• 作成日 : 2024年5月27日

プロラタ方式とは?種類やメリット・デメリット、手続きの流れを解説

事業資金の確保でお悩みの経営者の方は少なくないかもしれません。資金調達の際に「プロラタ方式」という方法を活用すると、資金調達の選択肢が増えます。プロラタ方式は返済にも役立つ考え方です。資金調達から返済までスムーズに進めるために、プロラタ方式について理解しておくことがおすすめです。
この記事では資金調達や返済の基本となるプロラタ方式について解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

プロラタ方式とは?

プロラタ方式とは、返済額を特定の基準に基づいて比例配分する方法です。
企業が複数の金融機関から借入を受ける場合、借入額に比例して返済をすることで不公平をなくし、金融機関側のリスクを軽減します。この方法は金融機関からの信頼を得やすく、企業が融資を受けやすくなるというメリットもあります。

プロラタ方式の由来は、「比例配分できる」を意味する英語の言葉「Proratable」に基づいています。

企業の業績が悪化して立て直しが必要な場合は、金融機関に対して借入金の返済を一時停止してもらう必要があります(いわゆる「リスケジュール」)。返済の一時停止中に事業計画を策定し、借入金返済の方針も定めます。

ただし事業計画を立てても、すぐに借入金の返済を通常通りに戻せるわけではありません。そのため、金融機関に継続的な金融支援を依頼するのが一般的です。年間のフリーキャッシュフローの総額が返済額に達しない場合、金融機関に支援を依頼する必要があります。

具体的には、返済額を年間のフリーキャッシュフロー内に調整してもらうことになります。
そしてその場合、「債権者間の公平性」を保つため、返済額の配分方法が問題となります。

「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」では、事業再生計画案における権利関係の調整は、債権者間で平等であるべきとされています。したがって、返済額の配分も公平性の観点から妥当である必要があります。

このような返済の公平性を確保するために利用されるのが「プロラタ方式」です。

出典:中小企業の事業再生等に関する研究会「中小企業の事業再生等に関するガイドライン

プロラタ方式の返済計算方法

プロラタ方式は企業がいくつかの金融機関から借入を行う際に、返済額を借入金額と比例するように決定する方法です。そのプロラタ方式の返済計算方法には「残高プロラタ」と「信用プロラタ」の2種類があります。

残高プロラタ

残高プロラタは、いくつかの金融機関から借入を行っている場合に、借入残高に比例するように返済額を決定するプロラタ方式の一種です。借入残高を基準にするため、最も多く融資している金融機関への返済額が最も大きくなります。

プロラタ方式の具体的な形態は各金融機関の方針によって異なる場合もありますが、一般的には残高プロラタが多く採用されています。

信用プロラタ

信用プロラタは、各金融機関の無担保部分の借入残高に応じた返済額とするプロラタ方式です。無担保部分は預金担保・不動産担保などが提供されていない部分であり、債権回収の保証がない状態を指します。

この方式では債権回収の保証がされていない部分を優先的に返済するため、無担保の融資を行なっていた場合は金融機関にとって有利な方式となります。

プロラタ方式のメリットとデメリット

本章では、プロラタ方式のメリットとデメリットについて解説します。

プロラタ方式のメリット

  • 信用を得やすい

契約条件にプロラタ方式について具体的に明記することにより、金融機関に対する透明性を高めることができ、その結果、信頼を得ることが容易になります。特に不測の事態や予期せぬ状況が発生した際に備えて、この方式を条項に事前に盛り込んでおくことは、争いを避ける上で非常に有効です。

  • 公平な取引ができる

プロラタ方式を採用することにより、残高や担保などの具体的な金融資産に基づいて返済額が計算されるため、取引の期間の長短にかかわらず、すべての関係者に対して公平な取引条件を提供することが可能です。不公平な負担が生じることなく、全ての取引参加者に均等な扱いを保証できます。

  • 投資家の不安を抑制

融資先の企業が経営困難に陥る事態が発生した場合、金融機関の中には、他の債権者より自らの貸し付けが後回しにされ、優先順位が低下するのではないかという不安を抱く者が出てくるかもしれません。プロラタ方式を契約に具体的に盛り込むことにより、返済の順序や比率があらかじめ定められ、全ての関係者が平等に扱われることが保証されます。

プロラタ方式の採用は、将来的なリスク発生時における透明性と公正性を高め、金融機関の信頼を維持しやすくするための重要なステップとなります。

プロラタ方式のデメリット

  • 残高プロラタ方式は担保なしの金融機関に不利

残高プロラタ方式は、担保なしの金融機関にとって不利です。融資先が返済途中で破産した場合、借入残高全額が回収不能になる可能性があるためです。

  • 信用プロラタ方式は担保ありの金融機関に不利

逆に信用プロラタ方式は、担保ありの金融機関にとって不利です。融資先が破産した場合、多くの借入残高が未回収のまま残ることがあります。また、担保評価額が期待したよりも低い場合にも不利益を被る可能性があります。

  • リスケジュールの慎重な交渉が必要

リスケジュールを行う場合は、専門家の助言を得て経営改善計画書などを作成し、適切な返済額を計算することが重要です。根拠のない返済額に基づくリスケジュールは、合意した計画を実行できず、見直しが必要になる恐れがあります。金融機関との交渉も専門家に依頼すれば、スムーズにリスケジュールを進められます。

プロラタ方式の交渉手順

プロラタ方式による返済を交渉する手順は次のとおりです。借入先の金融機関との交渉を行う際には、専門家の協力を得ることで交渉を有利に進めることができます。

1.税理士などに依頼して各金融機関の借入残高を確認。
2.弁護士などの専門家が同席の上、借入先の金融機関へプロラタ方式での返済を提案。
3.各金融機関と協議し、返済計画を調整。
4.全ての金融機関に対して一斉に返済を開始。

事業再生とプロラタ方式

プロラタ方式は最終手段として用いられるため、通常の業務でプロラタ方式が関わる状況はほとんどありません。企業の業績がそこまで悪化している例は稀で、通常はプロラタ方式を使わずとも融資を受けられるためです。

メインバンクから融資を断られ、他の金融機関からも融資を拒まれ、資金調達が行き詰まったときに、プロラタ方式が使われることがあります。場合によっては、メインバンクから「単独での追加融資は難しいが、複数の金融機関とのプロラタ方式なら融資が可能」といった提案がされることもあります。

まとめ

メインバンクから十分な融資を受けられない場合、他の金融機関からも借り入れを実行する必要があります。しかし、取引実績のない金融機関からの借り入れは難しい場合があります。

プロラタ方式を採用することで、取引実績のない金融機関からも融資を受けやすくなります。また、プロラタ方式では全ての金融機関に公平に返済することが求められるため、金融機関からの信用を損なわずに済むでしょう。

金融機関との綿密な調整が必要となるため、自社だけで話を進めるのは困難かもしれません。プロラタ方式を実施する際には、専門家の力を借りて話を進めると良いでしょう。


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