• 作成日 : 2022年6月23日

ストックオプションの行使方法は?ベストなタイミングや3つの注意点を説明

ストックオプションの行使方法は?ベストなタイミングや3つの注意点を説明

ストックオプションは、金銭以外の方法で受け取ることのできる給与です。しかし、ストックオプションをどのように活用すればメリットが得られるのか、疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、ストックオプションに興味を持つ初心者に向けて、「ストックオプションとはなにか」や「いつ行使すれば良いのか」を解説します。

ストックオプションとは

ストックオプションの行使方法は?ベストなタイミングや3つの注意点を説明

ストックオプションとは、自社の株式をあらかじめ定められた期間および決められた価格で買える権利です。ストックオプションは株式を発行する会社の役員や従業員に与えられます。ストックオプションと似た言葉に「新規予約権」というものがありますが、権利を付与できる人に違いがあります。新規予約権はストックオプションと違い、一般の投資家など社外の人間に付与できる権利のことです。

つまり、ストックオプションとは、会社の業績が好調で株価が50円から100円に値上がりしても、いつでも決められた価格(例えば60円など)で買うことができる権利なのです。ストックオプションを持っていれば、株式の価格が上がった後でも安い価格で買える点がポイントです。

ストックオプションのメリット

ストックオプションをもらった会社の役員や従業員には、2つのメリットがあります。

  • 会社への貢献が自己の利益につながる
  • 株式とは異なり、株価変動のリスクを負わない

ストックオプションを手に入れると、低いリスクで利益を得られる可能性があります。したがって、会社の従業員が、より懸命に仕事に打ち込む動機付けになります。

会社への貢献が自己の利益につながる

1つ目のメリットが、役員や従業員のモチベーション向上です。会社の業績の向上に貢献できれば、株式の価格が上がることが期待できます。価格が上がればストックオプションを行使して、安く株式を買えます。さらに株式を売却すれば利益を得られ、給与だけでなく株式の取引でも収益が得られるのです。つまり、役員や従業員が会社に貢献するほど、自己の利益につながるといえます。

株式と異なり、株価変動のリスクを負わない

2つ目のメリットは、株式とは異なり、株価変動のリスクを負わない点です。なぜならストックオプションは権利であり、行使するまではお金を払う必要がないからです。例えば一般的な株式なら、10万円を支払って買った株式の価値が5万円になれば、損失を抱えます。ところが、ストックオプションを持っていれば、価格が上がってからはじめてお金と株式を交換すれば良いのです。株式の価格が下がっていても、権利を持っているだけでは損失が発生しません。

ストックオプションの行使から売却までの手続きの流れ

ストックオプションの行使から株式を売却するまでの流れは、以下の通りです。

  1. 証券会社などにストックオプション用の口座を開設する
  2. ストックオプションを使って株式を買うことを会社に伝える
  3. 会社が指定する口座にお金を振り込む
  4. 証券会社などが株式を購入する手続きをする
  5. 証券会社のサイトなどから売却を申し込む
ストックオプションの行使方法は?ベストなタイミングや3つの注意点を説明

ストックオプション用の口座が必要なのは、税制適格ストックオプションの場合です。いつくかの要件を満たした税制適格ストックオプションの場合、税制の優遇措置を受けることができ、権利行使時に給与所得として課税されません。しかし、株式を取引するときに税金がかかる仕組みであり、確定申告をする必要があります。確定申告では、役員や従業員が支払う税金を計算して、金額を税務署に知らせます。

税制非適格の場合は口座を開設する必要はなく、2番目の手順から始めます。税制非適格とは、権利を使うときと株式を取引するときに税金がかかる仕組みです。権利を使うときは、給与所得として税金がかかり、株式を取引するときは譲渡所得として税金がかかります。購入した株式を証券会社や信託銀行の特定口座に入れれば、原則、確定申告の必要はありません。

ストックオプションが税制適格あるいは税制非適格であるかは、会社に問い合わせればわかります。また、税金や確定申告に関する疑問点は、管轄する税務署に問い合わせましょう。

ストックオプションを行使するタイミング

ストックオプションを行使するタイミングに取り決めはありません。一般的には、ストックオプションで決められた価格を上回ったときがよいでしょう。なぜなら、売却することで利益を得られるからです。例えば、一株50円で自社の株式を買える権利を持っていたとします。株式の価格が100円になったときに権利を行使して売却すれば、一株あたり50円の利益が得られる計算です。

ストックオプションの行使で得た株式を売却するタイミング

行使の場合と同様に、株式を売却するタイミングにも取り決めはありません。権利を行使して得た株式は、通常の株式と同様に好きなタイミングで売却できます。しかし、会社の非公表情報をもっている従業員の場合は、タイミングによってはインサイダー取引となる可能性があるため、注意しましょう。

株式が期待する価格まで上昇してから売却すれば、利益を大きくできます。しかし、株式は価格が下がるリスクがある点にも注意しましょう。

ストックオプションの行使に関する注意点

ストックオプションを行使する際の注意点が3つあります。

  • 行使期間内におこなう
  • 退職すると行使できない場合が多い
  • 行使と売却のタイミングはずれる

注意点を押さえておかないと、もらった権利を使いそびれる可能性があるので注意しましょう。

行使期間内におこなう

ストックオプションの行使方法は?ベストなタイミングや3つの注意点を説明

ストックオプションを手に入れたら、決められた期間内に行使しましょう。なぜなら、行使できる期間は8年間という制限があるからです。具体的には、会社がストックオプションを与えると決めた日の2年後から10年を経過するまでの期間です。つまり、ストックオプションを得られたからといって、すぐに行使できません。

参考までに、税制適格ストックオプションに関する取り決めである「租税特別措置法第29条の2」には、当該新株予約権に係る付与決議の日後2年を経過した日から当該付与決議の日後10年を経過する日までにおこなわなければならない、と記載があります。

期間を過ぎると権利を失ってしまうため、注意が必要です。

退職すると行使できない場合が多い

ストックオプションは、会社に在籍する期間中に行使しましょう。一般的に、退職後はストックオプションを行使できないと定められていることが多いからです。転職などで退職するとストックオプションを失効してしまいます。ただし、行使条件は会社により異なるので、退職後に行使できるかは会社に確認が必要です。

行使と売却のタイミングはずれる

ストックオプションを行使して株式を購入するのと売却するまでには、時間差が生じます。株式を発行する会社や証券会社などを通じて手続きをするためです。タイミングがずれると株式の価格が変動して、期待していた利益を得られないことがあります。売却時には株式の価格が下がる可能性もあることを頭に入れておきましょう。

まとめ

ストックオプションの行使方法は?ベストなタイミングや3つの注意点を説明

ストックオプションとは、役員や従業員があらかじめ定められた期間および決められた価格で自社株を買える権利です。株式の価格が値上がり後に行使して、売却すれば利益を得られます。給与以外の収入を得られるので、役員や従業員のモチベーションの向上が期待できます。権利を行使するにはストックオプション用の口座が必要ですが、税制の適用か非適用かにより異なります。行使にあたっては3つの注意点があるので、権利を失うことがないように覚えておくとよいでしょう。

よくある質問

ストックオプションとは何?

役員や従業員があらかじめ定められた期間および、決められた価格で自社株を買える権利です。

ストックオプションにはどのようなメリットがある?

ストックオプションを手に入れた役員や従業員には2つのメリットがあります。1つ目は会社への貢献が自己の利益につながること、2つ目は株価が下がっても損失が発生しないことです。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:内山智絵

大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人の地方事務所で上場企業の法定監査などに10年ほど従事した後、出産・育児をきっかけに退職。
2021年春に個人で会計事務所を開業し、中小監査法人での監査業務を継続しつつ、起業女性の会計・税務サポートなどを中心に行っている。
https://uchiyama-kaikei.com/