• 更新日 : 2022年6月24日

マネーフォワードクラウド「& money」 株式会社メドレー 取締役 河原亮CFOに聞く!(後編)

マネーフォワードクラウド「& money」 株式会社メドレー 取締役 河原亮CFOに聞く!(後編)

さまざまな企業のリーダー、ファイナンス部門の方にフォーカスを当て、その仕事や企業の成長戦略の裏側、その仕事術に迫ります。今回お話を伺ったのは、株式会社メドレー 取締役CFO、河原亮さん。メドレーはIT、テクノロジーを活用し「納得できる医療」の実現を目指す最先端ヘルステック企業です。後編では、CFO河原亮さんの仕事術、そしてこれからのメドレーについて伺いました。

プロフィール

河原亮
東京大学工学部を卒業。JPモルガン証券株式会社にて、国内外の資金調達業務及び M&A アドバイザリー業務に従事。2016 年 7 月、株式会社メドレー取締役に就任。CFO としてファイナンス、IR などに従事している。

聞き手:瀧口友里奈
経済キャスター/東京大学工学部アドバイザリーボード
東京大学卒。セント・フォース所属。「100分de名著」(NHK)、「モーニングサテライト」(テレビ東京)、「CNNサタデーナイト」(BS朝日) 、日経CNBCの番組メインキャスターを複数担当。ForbesJAPANで取材•記事執筆も行い、多くの経営者を取材。東京大学大学院在学中。

弛みのない情報収集が大切

瀧口 これからこのIPOを考えていらっしゃる企業のCFO、ファイナンス担当者へのメッセージを願いします。

河原 事業の足元も市場環境も、日々目まぐるしく動いています。IPOについても、その影響を強く受ける部分があると思います。ハードルは高いですが、そういった中で、普段の業務を遂行しながら、情報収集を積極的にし続けることが重要だと思っています。私個人の体験としては、ウェブでの情報収集だけでなく、ベンチャーキャピタルの方、先輩CFOの方から直接体験談を聞けたということは大変役に立ちましたし、感謝をしています。

瀧口 やはり情報収集は重要?

河原 昔よりはネット上に情報が出ているかもしれませんが、実際の体験談や、重要なポイントは、直接本人、IPOを体験した本人から聞かないと分からないというところもあると思うので、情報収集は重要だと思います。

瀧口 改めてこのCFOの仕事の醍醐味、そして大変さは?

河原 企業が成長をしていくと、外部環境に関わらず多様な変化が起きて、色々なことが起こります。そういったことに刺激を受けつつ、様々なコーポレートアクションを経験できるのは、この仕事の醍醐味なのかなと思います。またそれに対して、市場の方々は私に意見を求めてきますので、そこでしっかり説明ができるかどうかというところもCFOの仕事の一つの醍醐味なのかなと思います。

情報収集にはポッドキャスト

瀧口 河原さんご自身のお話も伺いたいのですが、普段、自己研鑽、ステップアップのために、何かしてらっしゃることは?

河原 もちろん本も読みますし、ウェブでの情報収集もしますが、最近はポッドキャストを聞く機会が増えています。ポッドキャストでは海外の方も含めて、体験談のようなものを直接、手軽に聞くことが出来ます。

瀧口 体験談というのは、具体的にどういった番組があるのでしょうか?

河原 例えば海外のかなり大きく成長したインターネット企業の方が、創業ストーリーについて話しているようなポッドキャストがあったりします。日本国内のベンチャー企業、スタートアップ関連の方々のポッドキャストも聞いています。先ほども直接体験談を聞いたほうがいいと申し上げましたが、一次情報というか、そういった濃厚な情報に触れることがかなり重要だと個人的には思ってます。

VUCAの時代 不確実性への対応を

瀧口 そして、河原さんに伺いたいのが、VUCAの時代、社会が激変していく時代。これからの未来を見通していくうえで、ファイナンス、財務のキーワードになることは?

河原 キーワードの一つとしては、不確実性への対応という観点が大きいと思います。このコロナだけではなく、足元の金融市場など外部環境がとても大きく変化している状況だと思います。個人的には前職のキャリアの序盤でリーマンショックを体験しましたが、足元の状況はそれとは種類は違うかもしれませんが、同じぐらいのインパクトがある変化が今、起こっているのかなと考えています。そういったことに対してのリスクシナリオに備えることが大切です。世の中がどんどん変わっていく中で、企業としてはしっかりそこに対応しなくてはいけないということを財務的に担保するということは、今後、特に重要性が増していくようなキーワードの一つかなと考えております。あともう一つが、注目度が高まっているサステナビリティ、ESGというキーワードです。こちらに関しても、当社の事業そのものがESGのS、社会というところの側面が強い部分があると思っていますので、そういったところも含めて発信、開示の充実というところに当社も力を入れています。当社は「医療ヘルスケアの未来をつくる」というミッションを掲げ、より医療アクセスを良くするということに取り組んでいますので、事業自体はもちろん営利活動ではありますが、このESGの社会という文脈に沿った形になっているのではと思っています。

瀧口 海外の投資家の方のほうが、こういったESGに関しては、特に敏感なのでしょうか?

河原 年間数百件ミーティングをしますが、一昔前まではヨーロッパの方がESGを特に重視しているというような時代があったと思います。ですが現在では、国内の方々も含めて、あまり地域によって差はないかなと思います。ただミーティングの中でそのテーマばかり聞かれるというよりは、最後に「ちなみに」というような形で聞かれる場面のほうが、個人的には多いかなと思います。

瀧口 ほぼ必ずといっていいほど、聞かれる内容になってきてはいるのでしょうか?

河原 実際は時々ですね。何件かに1件、最後にESGについて聞いてくる方がいらっしゃるかどうかという状況ですけれども、もしかすると、今後その割合が増えていく可能性というのはありえるかもしれないですね。

これからのミッション 盤石な財務基盤を維持

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瀧口 メドレーの今後の展望は?

河原 会社は2009年設立になりますので、13年間医療ヘルスケア業界のデジタル化というテーマに取り組み続けてきたということになります。そういった中で、医療ヘルスケア業界の人材採用については、当社はオンラインでのプラットフォームを展開していますので、その業界のデジタル化に一定程度貢献できているのかなと考えております。ですが、人材採用以外の医療ヘルスケア業界のデジタル化にも引き続き貢献していくというのが、当社の姿だと思います。しっかり腰を据えて、長期の視点で、かつ高い成長率というものも同時に目指しながら、引き続きやっていくというところが、当社および業界にとっても重要なテーマだと思っています。

瀧口 とりわけCFOの視点から、メドレーをどう導きたいですか?

河原 先ほどの不確実性への対応とも関連しますが、やはりキャッシュ、財務基盤がしっかりしているというのは、成長を実現していく上では一番土台になる部分になります。そういったところをしっかり盤石にしていく、盤石にし続けていき企業活動、事業活動全体を支えるということが私の役割です。その実現のために必要不可欠になってくるのは、市場の皆様との対話、当社のやっていることがまったく皆さんに理解されないと、例えば株価に跳ね返ってきてしまったり、当社にとって苦しい場面になってしまいますので、当社のやっていること、かつ使っているお金の使い道、そういったところについて私の立場でしっかり翻訳し、伝えていくということが大事な役割なのかなと考えています。

瀧口 コミュニケーションも、CFOのとても重要な役割ですね。

河原 私も金融の世界が長かったので、金融の世界、市場の方々が普通と捉えることと、事業会社の方が普通と捉えることには、若干ギャップがあると感じています。ある意味、通訳のようなものかと思っているんですが、そこの通訳をうまくやっていくと、双方に誤解がなく良好な関係が築けるのかなと思っています。

瀧口 最後になりますが、これからの河原さんご自身の挑戦は?

河原 少し真面目になって恐縮なんですが、やはり立場としては、先ほど申し上げた会社の持続的な成長にしっかりと貢献していくということが、私にとって今後も続けていきたいテーマなのかなと思います。上場というポイントはありましたが、M&Aであったり、事業規模の拡大であったり、色々なイベントが過去もありました。今後は海外展開もするかもしれないですし、そういったところでまた色々なステップがあると思います。過去、私もメドレーにジョインしたことによって、本当にいい経験をさせていただきました。ですので今後も、色々なことを経験させていただきながら、しっかり貢献させていただきたいと思っています。

瀧口 お忙しい中、本日は本当にありがとうございました。

河原 ありがとうございました。

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