• 作成日 : 2022年9月9日

マネーフォワードクラウドpresents 「& money」 株式会社CMerTV執行役員CFO廣田和也さんに聞く!(前編)

さまざまな企業のリーダー、ファイナンス部門の方にフォーカスを当て、その仕事や企業の成長戦略の裏側、その仕事術に迫ります。
今回お話を伺ったのは、株式会社CMerTV執行役員CFO廣田和也さん
スマートフォン向けの動画広告や美容室に向けのサイネージ事業を展開するCMerTV。

前編ではCMerTVの事業について、廣田さんのIPOについてお考えについてお話を伺います。

プロフィール

廣田和也
1998年IMJ入社、2007年に同社取締役就任。2010年に来たるべく「ネット動画時代」に先駆けて、映像業界に強いイマジカグループ出資のもとでネットメディア事業を行う会社として起業。CS放送局「FOODIES TV」を運営するIMAGICA FTVの代表取締役を歴任。放送とネットの融合メディアサービスの運営を行う。 2017年3月にCMerTVに入社、執行役員CFOとして従事。趣味はゴルフと野球観戦。

聞き手: 田中泉
インタビューをはじめ多方面で活動。9年間アナウンサーを務めたNHKでは「ニュースウオッチ9」「クローズアップ現代+」など報道番組を中心に国内外で最新のニュース・事象を幅広く取材。経済分野では数々の企業取材・経営者インタビュー・ノーベル賞受賞者への英語インタビューなどの実績がある。趣味は素敵なお店の開拓。1988年生まれ。

スマートフォン、デジタルサイネージに動画広告を提供する

田中 まずはCMerTVの事業について教えてください。

廣田 私どもCMerTVは企業様向けに動画広告を提供する会社になります。
われわれが動画広告扱う場所のひとつとして、スマートフォンのウェブサイトがあります。
大手の出版社様、新聞社様、さらにはデジタルメディアを手がけている会社様のメディアに対して、動画広告を配信できるスペースを調達し、その買いつけた枠にわれわれの技術をもって動画広告の配信をしていくというビジネスがひとつです。
そしてもうひとつは、同じく動画広告のドメインになりますが、配信先はデジタルサイネージです。イメージしにくい部分もあるかと思いますが、簡単に言いますと、スマートフォンというのは自分の手元にある身近なデバイスになりますが、デジタルサイネージというのは、どこか外出した先に置いてある液晶画面というか、動画が配信できる画面のところに広告を流すような仕組みになっているものです。
具体的にわれわれが大きく扱っているのは美容室です。全国の有名サロン、有名美容室にかなりのシェアで設置させていただいているビジネスで、現状およそ1万台以上のタブレット端末、iPadぐらいの大きさの端末を、鏡の前に一台一台設置をさせていただいています。われわれは放送局的なメディアを運営していますので、全国のヘアサロン、美容室にタブレット端末、つまりデバイスを置くところ、ハードウェアを置くところから実際にそこで流すコンテンツの制作・配信と広告配信も全て合わせてひとつのメディア事業として手掛けているのが「BEAUTINISTA TV(ビューティニスタティービー)」という名前のサイネージ事業になります。

田中 デジタルサイネージと聞くと、駅前に大きな液晶画面があって、そこに広告が流れているようなイメージでしたがそうではないんですね。

廣田 われわれは不特定多数の人に対して、ターゲティングもなく、そのシチュエーションの絞り込みもなく配信していくデジタルサイネージは基本的には手掛けていません。
サロン、美容室のサイネージは特に女性向けのメディアとして運営しています。女性が一番、美の意識が高まった瞬間、そこで見ていただくデジタルサイネージになるので、当然コンテンツを受け入れていただく素地もかなり高いレベルになっています。そしてそこで広告を配信させていただきます。その意識が高い、美意識が高い瞬間に美に関する広告を配信すると、当然広告効果が大変高くなります。
われわれが手掛けるデジタルサイネージは、美容室以外もいくつかあるんですが、そのようにユーザーをターゲティングしたり、「コンテクスト・ターゲティング」と、われわれは呼んでいますが、その見ている人の文脈に沿ったところにコンテンツを出していくということを、ひとつのこだわり、特徴として展開しています。

田中 その事業が始まった経緯は?

廣田 もともとはスマートフォンの動画広告を扱っていました。そして動画広告の配信先がどんどん増えていく中で、クライアント様、広告主の方から「女性向けにじっくりと広告を見ていただけるようなロケーションはつくれないか」という要望をいただき、いろいろとディスカッションをした末に、“だったら美容室にデジタルサイネージを置いて、コンテンツとセットで広告を配信できる場をつくっていこう”という、その“場を創造しよう”というところからの事業スタートになりました

田中 ニーズ、要望を汲んでどんどん進化していったということですね。

廣田 おっしゃる通りです。

真面目な社風、カルチャー

田中 会社はどんな雰囲気ですか?

廣田 メディアの会、広告の会社ということで、メンバーは情報感度が非常に高く、楽しい雰囲気のメンバーが非常に多いです。
簡単に言うとそんな雰囲気ではありますが、ただですね、そんな中でも特徴的なのが、われわれの会社はとても真面目なんです。広告ってどうしても無形なもので、広告を配信した後に手元に何か残るかというと有形で残るものはないですよね?

田中 そうですね。

廣田 たとえば食べ物屋さんであれば美味しいものを提供するという、“もの”が存在しますが、われわれ情報を配信するという、無形なものをご提供する会社なので、とにかくお客様との信頼関係が第一なんです。社長を筆頭に全社員、そういったことを会社の考え方として真摯に向き合うというスタンスが浸透しております。
デジタル系の会社ではとにかくスピードや先行者メリットを重視し、プロダクトが多少未成熟であったとしても、早めにリリースして普及をさせていくというマーケティングがわりと多いんです。それはそれでひとつのやり方ではありますが、われわれは、そうではなく、しっかりといろいろな面で検証して、きちんと見てもらえている広告だというところをデータ化したり、その確証をしっかりと裏付けをつくって、商品にパッケージングをしてリリースをしていく。さらにそれが、途中でその運用が廃れていったりすることなく、非常に真面目に実行していく。たとえば先ほどの、デジタルサイネージですと、正直、全国に置いてある1万台以上のタブレットを誰が見ているか普通わからないんです。

田中 検証が難しそうですよね。

廣田 難しいです。ただ、それでは広告主様は安心して広告を出稿いただけないですよね。
だからこそそこをしっかりと、タブレットの中にインカメラを設置して、AIを使ったソフトウェアで、タブレットの前に人がいるかどうかをしっかりと解析をして。それで、われわれ「アクチュアルの数字」という「実績値」という意味での数字を計測した上で、それをデジタルサイネージの配信後のレポートに盛り込んだ形で、広告主様にご報告したりとか。ふわっとした商品なんですが、そう言ったことをとにかく真面目にやっていくというのが、ひとつ、会社の特徴、カルチャーなのかなと感じています。

田中 広告主との間に大きな信頼感が生まれますよね。

廣田 そう思っていただけるように、日々取り組んでいます。

田中 その中でいま廣田さんが束ねていらっしゃるコーポレート部門、経営管理局の雰囲気というのは?

廣田 経営管理局は、私を含めて実は4人しかいないんですね。いわゆる少数精鋭チーム。とにかくチームワークよく、4人しかいないのでポテンヒット的に誰かがやらなきゃいけないことだらけなんです。とにかくこの4人で従業員満足度の向上というところを最大のテーマに掲げて仕事をしています。
ひとつのキーワードとして社員から「質問されないサービスを提供していこう」ということを掲げています。質問されなくても、どこかに、必ずわかる場所に何々が書いてあるとか、やり方が書いてあるとか。人数が少なくても、しかも現在、われわれリモートワークで業務を行なっていますので、物理的に、気軽に人から何かを聞くということが少ない環境になっていますので、そういった意味でチームワークよく、技術向上を最大のテーマにしているチームです。

メディア企業ゆえのファイナンスの難しさと面白さ

田中 メディア企業の財務担当としての難しさ、逆に面白さは?

廣田 われわれメディアの企業は、ファイナンス上の特徴としては、メディアを立ち上げた直後にすぐに売上が垂直に立ちあがってくるものではないという、逆に言うとメディアを立ち上げて、じっくりとメディアの認知が広がっていく中で、クライアント様がじわじわとついてくるというビジネスモデルだと考えています。テレビ番組にしても雑誌にしても、少なからず同じような傾向にあると思っています。
そういった意味では、メディア会社のファイナンスを預かる身として難しいのは、当然メディアを立ち上げる際の大きな投資というのが絡んできます。当然それに伴う運用費もかかってくる中で、その投資をしてどれだけの売上のリターンがついてくるかを見極めて、実際どこまで投資するのかを、経営陣含めて判断しやすい環境をつくっていくという、そのあたりは難しくも一番面白いところでもありますよね。

田中 表裏一体と言いますか・・・

廣田 先ほどのデジタルサイネージのメディアですと、置いてある美容室の店舗がいまでは千数百店舗、2000店舗近くの店舗さんに1台数万円もするタブレットを全部で万の単位で出していくわけです。当然それは、計算していただくとわかる通りに、巨額の初期投資が必要になってくるんです。
その初期投資のファイナンスの方法を考えたり、実際そこをどういったタームで回収していくかも考えなくてはいけないので、事業をどう組み立てるかという話と同じぐらいの重要なこととして、どうその資金源を確保しながら、会社の安定した運用ができるかを考えるというのが難しさでもあり面白さかもしれません。

CMerTVにとってのIPOとは

マネーフォワードクラウドpresents 「& money」 株式会社CMerTV執行役員CFO廣田和也さんに聞く!(前編)

田中 IPOをされた企業、未上場の企業、日々さまざまな企業とお仕事をする中で、廣田さんは、IPOに対して何か思うこと、考えることはありますか?

廣田 実は以前在籍した会社で、小さな規模の会社が徐々に成長してIPOをしたという経験もあります。なので、その魅力は十分わかっています。
よく、IPOをすると「子供から大人になりました」という言い方ありますが、まさにそうなんです。社会的な責任が非常に重くなりぐっと身が引き締まる思いになり、それに連動してやりがいがまた一段ぐっと上がっていきますので。やはりIPOを実現して公の企業として運営できるのは非常に魅力だとは思っていす。

田中 CMerTVにもIPOの選択肢というのはあるのでしょうか?

廣田 もちろんです。ただ、コロナの問題もありますし、市場全体に株価がつきにくく、または新興市場に対しての上場も厳しい環境もありますので、10年20年前とはだいぶ違う状況です。
そういった意味では周りの環境を見据えながら、とにかくわれわれがいまできることは、会社としての価値を高めていくということです。そこにとにかくフォーカスをして、そのフォーカスをした結果、ひとつの選択肢として「やっぱりIPOだよね」となれるように、それも遠い将来ではなく、近い将来にそうできるように、環境を見ながら進めているというのが現状です。

お話は後編に続きます。
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インタビューの雰囲気や臨場感あふれる息遣いなども是非聞いてみてください。


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