• 更新日 : 2024年7月16日

面接官の役割とは?質問の例文や意図、タブー、人材を見極めるコツを解説

企業が人材を採用する場合には、面接官による面接が行われることが通常です。正社員だけでなく、パートやアルバイトなど非正規雇用の採用においても面接を実施する企業もあるでしょう。

当記事では、採用における面接官の役割について解説します。面接において聞いてはいけない質問や、質問の意図についても解説しているため、ぜひ参考にしてください。

面接官の役割とは?

企業は採用プロセスにおいて、求職者と面談を行う面接官を選任します。正社員の採用における面接は一度だけでなく、複数の段階にわたって行われることが通常です。面接官の所属する部署は、人事部門が代表的ですが、非人事部門に所属する社員や役員による面接が行われる場合もあります。

自社に合う人材を見極める

面接官は、求職者が企業の求める人物像とマッチしているか確認することがその役割です。自社に合う人材を見極めることが面接官の最も大きな役割といえるでしょう。

書類選考や、ペーパーテストだけでは求職者の人物像は把握できません。面接官との面談を通して、真に企業が求める人材とマッチしているか確認できるようになります。そのため、企業の人材戦略において、面接官の果たす役割は非常に大きくなっています。

自社の魅力をアピールする

面接官の役割は、人材の見極めだけに留まりません。自社の魅力を求職者に伝えることも面接官の重要な役割のひとつです。

面接官が自社の魅力を効果的にアピールできれば、求職者の入社意欲も高くなるでしょう。少子高齢化の進展によって、人材獲得競争が激化の一途を辿る昨今において、自社の魅力をアピールする重要性も高まっています。

面接官に必要な心得やスキルは?

面接官は、企業の採用プロセスにおいて重要な役割を果たします。では、面接官にはどのような心得やスキルが必要なのでしょうか。

企業を代表していることを意識する

面接の場において、面接官は企業を代表する立場です。そのため、面接の際には、自分が企業を代表していると意識して臨まなければならないでしょう。このことを忘れて面談を行えば、責任感のない人物として求職者の目に映ってしまいます。

企業が求める人材を把握する

面接官の役割は、求職者が企業の求める人材とマッチしているかの確認です。企業が求める人材を正確に把握できていなければ、採用した人材と企業とのミスマッチが起きてしまいます。ミスマッチは、企業と求職者双方にとって不幸な事態であるため、避けなければなりません。

コミュニケーション能力

求職者との面談を行う関係上、面接官には高いコミュニケーション能力が求められます。コミュニケーション能力が低い面接官による面談では、求職者も適切な回答を行うことができず、折角の人材を逃してしまうことにつながってしまいます。

相手に合わせた質問や会話ができる

面接においては、求職者に合わせた質問や会話が求められます。決まりきった定型的な質問や会話だけでは、集められる人材も柔軟性に欠けた指示待ち型が多くなってしまうでしょう。このような事態を避けるためにも、面接官には相手に合わせられる柔軟性が求められます。

自社の魅力をアピールできる

自社の魅力をアピールすることも面接官の重要な役割です。自社の魅力をアピールするためには、自社への深い理解が不可欠です。そのため、面接官には自身が所属する部署や、担当業務以外の自社に関する幅広い知識が求められます。

面接の基本的な流れ

面接をどのような流れで行うのかは、企業によって異なります。しかし、一般的には以下のような流れで面接を進める場合が多くなっています。

  1. 入室
  2. 挨拶・自己紹介
  3. 志望動機
  4. 募集内容の説明
  5. 雇用条件の確認
  6. 逆質問(質疑応答)
  7. 退室

面接を行う側として注意すべき点は、「募集内容の説明」と「雇用条件の確認」です。募集内容や雇用条件について、求職者と企業との間で認識のズレがないか、しっかりと確認しておきましょう。入社後に「説明されていた条件と違う」として、労使トラブルに発展することも珍しくありません。面接の時点で、トラブルの芽を摘んでおきましょう。

また、「逆質問」において、疑問に対し真摯に回答することも、求職者の入社後の不安を取り除くことにつながります。そのためには、質問しやすい雰囲気を作ることが重要です。

面接で使える質問例と質問の意図

面接においては、様々な質問を行います。本項では、代表的な質問例と併せて、その質問の意図を解説します。

自己PRをしてください

企業が求職者に対して、自己PRを求める場合も多くなっています。この質問の意図は、求職者が持っている知識や技能を知ることです。また、自己PRは求職者の考え方を把握するためにも役立つ質問です。

弊社が第一志望ですか?

企業の採用枠は、5人や10人といった固定の枠が設けられていることが通常です。そのため、このような質問によって、自社がどの程度の志望順位なのかを把握し、場合によっては他の求職者にアプローチすることが必要となります。

あなたの会社選びの基準は何ですか?

企業は高い目的意識や意欲を持った人材を欲しています。求職者の会社選びの基準を知ることで、目的意識を持って仕事を選んでいるか確認可能です。曖昧な基準を示すようであれば、目的意識のない求職者と判断できるでしょう。

学生時代頑張ったことは何ですか?

この質問は、「学生時代に力を入れたこと」を略し、「ガクチカ」と呼ばれることも多い定番の質問です。学業やスポーツなど、学生時代に打ち込んだことを通じて、求職者の物事への取り組み方や、性格を把握するために質問されます。

あなたの長所・短所は何ですか?

長所と短所も定番の質問のひとつです。長所と短所は、求職者が自己把握できているかを知るための質問となります。

誰でもひとつは得意とする分野があるはずです。また、短所のない人間もいないでしょう。これらの質問に対して、適切に回答できれば、自己把握ができていることになります。また、短所からは改善意欲があるかもわかるでしょう。

なぜ海外留学されたのですか?

現在では、海外への留学も珍しくありません。しかし、なかには明確な目的を持たずに留学した求職者も存在するでしょう。

海外留学が珍しくない状況では、「なぜ留学をしたのか」「その結果何を得たのか」を把握し、目的意識や行動力のある人材なのかを知ることが必要となっています。

日本で働きたい理由は何ですか?

この質問は留学生に対して、行われることが多くなっています。語学の習得や文化交流など、日本への留学の目的は様々ですが、そのまま日本で就職する留学生ばかりではありません。なかには、母国での就職と天秤にかけている留学生もいるでしょう。そのため、働きたい理由を明確に示せるかどうかによって、日本での就職に対する本気度を測る必要があるわけです。

最後に質問はありますか?

このような逆質問は、求職者の意欲を測るためのものです。自社での就業について意欲が高ければ、企業HPなどを読み込んだうえで、質問に対する準備ができているでしょう。質問に対して、「何もありません」などと答えるようであれば、意欲の薄い求職者といえます。

また、この質問は求職者が抱く疑問に対して、明確に回答することで入社後の不安を取り除く意図もあります。いい加減な回答を行えば、入社意欲を失わせることにもつながりかねないため、真摯な回答を心掛けましょう。

面接官が聞いてはいけないタブーな質問

面接における質問の中には、聞いてはいけないタブーとされるものも存在します。タブーとされる質問の多くは、就職差別につながるとして、職業安定法第3条や男女雇用機会均等法第5条において禁止されている項目です。しっかりと把握し、法違反を避けましょう。

参考:
職業安定法|e-Gov法令検索
男女雇用機会均等法|e-Gov法令検索

本籍や出生地に関する質問

「どこの出身ですか?」「本籍地は?」などのような質問は、面接においてタブーとされています。本籍地や出生地は、本人の業務遂行能力とは無関係であり、面接官の地域による偏見に基づいた不公正な選考につながってしまいます。特定の地域に対する悪感情自体は、面接官個人の自由ですが、それが選考に影響を及ぼしてはなりません。

家庭状況に関する質問

「ご両親の職業は?」「どのような雰囲気のご家庭ですか?」などといった質問もしてはなりません。このような質問も本人の能力とは関係なく、また本人によって改善できるようなものでもありません。このような家庭状況に基づく選考は、公正ではなく、能力に基づいているともいえないでしょう。求職者本人に帰責性のない家庭状況が選考に影響を及ぼしてはなりません。

宗教・思想・支持政党に関する質問

「支持政党はどこですか?」「信仰している宗教は?」「学生運動への参加経験は?」といった質問は、個人の思想信条に踏み込むものとしてタブーとされます。

思想信条は、本来個人の自由であるべき事柄です。そのため、良い悪いといったものではなく、また能力にも関係しません。一方で、面接官が求職者の思想信条を知った結果、選考過程に偏向が生じる可能性も否定できません。そのため、このような質問は禁止されているわけです。

資産に関する質問

「学費は誰が出してくれたのですか?」「ご自宅は持ち家ですか?」などのように、資産に関する質問も禁止されます。求職者の育ってきた環境や、経済状況などの把握につながるためです。このような質問も本人の能力とは関係なく、選考に反映されるべきではないでしょう。

結婚や出産に関する質問

「結婚しても仕事を続けますか?」といった質問は、女性に対して多く行われていました。また、「出産後も働けますか?」といった質問は、女性にしか行われないでしょう。このような性別を理由とした、または前提とした質問は、男女雇用機会均等法の趣旨にそぐわず、禁止されています。性別は、業務への適正や能力とは無関係であり、このような質問に基づいた選考は、不合理な差別となってしまいます。

定期購読や雑誌に関する質問

「どのような雑誌を読んでいますか?」「どの新聞を取っていますか?」などの質問は、個人の思想信条を把握するために行われるものとして、禁止されています。思想信条は自由であり、また能力とも無関係です。そのため、このような質問も業務遂行と無関係な質問となります。

尊敬する人物に関する質問

「尊敬する人物は誰ですか?」といった質問は、一見問題ないように思えます。しかし、このような質問も個人の思想信条の把握につながるため、禁止されています。つい質問してしまいがちなため、注意しましょう。

健康状態の把握は許される場合も

健康状態なども不公正な選考結果につながるため、原則収集は許されません。しかし、自動車運転業務や高所作業など、特定の病気を患っていれば業務上の危険が生じる場合もあります。このような場合には、病歴に関して質問することや、採用に反映させることも一概に禁止されているわけではありません。

ただし、この場合であっても、収集は業務上必要な範囲内に限られ、業務と無関係な病歴などの収集は禁止されています。あくまでも業務上必要な場合に限られることに注意しましょう。

面接官が的確な質問をするポイント

的確な質問を行うためには、求める人物像を明確にすることが大前提です。求める人物像が明らかでなければ、質問自体も不明瞭なものとなってしまいます。また、面接官自身の自社に対する深い理解も重要です。自社への理解が浅ければ、求職者からの質問に対して適切な回答もできず、自社の魅力もアピールできません。

タブーとなる質問をしてはいけないことは当然です。しかし、リラックスさせる目的で、ついタブーとなる質問をしてしまうこともあるでしょう。そのような事態を避けるためにも、面接の事前練習を行うことが有効です。事前練習は、実際の面接における的確な質問につながります。

採用面接で人材を見極めるコツ

人材を見極めるためには、求職者から本音を引き出すことが大切です。そのためには、一問一答のような形式だけでなく、会話形式で答えを引き出していくことが必要となるでしょう。面接官のコミュニケーション能力が試される部分です。

主観的ではない客観的な視点を持つことも、人材を見極めるうえで重要です。主観的な評価では、正しい人物像も把握できないでしょう。主観的な評価は、入社後のミスマッチにもつながりかねません。

面接においては、面接官自身も求職者に評価されていることを忘れてはなりません。面接官は求職者と対等な立場であると自覚することが必要です。対等な立場として、面接に臨めば高圧的な態度を取ることもなく、相手からも本音を引き出しやすくなるでしょう。

適切な面接を実施し人材の獲得につなげよう

少子高齢化の進展によって、企業における人材獲得競争は激化の一途を辿っています。そのような状況において、採用プロセスにおける面接官の果たす役割は大きさを増しています。ぜひ当記事を参考にして、適切な面接を実施し優秀な人材獲得につなげてください。


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