことに関係するのでしょうか?

河治 全く違っていまして、小学生ぐらいのときは、宇宙飛行士になりたかったんですけど(笑)、理系があんまり向いていなくて、現在の道のほうに徐々に来たという感じです。

堤 ご自身はどんなタイプのCFOだと思われますか。

河治 非常に難しいのですが、いわゆるCFOというと、投資銀行出身とか、会計士とか、あとは管理部長といったキャリアの方が多いのですが、私はどれにも当てはまりません。自分ではバランス型と言っているんですが、少しずつそれらの要素を取り入れながら務めています。

堤 今日、私も初めてお会いして、河治さんがとてもこう柔らかくて、なんか木漏れ日のような(笑)

河治 すみません(笑)。

堤 そういう口調からも皆さん伝わっていると思うんですけど、非常に温かい感じです。CFOというとちょっとこう風格があって、カチッとした方もたくさんいらっしゃる中で・・・
まわりからはどんなふうに声を掛けられますか。

河治 まあ、そう言っていただくこともあるんですけれども、ちなみに社内ではまあまあ厳しいほうというところもあるので。ただ私はこの会社に来るまではずっとフロント側、営業側だったのでそちらの人の気持ちもある程度分かるので、やはり現場で売上をつくっている仲間に対するリスペクトは忘れないように心がけています。もしかしたらそれがうまくいっているのかなと思っています。

ビジネス書を読むことがもたらすこと

堤 河治さんは、ご自身のステップアップのために何かしていることはありますか?

河治 ここ数年、プライベートでも子育てが忙しかったり、コロナがあったりで、あまりそれらしいことはできていないんですが、専門書を読むというのは、日ごろからステップアップ、自分の勉強のために心がけて実践していることではあります。

堤 いまはどういった専門書を読まれているんですか?

河治 原則論に立ち返るというか基礎的な書籍を読むことが多いですね。いま読んでいるのは、CFOとは、ということが書いてある本です。
会社の中にいると、様々な制約や自分の会社の環境に縛られてしまうことがたくさんありますが、いったんそれを取り払って、本来どうあるべきなのかということを書いてある書籍を読んで自分の戒めにするというところがあるので、そこは大事にしています。

堤 趣味も読書ということですけれども、それはまた違う小説とかを読まれるとかではなく?

河治 小説というよりは、ビジネス関係の書籍を読むことが多いです。それがリフレッシュにもなっているかなと思うので、ちょっと変わっているかもしれないですけど。

堤 様々な世界の本に触れることが趣味、リフレッシュになる。

河治 本に書いてあることって大体全部違うので、真反対のことが書いてあることも多々あるので、逆にそこに触れることで自分なりに様々な考えを整理したり、少し現実世界から離れてみたりということをしながら。あとはまあ子どもと遊びながらバランスをとっている感じです。

堤 河治さんのお勧めの一冊を教えてください。

河治 水野学さんが書かれた、『センスは知識からはじまる』というビジネス書です。
センスって日常的に使われる言葉だと思うんですが、何か才能めいたものではなく、あくまでいろいろな幅広い知識を蓄積していって、それが感性にまで落とし込まれて発揮できるものということが書いてあって、だから才能ではないということが書いてあって、それを読んでから割といろいろな知識を集めるようになりました。
最終的には、少しでも経営センスが付いたらいいなとも思って、この本には衝撃を受けたというか、おもしろいと思った本です。

堤 確かにセンスって生まれつき持ったものというイメージが私もありましたが、いま、衝撃を受けました。是非、読んでみたくなりました。

河治 よく経営センスがあるカリスマ社長という方がいると思いますが、実はそれも長年の知識、経験が蓄積しているからできていると私は思っているので、少しでも追いつけたらと思い読んでおります。

事業の本質を突き詰める

堤 これからどんどん変化していく社会の中で、未来を見通す財務のキーワードは?

河治 私も知りたいのですが・・・やはりこの数ヵ月、マーケットもすごく大きく変わり、いろいろな分野が数年どころか2~3年ぐらいで大きく変わるので、ありふれた言葉ではありますが、より本質的な部分が求められてきているというところを強く感じています。
まずは自分の、特に管理部門の人だと、自分の事業をしっかりと知るというところから始めなければいけないと思っているので、同じような立場の人に何か言うとすると、まず自分のビジネス、事業が何であるかというのを突き詰めてみるというのが大事なのではと思います。

堤 本質的なところをしっかり考え抜いてそれを持ち続けることが大事。

河治 私はそうだと考えます。流行り廃りがかなり激しいので、ついつい、特にSNSの言説に私も振り回されそうになるときがあるんですが、やはりやり続ける、何か自分たちが「これが大事」だと思ったことをやり続けるその意志の強さが、逆に求められてきているのかなと思うので、まず自分の会社がどうありたいかを、自分の会社の事業がどうなのかというところを突き詰めていくということが大事かなと思います。

堤 コロナは、manabyの事業に何か影響を及ぼしましたか?

河治 福祉の世界って、アナログがまだまだ残っている業界といわれているのですが、コロナによりIT技術の活用とか在宅での仕事が国の制度としても大きく注目されてきているので、私どもとしては非常にうれしいと思っております。
言い方は悪いですが、業界的に少し遅れていたところがあり、なんとか追いつこうとしている雰囲気はあるので、業界としてもっと効率化とか、あるいは生産性が良くなっていって、それが結果として利用者さんに還元できるとすごくいいかなとは思っております。

堤 コロナがあってからのCFO河治さんの役割も何か変わりました?

河治 あまり日常だと意識をしないのですが、CFOという一役員としてやはり社員や利用者の皆さんの健康や命を考える機会になったというのはとてもあります。
私個人の感覚としては、近くでいうと自分の会社の社員の健康に、より敏感にはなってきたかなと。そこでCFOとしてそのために何ができるかをなかなか答えとしては出てないですが、日々考えるようにはなりました。命の大事さですかね。

多様な声に耳を傾ける

堤 社会が変わっていく中で、これから組織のあるべき姿、新しい時代の働き方はどのようにお考えですか。

河治 いろいろな切り口があると思いますがmanabyでは「一人ひとりが自分らしく働ける社会をつくる」というミッションを掲げているので、自分の会社もそうあってほしいと思っています。
これだけ時代が複雑になってきて、一人ひとりが職場や働くことに対して何を求めるかというところはもう絶対一緒にはならないというか、100人いれば100通りの考え方があると思うので、私はいい組織は何かと考えるときに、やはり一人ひとりが求めていることにしっかりと寄り添えるような会社なり組織なりをつくっていきたいと考えています。
これは非常に非効率かもしれませんが、いろいろな人が働き方も含めて、働くということに対して求めていることに対して、制約がある中で会社がそれに応え、結果としてその組織にいるメンバーの、大げさに言うと人生が少しでも豊かな方向に進んでくれるような職場なり組織をつくりたい。プラス、その組織として成果がちゃんと出ている状態というのが、一番私はいい組織かなと思っていて、あとは社員間とかメンバー間でしっかりとそれが尊重し合えている状態が一番いいかなと思っているので、まずは自分からそういったように実践していきたいです。

堤 会社が大きくなればなるほど多様な声に耳を傾けるのは非常に難しいですよね。皆さんの声をしっかりと反映できるようになるには、どういう心がけが必要ですか。

河治 まさにmanabyでもそれにぶち当たっているところであります。やはりリーダーたる人間が一人ひとりと真剣に向き合うことでしかそれは達成できないかなと思っています。人事制度を細かくすればいいとか、そういうレベルの話じゃないと思っています。
まず自分のところからなんですが、一人ひとりとしっかり向かい合って、その人が何を求めていて、一方で会社としてその人に何を求めるのかを突き詰めていくしかないのかなと。会社が大きくなっていったときにそれが消えてしまうことが多いんですが、まずトップのリーダーがそれをちゃんと自分の直属の人たちに実践し、その人たちがまたさらに自分たちのチームのメンバーにそれをやっていくという、そういった文化をつくっていくしかないのかなとは思っています。

堤 対話、ダイアローグこそ、いつの時代も重要というところですよね。

河治 そうですね。はい。

どこまでこの世の中を変えられるか・・・

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堤 manabyのこれからの展望をぜひ教えてください。

河治 われわれは「一人ひとりが自分らしく働ける社会をつくる」をミッションに掲げています。今はそのミッションを軸に障害のある方のご支援をしていますが、すべての人が自分らしく働きたいと思っていると思いますので、障害のある方だけではなく、より多くの方にもわれわれの考え方やサービスを提供していけるよう、もっと広い視野で事業展開をしていきたいと思っています。
違うセグメントの事業に展開していったり、また、会社として小規模だとメッセージも世の中に対して送りづらいところもあるので、もっともっと規模的にも成長していきたいと思っています。こういったメディアでの発信ももっと積極的にやっていきたいと思っています。

堤 河治さんご自身のこれからの挑戦、野望をぜひ教えていただけますか。

河治 野望。初めて言うかもしれない(笑)。ちょっと教科書っぽいことになってしまうかもしれないんですが、manabyが掲げているミッション、あるいはダイアローグといった大事にしていることは、私は世の中全体に普遍的というか、共通していることだと思っているので、この会社でどこまで世の中全体を変えていけるかなというのが、私の野望というかこれからの挑戦です。
社会に対してインパクトを出していくというところと、自分の会社がそれを実現できている状態に持っていけるようにする。大変な目標ではありますが、それが私の野望です。どこまでやれるかな。自分が生きている間に、どこまでやれるかな。それが野望です。

堤 たくさん貴重なお話を伺うことができました。

河治 こちらこそ。ありがとうございました。

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