- 更新日 : 2024年7月16日
ブリッジローンとは?概要やメリット・デメリット、活用方法などを解説
会社経営において、資金繰りに関する悩みは避けられないものです。また、個人事業とは比較にならないほど多額の資金が必要になります。
企業が資金を調達する際には、銀行や信用金庫などの金融機関からの融資が主になりますが、いつでも容易に借入ができるわけではありません。急に資金が必要になる場合も考えられます。そのような場合に役立つのが「ブリッジローン」です。
そこで今回は、ブリッジローンの内容、メリット・デメリット、そして活用のポイントなどについて解説します。
目次
ブリッジローンとは
ブリッジローンとは、短期間(通常3カ月程度)に限定された、一般的な融資よりも高い金利が特徴の融資を指します。基本的に保証人は不要です。
個人事業主や経営者が新たに融資を受けるまでの間に一時的な資金を提供するためのものであり、融資までのつなぎとしての役割を果たすため、ブリッジローンと呼ばれています。
その他にも「ブリッジファイナンス」や「つなぎ融資」とも呼ばれます。
ブリッジローンの活用イメージ
ブリッジローンの活用はどのように行われるのでしょうか?イメージが湧きやすいように、個人の住宅ローンのケースを例に説明します。
一般的に自分の住まいを購入する場合、建物の工事費など多額の支出が必要となります。
しかし、住宅ローンの融資が実行されるまでには時間がかかることがあり、その間も土地の購入代金や工事の手付金、建築費用の一部などの支払いが必要となることがあります。このような場合に、ブリッジローンが役立ちます。
具体的には、土地の購入代金や工事の手付金などにブリッジローンを利用し、住宅ローンの融資が承認された時点で、ブリッジローンを返済するという流れになります。
ブリッジローンのメリットとデメリット
ブリッジローンは、短期的な資金ニーズを満たすために利用されます。企業の資金調達などにおいて、次のステップに進むための架け橋としての役割を果たしますが、メリットだけでなくデメリットも存在します。
ブリッジローンのメリット
・短期間で多額の資金調達が可能
ブリッジローンの最大のメリットの一つは、通常の融資と異なり、短期間で多額の資金を調達できる点です。
一般的に、銀行などからの融資は手続きや審査に時間がかかり、実際に資金を受け取るまでに長い時間を要します。しかし、ブリッジローンは審査に要する時間が比較的短いため、長期間の審査のためにビジネスチャンスを逃すという心配がありません。
・保証人が不要な場合も
ブリッジローンのもう一つのメリットは、通常の融資と違い、保証人が不要なことが多い点です。保証人が必要な場合はその選定に時間がかかることがありますが、ブリッジローンではその手間が省けるため、より迅速に資金を受け取ることができます。
ブリッジローンのデメリット
・高金利で一括返済が必要
ブリッジローンのデメリットとしては、金利が高い点が挙げられます。審査は迅速ですが、資金の使用目的や返済計画を明確に説明する必要があります。また、一括返済が求められる点もデメリットです。
・手数料と遅延損害金の存在
金融機関によっては、返済が遅れた場合の遅延損害金が高く設定されているケースや、高額な事務手数料がかかるケースもあります。
ブリッジローンは短期間の融資であるため、金融機関にとっては審査や管理に手間がかかる上リスクが高いという側面があります。そのため、金利や手数料を高めに設定せざるを得ないのです。
ブリッジローンの活用方法
ブリッジローンは、企業の成長戦略において重要な役割を果たしています。この章では、ブリッジローンの効果的な使い方について解説します。
ソフトウェア開発企業における活用
ソフトウェア開発企業がブリッジローンを活用することは少なくありません。
ソフトウェアは、完成してから売上が発生するという流れが通常であるため、開発段階では収益の獲得は確実ではありません。しかし、開発には多くの人件費と時間がかかります。また、予期せぬバグや不具合が発生したり、開発が遅れることもあります。
このような状況で緊急に資金が必要となった場合に、ブリッジローンが利用されることがあります。
M&Aにおける利用
通常M&Aにおいて、買い手は買収に必要な現金や株式を事前に確保しています。しかし、買収対象の企業が予想以上の現金を保有しているなど、企業価値が非常に高い場合には、準備していた資金では不足してしまうケースがあります。
このように資金が不足していて、金融機関からの融資が難しい場合は、増資などの手段がとられることがあります。ただしそれでは時間がかかりすぎる場合に利用されるのがブリッジローンです。
ブリッジローンはM&Aに必要な多額の資金にも対応できるのが強みです。M&Aにおけるブリッジローンの返済は、新株発行による資金調達や、買収した会社の現金を利用して行われることになります。
ブリッジローン活用時のポイント
ブリッジローンはあくまで一時的な資金調達手段です。そのため、以下で紹介するポイントに留意する必要があります。
明確な目的と返済計画を立てること
ブリッジローンは、住宅ローンの例でもわかるように、明確な目的と返済計画が必要です。例えば、融資や債権の見通しが立っているが入金まで時間がかかる場合や、将来の入金は見込めているものの、金融機関からの融資が難しい場合などに利用されます。
ただし目的や返済計画を示せない場合は、ブリッジローンを利用できないこともあります。
ハイリスクハイリターンであることを理解する
ブリッジローンは短期間で大きな資金を調達できるなどの大きなメリットがありますが、「資金調達に多額のコストがかかる」「返済できない場合、多額の遅延損害金を支払わなければならない」などの高いリスクがあることには十分注意してください。
専門家のアドバイスを検討する
ブリッジローンに関する不明点がある場合は、専門家にアドバイスを求めましょう。
資金調達には、ブリッジローン以外にもさまざまな方法があります。具体的には以下のとおりです。
この内、例えば新規発行株を特定の第三者に引き受けてもらう「第三者割当増資」は、非上場で公募増資が難しい中小企業やベンチャー企業に適した資金調達方法です。
ブリッジローンが自社にとって最適な資金調達方法であるかどうかも含めて、経験豊富な専門家からの助言を受けましょう。
他の融資方法と比較検討する
自社にとって最適な資金調達方法を見極める上では、ブリッジローン以外の融資制度との比較も有用です。
- 日本政策金融公庫の融資制度
- 金融機関の事業者向けローンやビジネスローン
- 不動産を所有している場合の不動産担保ローン
これらのローンは、ブリッジローンと比べて金利が比較的低く、返済期間を長く設定できるのが特徴です。
まとめ
ブリッジローンは迅速な審査や保証人不要という点から手軽な方法に感じられるかもしれませんが、実際には明確な目的と返済計画がなければ借入は認められません。
現在の状況を分析し、将来の収支を予測するなどの厳密なシミュレーションを行った上で、ブリッジローンの申請を検討しましょう。
うまく活用すれば、事業を円滑に進め、業績を発展・拡大させるための有力な手段となるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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