• 更新日 : 2024年7月17日

リモート監査とは?メリットや課題と解決策、おすすめの最新技術を解説

遠隔で内部監査を行えるリモート監査には、場所に関係なく監査員を選べる点やコスト削減を見込める点といったメリットがあります。
本記事では、リモート監査の意味や企業側が行うべきこと、メリット、課題と解決策を解説します。

リモート監査とは

リモート監査とは、遠隔で内部監査を行うことです。新型コロナウイルスの感染拡大によって外出の自粛が求められたことにより、リモート監査を行う企業は増加傾向にあります。

従来の内部監査は、監査人と企業の担当者が対面で実施していました。リモート監査は、Web会議ツールなどを用いて、対面せずに監査する点が特徴です。

リモート監査に向けて企業側がやるべきこと

リモート監査を実施するには、企業側で主に以下5つのことを行う必要があります。

ITツールの導入

リモートで行うという性質上、ITツールの導入は不可欠です。最低でも以下のITツールが必要となります。

  • Web会議ツール(ZoomやGoogle Meetなど)
  • コミュニケーションツール(ChatworkやSlackなど)

また、監査対象となる部門の従業員がツールを使いこなせるように、マニュアル配布や講習などを行っておくことも重要です。

情報セキュリティ対策

詳しくは後述しますが、オンライン上で内部監査を行うため、情報漏えいなどのリスクがあります。こうしたリスクを踏まえ、情報セキュリティ対策も不可欠です。具体的な対策としては下記が挙げられます。

  • 端末管理(ウイルス対策やパスワード管理など)を徹底する
  • セキュリティポリシーを整備しておく
  • VPN環境を構築する
  • セキュリティ対策が万全なITツールを利用する

後ほど解説しますが、仮想デスクトップを利用することも効果的です。

監査対象部門との連携強化

監査を担う部門と監査対象部門の連携を強化することも不可欠です。連携が疎かになると、当日のヒアリングがまとまりのない内容となったり、資料の準備などに遅れが生じたりする恐れがあるためです。

事前にスケジュールやヒアリングの内容などを共有した上で、疑問点などは、あらかじめコミュニケーションツールを介して解消しておくことが重要です。

資料の準備

スムーズにリモート監査を行うには、資料の準備も万全でなくてはいけません。ヒアリング当日にオンライン上で提示できる資料であれば、すぐに共有できるように作成・整理しておきましょう。

オンライン上で共有できないものであれば、事前に郵送等の手段で送付しておくことが求められます。

必要に応じた現地往査への対応

後述しますが、リモート監査では把握しきれない要素が出てくる場合もあります。あくまでリモート監査は「監査手法の一手段」に過ぎず、最大の目的は内部監査を完了させることです。したがって、必要に応じて現地往査を実施することが求められます。

リモート監査のメリット

通常の監査と比較して、リモート監査には4つのメリットがあります。

エリアに関係なく、最適な監査員を選定できる

リモート監査では、移動の手間や時間をかけずに監査を行えます。そのため、エリアに関係なく、監査の内容や対象企業に応じて最適な監査員を選定できます。結果として、監査の質を高めることにつながるでしょう。

柔軟なスケジュール設定や頻度の増加が可能

対面による内部監査の場合、各部門の担当者が一堂に会する必要があります。とはいえ、各々本来の業務があるため、スケジュールの調整に難航する可能性があります。しかし、リモート監査では移動時間や場所を考慮せずに済むため、隙間時間で柔軟にヒアリングなどの時間を設定できます。

また、移動時間が不要になることで、内部監査の頻度を高めることにもつながります。移動に時間を要する海外拠点の監査や、重点的に監査すべき状況において、監査頻度を増やせる点は大きなメリットとなるでしょう。

コスト削減につながる

通常の監査では、監査対象場所までの移動費や滞在費用(宿泊費)がかかります。一方でリモート監査では、移動や宿泊が発生しないため、大幅にコストを削減できる可能性があります。監査の資料もすべて電子化できれば、印刷代も削減できるでしょう。

監査コストを削減することで、わずかながらでも利益を増やすことができます。また、1回あたりのコストが削減されるため、その分だけリモート監査の回数を増やすことも可能です。

監査の効率や生産性を高められる

リモート監査では、監査の効率や生産性向上も期待できます。

例えば、対面での監査と異なり、時間や場所の制約に縛られないため、一度のヒアリングで多くの関係者を対象にできます。そのため、1回の調査でよりたくさんの有益な情報を収集・共有できるでしょう。

また、リモート監査の様子を外部からモニタリングできる点もメリットです。第三者視点でモニタリングすることで、フィードバックや改善点の共有による人材育成・スキルアップが期待できます。

リモート監査の課題と解決策

ここからは、リモート監査で直面する課題と解決策を解説します。

コミュニケーションや信頼関係の構築が難しい

対面であれば、表情や仕草から相手の意図していることを読み取りやすいです。しかしリモート監査の場合、言葉や画面上の表情のみで判断するため、意図を取り違える恐れがあります。また、相手のことを本当の意味で信頼するのも難しいケースが出てきます。

解決策としては、コミュニケーションの頻度を増やしたり、情報の正確性を資料で補ったりすることが効果的です。

電子データ化の負担や改ざんリスクがある

これまで対面で行っていた監査をリモートに移行すると、資料や契約業務などの電子化に関する負担が新たに発生します。また、電子化されたデータの改ざんリスクも考えられます。

電子データ化の負担に関する解決策としては、電子契約サービスや業務管理システムといったツールやサービスの導入により、電子化の負担を軽減することが効果的です。
また、改ざんリスクに対しては、コンテンツの編集履歴が残るクラウドサービスや、ブロックチェーン技術の活用が効果を発揮するでしょう。

リモート監査のみでは把握できない要素もある

前述のとおり、リモート監査のみでは把握できない要素も存在します。例えば製造現場(工場)の場合、保管物の取り扱いや業務の効率性といった要素は、直接目で見た方が理解しやすい可能性があります。

内部監査の質を高めるには、必要に応じて対面での監査を実施することも検討に入れることが重要です。

リモート監査に関する最新技術

近年は、リモート監査の利便性を高める様々な最新技術が登場しています。本章では、具体例として「Mixed Reality(複合現実)」と「仮想デスクトップ」を紹介します。

Mixed Reality(複合現実)

Mixed Reality(複合現実)とは、仮想世界と現実世界を融合させる技術です。MRゴーグルを装着することで、現実空間に仮想の空間を実在するかのように表示・体験させることが可能です。

リモート監査では、リアルタイムで遠隔地にいる対象に対して、ビジュアル化された資料を共有できます。MRを活用しない場合と比較して、柔軟な対応や工数の削減といった効果が見込めます。

仮想デスクトップ

仮想デスクトップとは、サーバー上にデスクトップを作成し、それを遠隔操作することにより、あらゆる端末から同じデスクトップを使用できる仕組みです。

仮想デスクトップの仕組みを利用すると、社内のネットワークにデータが保存されるため、個人のデバイスで管理する必要が基本的になくなります。そのため、リモート監査の課題である「情報漏えいリスク」を大幅に軽減できます。

また、社外でもセキュリティ対策をあまり気にせず、気軽に業務を行える利便性の高さも魅力だといえるでしょう。

まとめ

場所に縛られないリモート監査では、コスト削減や監査の品質向上など、さまざまなメリットが期待できます。情報漏えいや電子データ化に伴う負担増加などのリスクはあるものの、MRや仮想デスクトップなどの最新技術を活用することで、課題の解決を図ることができます。

今後もさまざまな最新技術が生み出されることで、リモート監査の利便性はより一層高まるでしょう。


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