• 作成日 : 2022年1月24日

IPOとは?その目的や成功する企業と失敗する企業の違いも徹底解説!

IPOとは?その目的や成功する企業と失敗する企業の違いも徹底解説!

IPOとは、企業が証券取引所に株式を上場させることを指し、IPOを果たした企業は「上場企業」と呼ばれます。なぜ企業がIPOをするのか、IPOの目的まで把握している人は、多くはないでしょう。

IPOをした上場企業は、未上場企業にはない、さまざまなメリットを得られます。今回の記事では、IPOの目的やメリット、そしてIPOを成功させる企業と失敗してしまう企業の違いなどについて解説していきます。

IPOとは?

IPOとは?その目的や成功する企業と失敗する企業の違いも徹底解説!
IPO(Initial Public Offering)とは、「新規上場株式」や「新規公開株」などと訳され、株式を証券取引所に上場させ、投資家に株式を買ってもらうことを指します。企業は、株式を投資家に買ってもらうことで、不特定多数の投資家より直接金融市場から資金調達をし、その資金を活用して事業を展開できるようになります。なお、IPOをするには上場基準を満たし、審査に通らなくてはいけません。市場では、魅力ある株式しか購入されないため、どの企業でもIPOができるわけではないのです。

IPOの目的とは?

IPOとは?その目的や成功する企業と失敗する企業の違いも徹底解説!
IPOをする大きな目的は、「不特定多数の投資家から資金調達」をするためです。IPOをしていない未上場企業が事業資金を集めるには、金融機関からの借入やベンチャーキャピタルの投資(企業の将来的な成長を見込んで出資してもらうこと)などの方法がありますが、いずれも大規模な資金調達をするのは簡単ではありません。

一方、IPOをした上場企業は証券取引所を通じて、自社の株式を国内外にいる不特定多数の投資家に買ってもらうことで、資金調達をおこなえるようになります。資金調達のしやすさや金額の大きさは、未上場の状態と比べて飛躍的にアップします。

IPOのメリット

IPOとは?その目的や成功する企業と失敗する企業の違いも徹底解説!

IPOすることによって、3つのメリットがあります。

  • 資金調達力が向上する
  • 企業認知度が向上する
  • 内部管理体制が整備・強化される

資金調達力が向上する

上場することで「資金調達力の向上および、資金調達方法の多様化」が実現します。簡単に言うと、多くの資金を集めやすくなるということです。上段の「IPOの目的とは?」でも触れたとおり、上場することで証券取引所を通じて不特定多数の投資家から多額の資金を調達できるようになります。

また、未上場企業の場合は金融機関からの借入がメインになりますが、上場企業は信頼度が上がり、金融機関からの借入もしやすくなるほか、新たに株式を発行して資金調達をおこなう「公募増資」もできるようになります。このように、資金調達の手段が増えるのです。

企業認知度が向上する

上場すると各種メディアから取り上げられたり、取引先からも覚えられたりと、企業認知度の向上が期待できます。その結果、企業のブランド力強化や、「この企業で働きたい」と考える求職者の増加、ひいては採用力の向上が見込まれます。売上の拡大や優秀な人材の確保が実現できれば、上場した企業の中長期的に安定した成長が期待できます。

内部管理体制が整備・強化される

上場する際に内部管理体制を整えることは、会社の義務です。上場するには審査をクリアしなければならず、上場を進める過程において内部管理体制の整備・強化が求められます。簡単に言うと、外から見て健全な活動をしている企業しか、上場することはできないということです。そのため、上場した時点で、上場前と比べて内部管理体制は大きく強化されていきます。

例えば、上場の過程において取締役会や監査役会などの必要機関の設置や、社内諸規則、コンプライアンス体制の整備などがなされ、上場企業にふさわしい体制が整えられていきます。

IPOのデメリット

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メリットがある一方、IPOすることによって3つのデメリットもあります。

  • 多額の資金が必要になる
  • IR活動にかかる負担が増える
  • 買収リスクにさらされる

多額の資金が必要になる

上場するには、多額の資金が必要です。上場するにあたり、以下のような項目および費用が発生します。

【上場(IPO)にあたり必要な資金(一部)】
<上場前>
監査法人への支払い:数十万円~数千万円程度
証券会社への支払い:年間500万円前後
コンサルティング会社への支払い:500万円~1,500万円程度(必要に応じて)

<上場時>
上場審査料:東証プライム市場は400万円、東証スタンダード市場は300万円、東証グロース市場は200万円
新規上場料:東証プライム市場は1,500万円、東証スタンダード市場は800万円、東証グロース市場は100万円

<上場後>
年間上場料:48万円~456万円(時価総額により異なる・毎年支払い)
証券会社へ成功報酬の支払い:500万円程度

上記は、上場するのに必要な資金の一部ですが、これだけでも多額の資金が必要なことがわかります。

IR活動にかかる負担が増える

上場すると、株主向けにIR活動をおこなう必要が出てきます。IR活動とは、株主向けに経営状態や売上実績、今後の見通しなどを知らせる活動のことです。ホームページ上での情報開示のほか、決算説明会の開催、決算単信・有価証券報告書など、各種資料作成やプレスリリースなどをおこないます。

IR活動をおこなうにあたり、社内実務に携わるIR担当が必要になるため、その人件費がかかるほか、場合によってはIRコンサルティング会社に支払う報酬費用が発生する場合もあります。また、決算説明会では、証券会社による集客も必要になり、外国人株主が多い場合は英語での対応も必要になるなど、さまざまな負担を抱えることになります。

買収リスクにさらされる

上場することで、不特定多数の投資家が株式を購入できるようになることから、望まない相手から買収され、経営権を奪われる「買収リスク」にさらされることになります。買収を防ぐためには対策を考えなければならず、そのためのコストも発生します。

買収を防ぐための対策は、買収される事前と事後に分けられます。事前対策としは、友好的な会社との株式持ち合いが挙げられます。株式の持ち合いをした上で、第三者割当増資をおこなえば、買収を防ぐことができます。第三者割当増資とは、特定の第三者に対して新株を発行することで、買収が仕掛けられた場合には新株引受権を第三者割り当てることで株式の希薄化をおこない、買収者の持ち株比率を下げさせることができるのです。

事後対策の代表例としては、「ポイズンピル」や「クラウンジュエル」が挙げられます。ポイズンビルは、既存の株主に安い価格で新株を購入できる権利を付与する手法で、クラウンジュエルは会社の重要な資産を信頼できる第三者に売却する手法です。

IPOをおこなう流れ

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IPOをおこなう流れは、以下の通りです。

1.監査法人(公認会計士)を決める

開示される情報が正確であるかを監査する「監査法人」を決めます

2.主幹事証券会社を決める

上場するために社内体制を整備する指導や、株式を売買する役割がある「主幹事証券会社」を決めます

3.主要な株主などから了承を得る

企業にとって重要な意思決定である上場をするには、事前に株主や取引銀行から了承をとることが必要です

4.印刷会社を決める

上場するために必要な「有価証券届出書」、「目論見書」といった書類を印刷する会社を決めます

5.株式事務代行機関を設置する

上場後に株主名簿の管理、株主総会の運営などをおこなう「株式事務代行機関」を設置します

IPOをするまでに、上場の準備期間と上場直前の2期間に大別されます。「過去2年の経営が適切におこなわれていたか」を第三者から評価されます。したがって、IPOの3年前には準備にとりかかる必要があると言えるでしょう。

IPOに必要な条件

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IPOするには厳しい条件を満たす必要があります。厳しい条件がなければ、投資家が安心して取引することが難しくなるからです。例えば、上場してすぐに倒産してしまったり、業績や財務内容に偽りがあったりする会社が上場するのは望ましくありません。したがって、厳しい条件を満たした会社に限って上場させることが必要なのです。

IPOする条件は、上場する株式市場によって以下のように定められています。

 東証プライム市場東証スタンダード市場東証グロース市場
株主数800人以上400人以上150人以上
流通株式数2万単位以上2千単位以上1千単位以上
流通株式時価総額100億円以上10億円以上5億円以上
流通株式数(%)35%以上25%以上25%以上
時価総額250億円以上--

出所:日本取引所グループの上場審査基準(2022年4月4日時点)

IPOに向いている企業の特徴

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IPOに向いている企業は、市場から調達した資金を使い、継続的かつ安定的に事業拡大ができる見込みのある企業です。IPOの目的は、金融市場から多額の資金を調達して、その資金を設備や人件費などに使い、継続的に成長することです。そのため、多額の資金を活用して成長するビジョンやロードマップを描ける企業は、IPOに向いていると言えるでしょう。

一方、IPOにより調達した資金を有効活用できるビジョンがなかったり、現状で資金調達面で不足がなかったりする場合には、とくにIPOをしなくてもよいと言えます。

IPOを成功させる企業と失敗してしまう企業の違いとは?

IPOとは?その目的や成功する企業と失敗する企業の違いも徹底解説!
IPOは、どんな企業でも成功させられるとは限りません。では、IPOを成功させる企業と失敗してしまう企業とでは、何が違うのでしょうか。ここでは、それぞれの特徴を解説し、違いを確認していきます。

IPOを成功させる企業の特徴

IPOを成功させる企業の特徴は、以下のとおりです。

【IPOを成功させる企業の主な特徴】

  • 好業績を維持している
  • 充実した内部管理体制およびコンプライアンス体制を早期構築している
  • IPOまでのスケジュール管理を徹底している
  •  
    IPOをするためには、企業の成長性も問われるため、好業績の維持が重要です。加えて、内部管理体制など社内体制の整備なども求められます。つまり、良い成績を維持したまま、健全な経営を続けていく必要があるということです。これらの取り組みを、IPOをするまでの3年程度の準備期間で、スケジュール管理を徹底しながらこなしていくことができれば、IPO成功の可能性が高まるでしょう。

    IPOに失敗する企業の特徴

    では、IPOに失敗する企業の特徴には、どのような点があるのでしょうか。

    【IPOに失敗する企業の主な特徴】

    • IPO準備期間中に業績が悪化した
    • IPOにかかるコスト負担が重くなった
    • IPO準備のために体制変更したら組織が低迷した

     

    IPOには、多額の資金が必要なほか、業績を伸ばしながら組織内部もしっかりとマネジメントしていく必要があります。ただ、企業のなかには10年以上も準備を続けて上場した企業もあることから、本当にIPOを目指すのであれば、経営者は試行錯誤をしながらも諦めないという気持ちを持つことが重要です。

    IPOするためには資本政策が必要

    IPOとは?その目的や成功する企業と失敗する企業の違いも徹底解説!

    資本政策とは、事業計画を達成するために必要となる資金調達および株主構成の計画です。資金調達は、誰から、どれくらいの金額を、いくらの株価で調達するかを検討します。株主構成では、安定して株式を保有している「安定株主」が、どの程度の株式を保有するのかを検討します。安定株主の例は、経営陣、従業員、取引先や金融機関です。安定株主の比率が大きいほど、敵対的な買収を受けるリスクを下げられます。さらに、役員や従業員への報酬をどの程度付与するかも検討します。

    資本政策を立案して実行するには、IPOする企業だけの力では不十分です。そこで、主幹事証券会社などの協力を得ながら検討を進めて、社長が決定を下します。

    資本政策の手法には、主に以下の6つがあります。

  • 株式移動
  • 既存の株主が他者に株式を売買して、発行済の株式の数量を変えずに株主構成を見直す手法です。この手法では、税金が発生するため、税金対策をする必要があります。

  • 第三者割当増資
  • 信頼できる第三者に新株を発行して、株式を割り当てることで、資金調達と株主構成を見直す手法です

  • 株主割当増資
  • 既存の株主に対して、持ち株の割合に応じた新株を割り当て、資金調達をおこなう手法です

  • 自己株式取得
  • 会社が発行済の株式を購入して、安定株主の比率を高める手法です

  • 自己株式売却
  • 会社が保有する株式を売却して、資金調達をおこなう手法です

  • ストックオプション制度・従業員持株会制度
  • 安定株主の比率を高めるのと同時に、役員や従業員に報酬を付与する手法です

    IPOするために必要な準備例

    IPOとは?その目的や成功する企業と失敗する企業の違いも徹底解説!

    最後に、IPOをするための準備期間(直前期・直前々期・直前前々期以前に分かれる)と申請・上場期間において必要な準備の一部を紹介します。

    【IPOするために必要な準備(一部)】
    <直前前々期以前>
    IPOコンサルタント・監査法人・主幹事証券会社を選定する
    IPOコンサルタント・監査法人・主幹事証券会社を選定し、依頼する。
    ショートレビューを受ける
    IPOにあたり課題を明確化するための調査であるショートレビューを受ける。

    <直前々期>
    外部監査開始に伴い、ショートレビューの指摘事項の改善をする
    外部監査が開始される。それにあたり、ショートレビューでの指摘事項の改善をおこなう。

    <直前期>
    株主事務代行機関の選定する
    株主名簿作成などを代行する「株主事務代行機関」を選定・委託する。
    上場申請書類を作成する
    上場申請にかかる書類を作成する。

    <申請・上場期>
    定款変更する
    定款(会社のルール)を変更し、株式譲渡制限を外して公開会社になる。
    証券取引所の上場審査を受ける
    審査担当者からの質問に対応し、審査を受ける。

    IPOをするまでにはさまざまな準備をおこない、課題に対応しなければいけません。そして、IPOを目指す多くの企業が持つ課題のひとつが「内部管理体制の構築」です。

    内部管理体制は、監査法人や公認会計士によるショートレビューでも調査され、改善をしていかなければならない重要な項目です。この課題を解決しIPOの準備を推進していくために、内部管理を担うバックオフィス業務の正確性の向上と効率化を経理面から図る、クラウド会計ツールを導入するのも選択肢のひとつです。

    クラウド会計ツールでは、例えば仕訳ごとに生じる、登録・申請・更新などの履歴を一括して閲覧できるため、問題の早期解決が可能になります。また、各種データをクラウド上で管理するため、紙の文書のやりとりがなくなり、監査法人とのコミュニケーションをスピーディかつ円滑に進められるなどのメリットが期待できます。「マネーフォワード クラウド会計Plus」も、こうした経理面から内部管理統制を構築するさまざまな機能を備えており、企業のIPOの準備をサポートします。

    まとめ

    IPOの大きな目的は、「不特定多数の投資家からの資金調達」です。上場すれば未上場のときと比べて、多額の資金を調達することができます。しかし、株の流動性から、発行できる株式数に上限があるため、何に対していくらの投資が必要で、市場からいくら資金を調達するかを明確にする必要があるのも事実です。

    また、IPOに成功する企業と失敗してしまう企業に分かれてしまう現実もあります。IPOに成功するためには充実した内部管理体制の構築やスケジュール管理の徹底などが重要になります。

    IPOを成功させるのは決して簡単なことではありませんが、その分多くのメリットも得られます。この記事を読んでIPOのメリットに魅力を感じた方は、前向きにIPOを検討してみてはいかがでしょうか。

    よくある質問

    上場する市場はどうやって決めるの?

    各市場の特色と自社の成長性や事業規模などを総合的に判断し、上場する市場を選びます。具体的には、上場時における自社の株主数や流通株式数などの見込み値から、上場する市場を決めます。しかし、そもそも成長性の見込めない会社は上場できませんので、覚えておきましょう。

    IPOとM&Aの違いは?

    IPOは不特定多数の投資家が取引相手である一方、M&Aの取引相手は買い手の1社になります。M&Aは、IPOと違い、資金調達のみならず経営権を譲渡することも含まれます。

    せっかく上場しても、上場廃止になる場合もある?

    あります。時価総額が基準額を割れる、債務超過の状態になるなど、上場廃止基準に抵触した場合や業績悪化をした場合などに上場廃止になります。


    ※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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    上場までの道のりガイド

    監修:竹中啓倫

    上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とする一方、不動産コンサルティングも行う。セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。