• 作成日 : 2022年1月24日

IPOを目指すスタートアップがやるべきバックオフィス構築

IPOを目指すスタートアップがやるべきバックオフィス構築

IPOを目指すスタートアップにとって、上場基準に耐えうるバックオフィスの構築は乗り越えなければならない大きな壁と言えます。この大きな壁を乗り越えるために、IPOを意識したバックオフィス構築のポイントや、そのメリットについて解説していきます。

IPOとは?

IPOとは、Initial Public Offeringの略語で、企業が株式を新たに証券取引所に上場(公開)し、市場を通じて取引ができるようにすることを言います。国内に300万社以上あると言われる法人のなかでも、証券取引所に上場している会社はわずか4,000社ほど。IPOを実現するということは、それだけハードルが高いことがわかります。

IPOは、資金調達の手段のひとつではありますが、副次的なメリットも大きく、企業の信用力が上がることで、次のような変化が考えられます。

  • 新規取引先とも取引が行いやすくなる
  • より優秀な人材の確保が容易になる
  • 役員や従業員の士気向上につながる
  • 社内の内部管理体制が強化される

 
一方で、IPOはしたいと思ってもすぐにできるものではなく、IPOするにあたって企業としての適格性を備える必要があり、その準備に2~3年を要するものとなります。

スタートアップがIPOするメリットは?

非常にハードルの高いIPOですが、スタートアップ企業がIPOをするメリットについて、より具体的にみていきましょう。

グロースに向けた資金の獲得

IPOの主目的は、グロースに向けた資金の獲得になります。IPOのタイミングでは、メイン事業はビジネスモデルとしても一定の成長安定性を備えているものとなっているため、さらにスケールの大きいグロースを目指して既存事業のスケールアップ・新規事業開発・海外展開・M&A等を検討していくことになり、そのための巨額の資金をIPOで確保することが可能となります。

知名度・信用力の向上

IPOによって知名度や信用力が向上するため、マーケティング活動が以前よりも効率的に進めることができるようになったり、金融機関からの格付けも向上し、借入条件が改善されたり、取引先との取引条件も、より有利なものになるなどの影響があります。

採用力の向上および既存社員のモチベーションアップ

IPOすることで知名度が向上し、企業としての安定性も上場によって一定の担保がなされていることから、採用力が大幅に向上します。注目度が高まることから既存社員のモチベーションの向上も期待ができます。

内部管理体制の強化

上場審査を通過するためには、審査基準に準拠した内部管理体制の構築が必要になります。内部管理体制が強化されることで、会社全体としてもコンプライアンス意識が向上し、不正や不祥事を未然に防ぐことができ、より安定かつ継続的な企業成長を行うための体制が強化されます。

株主およびストックオプション保有者の利益確保

IPOによって株式を取引所で販売することが可能となるため、創業者や投資家といった株式の保有者、従業員といったストックオプションの保有者についても利益を確保することが可能となります。

IPOを目指しているスタートアップ企業が、早め(シード期ごろ)に取り組んでおくべき3つのこと

スタートアップがIPOを目指す場合に、優先して早めの段階から取り組んでおいたほうがスムーズにいく事項がいくつかあります。特に重要な点についてみていきましょう。

人材採用

IPO準備で必要なタスクをこなすには、大きく分けて下記3つのタスクを取りまとめる人材が必要です。特にIPOを取りまとめることができる人材はマーケットにほとんどいないため、早めに採用に動く必要があります。

  1. 経理
  2. ファイナンス
  3. 総務法務労務

上場準備時点で企業規模が相当な規模でない限りは、通常、上記の役割のうち、上場準備責任者が管理部長としてどれかを兼務することが一般的です。企業の一番重要な課題が責任者のロールと一致していると準備がスムーズにいきます。IPO自体が資金調達の手段であることから、CFOが責任者としてファイナンスの機能を兼務することが多いです。

では、責任者の採用にあたって、気をつけるべきことをみていきましょう。

役員陣や事業部責任者と適切なコミュニケーションをとれる能力があること

IPO準備は、全社一丸となって取り組まなければいけない一大プロジェクトです。特に内部統制など今までの事業運営に規制をかけていくような話もあるため、事業部に納得をしてもらうようなコミュニケーション能力およびヒューマンスキルが重要となってきます。

例えば、専門知識がどれだけあっても、それを知らない人にわかりやすく納得してもらえる形で説明できるコミュニケーション能力や、「この人のためならがんばろう」と思ってもらえるようなヒューマンスキルです。面接の際に専門性だけでなく、こういったプロジェクトマネジメント能力もしっかりと見極めましょう。

経営者へのデメリットの理解も含めたIPOの目的の確認

責任者を採用したものの、そもそも経営者がIPOのメリットしか理解できておらず、どういったデメリットや準備工数があるのか、採用直後にデメリットを理解し、その結果、IPOをしないという意思決定がなされてしまうことがあります。

それによってせっかく採用した責任者も退職することとなってしまいますので、責任者を採用する前に、そもそも会社全体としてIPOの意義について認識を合わせておきましょう。

予実管理

上場企業は、業績予想を公表する必要があり、前提条件やその根拠の適切な開示や、業績予想情報の正確性などについても以前より高いものが求められます。

そのため、上場準備に入った際には、単なる目標としての予算ではなく、市場環境、見通しや法的規制、想定可能なリスク要因、ビジネスモデルなども加味したうえで、達成が可能で合理的な説明ができる計画として予算を策定する必要があります。

作成した予算に対しては、月次や四半期で予算実績の対比を行い、予算との乖離が大きい場合には差異が発生した要因を分析し、その差異を合理的に説明できる体制を構築していく必要があります。予算実績の差異を把握するためにも、タイムリーかつ正確な会計記帳がベースとなるため、経理体制の構築も予実分析には重要な要素となっていきます。

バックオフィス構築

人材採用・予実管理については重要なトピックのため、独立して記載しましたが、そのほかにも構築すべきバックオフィスの体制はさまざまあります。バックオフィスは、労務・法務・総務など、法令順守をしながら企業活動を進めていくうえで必須の機能です。

特に企業内容の開示における会計に関する情報は、「ただ会計を正確に記録する」だけではなく、内部統制含めた体制整備が必要となり、準備に時間がかかることからN-2期から取り組んでいく必要があります。

マネーフォワード クラウド会計PlusならIPOに向けた効率的なバックオフィス構築が低コストで実現可能

内部統制も含めた経理体制をつくっていくうえで、どのような会計システムおよび事業運営の業務実態に沿ったオペレーションを組んでいくかは、非常に重要な意思決定となります。会計システムの機能次第では、現場のオペレーションや、監査法人の対応工数などが増えて、監査報酬にも影響が出てしまう恐れがあります。

そのため近年では、内部統制の機能も備えた、効率的に業務を回していくことができるクラウド会計システムがみられるようになってきました。例えば、マネーフォワードクラウド会計Plusであれば、低コストで効率的に内部統制の機能を兼ね備えた状態でバックオフィスの構築が可能です。IPOを決断し、準備期に入る際には、ぜひ導入を検討してみてください。

よくある質問

どのフェーズからバックオフィスの強化に取り組んだらよいですか?

上場の準備には、2~3年ほどかかるため、その前には本格的にバックオフィスの強化に取り組んでいくとよいでしょう。

IPOに向けたバックオフィス構築で注意すべき点は?

内部統制を兼ね備えたオペレーションを組んでいく必要があるため、システムの選定も含め、「業務がただ回ればよい」ではなく、内部統制の観点も含めて構築をしていく必要があります。

バックオフィスには何人採用したらよいか?

企業の状況にもよるため、まずはCFOや管理部長といったプロジェクトリーダーを採用することから始め、責任者と計画を立てながら採用目標人数を決めていくとよいでしょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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上場までの道のりガイド

監修:伊藤達也 (伊藤達也税理士事務所)

伊藤達也税理士事務所
2013年、EY新日本有限責任監査法人金融事業部に入所。証券会社、インターネットメディア事業などの法定監査だけでなくIPO支援や内部統制構築支援に従事。また、創業手帳株式会社、弁護士ドットコム株式会社にてバックオフィス全般及び資金調達業務に従事。会計、税務、内部統制にかかる業務を行う中で、直接会社にサービスを提供するコンサルティングサービスに意義を見出し、2021年事務所設立。慶應義塾大学経済学部卒。