• 作成日 : 2022年6月23日

株式会社を設立するメリット4つ|合同会社との違いやデメリットも解説

株式会社を設立するメリット4つ|合同会社との違いやデメリットも解説

事業をおこなうときに会社を設立して事業をおこなうか、個人事業をおこなうかで迷う人は多いです。それぞれに一長一短あり、会社と個人事業の特徴を見据えてどちらをおこなうかを決めることとなります。ただ、それらを一つずつ見つけ出してそれらの特徴を考えるのは難しいのも事実です。

ここでは、会社、特に株式会社を設立・運営する場合の主なメリット、デメリットを説明します。具体的には、何らかの事業を始めたいが、株式会社を設立したいかそれとも個人事業でとどめて置きたいかの意思決定の上で参考になることを中心に説明します。

株式会社とは

株式会社を設立するメリット4つ|合同会社との違いやデメリットも解説

まず、株式会社とはどんな会社なのかについて説明します。
事業をおこなうときに、ときには多額の資金が必要になることがあります。このとき、手っ取り早いのは1人の大金持ちから資金を全額出してもらうことですが、このような気前のよい人はほぼいません。そもそも、事業が失敗したら資金を出した人は大きな損害を受けることになるため、それを恐れて資金を出すのをためらうことが多いです。

最良の手段は、多くの人から資金を集めてその集めた資金を事業に使い、成功したら利益を分配することです。人々からは損しても問題ない程度の金銭を出すだけして事業をおこなわず、事業をおこなうのは事業を行うことに長けた人に任せればよいのです。

このシステムを具体化したのが、株式会社という団体です。株式会社は株主という、資金を出す不特定多数の人に資金を提供してもらい、事業をおこなうのは株主から委任を受けた、経営者である取締役です。この取締役については必ずしも出資者である株主である必要はありません。

取締役は事業をおこない、利益が出た場合は株主に対してそれを分配します。

合同会社との違い

会社と聞いて、株式会社以外に思い浮かべるものとして合同会社があります。では、株式会社と合同会社には、それぞれどういう違いがあるのでしょうか。

株式会社は前述したとおり、不特定多数の人から資金を集め、資金を出した人以外の人が事業をおこなうことを意図して作られる会社です。

一方、合同会社は少人数がそれぞれ資金を出し合って、自らが事業を一緒におこなうことを意図して作る会社です。

つまり、株式会社は「資金を出す人≠事業をする人」ですが、合同会社は「資金を出す人=事業をする人」なのです。

以下に違いをまとめてみました。

項目株式会社合同会社
定款の認証必要不要
代表者代表取締役代表社員
期間最大10年無期限
意思決定出資の多寡で決まる社員の多寡で決まる
決算公告必要不要
登録免許税15万円から6万円から

定款(ていかん)は、会社の運営をするうえの決まりであり、スポーツでいうルールブックに近いものです。株式会社であれ、合同会社であれ、会社設立の際につくる必要があり、株式会社は必ずチェックを受けなければなりません。このチェックをするのは、公証人という特別な資格を持った人です。

会社の役員である、取締役や社員の任期も異なります。株式会社はどんなに長くとも10年(上場会社などは2年とさらに短くなる)が上限ですが、合同会社は任期の制限がなく、いつまでも続けることができます。

意思決定の場においては、株式会社は1対100であっても、1のほうが100よりも多くの金銭を出資していれば、1の意見に従う事となります。一方、合同会社は原則として、政治の選挙と同じく人数が多い方で決まります。

決算公告は、会社の決算書を官報、新聞やインターネットサイトに出すことですが、株式会社は必ず出さないといけなません。一方で、合同会社は出す必要はないとされています。

登録免許税は、法務局に会社をつくった届出をするための手数料ですが、最低金額が株式会社のほうが高いです。株式会社はこれに加えて、公証人に定款の認証の手数料を払うこととなるので、全体の費用は株式会社のほうが多くなります。

株式会社を設立するメリット

株式会社を設立するメリット4つ|合同会社との違いやデメリットも解説

それでは、株式会社を設立することによってどのようなメリットがあるのでしょうか。メリットとしては、さまざまなものが挙げられますが、主だったものとしては、以下のとおりです。

  • 社会的信用が高い
  • 返済不要な資金を調達できる
  • 節税効果が期待できる
  • 出資額を超えて損失は負わない

ここでは、この4つのメリットについて詳しく説明します。

メリット①社会的信用が高い

株式会社のメリットとして真っ先に挙げられるものは、社会的信用が高いことです。大手企業のなかには、会社としか取引をしないと決めているところもあります。

それではなぜ社会的信用が高いのでしょうか。理由はさまざま考えられますが、一番大きいのは会社に関するさまざまな事項が登記されており、法務局に行けば会社の代表者がどこに住んでいる誰か、役員に誰がいるのかなど、会社に関する情報が簡単に入手できることが挙げられます

次に、法人を維持するためには、決算書を定期的に作成し、それに基づいて税金の申告をおこなわなければならないなど、厳格な運営が必要となることが挙げられます。これは、事業をきちんとおこなわなければならないことともつながり、対外的には誠実な印象を与えることもできます。

メリット②返済不要な資金を調達できる

事業をおこなう際は、その元手となる資金を集める必要があります。

通常、資金を集める手段として思い当たるのは、銀行などから借り入れることです。それらの借入金は通常、いつかは返済しないといけません。借り換えを繰り返すことによって返済を先延ばしにしていますが、それでも契約上、いつかは返済しなければならないものです。

しかし、株式会社の場合は借入金とは別の資金を調達する手段があります。それは株式の発行です。株式会社は株式を発行することによって資金を調達しますが、それで調達した資金については返済する必要はありません。借入金のようにいつか返済しなければならないというプレッシャーのない資金を調達でき、安定的な資金運用が可能となります。

メリット③節税効果を期待できる

株式会社のメリットとしていわれているものに、節税効果があります。これは、個人の場合よりもさまざまな種類の節税の手法が用意されていることです。その手法としては、主に以下の手法が用意されています。

保険商品の活用

個人の場合、所得控除は最大でも12万円となっています。しかし、法人が保険に入る場合、保険商品にもよりますが、それ以上の金額について経費化することも可能です。そのため、保険を活用して会社の税金を抑えつつ、会社役員や従業員の万が一の事態に備えることもできます。

家族を従業員にして家族全体で収入の分散化を図る

家族がいる人は家族を従業員や役員にすることによって収入を分散化させ、家族全体での所得税の軽減を図ることができます。
個人事業主の場合であっても、青色専従者給与などで家族を従業員にすることによって収入を分散化させることができます。しかし、届出が必要で、従業員となった家族はその事業に専念しなければならないといった欠点があります。反面、会社にした場合は、支払う給与に見合っていれば実際に労務を提供したり、経営に関わっていたりさえしていれば非常勤でもよく、他に勤務先などがあっても問題はありません。

会社を複数作って税負担を分散させる

会社の規模が大きくなった場合は、会社を分割させるなどして収益を分散させることにより、利益を抑えることができます。これは法人税法の場合、所得(会社の利益のこと)が800万円を超えることにより税率が増えることとなっています。そのため、そうなりそうになった場合、会社を分割して利益を分散させることにより税負担を減らすことができます。個人事業の場合は、このような利益の分散ができないため、収益が大きくなれば税金が大きくなることとなります。

経営者自身の収益の分散

経営者自身について収益を分散させることもあります。まず、会社から受ける給与を一部会社からの配当金に変えることによって、経営者自身の負担を減らせる可能性があります。
また、保険金などを利用することによって収益の一部を先送りにして、その後、先送りにした収益が計上される頃に退職金などと相殺することにより、会社や経営者自身の税負担を減らすことが可能です。

メリット④出資額を越えて損失は負わない

株式会社のメリットとして挙げられるものの4つ目は、責任が出資額に限定されていることです。
個人の場合、事業がうまくいかなくなり、結果として借入金のみを背負うこととなった場合、そのすべてを自力で返済しなければなりません。

しかし、株式会社の場合、事業がうまくいかなくなり多くの借入金が残ったとしても、すべてを返済する必要はなく、株主が株式会社に対して出資した金銭を放棄すれば、それ以上金銭の支払いをする必要はありません

万が一事業が失敗したとしても、個人事業の場合と株式会社の場合とで取るべき責任の内容が異なります。

株式会社を設立するデメリット

株式会社を設立するメリット4つ|合同会社との違いやデメリットも解説

一方でデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。主だったデメリットとして、以下のものが挙げられます。

  • 設立に費用がかかる
  • 決算公告の義務を負う
  • 役員の任期がある
  • 赤字でも法人住民税を納税しなければならない

 
ここではそれらについて詳しく説明します。

デメリット①設立に費用がかかる

株式会社のデメリットとしてまず挙げられるのが、設立に費用がかかることです。

個人が事業を開始する場合は必要な用具を取り揃えて、税務署に開業届などの必要な届出書を出せば済む話で、かかるのはせいぜい届出を出すための紙代と切手代程度です。しかし、株式会社の場合は、会社の設立からおこなう必要があるため、いくらか費用がかかります。

会社の設立にかかる主な費用としては、以下のものが挙げられます。

費用金額
定款用収入印紙代40,000円(*1)
定款の認証費用30,000円〜(*2)
登録免許税150,000円〜(*2)
印鑑の作成費用10,000円程度
合計230,000円〜

(*1)ただし電子定款にすると安くなる
(*2)資本金により変動する

ここに挙げたものは主なもので、その他にも資本金の振込費用、法務局や税務署等への届出書を出すための交通費や郵便料など細々したものもあります。また、この金額は自力で設立する場合の費用で、司法書士などに手続きを依頼する場合はその報酬などがかかることもあります。

このように株式会社は、スタートラインに立つまでにさまざまな費用がかかることがわかります。

デメリット②決算公告の義務を負う

株式会社のデメリットとして、決算公告を毎期しなければならない点も挙げられます。

決算公告とは、会社の決算書を外部に公表することです。

決算公告は義務であり、定款に定めて登記した方法で公表する必要があります。なお、官報や新聞で決算公告をする場合は料金が発生し、官報の場合は最低でも7万円かかります。

デメリット③役員の任期がある

先程、株式会社と合同会社の比較でも説明しましたが、株式会社の役員には任期があります。

これは一定の期間が経過した場合は、たとえ役員を引き続きおこなう場合でも、株主総会の場で役員を選び直す必要があります。また、役員の選び直しをした場合はその旨を登記しなければなりません。

そのため株主総会の手間と役員登記の手間の両方がかかることとなります。株主総会は全員の賛成が得られるのであれば、書面を作成してそれに押印すれば済みます。役員登記は登記に必要な書類を作成する、手数料を用意するなどが必要で、手間と費用がかかるのです。

株式会社の場合は最大で10年ですが、それでも10年に1回はそのような手間がかかることになります。

デメリット④赤字でも法人住民税を納税しなければならない

個人の場合は利益がない場合は、所得税も住民税も支払わないこともあります。

しかし、法人の場合はどんなに大きな赤字が出ても、必ず支払わないといけない税金があります。それが法人住民税の均等割です。均等割とは、法人について業績の内容に関係なく、都道府県や市町村に支払う義務のある税金です。その金額は法人がある場所、規模によって異なりますが、例えば神奈川県横浜市の場合は、神奈川県に対して20,000円~、横浜市に対して54,500円~の合計74,500円~となっています。

まとめ

ここでは、株式会社の設立を考えている人のために、そのメリット、デメリットについて説明してきました。

株式会社はその信頼性の高さなどのメリットゆえ、設立したいと考える人は多いです。しかし、メリットばかりに目がいってしまい、デメリットを考えることなく会社をつくったために、失敗したと考えることも少なくありません。

株式会社設立は事業をおこなううえで大きなイベントであり、まずそのイベントを成功させないと事業が成功できないため、徹底した情報収集し、準備をしていきましょう。

よくある質問

株式会社を設立するメリットとは?

主なメリットは、以下4点が挙げられます。

  • 社会的信用が高い
  • 返済不要な資金を調達できる
  • 節税効果が期待できる
  • 出資額を超えて損失は負わない
  • 株式会社を設立するデメリットとは?

    主なデメリットは、以下4つが挙げられます。

  • 設立に費用がかかる
  • 決算公告の義務を負う
  • 役員の任期がある
  • 赤字でも法人住民税を納税しなければならない

  • ※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

    監修:中川崇

    田園調布坂上事務所代表。広島県出身。大学院博士前期課程修了後、ソフトウェア開発会社入社。退職後、公認会計士試験を受験して2006年合格。2010年公認会計士登録、2016年税理士登録。監査法人2社、金融機関などを経て2018年4月大田区に会計事務所である田園調布坂上事務所を設立。現在、クラウド会計に強みを持つ会計事務所として、ITを駆使した会計を武器に、東京都内を中心に活動を行っている。