- 更新日 : 2023年7月11日
IPO投資とは?メリットやデメリット・当選確率を高める方法について解説

IPO投資を検討している人の中には、、メリットやデメリットをあらかじめ理解したうえで始めたいと考えている方も多いのではないでしょうか。また、IPOを目指す企業の人であっても、IPO投資がどのようなものか具体的に知っておくことは有用でしょう。IPO投資には、購入時の手数料がかからない点や利益が得られる確率が高いといったメリットがあります。デメリットとして、当選が難しい、購入できる株数に制限があるなどが挙げられます。IPO投資のメリット・デメリットの両方を理解しておかないと、IPO投資を始める判断ができません。
本記事では、IPO投資のメリット・デメリットを解説したうえで、IPO投資の申し込み手順を詳しく解説します。IPO投資で利益を得たい人もちろん、今後企業としてIPOを目指すにあたって投資について知っておきたい人もぜひ参考にしてください。
目次
IPO投資とは
IPO投資とは、新規公開株に投資をすることです。新規公開株とは、新たに株式市場に上場する株式のことであり、上場とは「投資家に株式を買ってもらえる状態になること」を指します。株式は企業が上場してはじめて、証券取引所を通じて自由に売買されるようになるのです。企業が株式を証券取引所で売買するためには、厳しい審査を受けて上場する必要があります。
IPO投資に申し込むメリット
IPO投資に申し込むメリットは、以下の3点です。
- 株式購入時に手数料がかからない
- 利益を得られる確率が高い
- 成長している企業に投資できる
IPO投資のメリットを理解した上で、投資を行いましょう。
株式購入時に手数料がかからない
IPO投資の場合、株式購入時に手数料がかからない点がメリットです。通常、株式を購入する際には、証券会社に取引手数料を支払う必要があります。IPO投資では手数料が必要ないため、投資家は多くの利益を得られる可能性が高いです。
しかし、IPO投資は投資であるため、リスクが存在しています。投資を行う前には十分に情報を収集し、自分が取れるリスクを理解しましょう。
利益を得られる確率が高い
IPO投資の魅力の1つは、利益を得られる確率が高いことです。IPOは新しい企業が株式市場に参入する瞬間であり、投資家たちは、将来的な成長に期待感を持ってます。期待感は、株価に反映され、公募価格以上に価格が上昇することが多いです。株式投資に関する深い知識がなくても「公開価格で購入して初値で売る」ことを機会的にこなせば、高確率で利益が得られるとされています。
公募価格で購入して初値で売った場合の勝率は、8〜9割ほどです。実際、2022年の1〜5月中に上場した25銘柄のうち、19銘柄を公開価格で購入したのちに初値で売却したことで利益が発生したケースがあります。
成長している企業に投資できる
IPO投資は、成長している企業に投資できます。IPO投資ができる企業は、幹事証券会社の審査を経て、基準を超えた企業しか上場できないからです。幹事証券会社とは、IPOの公開時の引き受けや販売、公開までの事務手続きなど上場の準備する手伝う会社のことです。
幹事証券会社が審査を行う際には、企業のビジネスモデルに持続可能性があるのか、社内体制が整っているのかといったポイントを確認します。IPO投資は、成長の見込みがある企業に投資できるため、大きな利益を得られる可能性があるでしょう。
IPO投資に申し込むデメリット
IPO投資に申し込む際のデメリットは以下のとおりです。
- 当選が難しい
- 購入できる株数に制限がある
- 公募価格割れのリスクがある
IPO投資のメリットだけではなく、デメリットを理解しておかないと、予想と違うことが起きる可能性があります。IPO投資のデメリットを理解した上で、投資を行えるよう、次から順番に解説します。
当選が難しい
IPO投資のデメリットの1つに、当選が難しいことが挙げられます。多くの人がIPO投資に注目するため、抽選に申し込み、当選する必要があります。しかし、会社が売り出す株には、制限があるため、結果的に当選は難しいです。
IPO投資の当選確率は、1%〜2%と言われているため、当選確率は非常に低いです。多くの人が、同じ機会を狙っているため、申し込んだ人が全員当選するわけではありません。当選が難しいことを理解した上でIPO投資を行いましょう。
購入できる株数に制限がある
IPO投資には、大きなチャンスがある一方で、購入できる株数に制限がある点がデメリットです。会社は、一度にすべての株を売るわけではなく、設定した一定の数を売ります。多くの人が大量に株を購入しようとしても、望むだけの株を購入できません。
一般的に、IPO投資で購入できる株式の上限の目安は、100株程度です。多くの株数を申し込んでも、当選確率が上げるわけではないため、注意が必要です。
公募価格割れのリスクがある
IPO投資では、公募価格割れのリスクがあります。IPOの初期の価格は「公募価格」と呼ばれ、最初に設定された価格で売られます。しかし、市場が会社の将来に対して不安を感じた場合、株の価格は公募価格よりも下がる可能性があるでしょう。
IPO投資は大きな利益をもたらす可能性がありますが、公募価格割れのリスクを理解することも重要です。市場の反応は予測できないため、IPO投資の失敗を避けるためにも慎重に行う必要があります。
IPO投資の流れ
IPO投資の流れは、以下のとおりです。
- 上場承認
- 仮条件決定
- ブックビルディング(競争入札方式)
- 公開価格の決定
- 抽選
- 新規上場
はじめに、企業は上場する取引所から上場承認を得ます。その後、投資家への販売価格帯を大まかに決める「仮条件決定」を行い、「ブックビルディング」という方式に基づいて実際の公開価格を決定します。公開価格が決まったらIPOに申し込んだ投資家の抽選を行い、投資家に販売して新規上場を果たすのが一般的な流れです。
IPO投資の申し込み手順
IPO投資の申し込み手順は、以下のとおりです。
- IPO株を確認する
- 目論見書を確認する
- ブックビルディングに申し込む
- 購入の申し込みをおこなう
各手順の詳細を詳しく説明するため、ぜひ参考にしてください。
①IPO株を確認する
まずは、IPO株のスケジュールや情報を確認しましょう。IPO株は年間で50~100株ほど上場するため、事前にスケジュールを把握しておく必要があります。スケジュールを十分に把握していないと「申し込みたかったのに気が付いたら手遅れだった」といった事態になりかねません。
スケジュールを確認できたら、どのIPO株に申し込むか検討しましょう。利益を得られる確率が高いIPO投資ですが、なかには公開価格よりも初値のほうが安いケースもあります。競合他社が少ない企業や高成長企業などは初値上場が期待できるため、事前にIPO株の情報を調べておくことで利益を得やすくなります。
②目論見書を確認する
投資したいIPO株を選定できたら、目論見書を確認します。目論見書とは、投資家が投資をするかどうか判断するために重要な項目が記載された文書のことです。企業がIPOをする際には、作成が義務付けられています。
目論見書の内容は非常に細かいため、慣れないうちは難しく感じる場合もあります。しかし、投資をするか否かの判断材料となるため、IPO投資で利益を得たいと考えている人は必ず目を通しましょう。最低でも、事業内容・想定発行価格・発行・売出株数・財務データなどの項目は必ずチェックすることをおすすめします。
③ブックビルディングに申し込む
目論見書を確認したら、ブックビルディングに申し込みます。ブックビルディングとは、新しく株式を発行する際に、投資家の希望購入株数をもとに公開価格を決定することを指します。どれくらいの需要があるのかを加味して、販売価格を決めていくのです。
ブックビルディングに申し込む際には、事前に仮条件として提示された参考価格をもとに、希望購入枚数を申告しましょう。あくまで希望なため、正式な公開価格が決まってからあらためて購入枚数を検討できます。また、「ブックビルディングには申し込んだが実際には購入しない」といったことも可能です。
④購入の申込みをおこなう
公開価格が公表され抽選に当選したら、購入の申し込みをしましょう。多くの場合、当選結果を公表した翌日から数日間が購入期間として設定されます。その際、改めて目論見書の内容を確認することとなります。抽選に当選していても、別途購入申し込みをしないと「購入を辞退した」とみなされてしまうため、忘れることのないよう注意が必要です。
購入の申し込みは、基本的には証券会社から行います。はじめてIPO投資を行う場合は口座の作成や入金などの手続きが必要となるため、余裕を持って進めましょう。
IPO投資の当選確率を高める方法
ここでは、IPO投資の当選確率を高める方法を紹介します。具体的には以下のとおりです。
- 複数の証券会社から申し込む
- 後期型IPO抽選に申し込む
- 応募するほど当選確率が上がる証券会社を利用する
- 主幹事実績の多い証券会社から申し込む
- 口座開設数の少ない証券会社から申し込む
IPO投資の当選確率は1~2%ほどと言われています。人気のIPO株ほど当選するのは難しいため、少しでも当選確率をあげるために上記の方法を実践しましょう。
複数の証券会社から申し込む
1~2%ほどの当選確率でも、複数の証券会社から申し込めば当選する確率を高められます。証券会社によっては資金を持っている人が優遇されるケースもあるため、資金があまりない人は完全に平等な証券会社を選ぶと良いでしょう。具体的には、マネックス証券やGMOクリック証券などで完全平等抽選が実施されています。(2023年5月時点)
また、取り扱っている銘柄は証券会社によって異なるため、購入を希望している銘柄を取り扱っているか事前に調べる必要があります。継続的にIPO投資を行いたい場合は、多くの銘柄を取り扱っている証券会社で申し込むのがおすすめです。
後期型IPO抽選に申し込む
購入申し込み期間が終了してから抽選が行われる後期型IPO抽選に申し込めば、当選確率を上げられます。また、一般的なIPO抽選よりも後期型IPO抽選のほうが、申し込みが集中しにくい場合も想定されるでしょう。具体的には、以下の証券会社で後期型IPOを実施しています。
- au カブコム証券
- GMOクリック証券
- 楽天証券
- 松井証券 ※銘柄による
後期型IPO抽選を活用して時期をずらした申し込みをすることで、限られた資金でIPO投資をする人でも効率よく抽選を受けられます。
応募するほど当選確率が上がる証券会社を利用する
証券会社のなかには、応募するほど当選確率が上がる仕組みを採用しているところがあります。例えばSBI証券では、抽選に外れるとポイントが付与されて、累計ポイントが高い人ほど抽選に当選しやすくなる「IPOチャレンジポイント」という制度を設けています。
即効性のある方法ではありませんが、何度もIPO投資の挑戦にチャレンジしたい人にはうってつけでしょう。長期的にIPO投資への申し込みをしたいと考えている人は、ぜひSBI証券の「IPOチャレンジポイント」を活用してみてください。
主幹事実績の多い証券会社から申し込む
主幹事実績の多い証券会社から申し込むことも、IPO抽選に当選しやすくするための手段のひとつです。主幹事とは、IPOにおける作業の運営やスケジュール管理などを行い、中心的役割を果たす証券会社のことです。豊富な主幹事実績のある証券会社では、ほかの証券会社よりも多くの株式を売るため、その分当選しやすくなります。
具体的には、以下の証券会社では主幹事実績が特に多いです。
- みずほ証券
- 野村證券
- SMBC日興証券
- SBI証券
- 大和証券
口座開設数の少ない証券会社から申し込む
口座開設数が少ない証券会社から申し込めば、ライバルが少ない分当選しやすくなります。代表的な証券会社の口座開設数は、以下の表のとおりです。
証券会社 | 口座開設数 |
---|---|
SBI証券(グループ会社含む) | 約1,000万件 |
楽天証券 | 約900万件 |
野村証券 | 約540万件 |
マネックス証券 | 約220万件 |
GMOクリック証券 | 約50万件 |
SBI証券で口座を開設する場合多くのライバルのなかから抽選されることになりますが、口座開設数の少ないGMOクリック証券では抽選を有利に進められます。
まとめ
IPO投資はローリスクハイリターンなため、株式投資初心者におすすめの投資方法です。当選確率が低い点が難点ではありますが、複数の証券会社から申し込みをする・口座開設数の少ない証券会社から申し込みをする、といった方法をとれば当選確率を高められます。
公開価格で株式を購入し初値で売れば高確率で利益を得られるため、ぜひ本記事の内容を参考にIPO投資への申し込みを検討してみてください。

マネーフォワード クラウド会計Plusをご利用のお客様の声
今後の上場を見据え、マネーフォワード クラウド会計Plusを中心に必要なシステムを段階的に導入しました。システム間の連携により、情報の一元管理と内部統制の強化、業務フローの整備など、上場に耐えうる体制を実現できました。
株式会社Natee 取締役CFO 小澤 孝仁様

よくある質問
IPO投資を申し込む流れとは?
IPO投資を申し込む一般的な流れは、以下のリストのとおりです。
- IPO株を確認する
- 目論見書を確認する
- ブックビルディングに申し込む
- 購入の申し込みをおこなう
IPO投資の当選確率を高めるにはどうしたらよい?
以下の方法を実践すれば、IPO投資の当選確率を高められます。
- 複数の証券会社から申し込む
- 後期型IPO抽選に申し込む
- 応募するほど当選確率が上がる証券会社を利用する
- 主幹事実績の多い証券会社から申し込む
- 口座開設数の少ない証券会社から申し込む
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。