- 更新日 : 2024年7月17日
建設業の資金調達方法は?資金繰りにおける課題やおすすめの方法を解説
建設業界において、効果的な資金調達は事業成功の鍵を握ります。
資金が手元に多ければ多いほど、事業の拡大図りやすく、会社の成長を加速させられるでしょう。本記事では、建設業で資金調達が重要な理由を踏まえた上で、おすすめの資金調達方法を詳しく解説します。
目次
建設業で資金調達が重要な理由
建設業は資金調達が非常に重要な業種です。理由は、以下のような要因によって資金繰りが難しく、ある程度手元に資金がないと、仕事を受注することが困難となります。
【建設業で資金繰りが難しい理由】
- 先行出資が多いため
- 入金までの期間が長いため
- 手形取引が多いため
それぞれ、詳しく解説します。
先行出資が多い
建設業の資金繰りが難しい理由として、先行出資が多い業種であることが挙げられます。
建設業では、プロジェクトが開始される前に、多額の先行出資を必要とすることが一般的であり、材料の調達や機械や設備の購入などが必要です。
資金が不足するとプロジェクトの遅延や中断が発生し得るため、計画段階から正確な資金計画を立て、必要なキャッシュ・フローを確保しておくことが大切です。
そのため、建設業においては、銀行ローンや政府補助金など、多様な資金調達ルートを理解し活用することが求められます。
入金までの期間が長い
建設業は、受注や作業を完了してから入金されるまでの期間が他の業種と比較して長いのも、資金繰りが難しい理由です。
通常、建設業の取引では、工事が完了するまで支払いを受けることはありません。その一方で、材料の購入、労働者への給与、サブコントラクターへの支払いといった費用はプロジェクト開始時から発生します。
さらに、工期が伸びたり、予期せぬ追加工事が必要になったりした場合、これらの費用は企業の自己資金から前払いしなければならなくなることもあるでしょう。
手形取引が多い
建設業の資金繰りが難しい理由の1つに、手形取引が多い業種であることが考えられます。
手形取引とは、特定の期日に決められた金額を支払うという約束が記された証書を用いた取引のことです。手形を利用した取引では、実際の現金が手元に来るまでに時間がかかることがあります。
そのため、建設会社はプロジェクトの初期段階で大量の資材を購入したり、労働者に給料を支払ったりする必要があるものの、その資金が実際に手元に入るのはプロジェクトの進行に応じて遅れることが一般的です。
この現金のタイムラグは、プロジェクトの進行を滞らせるリスクを高め、資金繰りの困難を引き起こす可能性があるのです。
出典:中小企業庁|約束手形に関する論点について
建設業におすすめの資金調達方法
建設業におすすめの資金調達方法は、会社の状況によって異なります。
会社の状況別におすすめの資金調達方法は、以下の通りです。
- 創業期:日本政策金融公庫の新規開業資金
- 安定期:全国信用保証協会連合会の信用保証制度
- 最終的な目標:民間金融機関のプロパー融資
- 融資以外:民間企業のファクタリングサービス
詳しく解説します。
【創業期】日本政策金融公庫の新規開業資金
建設業の創業期におすすめの資金調達方法として日本政策金融公庫の新規開業資金があります。
建設業で事業を始める際には、資金調達が一つの大きな課題となります。特に創業期には、安定した資金源を確保することが業務の基盤を築く上で極めて重要です。
このような初期段階でおすすめの資金調達方法として、日本政策金融公庫が提供する新規開業資金の利用が挙げられます。
対象者 | 新たに事業を始める方 または事業開始後おおむね7年以内の方 |
資金の使途 | 新たに事業を始める際や始めた後に必要となる設備資金および運転資金 |
融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
返済期間 | 設備資金 20年以内(うち据置期間5年以内) 運転資金 10年以内(うち据置期間5年以内) |
利率(年) | 基準利率(ただし、特定の要件に該当する方が必要とする資金は特別利率) ※原則として土地にかかる資金を除く |
出典:日本政策金融公庫|新規開業資金
日本政策金融公庫の新規開業資金は、起業家が新たに事業を始める際の資金面でのサポートを目的としています。
この制度は、建設業における初期投資、例えば設備購入や初期の運転資金、人材採用などに必要な資金を低利で借り入れることができる点で特に魅力的です。
また、比較的長期にわたる返済スケジュールが設定されており、新規事業が安定するまでの財務的な負担を軽減します。
【安定期】全国信用保証協会連合会の信用保証制度
建設業の安定期におすすめの資金調達方法として、全国信用保証協会連合会の信用保証制度があります。
全国信用保証協会連合会の信用保証制度は、事業者が金融機関からの融資を求める際に、公的な信用保証協会を通じて信用保証を受けることにより、融資の承認を得やすくしたり、融資限度額を増やしたりすることができる制度です。
出典:一般社団法人全国信用保証協会連合会|もっと知りたい信用保証
信用保証を受けることで、金融機関のリスクが軽減されるため、より良い条件での融資が実現し、企業の成長と持続的な発展をサポートします。
さらに、信用保証制度は企業が金融危機に直面した際の安全網としても機能します。
例えば、市場が不安定な時期においても、保証があれば金融機関からの信頼を保ちやすく、資金の確保がスムーズに進むため、事業の継続性を高めることが可能です。
【最終的な目標】民間金融機関のプロパー融資
建設業で最終的に目指すべき資金調達の方法として、民間金融機関のプロパー融資がおすすめです。
この融資形態は、建設会社が直接金融機関から借り入れを行うことで、必要な資金を確保する方法で、信用度が高いと判断される事業者に対して、比較的低利で大規模な資金を提供しています。
建設業は、大型プロジェクトを成功させるためには、大量の先行投資が必要とされます。
そのため、迅速かつ柔軟に大規模資金を調達できるプロパー融資は、事業の成長と持続性に直結するのです。
金利が安かったり、融資上限がなかったりなど多くのメリットが期待できるので、最終的に目指す資金調達方法として理解しておきましょう。
【融資以外】民間企業のファクタリングサービス
建設業におすすめの融資以外の資金調達の方法として、民間企業が提供するファクタリングサービスがあります。
ファクタリングは、企業が保有する未回収の売掛金を、第三者のファクタリング会社に売却し、すぐに現金化するというものです。
ファクタリングは銀行融資とは異なり、企業の信用情報や追加担保が不要である場合が多いで傾向があります。
そのため、新しく事業を拡大しようとする建設業の企業や、従来の銀行融資が困難な企業にとって、アクセスしやすい資金調達の選択肢となります。
ファクタリングを利用することで、建設業者は工事完了後の長期にわたる支払い待ちの時間を削減でき、必要な現金を迅速に得ることが可能になるでしょう。
建設業の資金調達で押さえるべきポイント
建設業が資金調達を上手く行うために重要なポイントとして、主に以下2つがあります。
- 複数の金融機関と付き合いを持っておく
- 建設業許可の取得などで信用を高める
詳しく解説します。
複数の金融機関と付き合いを持っておく
建設業での資金調達を成功させるためには、複数の金融機関との良好な関係を築くことが重要です。
多様な金融機関との関係を保つことで、異なるタイプの融資製品やより有利な融資条件を利用できる可能性が高まるからです。
特に建設業はプロジェクトごとに資金需給が大きく異なるため、一つの金融機関だけでは対応が難しい状況が生じることもあります。
複数の金融機関との関係を築くことで、一方が融資を拒否した場合でも他の機関から支援を受けることが可能となり、資金調達の確実性が向上します。
建設業許可の取得などで信用を高める
建設業の資金調達を上手く行うために建設業許可の取得などで信用を高める必要があります。
建設業許可を含む各種認証は、企業が一定の業務品質と安全基準を満たしていることを示すものであり、これにより金融機関からの融資審査時に有利な条件を引き出せる可能性が高まります。
許可や認証を持つことで、企業はより広い範囲のプロジェクトに入札する資格を得られ、その結果として事業の機会を拡大することが可能です。
まとめ
建設業界で成功を収めるためには、効率的な資金調達が不可欠です。
建設業は、他の業種と比較して先行出資が多かったり、入金までの期間が長かったりするなど、資金繰りが難しい傾向があります。
これらの課題を克服するためには、創業期には日本政策金融公庫の新規開業資金、安定期には信用保証制度、さらに成長期には民間金融機関のプロパー融資やファクタリングサービスが有効です。
また、複数の金融機関との関係構築や、適切な許可取得による信用の向上が、資金調達成功の鍵となります。
よくある質問
建設業の資金調達の方法は?
会社の状況別におすすめの資金調達方法は、以下の通りです。
- 創業期:日本政策金融公庫の新規開業資金
- 安定期:全国信用保証協会連合会の信用保証制度
- 最終的な目標:民間金融機関のプロパー融資
- 融資以外:民間企業のファクタリングサービス
建設業が資金調達を成功させるためのポイントは?
建設業の企業が資金調達を成功させるためには、以下の2つを意識しましょう。
- 複数の金融機関と付き合いを持っておく
- 建設業許可の取得などで信用を高める
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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