• 更新日 : 2023年7月7日

ベンチャー企業のストック・オプションとは?メリット3つと注意点を紹介

ベンチャー企業の人事担当者の中には、人材確保や従業員の離職率低下を目的として、ストック・オプションの導入を検討している人もいるのではないでしょうか。ストック・オプションを導入すれば、優秀な人材が確保できるほか、従業員のモチベーション向上につながります。

本記事では、ストック・オプションの概要や、ベンチャー企業がストック・オプションを導入するメリット・デメリットについて解説しています。転職して前職より給与が下がる場合でも、ストック・オプション制度があることにより、転職を決意する人もいます。

ストック・オプションとは

ベンチャー企業のストック・オプションとは?メリット3つと注意点を紹介
ストック・オプションとは、自社株が買える権利のことです。社内向けの新株予約権ともいえるでしょう。企業はストック・オプションとして、あらかじめ定めた価格で、自社株が買える権利を従業員や役員に対して付与します。

権利を行使するまでストック・オプション自体に価値はありませんが、企業が上場したときなどに権利を行使すると、自社株の価格が上昇している場合に大きな利益を得られる可能性があります。自社株が将来的に値上がりしたとしても、権利付与時の価格で自社株が買えるからです。一般的には、報酬や退職金の代わりとして利用されています。

ストック・オプションのメリット

ベンチャー企業のストック・オプションとは?メリット3つと注意点を紹介
ストック・オプションのメリットには、以下のようなものがあります。

  • 企業への貢献が自己の利益に反映される
  • 自社株を直接購入するよりもリスクが少ない
  • 給与として受け取るよりも税負担が軽減される

ストック・オプションは主に、従業員のモチベーション向上を目的として導入されます。企業への貢献が自己の利益に反映されることで、従業員のモチベーション向上や離職率の低下につながるということです。またストック・オプションは、従業員が自社株を直接購入するわけではないため、自社株の価格が下がった場合でも損失が生じない特長があります。

なお、給与として受け取るよりも税負担が軽減される「1円ストック・オプション」についてはこちらの記事で解説しています。

ベンチャー企業でストック・オプション制度を活用するメリット

ベンチャー企業のストック・オプションとは?メリット3つと注意点を紹介
ベンチャー企業でストック・オプション制度を活用するメリットには、以下のようなものがあります。

  • 【会社側】
  • 優秀な人材が確保できる
    ボーナスの代わりになる

  • 【従業員側】
  • 獲得可能株数が多い
    大きなキャピタルゲインを期待できる

【会社側】優秀な人材が確保できる

企業を拡大・成長させるためには、優秀な人材の確保が不可欠です。そのための方法として、入社時にストック・オプションを付与する方法があります。前職の給与が高かった場合でも、ストック・オプション制度があることにより入社の決め手になる場合があります。また、ストック・オプションを目的として、ベンチャー企業への転職を希望している人もいます。

【会社側】ボーナスの代わりになる

起業して間もないベンチャー企業は拡大局面にあるため、高い給与を出せない場合がほとんどです。しかし、ストック・オプション制度を導入することにより、給与が低かったとしてもストック・オプションで補うことが可能になります。また、ストック・オプションをボーナスの代わりに支給することも可能です。

【従業員側】獲得可能株数が多い

これは、従業員数が少ないベンチャー企業に当てはまるものですが、創業当初のメンバーとして入社すると、従業員1人あたりの獲得可能株数が多くなりやすいです。

一般的にストック・オプションは、発行済み株式総数の10〜15%を目安に発行しています。あまりにストック・オプションを発行すると、現在株主が保有している株式の価値が低下してしまうからです。そのため、従業員が増加するにつれ、ストック・オプションの付与率も下げていく必要があります。

企業のフェーズは、成長段階や社員規模数に応じて「創業期」から「成長期」「安定期」へと移行していきます。フェーズの移行に応じて従業員が増加すると、付与できるストック・オプションも減少していくということです。

  • 企業フェーズに応じたストック・オプション付与比率のイメージ

企業フェーズストック・オプション付与比率
創業期1〜2%
成長期0.5%
安定期0.2%
株式上場後0.1%以下

【従業員側】大きなキャピタルゲインを期待できる

ストック・オプションは、あらかじめ定めた価格で、自社株が買える権利を従業員や役員に対して付与する制度です。このとき定める権利行使価格は通常は付与したときの時価が多いですが、1円や100円といったように、通常の株価よりもはるかに安い価格で設定されている場合もあります。

企業のIPO(新規上場)により自社株の価格が大きく上昇したタイミングで、ストック・オプションの権利を行使して株式を売却することで、数億円の資産を手に入れたという事例も少なくありません。

ベンチャー企業のストック・オプション制度の注意点

ベンチャー企業のストック・オプションとは?メリット3つと注意点を紹介
ベンチャー企業でストック・オプション制度を活用する際は、以下のようなことに注意しましょう。

  • 【会社側】
  • 従業員間でトラブルが発生する場合がある
    ストック・オプションを行使した従業員が流出する

  • 【従業員側】
  • 利益を得られない場合がある
    行使条件が設定されている場合がある

【会社側】従業員間でトラブルが発生する場合がある

ストック・オプションの付与率は、企業のフェーズや入社時期によって異なります。そのため、従業員間で不公平感が生じ、トラブルに発展する可能性があります。ストック・オプションを導入する場合は、付与する基準を明確に設定しておきましょう。企業の業績に貢献したことが客観視できるような基準であれば、従業員の不公平感がやわらぐはずです。

【会社側】ストック・オプションを行使した従業員が流出する

ストック・オプション制度を導入する場合は、権利の行使条件を厳しく設定する必要があります。簡単にストック・オプションが行使できてしまうと、ストック・オプションの権利を行使した従業員が退職してしまうからです。

権利付与時から行使条件までに一定の期間を設けることや、退職時のみの行使に限定することは、従業員の流出を防ぐために必要な制限です。

【従業員側】利益を得られない場合がある

ストック・オプションは、従業員のモチベーション向上につながりますが、自社株の価格が必ず上昇するとは限りません。思ったように利益が上がらず、会社の業績が芳しくない場合は当然株価も下がってしまいます。このような場合、ストック・オプションの利益をモチベーションとしていた従業員のモチベーションも下がってしまいます。

【従業員側】行使条件が設定されている場合がある

ストック・オプションに行使条件が設定されている場合は、自由に権利が行使できません。ストック・オプションによる利益を目的とした社員が、権利行使後すぐに退職することを防ぐ目的があるからです。

行使条件は、企業が上場することを前提に設定されている場合がほとんどです。また在職を要件として、権利付与時から2年経過するまでは権利が行使できないといったものや、退職後10日以内でないと権利が行使できないといったものもあります。

まとめ

ベンチャー企業がストック・オプションを導入することにより、優秀な人材を獲得できるほか、従業員のモチベーション向上につながるでしょう。ただし、ストック・オプションによる利益を目的とした従業員が増えてしまうと、自社株の価格が低下すると従業員のモチベーションも低下してしまいます。

近年では、ストック・オプションを退職金の代わりに付与している企業が一般的です。退職時の権利行使を前提とすることで、早期退職を防ぐことができるほか、企業の成長に長年貢献した従業員や役員へ感謝の気持ちが伝えやすくなります。

よくある質問

ベンチャー企業のストック・オプション制度を利用するメリットとは?

従業員が比較的少ないため獲得可能株数が多くなることや、IPO(新規上場)による大きなキャピタルゲインを期待できることが大きなメリットです。導入する側としては、従業員のモチベーション向上が見込めます。

ストック・オプションを利用する際の注意点は?

必ずしも大きな利益が期待できるわけではない点や、在籍期間等の行使条件がある点に注意しましょう。導入側としては、自社株の価格が下がると、従業員のモチベーションも低下してしまうことに注意が必要です。

よくある質問

ベンチャー企業のストック・オプション制度を利用するメリットとは?

従業員が比較的少ないため獲得可能株数が多くなることや、IPO(新規上場)による大きなキャピタルゲインを期待できることが大きなメリットです。導入する側としては、従業員のモチベーション向上が見込めます。

ストック・オプションを利用する際の注意点は?

必ずしも大きな利益が期待できるわけではない点や、在籍期間等の行使条件がある点に注意しましょう。導入側としては、自社株の価格が下がると、従業員のモチベーションも低下してしまうことに注意が必要です。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事