• 作成日 : 2024年10月21日

スタートアップならではの採用のポイントとは?具体的な実践方法も解説

採用活動が企業の成長において重要な役割を占めていることはいうまでもないでしょう。特に創業間もないスタートアップにとっては、自社に合った人材を見つけて効率的にターゲティングすることが必要になります。

一方で、知名度の低さやカルチャーなど、スタートアップならではの採用の難しさがあることも事実です。本記事では、このような主に創業フェーズのスタートアップにおける採用活動に焦点を当て、課題やポイント、具体的な実践方法を解説します。

スタートアップの採用の難しさ

はじめに、スタートアップの採用における課題や、陥りがちな失敗例を紹介します。

スタートアップならではの採用の課題

大手企業と異なり、特に創業期のスタートアップは知名度や認知度が低い上、具体的な業務プロセスや職種ごとの役割も定まりきっていないことが多いでしょう。

さらに、採用にかけられるコストが限られている場合もあるかもしれません。

これらをまとめると、スタートアップに特有の採用における課題として、主に次の3点が挙げられます。

  1. 企業やサービス・ブランドの知名度が低いため、候補者を惹きつけにくい
  2. 業務プロセスや役割が不明瞭で、入社後の業務イメージを候補者に抱かせにくい
  3. 採用コストが限定的で、大手求人媒体への出稿や人材紹介サービスの積極活用などが難しい

スタートアップの採用で陥りがちなワナ

上記のような課題がありつつ、採用を続ける中で何とか上手く進捗するケースもあります。

しかしながら、そういった状態のスタートアップの採用活動にて見落としがちな観点として、次の2点が挙げられます。

  1. 採用がゴールになってしまい、入社後相互にミスマッチが起きてすぐに退職してしまう
  2. 最終面接や内定まで進むものの、候補者自身からは2番手・3番手の位置付けであるため欲しい人材を獲得できず、採用活動の効率性が下がる

このようなスタートアップならではの課題やワナを踏まえ、次章以降では具体的なアプローチについて解説していきます。

スタートアップの採用におけるポイント

上述の課題や見落としがちな点を踏まえて、スタートアップの採用活動のポイントを紹介します。主なポイントとしては下記3点が挙げられます。それぞれ詳しく解説していきます。

  1. 欲しい人材像の徹底的な具体化
  2. 求める人材像の妥協ポイントや優先順位付け
  3. デジタルとアナログの使い分け

1. 欲しい人材像の徹底的な具体化

スタートアップの採用活動においては、何よりもまず、獲得したい人材のイメージを高い精度で具体化することが重要であるといえます。

先述の課題を踏まえると、スタートアップの採用では効率性がカギとなります。また候補者を惹きつけ、きちんと獲得につなげるためには、特に数十人規模のスタートアップではパーソナライズに近い形でのアプローチがポイントとなるでしょう。

そのため、どういった人材が欲しいかを企業側が明確化することが欠かせません。

2. 求める人材像の妥協ポイントや優先順位付け

一方で、理想の人材像を精緻に具体化すると、非現実的でハードルの高い姿になりがちです。

そうなってしまった場合、転職市場に該当する人材がいないため新しい人材を獲得できず、本末転倒です。そのため、設定した条件の中で優先順位をつけることも重要です。

例えば、CXOクラスの幹部人材や特定のプログラミング言語を扱えるプログラマーなどの即戦力が欲しい場合、カルチャーフィットや人柄は優先度を落としつつ、給与面は手厚くするといった形が考えられます。

もしくは、即戦力ではなくともまずはがむしゃらに色々なテーマを担ってくれ、一緒に成長できる人物で、給与は抑えめにしたいといった場合であれば、スキルや職歴面は優先度が下がるでしょう。このケースでは、人柄や想いの強さなどが重要視されます。

3. デジタルとアナログの使い分け

効率性を高める手段として、デジタルを活用して効率的に採用活動を行うことが考えられるでしょう。例えばSNSでのブランディングや転職サイトのSEO対策、ダイレクト広告などが挙げられます。

これらも有効ではありますが、上述のとおり、大手との差別化が難しく、結局人材獲得に至らないケースにつながりやすいのも事実です。

このような懸念のあるスタートアップの採用でカギとなる点に、人材ネットワークが挙げられます。地道な活動にも思えますが、入社後のギャップを減らすためにも、既につながりのあるところからターゲティングすることは重要で、近年のリファラル採用の潮流はここに起因するといえるでしょう。

SNSやSEO対策などのデジタル施策は最低限行いつつ、アナログな人材ネットワークも上手く活用することがポイントです。

スタートアップ採用の実践方法・フレームワーク

続いて、さらに踏み込んで、スタートアップで採用を実践するための方法論について解説します。

スタートアップの採用には何よりもまず、欲しい人材の具体化が肝要であると説明しました。これを踏まえて検討すべきステップを挙げると、主に次のようになります。

  1. 要件の整理
  2. 採用アプローチの検討
  3. 評価プロセスの整理

それぞれのステップにおける検討のためのポイントをフレームワークとして紹介します。

1. 要件の整理

まず初めのステップである要件の整理においては、主に次の5つの観点での検討が重要です。

  1. 人材を獲得したい背景の明確化:稼働工数が足りない、前任者が退職した、不足しているスキル/知識があるなど
  2. 獲得したい人材のスキル・役割の定義:即戦力、マネージャー、新卒、法務、ブランドマネージャーなど
  3. スキル・役割以外で重視したい観点の洗い出し:カルチャーフィット、学歴・職歴、人柄など
  4. 提示できる条件の整理:給与、ストックオプションなどの待遇、採用費など
  5. 入社してほしい時期の明確化:可能な限りすぐ、1年後、時間をかけてもマッチ度合重視など

2. 採用アプローチの検討

獲得したい人物像の要件が固まったら採用活動を開始しますが、その際には4つの検討ポイントがあります。

  1. 要件に該当する候補者が存在しそうなマーケットを調査:新卒市場、転職市場、転職市場にいない層、海外留学など
  2. 当該マーケットに対する採用手段を検討:エージェント、採用プラットフォーム、ダイレクトリクルーティング、リファラル、採用イベント、会食など
  3. 自社および募集ポジションの魅力や動機付け要因を明確化:ミッション、裁量、給与面の条件など
  4. 過去実績や社内事例なども踏まえて採用手段やアプローチを決定し実行

3. 評価プロセスの整理

最後に忘れてはならない点として、よい候補者をどう見極めるかについても事前に整理が必要です。評価プロセスにおいては、次の3つのポイントが考えられるでしょう。

  1. 選定基準の洗い出し:特定スキルの経験3年以上、類似した分野での実績、資格の有無など
  2. 評価方法の設計:インターン、面接、webテスト、会食での雰囲気など
  3. 評価実施者の設定:仕事を主にする想定の人、役員、さまざまな立場の人を混ぜるなど

まとめ

本記事では、スタートアップの採用に特有の難しさや課題を踏まえつつ、効率的な採用活動に向けたポイントや具体的な実践方法について解説しました。

スタートアップでは、知名度や採用コストなどの観点から大手企業とは異なるアプローチが必要であり、パーソナライズに近い方法が有効であるといえるでしょう。そのためには獲得したい人物像を磨き込み、その中での優先順位を見定め、デジタルだけでなくアナログな手法も交えた活動が重要になります。

具体的には3章で紹介したようなフレームワークを用いながら、効率的な採用活動の実践に向けて検討を進めてみてはいかがでしょうか。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事