- 更新日 : 2024年7月17日
マネーフォワードクラウドpresents「& money」 株式会社CMerTV執行役員CFO廣田和也さんに聞く!(後編)
さまざまな企業のリーダー、ファイナンス部門の方にフォーカスを当て、その仕事や企業の成長戦略の裏側、その仕事術に迫ります。
今回お話を伺ったのは、株式会社CMerTV執行役員CFO廣田和也さん。
スマートフォン向けの動画広告や美容室に向けのサイネージ事業を展開するCMerTV。
前編ではCMerTVの事業について、廣田さんのIPOについてお考えについてお話を伺います。
プロフィール
廣田和也
1998年IMJ入社、2007年に同社取締役就任。2010年に来たるべく「ネット動画時代」に先駆けて、映像業界に強いイマジカグループ出資のもとでネットメディア事業を行う会社として起業。CS放送局「FOODIES TV」を運営するIMAGICA FTVの代表取締役を歴任。放送とネットの融合メディアサービスの運営を行う。 2017年3月にCMerTVに入社、執行役員CFOとして従事。趣味はゴルフと野球観戦。
聞き手: 田中泉
インタビューをはじめ多方面で活動。9年間アナウンサーを務めたNHKでは「ニュースウオッチ9」「クローズアップ現代+」など報道番組を中心に国内外で最新のニュース・事象を幅広く取材。経済分野では数々の企業取材・経営者インタビュー・ノーベル賞受賞者への英語インタビューなどの実績がある。趣味は素敵なお店の開拓。1988年生まれ。
他の会社の社長からCMerTVのCFOへ
田中 廣田さんがCMerTVのCFOになられた経緯は? 他の会社の社長を経てのCFOは“異色のキャリア”とも言えますよね?
廣田 前職を含め、事業型の畑をずっと歩んできた流れなので、実はこのCMerTVに入社した当時はメディアと新規事業の担当ということで執行役員として入社したんです。ですが、前回ご質問いただいた通りに、IPOを目指すにあたって、今後は事業のわかるCFOを立てたいという代表からの話がありまして。
私は、前職では社長を務めていましたので、ある程度数字が読めるとか、そういったスキルが多少はありました。ですが、いわゆる上場企業のCFOって、どれだけ大変かということもわかっているつもりでしたし、大丈夫かな?という思いが私自身にはありました。
最終的にはその部分よりも事業自体の理解と、あとは株主も非常に大切にする会社ですので、既存株主とのリレーションでいうとしっかりとした事業情報提供や関係性の構築を主眼において私に白羽の矢が立ったのだと思います。
田中 廣田さんご自身にとっても、ある種新しい挑戦?
廣田 このCFOもまさに新規事業だと捉え前向きな気持ちで、引き受けさせていただきました。
バックオフィスこそクリエイティブなチーム
田中 その新しい挑戦、いまどのように感じていますか?
廣田 昔、社長やっている時代もそうですし、現場で仕事しているときもずっとそう思ってきましたが、やはりバックオフィスというのは、最大のクリエイティブなチームだと思うんですよね。
ややもすると、決まったことをお役所のように淡々と進める役割と見られがちですけれど、実は会社の仕組みを考えたり、会社の性格を色づけていくところというのはバックオフィスが非常に重要で、そういう意味では、非常に硬い役割としてバックオフィスを預けられたというよりは、いままで以上にクリエイティブな仕事を任されているという感覚でやらせていただいています。
田中 一番の楽しみ、ワクワクした部分はどんなところですか?
廣田 オフィシャルに会社のルールがつくれるといったところでしょうか。
いろいろな意味でバックオフィスと一言で言っても、当然お金を扱うところもあれば、人を扱うところもあれば、ものを扱うところもあれば、その「人・もの・金」というところを全て会社としてのオフィシャルなルールを作り、運用していくチームになりますけど。そういう意味ではどんなに小さなルールでも、それを従業員に守っていただくといいますか、会社全体のルールになっていくという意味で、自分が決めたルールが実行されるというのはあまり経験がないですよね。
田中 そう考えると、ほんとうにクリエイティブなお仕事ですね。ちなみにいまのお仕事と子供の頃なりたかった仕事が合致していますか?廣田さんがこれまでされてきた仕事はどれも「クリエイティブ」というのがひとつキーワードになるのかなと思いますが・・・
廣田 おっしゃる通りですね。
ご質問の、「子供の頃になりたかった仕事か」って言われたら「全く違います」。
でも、子供の頃から、たとえばドッジボールをやりますとか言っても、新たなちょっと面白いルールをつけたドッジボールをやったり、そういうみんなのプラットフォーム、ベースになるルールを遊びの中で実践していたというのは、思い起こすともしかしたら合致しているのかなという気もします。
田中 全てに楽しみを見つけ出して、リーダーとして引っ張っていくような……
廣田 そうまとめていただくとそうかもしれません。
田中 ちなみに先ほどご自身が「事業がわかるCFO」とおっしゃっていましたが、
どんなタイプのCFOだとお考えですか。
廣田 少なくともいろいろ勉強中ではありますので、できるだけ専門性も高めていきたいという気持ちもあります。
一方で、強みの部分である事業目線から見た上でのバックオフィス、ファイナンスの責任者という見え方は忘れないように、要は会社にとってのニーズにフィットとしたCFOになっていきたいと思っています。
コロナをポジティブに捉える
田中 コロナはCMerTVの事業にはどんな影響を及ぼしてきましたか。
廣田 われわれ広告を扱う会社ですので、広告って世の中の動きと業績が敏感に連動するビジネスなんですね。なのでコロナによって、いままで広告をご出稿いただけたクライアント様の出稿が止まったということは正直ありました。
そういう意味では、当初は結構インパクトがありましたが、どちらかというと今回このコロナを “ビジネスチャンス”、と非常にポジティブに捉えています。
会社全体として言えることだと思うんですが、いずれどこかのタイミングで訪れる世の中の変化が早いタイミングで来たよねとか、それに紐づくいろいろな課題を今回のタイミングで発見できて、新たなプロダクトへの反映やサービス自体の充実により早く気づけた、というところが事業サイドとしてあると思います。
また、何よりリモートワークがかなりのスピードで浸透できたので、働き方の多様性ということは確実に定着できたかなと思っています。現状出社率は10%切るぐらいです。全社会議とかも含めてほぼリモートでやらせていただくというところですね。そういう環境がつくれたということは、コロナは大変ではありましたが、ポジティブに捉えています。
田中 コロナ以前は全然リモートワークというような会社ではなかったんですか。
廣田 どちらかというと「超アンチリモート的」な感じで「全員集まって全社会をします」とか、それは当然一つの場所に、お部屋に集まって、みんなで集まって全社会をしますとか、毎月毎週やっていました。
田中 そこからの大転換は結構大変だったんじゃないですか。
廣田 最初のうちは上手くいくかどうか非常に不安でした。ところが実際にはやはり無駄はなくなっていきますし、意外とスムーズに移行でき、新たなルールもいくつかできました。いまとなっては全く何の問題もなく、むしろ良かったという状況になっています。
インプットはYouTubeで
田中 廣田さんご自身は、ご自身のステップアップのために普段どんなことをされていますか?
廣田 私の情報源はYouTubeなんです。専門的なCFOとしてのスキルセットは必要だよね、みたいなところもYouTubeで見ています。理論的なことを学ぶということもそうですし、先輩方のご意見とかも聞くことができます。
YouTubeではないですけが、オンラインセミナーみたいなものも最近は増えていますので、オンラインにある情報でかなり満たされている感じはします。当然本を読んだりも必要であればしますけが、無駄な時間なく整理した情報としてインプットできるのでかなりYouTube漬けになっているかもしれないです。
田中 そこから事業であったり、仕事に対してヒントを得たりということもありますか。
廣田 YouTubeで情報発信される方って先進的なというか新しい考えを発信されている方が多いじゃないですか。なので非常に刺激になります。
田中 ちなみに趣味はゴルフということですが・・・
廣田 大学時代からずっとやってきています。見るのも好きですし、プレイするのも好きですし、ほんと、大好きな趣味のひとつですが、最近は腰痛のためリハビリ中です。
田中 それは悲しいですね。
廣田 悲しいですね(笑)
田中 でもゴルフっていまに集中するスポーツだなって個人的には思うんですが、ゴルフを見たりすることも含めて、何か仕事に影響することってあります?
廣田 あれだけ自然の中のきれいな環境で、丸一日仲間と一緒に時間が過ごせるというのはとても素敵ですよね。
田中 この激変する社会の中で廣田さんがこれからの未来を見通す、ファイナンス、さらにバックオフィスのキーワードはどんなことだとお考えでしょうか。
廣田 先ほどの話につながりますがクリエイティビティだと思っています。
最近特に社会の環境だったり、市場の環境だったり、またはその生活者の価値観の変化とか。または働く人の働き方の変化とか、いろいろな意味で全てが流動的になっている社会かなと思っています。
その中にいかに適合して、その先を見抜いた上での会社づくりができるかどうかというところ。ただ今までの前例をべースにやっているだけだと、多分陳腐化してしまったり、働く人のモチベーション維持が非常に難しいんじゃないかと思っています。
そういった意味ではいろいろな情報をキャッチしながら、自分のクリエイティビティということを発揮して、新たなルールづくりをどんどん仕掛けていくようなことがやはり重要なのかなと思っています。
田中 このクリエイティビティを発揮するためには?
廣田 インプットを増やしていかないとアウトプットってなかなかできてこないものなのだと思うので一方向から学ぶだけではなくて、さまざまな世の中の動きに対してのインプットを増やしていけるかどうかがとても重要だなと。
私自身の課題でもありますが、やはりインプットなくしてアウトプットなし。そこは重要かなと思っています。
田中 やっぱりYouTubeはマストですか(笑)
廣田 YouTubeはマストですね。
CMerTVのこれから 組織のために
田中 CMerTVのこれからについては、どういうふうにお考えですか。
廣田 CMerTVのミッションは「動画で心を動かす場を創造すること」なんです。
。それは「美容室でサイネージを見る」というタイミング。
多分街中にある大きな看板をパッと見ても、なかなか気持ちってそこまで動かないと思うんですね。ですが、美意識の高まったタイミングで、自分がきれいになりたいと思っているタイミングで、そこでその気持ちに寄り添う形のコンテンツが発信されて受け入れた場合は共鳴すると思うんです。
そういった人の気持ちが動かせる場所をどんどんつくっていくということを、われわれのミッションとして考えています。それを実現するために一丸となって頑張っていこうと。そんな意識で仕事をしていますかね。
田中 これから先、美容室以外にも、心を動かす場をどんどん増やしていく。そんな未来を想像されている。
廣田 おっしゃる通りです。
田中 CFOというお立場からこれからのCMerTVをどう導いていきたいですか。
廣田 そういった全体としての動きがある中で、私の場合ファイナンス以外にもバックオフィス全般というところで仕事をさせてもらっていますので、そういうものが実現できる、事業サイドの方がより動きやすく仕事ができる環境を、少し先を行く形で実現していきたい。こう、空気を読んで先回りをするみたいな、そういう動き方をして、その上で専門性を持ったしっかりとした仕事ができるようになれたらいいなと思っています。
田中 最後に廣田さんご自身のこれからの挑戦、あるいは野望をお聞かせください。
廣田 個人として「何かこうしたい」とか野望があるという話は、いま現時点では実はありません。個人として目立ちたいということよりも、組織全体で実現していくということにすごく喜びを感じています。
私、野球の巨人軍が大好きなんですが、原監督が「個人ではなく巨人」という言葉をよくおっしゃっているんです。まさにそれだと思っていまして。私の野望云々ではなく、会社全体の組織としてのビジョン達成が私の最大の挑戦、野望かなと
思っています。
前編はこちら
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