• 更新日 : 2024年4月24日

上場審査は厳しい?基準や落ちる理由・通過するためのポイントを解説【テンプレート付き】

上場審査の基準や申請から上場までの流れなど、実はよく理解できていないという方もいることでしょう。上場審査は厳しい条件を課していますが、上場することで社会的信用性が増したり、取引先が増えたりします。審査に通過する基準をきちんと理解していないと、何度申請をしても通過しません。
本記事では、上場審査基準を解説したうえで、申請から上場までの流れを詳しく解説します。上場審査に落ちる理由や通過すためのポイントを解説するため、上場審査に通過したい方は参考にしてください。

上場審査は厳しい?

上場審査は厳しい?基準や落ちる理由・通過するためのポイントを解説
企業が上場するためには、上場審査に通過しなければなりません。しかし、上場審査の基準は厳しいことが現状です。実際は日本の企業数は約367万社ありますが、その内上場している企業は、東京証券取引所によると、約3,800社しかありません。

上場審査が厳しくなった背景には、上場後、業績を下方修正したり、不正が発覚したりすることが原因です。厳しい条件を満たし、上場することで社会的信用性が増し、取引先が増えたり、優秀な人材を採用できたりします。

上場審査基準とは

上場審査は厳しい?基準や落ちる理由・通過するためのポイントを解説
上場審査基準とは、企業が上場する適正があるかどうかを定めている基準のことです。

上場審査を通過するためには、証券取引所が定めている条件を満たす必要があります。条件は、形式要件と実質審査基準の2つがあります。

形式要件では、財務数値や株主数、株式数などの数値を達成しなければなりません。実質審査基準は、企業の継続性・収益性や経営の健全性などの条件達成が求められます。

それぞれの詳しい情報を次章で解説します。

形式要件

形式要件とは、企業が株式上場を申請する際に必要とされる条件のことを指します。株主の数や株式の流通量、企業の時価総額や利益などが含まれます。形式要件は、基本的に、受付基準と不受理事項の2つです。

受付基準は、上場する際に最低限満たすべき基準のことで、主に以下の項目が基準とされています。

  • 株主数
  • 流動株式数
  • 流通株式時価総額

受付要件を満たしていても、不受理要件に当てはまっていた場合は受理が却下されます。

  • 合併・会社分割・子会社化もしくは非子会社化・事業の譲受もしくは譲渡する予定のある場合
  • 合併・株式交換または株式移転をする予定のある場合
  • 上場前に第三者割当増資などによる募集株式などの割当などの確約を提出しない場合、また割当を受けたものが所有していない場合

上記の条件に当てはまっている場合は、上場審査を通過できないことを把握しておきましょう。

実質審査基準

実質審査基準とは、一定の形式要件をクリアした企業が上場審査を受ける際に用いられる評価基準のことです。基準は、どの市場においても同一のものが使用され、公平性が保証されています。

実質審査基準は以下の項目で判断されます。

  • 企業の継続性・収益性:審査では、企業が長期的に存続できるか、収益が安定しているかどうかが評価されます。
  • 企業経営の健全性:審査では、企業がその事業を公平かつ誠実に運営しているかどうかが評価の基準となります。
  • コーポレート・ガバナンスの有効性:社外の方に経営を監視される仕組みや内部管理の整備が整っているかどうかが審査の対象となります。
  • 企業内容などの開示の適正性:十分な企業情報を開示する必要があり、投資家が企業の価値を判断するために必要です。
  • 公益および投資者保護の観点から各取引所が必要と認める事項:反社会的勢力に関与していないことや株主の権利が投資家目線で適切に認められていることが基準となります。

申請から上場までの期間

上場申請のスケジュール|期間別の対応事項や必要書類をわかりやすく紹介

一般的に、上場を検討してから準備を進めていくためには、上場準備期間として3〜4年程度の期間を要するとされています。上場するためには、資本政策の策定や社内管理体制の整備、財務報告にかかる内部統制の整備などに大きな時間と労力を要するからです。

ベンチャー企業が上場するメリット・デメリット|基準や申請の流れを説明

上図は、上場準備を進めるうえでのモデルケースです。上場の準備に3〜4年、申請から上場までは2〜3ヶ月かかるとされています。想定したスケジュールにあわせて上場するためには、証券会社やIPOコンサルタントからサポートを受けて、会計監査の受入体制を整備していくとよいでしょう。

上場申請の流れ

上場申請のスケジュール|期間別の対応事項や必要書類をわかりやすく紹介

上場申請の準備ができた場合、主幹事証券会社は、上場申請の2週間前までに上場申請のエントリーを行います。エントリーが行われたあとは、上場申請の事前確認として、公開指導・引受審査の内容に関する事項や反社会的勢力との関係、審査日程などが確認されます。

上場申請のスケジュール|期間別の対応事項や必要書類をわかりやすく紹介

上場申請のスケジュールは通常、上記のような流れで行われます。上記の流れの中で、会社が上場申請に向けて進めるべき手順は以下のとおりです。

  1. 書面による質問・ヒアリングへの回答
  2. 実地調査への対応
  3. 監査法人・代表者・監査役・独立役員への面談
  4. 社長による説明会の実施
  5. 上場承認の公表

①書面による質問・ヒアリングへの回答

申請時に提出する書面(上場適格性調査に関する報告書)による質問に加え、公開指導・引受審査の内容に関する事項、反社会的勢力との関係、審査日程についてのヒアリングが行われます。

ヒアリングでは、主要幹事証券会社が上場申請に至るまでに実施した公開指導・引受審査の過程で特に気になったことや、書面の内容に関する確認が行われます。具体的には、会社の業種形態や法令違反の存在、事業上起こりうるリスクなどについてのヒアリングです。ヒアリングは3回ほど行われるため、それぞれの質問へ回答できるよう、準備しておく必要があります。

②実地調査への対応

実地調査では、審査担当者が本社や工場、店舗などへ訪問し、事業の内容を調査します。また場合によっては、会計伝票や帳票等も閲覧され、会計手続きに関する確認が行われます。

③監査法人・代表者・監査役・独立役員への面談

代表者・監査役・独立役員への面談では、審査担当者より、役職に応じたヒアリングが行われます。また会計監査を実施している場監査法人等への面談が行われる場合もあるようです。

それぞれの役職に対して行われる面談では、以下のようなことが質問されます。

【代表者へのヒアリング項目】

  • 経営に対するビジョン
  • 上場会社となった場合の株主への対応
  • コーポレート・ガバナンスおよびコンプライアンスの体制および運用状況
  • 適時開示に関する体制および内部情報管理に関する体制

 

【監査役へのヒアリング項目】

  • 実施している監査の状況
  • 会社が抱えている課題

 

【独立役員へのヒアリング項目】

  • 会社のコーポレート・ガバナンスに対する方針・現状の体制および運用状況
  • 経営者のコンプライアンスに対する意識
  • 独立役員の職務遂行のための環境整備の状況
  • 経営者が関与する取引の有無や当該取引への牽制状況等についての評価
  • 上場後に独立役員として果たすことが期待される役割・機能等についての認識

 

【監査法人へのヒアリング項目】

  • 会社の会計組織の整備・運用状況
  • 会計参与の関与状況

④社長による説明会の実施

社長説明会では、社長が金融商品取引所へ訪問し、会社の特徴や経営方針・事業計画について説明を行い、それらに対する質疑応答などによって上場可否の最終的な判断が行われます。また、当日は日本取引所自主規制法人役員から上場会社になった場合の留意事項・要請事項について、審査担当者から説明されます。

⑤上場承認の公表

上場が承認された場合は、金融商品取引所のホームページ等で公表されます。上場により公募または売出しを行う場合は約1ヶ月後、他市場においてすでに上場している会社で公募または売出しを行わない場合は、上場承認の公表から1週間後に上場することとなります。

上場審査に落ちる主な理由

上場審査は厳しい?基準や落ちる理由・通過するためのポイントを解説
ここでは、上場審査に落ちる主な理由を紹介します。具体的には以下のとおりです。

  • 経営者が不適切な取引を行っている
  • 業績予測を達成できていない

上場審査に落ちる理由を把握することで、審査に通過する可能性が上げられます。まずは、今回紹介する2つのことが社内で起きていないか確認するところから始めましょう。

経営者が不適切な取引を行なっている

上場審査に落ちる理由の1つに、経営者が不適切な取引を行っていることが挙げられます。

不適切な取引として以下のものが該当します。

利益供与とは、会社が株主に対して、株主の財産的な利益を提供する行為のことです。関連当事者取引とは、会社と(グループ会社や役員などの)関連当事者との間で行われる取引であり、会社の資産や債務を移動させたり、役務を提供したりすることです。

業績予測を達成できていない

上場審査は、業績予測を達成できないことで審査に落ちる可能性があります。上場時に公表される業績予想に関して、条件や根拠の開示が求められます。そのため、業績予測が達成できていないと、信頼度が下がる可能性が高いです。

業績予測が達成できない原因は、事業計画の精度の低さや市場環境の変化が挙げられます。業績予測を達成するために、日頃から事業計画の振り返りや新興競業他社の調査を行う必要があります。

上場審査に通過するためのポイント

上場審査は厳しい?基準や落ちる理由・通過するためのポイントを解説
上場審査に通過するためのポイントを2つ紹介します。具体的には以下のとおりです。

  • 業績予測の精度を向上させる
  • 内部管理体制を強化する

上場審査に通過するポイントを理解していると、効率よく審査に通過するための対策ができます。まずは、今回紹介する2つのポイントを実践しましょう。

業績予測の精度を向上させる

上場審査に通過するためには、業績予測の精度を向上させる必要があります。上場審査では、企業の財務の健全性や成長性などを評価するために求められます。

業績予測の精度を高めるためには、市場環境の見極めや自社のビジネスモデルに基づいた経営戦略の立案などが必要です。業績予測の精度を高めることで信頼性を確保し、財務健全性と成長性を示すことで、上場審査に通過しやすくなるでしょう。

内部管理体制を強化する

内部管理体制を強化することで、上場審査に通過しやすくなります。上場審査では企業の透明性と信頼性を求められ、基盤となるものが内部管理体制です。

具体例として、企業の財務報告の正確性を保証する内部監査体制や適切なリスク管理を行うためのリスク管理体制などが必要です。内部管理体制を強化することで、審査される際の評価を得やすく、審査に通りやすくなるでしょう。

上場申請書類一覧のテンプレート – 無料ダウンロード

上場を目指す企業にとって、上場審査に必要な申請書類の準備は複雑で大変な作業です。どの書類が必要で、どのように整理すべきか、多くの企業がそのプロセスに苦労しています。

「上場申請書類一覧」のテンプレートを活用し、上場申請に際して必要な書類を一覧で管理し、準備を効率化しましょう。必要な書類を一目で確認できるように整理されており、自社の上場準備プロセスに合わせてカスタマイズすることが可能です。
上場申請書類一覧テンプレートをダウンロードし、上場審査の準備をスムーズに進めましょう。

まとめ

上場の準備にあたっては、内部統制やコーポレート・ガバナンス、経営管理体制の整備が求められるため、時間と労力がかかってしまいます。また上場申請に必要な書類が膨大であることから、自社で完結させることは難しいでしょう。

上場の準備をスムーズに行うためには、早い段階でIPOコンサルタントや監査法人等の専門家に依頼することをおすすめします。専門家からショートレビューを受けることで、課題抽出および改善のためのアドバイスがもらえるからです。また専門家に依頼することで、上場申請に至るまでの全体像が把握しやすくなる特長もあります。上場準備の全体像を把握しておくことで、やるべきことが明確になり、社内の連携もスムーズに行えるのではないでしょうか。

よくある質問

上場審査とは何?

上場審査とは、上場を希望する企業が必要な条件や基準を満たしているかどうかを、証券会社と証券取引所が確認することを指します。 審査には、引受審査と公開審査の2つの段階があります。引受審査とは、主な証券会社が上場審査を開始する前に行う事前確認のことです。公開審査とは、上場を目指す企業が上場の要件を満たしているかどうかを証券取引所が検証することを意味します。

上場審査に落ちる理由は?

上場審査に落ちる主な理由は、以下の通りです。

  • 経営者による不適切な取引
  • 内部管理体制が不備
  • 業績予測の未達成
  • システム上の不備
上場審査を受ける前に、上記の内容が発生していないかどうかを確認しましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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