- 更新日 : 2024年7月17日
購買サイクルのRCMとは?リスクマネジメントの重要性・RCMの作成手順【テンプレート付き】
購買サイクルの最適化は、企業の成長に欠かせない戦略の一つです。特に、信頼性中心のメンテナンス(RCM)を取り入れることで、製品やサービスの品質を向上させ、顧客満足度を高めることができます。
本記事では、RCMが購買サイクルに与える影響と、その具体的な活用方法について詳しく解説します。
目次
購買サイクルとは
購買サイクルとは、顧客が商品やサービスを購入するまでの一連の過程を指します。
購買サイクルは、企業が顧客を理解し、効果的なマーケティング戦略を立てるための基本概念であり、ビジネスの成長に不可欠な要素です。
【購買サイクルの内容】
プロセス | 概要 |
仕入れ先への注文 | 企業が具体的なニーズを把握し、それを満たすために適切な仕入れ先を選定 |
商品の検品と保管 | 納入された商品の種類、数量、価格などが正確であることを確認 |
代金の支払い | 仕入先からの請求書を受け取り、代金の支払い |
仕入れ業務の現場には不正のリスクが多く存在し、実際に不正が発生した事例もあります。内部統制は、購買業務の仕組みを整理し、不正を未然に防ぎ、トラブルを回避するために重要な役割を果たします。
購買サイクルにおけるリスク管理の重要性
購買サイクルで想定されるリスクは、主に以下のとおりです。
【購買サイクルで想定されるリスク】
- 購買担当者と取引先の癒着
- 購買業務の属人化
癒着とは、購買担当者が取引先との個人的な関係を優先し、公正で透明な取引を行わず、自身や取引先に有利な条件を提供する行為を指します。
癒着が発生すると、不正が発生する可能性があります。それにより会社が被害を受ける可能性も出てきます。
属人化とは、特定の担当者に業務が集中し、その人だけが業務の詳細を把握している状態を指します。
特定の担当者に業務が集中すると、その人の判断や手続きに依存することになり、業務の進め方にばらつきが生じやすくなってしまうでしょう。
購買サイクルのリスク管理に用いるRCMとは
RCMとは、リスク管理に関するマトリックス表のことです。
RCMの目的は、システムや設備の信頼性を最大化し、リスクを最小限に抑えることです。これを購買サイクルに適用することで、購買業務のリスクを抑えることができます。
購買サイクルのRCMの作成方法
購買サイクルのRCMの作成方法は、以下手順です。
【RCMの作成手順】
- 業務記述書・フローチャートの草案を作成する
- リスク・コントロールを設定する
- 業務記述書・フローチャートをもとにRCMを作成する
➀業務記述書・フローチャートの草案を作成する
まず業務記述書とフローチャートの草案を作成することが重要です。購買プロセスの全体像を明確にし、リスクを効果的に管理するための基盤を築くことができます。
リスクとコントロールを明確にし、作業担当者、作業内容、および作業手順を理解することが目的です。
②リスク・コントロールを設定する
購買プロセス全体の透明性と効率性を高め、リスクを最小限に抑えるために、リスク・コントロールを設定することが重要です。
プロセスの各ステップや決定点、情報の流れを示すことで、業務記述書を補足し、プロセスの可視化と理解を助けます。
③業務記述書・フローチャートをもとにRCMを作成する
業務記述書とフローチャートの情報を活用して、潜在的なリスクを特定し、それらのリスクを軽減するための対策を決定します。
RCMに記載する主な項目は、以下のとおりです。
【RMCの記載項目】
記載項目 | 内容 | |
---|---|---|
業務内容 | 統制内容・業務内容を具体的に記載 | |
リスクの内容 | どんなリスクがあるのかを具体的に記載 | |
内部統制の内容 | 内部統制の内容を具体的に記載 | |
要件 | 実在性 | 資産及び負債など |
網羅性 | 計上する必要がある資産や負債、取引など | |
権利と義務の帰属 | 資産および負債を適正な価格で計上しているのかどうか | |
評価の妥当性 | 評価方法が適切であるかどうか | |
期間配分の適切性 | 取引や会計事象を適切な金額で記録し、収益及び費用を適切な期間に 配分されているかどうか | |
表示の妥当性 | 資産や負債などが適切な項目に分類され記載されているか | |
頻度 | RCMを見直し、更新する頻度 | |
内部統制の有効性 | 事業活動や業務の目的が達成される具合 | |
評価内容 | 購買サイクルの各プロセスにおける潜在的なリスクがすべて網羅されているか、また、そのリスクが現実的であるかの評価 |
購買サイクルのRCMテンプレート-無料ダウンロード
購買サイクルのRCMテンプレートを1から作成するとなれば、大幅な工数がかかってしまいます。
業務負担を軽減させるためにも、あらかじめ.購買サイクルのRCMテンプレートを用意しておき、作成することが大切です。
以下から無料で活用できるため、ぜひダウンロードしてみてください。
まとめ
購買サイクルの最適化は企業の成長に不可欠です。特に信頼性中心のメンテナンス(RCM)を取り入れることで、製品やサービスの品質を向上させ、顧客満足度を高めることができます。
企業として健全な成長を目指すうえで、購買業務における効率性と信頼性を上げるためにも、適切なリスク管理と内部統制を実施するよう努めましょう。
よくある質問
購買サイクルとは?
購買サイクルとは、企業が必要な商品やサービスを調達するための一連の過程を指し、需要の認識から仕入先の選定、価格交渉、発注、商品の受領と検品、保管、そして代金の支払いまでを含みます。 購買担当者の不正や属人化を防ぐためにも、購買サイクルは重要です。
購買サイクルRCMの作り方は?
購買サイクルRCMの作り方は、主に以下のとおりです。
- 業務記述書・フローチャートの草案を作成する
- リスク・コントロールを設定する
- 業務記述書・フローチャートをもとにRCMを作成する
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
加重平均資本コスト(WACC)とは?計算式や手順・平均についてわかりやすく解説
加重平均資本コスト(WACC)は、企業の投資判断や事業評価に重要な指標であり、その理解と適切な活用は企業の財務戦略を立てる上で不可欠です。ビジネスをしていく上では、負債コストと株主資本コストの両方をカバーできるようになり、債権者と株主を満足…
詳しくみる東証マザーズ上場とは?上場基準や条件を解説
東京証券取引所が運営している、ベンチャー企業(新興企業)向け株式市場の「東証マザーズ」。東証マザーズには、潜在的に高い成長力をもつ企業が数多く上場しており、企業は資金調達の場として東証マザーズ市場を活用しています。そんな東証マザーズへ上場す…
詳しくみる不正会計とは?不正の種類や原因・事例・防止するための対策を解説
不正会計は、企業が財務状況を意図的に誤って報告する行為を指します。このような不正は、利益の水増しや損失の隠蔽を含み、投資家やステークホルダーを欺いてしまいます。 不正会計が発覚すると、企業の信頼は失墜し、法的制裁や経済的損失が生じてしまうで…
詳しくみる従業員による企業買収であるEBOとは?目的やメリットなど全体像を解説
多くの企業は、一般的に株式会社という形態を採り、第三者である株主からの出資を受けて、その株主の「代行者」として経営層を中心にビジネスを営みます。 しかしながらこのような形態においては、株主と経営層の立場が異なることによって課題が生じるケース…
詳しくみるIPOにはなぜ監査法人が必要?役割や選ぶ際のポイントを説明【テンプレート付き】
IPOを検討している企業にとって最初に決めるべき重要事項は、監査法人の決定です。IPOの際には、上場申請書類に含まれる財務諸表に対して監査法人から監査を受ける必要があります。 この記事では、IPOの際、重要な役割を果たす監査法人について詳し…
詳しくみる関連当事者取引とは?開示基準や開示項目、取引した場合の対処法について解説
「関連当事者取引」とは、企業がその経営陣、主要株主、親会社、子会社、関連会社などの関連当事者と行う取引を指します。これらの取引は、通常の市場条件と異なる条件で行われることがあり、そのため特に注目され、適切なディスクロージャー(情報開示)が要…
詳しくみる