• 更新日 : 2024年10月25日

マネーフォワードクラウドPresents「& money」 クラスター株式会社 執行役員CFO 宇佐美和樹さんに聞く!(前編)

さまざまな企業のリーダー、ファイナンス部門の方にフォーカスを当て、その仕事や企業の成長戦略の裏側、その仕事術に迫ります。今回お話を伺ったのは、クラスター株式会社執行役員CFO宇佐美和樹さん。スマートフォンやPC、VR機器など様々なデバイスからバーチャル空間にアクセスし、集い遊べるメタバースプラットフォーム「cluster (クラスター)」を運営するクラスター株式会社。前編ではプラットフォーム「cluster (クラスター)」について、そしてジョインしたばかりの宇佐美さんが目指すIPOについてお話を伺います。

プロフィール

宇佐美和樹
2009年公認会計士試験合格後、有限責任監査法人トーマツで金融機関等の法定監査に従事。退職後、株式会社KPMG FAS及び外資系証券会社にて、M&Aアドバイザリー業務を経験後、2015年に独立。 会計監査、IPO支援、M&Aアドバイザリー業務を中心に多様な業務に従事。2020年1月より株式会社ジラフ CFO/管理本部長に就任。2022年10月、クラスター株式会社 執行役員CFOに就任。趣味はルアーフィッシング。

聞き手: 相沢礼子
2003年度ミス日本グランプリ。ファイナンシャルプランナー、全米ヨガアライアンスの資格を持つ。フジテレビ「めざましテレビ“ココ調”コーナー」、「すぽると!」、BS テレ東「カツケン 勝間経済研究所」「トップの決断」、テレビ新広島「そ~だったのかンパニー」など多くのテレビ番組でMCを担当。

日本のメタバースプラットフォームを牽引する「クラスター」

相沢 まずはクラスター株式会社について教えてください。

宇佐美 クラスター株式会社は、「cluster」という会社名と同じ名前のプラットフォームを運営しています。クラスターというサービスはVRからスマホまで、どこからでも遊べるメタバースプラットフォームです。バーチャル空間の中にアバターで入っていく、そして遊んでいただくとうプラットフォームです。基本的には皆さんVRというと、ヘッドセットがないと入れないとイメージされると思いますが、そんなことはなくスマートフォンやPCからでも、どこからでも遊んでいただけるというのを一つの特色にしているプラットフォームです。

相沢 ちなみに宇佐美さんのアバターもあるんですか?

宇佐美 まだいろいろと試行錯誤している段階ですがあります。(笑)

相沢 私もバーチャル渋谷の中でお友達に会って一緒に楽しんだことがあり、とてもおもしろい、素晴らしい経験をさせていただきました。

宇佐美 ありがとうございます。

相沢 クラスターさんを含め、メタバースプラットフォームを取り巻く昨今の状況について教えてください。

宇佐美 ご存知のとおりフェイスブック社がメタ社と名前を変えて一種のバズワード化しているのがメタバースという領域です。実はメタ社以外でも、海外を中心にメタバース領域の事業を展開している会社は以前から存在しています。中でも大きいのはRobloxというサービス。さらにVRChat、Rec Room、ZEPETOなどなど米国や韓国などいろいろな国にプラットフォームがあります。特にRobloxはすでにアメリカで上場をしていて時価総額が3兆円ほどもある非常に大きな会社で17年前ぐらいから運営されています。なので海外では古くから大きなプラットフォーマーがあるのですが、日本では最近ようやく注目度が高まってきているという状況です。先ほども触れましたが我々クラスターのようにプラットフォーマーとして事業運営をされている会社は、日本では今のところ多くなくて、まだまだ海外が中心かなと思っています。また、同様に特色のあるサービスを提供するプラットフォーマーが海外を中心にいろいろあります。たとえばRobloxはゲームを主体としたプラットフォームです。ZEPETOさんはどちらかというとアバターを主においてサービスを展開されています。VRChatは、より深く広く、複雑にメタバースを表現されていてそこで楽しむことができます。各社いろいろ特色があるのが海外の特徴です。一方、国内は申し上げたとおり、まだまだこれからです。今後さまざまなプラットフォーマーが増えていくのではと思っています。

相沢 会社の雰囲気は?

宇佐美 代表の加藤を中心にいい意味でカルチャーが統一されていて非常に熱量があり前向きな会社だと思っています。もともとバーチャルイベントのプラットフォームとして会社は発展してきました。プラットフォーム自体の特色としてゲームとアプリの技術の両方を融合させて発展してきた中で、ゲームやエンタメ企業からクラスターに入社したり、そういったところに興味を持つ社員が増えてきています。そういったバーチャルないしゲーム・エンタメというところをバックグランドとして、熱量高くサービスをつくっていくというのが会社の雰囲気です。私自身も入社前から何度も会社に訪問させていただいて全社会議などでみんなが集まる場所、代表の加藤や経営陣が話をする中でも、その経営陣が話す内容へのコミットメントとか共感とか、熱い思いみたいなものを肌で感じられるという意味で、とても熱量の高い会社だと思っています。

相沢 最先端WEB3企業ならではの雰囲気もありますか?

宇佐美 これが非常に難しくて、実はメタバースはWEB3と本質的にはあまり関係ないんです。WEB3はあくまでブロックチェーン技術を使った分散型インターネットと定義されますが一方でメタバースは単純にオンラインの三次元仮想空間ということで定義上は少なくともちょっと離れた概念です。かつメタバース自体は、たとえば仮想通貨のウォレット持ってないと始められないというかそういうことはなく、アカウント作って入っていただければすぐ遊べるという感じなので。そういったかたちでも直接的に関連はあまりないので、WEB3的な雰囲気はあまりありません。ただやはりメタバース自体が新しい領域でエンタメと親和性の高い領域なので、先ほど申し上げたようなエンタメや新しいプラットフォームを作っていく熱量が高い熱い会社という雰囲気ですね。

リモート会議も採用面接もアバターで対応

相沢 宇佐美さんは福岡県の糸島に住んでらっしゃるということですが東京以外に住んでいる方々、二拠点生活をされている社員の方もたくさんいらっしゃって会議などもアバターで繰り広げられたりするのでしょうか?

宇佐美 はい、おっしゃるとおりアバターで参加する社員もたくさんいます。Zoomでミーティングを開くと、半分以上がアバターということもよくあります。採用面接もアバターで来ていただいてOKです。

相沢 採用面接がアバターですか?でもアバターだと年齢とか国籍、ジェンダーとかもフラットな関係になりますよね。

宇佐美 はい、それがまさにメタバースの特色の1つです。リアルの自分と違った身体性や表現に基づいて新しい自分、アバターの中の自分というのも表現していただけます。実際その方が採用され、当社に入社いただけるとなった時、ご本人とお会いしてまたある意味で楽しいギャップがあったりもします。非常におもしろい特色かなと思います。

共に、世界の新しいOSを創りたい

相沢 宇佐美さんは2022年10月にクラスターにジョインしたばかりですがその経緯は?

宇佐美 私は公認会計士ですのでもともとは監査法人で主に金融機関の監査業務をずっと実施してきました。その後、財務アドバイザリー会社といういわゆるM&Aのアドバイザリーに従事してきました。そういった大きな案件が比較的多い中での仕事にきてやりがいもありましたが、もう少し小規模な案件とか、ベンチャー、スタートアップのIPOとか、さらに熱量のある領域に自分が関わってみたいと思い会社辞めて独立をしました。独立後にいろいろなクライアントさんのM&AやIPOのための管理部門構築の支援させていただく中で株式会社LiBさんという人材サービスの会社にジョインしました。非常にいい会社だなと思って入社したのですが、その時に当社の取締役の岩﨑が同僚だったんです。その時のつながりで今、結果としてクラスターにジョインしたというところです。

相沢 岩﨑さんに声を掛けられたのは2017年?

宇佐美 はい。岩﨑が先にLiBさんを辞められて、その後5年前ぐらいに一度クラスターに入らないかとお話をいただいきました。その時は当時の会社のステージや私自身の状況もあって叶わなかったのですが、幸いにも当社クラスターがその後、成長軌道に乗ってきて、管理部門の構築も急務となる中で、改めて岩﨑から話をもらいました。最初は業務委託というかたちで参加していたのですが、さらに規模が大きくなっていく中で、最終的に自分の全てを賭けてやっていく必要があると思い至り、今回ジョインしました。

相沢 どんな思いを持って、クラスターにジョインされたのでしょうか?

宇佐美 たった1つ。世界の新しいOSを創りたいという気持ちです。これ1つです。業務委託からCFOへの切り替えがあった際に代表の加藤と面談をしました。その加藤との面談の一言目が「一緒に新しい世界のOSを創りましょう」という一言だったんです。

相沢 かっこいいー!

宇佐美 これが非常に刺さってしまい「はい、やりましょう」が二言目でした。

IPOを目指すという明確な目標を持って

相沢 私にも刺さりました(笑い)。これからIPOに向かうという、明確な目標もありますか?

宇佐美 はい、明確に目指したいと思っています。投資家様にも、広く日本、世界の皆様にも当社のサービスを知っていただきたい、応援していただきたいという思いを持っています。ただあくまでそれもクラスターが世界のOSになるためのワンステップだと考えています。

相沢 CFOとしてIPOを目指すというのは、宇佐美さんのキャリアの中でも初めてのことでしょうか?

宇佐美 クラスターに入社する前の会社でCFOとして上場を目指していましたが自分の力不足もあってうまくいきませんでした。今回は2回目のチャレンジになります。その時の反省の意味もあり、今回、当社のサービス、クラスターを世界中の皆さんに使っていただきたいという前向きな気持ちもある中で、再びチャレンジングな環境に身を投じる機会をいただけたというところです。

相沢 ご自身IPOには、どんな思いを持ってらっしゃるのでしょうか?

宇佐美 いろいろな考え方をお持ちでIPO目指される会社様、それからCFOの方、経営者の方がいらっしゃると思いますが、個人的にはやはり世界に出ていくための、大きいきっかけの1つ、その手段がIPOだと思っています。

相沢 CFOという立場としては、是非一度は実現したいという思いが強い?

宇佐美 はい、実現したいと思っています。

相沢 ジョインされて数か月。CFOとしての当面のミッションは?

宇佐美 クラスターが拡大していく中で、いかにクリーンなプラットフォームにしていくか。これはリーガル、法律面でもそうですし、どちらかというともう少し社会的な面でもそうですが、当社のプラットフォームが世界のOSになっていく中でのクリーンさ、安全安心をどこまで提供できるかというところにまずは注力し、ミッションとし実行しているというところです。当然、拡大していく中でのファイナンスや管理部門の構築ももちろんミッションとして持っていますが、やはりこの事業面でのクリーンさ、それからバックオフィス、ファイナンスといったところの守りの強さみたいなところ、この両面が今の自分の一番大きなミッションです。

相沢 新体制づくりは進んでいますか?

宇佐美 おかげさまで順調に進んでいます。管理部門のメンバーも徐々に増えてきました。人事労務部門と経理財務含めて、もう7~8人とか10人とかそういう体制になっていて非常にいいメンバーが揃ってきてくれています。

立ちはだかる壁を超えていく

相沢 今の宇佐美さんの前に立ちはだかる壁ってありますか?

宇佐美 もう壁しかないですね(笑い)、本当に壁しかないです。まずファイナンスもそうですし、クリーンなプラットフォームをつくる、管理部門の体制構築、さまざまな部分での事業理解、また、メタバースの新規性の理解はおもしろくもあり壁でもあります。恥ずかしい話ですが、当社に入社するまではメタバースって何だろう?というところから始まっていますので。そもそもコンシューマー向けビジネスの経験がありませんでした。まずそういった事業の特性、仕組みを理解した上で構築していくことが必要な中で、キャッチアップと研鑽がまず1つ課題です。それからメタバースというのは非常に新しい領域ですので、そこに関わる法律、それから会計、税務などそういった部分の解釈や適用。ここを読み解いていくのが非常に難しいです。外部専門家の方や社内の人間とよくディスカッションしながら進めています。

相沢 宇佐美さんなら絶対、乗り越えられると思いますけれども(笑い)、どう乗り越えていきましょうか?

宇佐美 重複になりますがこういった分野の知見をお持ちの方とよくディスカッションをして、社内でもよくディスカッションをするというところがまず1つ。それからユーザーさんにしっかりと向き合っていくということです。当社のプラットフォーム使ってくださる中で、我々運営に対してユーザーさんの声が既に多く届いています。そういったお声の中にやはり安全安心そしてクリーンなプラットフォームというところの課題がたくさんありますので。こういった内外の声をしっかりと聞いて、かつ世界のOSであるというところの広げ方を、うまく折衷していくといいますか。その時その時の課題をしっかり定義しながら、最適な答えを導いていくしかないかなと。非常に地道です。でも地道にやっていくしかないです。

前例のない領域への挑戦 その大変さと醍醐味

マネーフォワードクラウドPresents「& money」 クラスター株式会社 執行役員CFO 宇佐美和樹さんに聞く!(前編)

相沢 壁しかないという中で改めてCFO、財務の仕事の大変さは?

宇佐美 財務もそうですし、管理部門体制の構築もそうです。大変だと思う瞬間については、やはり前例のない領域であるというところに尽きると思っています。それから私もアドバイザーとして外から会社さんを見る立場でずっとやってきた人間なので、組織や人間と向き合いながら前例のない領域に挑戦するというその両方かなと思っています。

相沢 逆に醍醐味とか楽しさは?

宇佐美 まさに今の大変なところとの裏返しですね。前例のない領域、逆にいえばここをしっかりと当社のプラットフォームの成長に含めて、法律の適用もそうですし、クリーンなプラットフォームとしての運用の仕方もそうですし。これがきちんと構築できれば、それはまさに当社がフロントランナーになり得る可能性があります。メタバースという領域を牽引していける存在になり得るというところが、非常におもしろさ、醍醐味の1つでもあります。また、社内外、ユーザーさんとも向き合いながらやっていくという中では管理部門の構築も含めやはり生き物ですので、組織が拡大していければやるべきことも変わるし最適解も変わるし非常に流動的なんです。そこは自分ひとりで考えるというよりはユーザーさんのお声、それから社内外の意見を聞きながら、自分ひとりでは考えられなかったこと、自分が最適だと思っていたことが実は間違っていたり、非効率だったということに気づける中で、改善や最適をどんどん追求していけるというのは、外にいてアドバイザーをしていた時には分からなかった感覚です。これが非常におもしろいなと今、思っているところです。

お話は後編に続きます。
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インタビューの雰囲気や臨場感あふれる息遣いなども是非聞いてみてください。


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