• 作成日 : 2024年3月8日

メザニンファイナンスとは?資金調達手法の種類や特徴をわかりやすく解説

メザニンファイナンスとは?資金調達手法の種類や特徴をわかりやすく解説

メザニンファイナンスは企業資金調達の革新的な手段で、債権と株式の中間に位置する特性を持ちます。

成長期の企業や大規模プロジェクトに最適なこの方法は、従来の貸付や株式発行のギャップを埋め、柔軟な資金調達をすることが可能です。

本記事では、メザニンファイナンスの概要とその活用方法について詳しく解説します。

メザニンファイナンスとは

メザニンファイナンスとは?資金調達手法の種類や特徴をわかりやすく解説
メザニンファイナンスは、企業資金調達の手段の一つであり、債権と株式の特徴を併せ持つ中間的な金融商品です。

これまでの資金調達方法である金融機関が取り組んできたシニアローンと普通株式によるエクイティファイナンスの中間の立ち位置な金融手法となります。

この資金調達方法は、一般的な負債よりもリスクが高いが、株式投資に比べればリスクが低いという位置づけにあります。

メザニンファイナンスの特徴

メザニンファイナンスの主な特徴は、返済優先順位が一般的な負債よりも後であることと、場合によっては企業の成長に応じて株式に転換するオプションを持つ点です。

デットファイナンスやエクイティファイナンスと比較し、ミドルリスク・ミドルリターンであり、従来の銀行ローンや一般的な株式発行では満たせない特定の資金ニーズに対応できます。

そのため、柔軟な資金調達が可能になります。

また、メザニンファイナンスは、企業が直面する資金調達のギャップを埋めることができ、よりリスクを負うことによって高いリターンを求める投資家にとって魅力的な投資機会を提供します。

デットファイナンスとの違い

メザニンファイナンスとデットファイナンスは、企業が資金を調達する際の二つの異なる手段であり、それぞれが独自のリスクとリターンを持っています。

デットファイナンスは、一般に銀行ローンや社債の発行など、企業が一定の利息を支払いながら元本を返済する形式の借入れを指します。

これに対し、メザニンファイナンスは、債権と株式の特性を兼ね備え、デットファイナンスよりも返済優先順位が低いけれど、その分高いリターンを期待できる金融商品です。

メザニンファイナンスがデットファイナンスに比べてハイリスク・ハイリターンである主な理由は、返済優先順位の違いにあります。

デットファイナンスでは、借入れた資金は他の債務に先んじて返済されることが一般的ですが、メザニンファイナンスでは、万が一企業が財務難に陥った場合、通常の負債よりも後回しになり、返済が不確実になるリスクが高まるのです。

エクイティファイナンスとの違い

メザニンファイナンスは、債務と株式の中間的な性質を持ち、エクイティファイナンス(株式を発行して資金を調達する方法)に比べて、一般的にローリスク・ローリターンの特徴を持ちます。

この違いの主な理由は、メザニンファイナンスが提供する金融商品の性質です。

メザニンファイナンスは、返済優先順位が通常の負債よりも低く設定されているものの、株式に比べれば返済義務が存在するため、企業が利益を出していない場合でも利息や元本の返済が求められます。

これに対し、エクイティファイナンスでは投資家が企業の株式を保有し、配当の支払いがある場合のみリターンを受け取ることになりますが、企業の業績が悪化した場合には、損失を被る可能性が高くなるのです。

メザニンファイナンスで資金調達するメリット

メザニンファイナンスとは?資金調達手法の種類や特徴をわかりやすく解説
メザニンファイナンスで資金調達をするメリットは、主に以下の通りです。

【メザニンファイナンスのメリット】

  • 資金調達の手段を増やせる
  • 経営者の議決権の希薄化を防げる
  • 投資回収の方法を選択できる
  • 資金蓄積を早期に進められる
  • 資金提供者に柔軟な償還ができる

詳しく解説します。

資金調達の手段を増やせる

メザニンファイナンスを利用して資金を調達することには、企業にとって多くのメリットがありますが、特に重要なのは資金調達の手段を増やすことができる点です。

この手法は、従来のデットファイナンス(借入れ)やエクイティファイナンス(株式発行)の間に位置するもので、企業が直面する資金調達のニーズに応じて柔軟に対応できる選択肢を提供します。

メザニンファイナンスの利用により、企業は追加の負債を抱えることなく、また新たな株主を迎え入れることなく、必要な資金を確保することが可能になるのです。

経営者の議決権の希薄化を防げる

メザニンファイナンスで資金を調達することのメリットの1つは、経営者の議決権の希薄化を防ぐことができる点です。

通常、企業がエクイティファイナンス、つまり株式を発行して資金を調達する場合、新たな株式が市場に流通することで既存の株主の持ち分比率が低下し、それに伴い経営上の議決権が希薄化します。

しかし、メザニンファイナンスは債務と株式の中間的性質を持つため、この問題を回避しながら資金を調達できる重要な選択肢を提供できるのです。

具体例として、ある企業が新しい製品開発や市場拡大のために大規模な資金が必要となったとします。

この企業が株式発行による資金調達を避けたい理由として、経営陣が重要な意思決定におけるコントロールを維持したいという事情があるかもしれません。

メザニンファイナンスを利用することで、この企業は必要な資金を確保しつつ、経営者の議決権の希薄化を防ぐことが可能になるでしょう。

このように、メザニンファイナンスは、企業が大規模な資金を調達する際に、経営者のコントロール権の保持を可能にする貴重な手段です。

投資回収の方法を選択できる

メザニンファイナンスは、投資回収の方法を選択できるといった点もメリットです。

メザニンファイナンスは、構造上、債務と株式の特性を併せ持つことから、企業にとって多様な返済オプションを提供します。

具体的には、利息支払いの形で定期的なキャッシュフローに基づく返済を行うオプションや、将来的に企業の価値が増加した際に株式に転換することで投資回収を行うオプションなどがあります。

資金調達の手段を広げることができれば、よりリスクを抑えて大きなリターンを期待できるでしょう。

資金蓄積を早期に進められる

メザニンファイナンスのメリットの中には、資金蓄積を早期に進められることがあります。

メザニンファイナンスの特徴である柔軟な資金調達構造は、企業が成長機会を捉えるために必要な資本を、タイムリーに集めることが可能です。

とはいえ、スタートアップやベンチャーなどの企業は、金融機関からの資金調達が難しい傾向があります。

そういった企業がメザニンファイナンスを通じて資本力を強化することで、すぐに事業を始めることができるでしょう。

資金提供者に柔軟な償還ができる

資金提供者への柔軟な償還が可能であることも、メザニンファイナンスで資金調達するメリットです。

メザニンファイナンスは、個別の事情に沿って設計するため、企業に対して従来の銀行ローンよりも柔軟な返済条件を提供します。

そのため、返済スケジュールの調整や、一定の条件下での株式への転換オプションなど、様々な返済オプションを企業に提供することが可能です。

事業や会社としての成長ペースに合わせて返済できるため、事業計画も立てやすくなるでしょう。

メザニンファイナンスで資金調達するデメリット

メザニンファイナンスとは?資金調達手法の種類や特徴をわかりやすく解説
メザニンファイナンスで資金調達をするデメリットは、主に以下の通りです。

【メザニンファイナンスのデメリット】

  • コベナンツや担保により経営の自由度が下がる
  • 資金提供者から高い利回りを求められる

詳しく解説します。

コベナンツや担保により経営の自由度が下がる

メザニンファイナンスで資金調達するデメリットは、経営の自由度が下がる可能性があることです。

メザニンファイナンスを利用する場合、資金提供者は一定の条件を設定することが多く、これには財務状況の維持や特定の経営上の決定への同意などが含まれることがあります。

これらの条件は、企業が将来にわたって自由に経営判断を下す能力を制約する可能性があるのです。

一定の制限が設けられると、短期的には企業の成長を支援するものの、機動的な経営を行えなくなってしまうため、注意が必要です。

資金提供者から高い利回りを求められる

メザニンファイナンスによる資金調達が持つデメリットの中には、資金提供者から高い利回りを求められることがあります。

理由は、デットファイナンスよりもハイリスクだからです。

資金提供者はそのリスクに見合ったリターンを期待するため、メザニンファイナンスにおける利息率は、従来の銀行ローンや他の債券に比べて著しく高く設定されることが一般的なのです。

メザニンファイナンスの資金調達スキームの種類

メザニンファイナンスとは?資金調達手法の種類や特徴をわかりやすく解説
メザニンファイナンスの資金調達のスキーム(手法)には、主に以下の種類が挙げられます。

【メザニンファイナンスの資金調達スキームの種類】

  • 劣後ローン・劣後債
  • 優先株式
  • ハイブリッド証券
  • 新株予約権付転換社債

詳しく解説します。

劣後ローン・劣後債

メザニンファイナンスの資金調達スキームの種類には、劣後ローンおよび劣後債があります。

劣後ローンや劣後債は、企業が他の負債に比べて高いリスクを負う資金提供者に対して、それに見合う高いリターンを提供することを可能とします。

主なメリットやデメリットは、以下の通りです。

メリットデメリット
  • 融資が受けやすい
  • 業績に応じて金利負担が抑えられる
  • 金利が比較的高い傾向にある
  • 返済の融通が効きづらい

  • 返済方法の柔軟性はそこまで高くないため、企業が大規模な買収を検討している場合や、新しい事業をする上で大きな初期投資が必要な場合は、劣後ローンがおすすめです。

    優先株式

    優先株式の主な魅力は、投資家に対して普通株式よりも優先される配当や、場合によっては資産の優先的な請求権を提供することで、リスクを低減しつつ資本を提供することができる点にあります。

    主なメリットやデメリットは、以下の通りです。

    メリットデメリット
  • 議決権を分散させることなく資金調達が可能
  • 自己資本比率の向上が期待できる
  • 手続きの手間がかかる
  • 外部からの印象が悪くなる可能性がある

  • 優先株式は、投資家が企業の将来性を信じつつも、初期段階でのリスクを抑えたいと考えている場合に適しているでしょう。

    ハイブリッド証券

    ハイブリッド証券は、その名の通り、債券と株式の特性を融合した金融商品です。

    ハイブリッド証券の柔軟性は、企業にとって多様な資金調達戦略を可能にし、投資家には債券の安定した収益と株式の成長ポテンシャルの双方を提供します。

    主なメリットやデメリットは、以下の通りです。

    メリットデメリット
  • 高い利回りが期待できる
  • 財務の柔軟性の向上が期待できる
  • 価格変動リスクが大きい
  • 満期になると多額の返済が必要

  • 成長途上にある企業が市場拡大や製品開発のための資金を必要としており、そのための資金調達方法を模索している場合、ハイブリッド証券を利用することで、必要な資金を確保しながら財務構造を保持することが可能となるでしょう。

    転換社債型新株予約権付社債

    転換社債型新株予約権付社債は、投資家が一定の条件下で社債を企業の新株に転換できる権利を持つ金融商品です。

    転換社債型新株予約権付社債は、企業が成長期にある場合や、将来的な株価の上昇が見込まれる場合に有効な資金調達手段となります。

    主なメリットやデメリットは、以下の通りです。

    メリットデメリット
  • 株式へ転換できる
  • 値下がりしづらい
  • 利回りが低い傾向がある
  • 満期になると多額の返済が必要

  • 将来的に大きな成長が期待される企業が、成長資金を調達したい場合におすすめです。

    まとめ

    メザニンファイナンスは、成長を目指す企業にとって理想的な資金調達手段を提供します。

    債権と株式の中間に位置し、企業が直面する資金調達のニーズに柔軟に対応可能なこの手法は、特に成長期の企業や大規模プロジェクトに最適です。

    デットファイナンスやエクイティファイナンスと比較してミドルリスク・ミドルリターンを提供し、企業にとって追加の負債を抱えずに資金を確保できる選択肢を増やします。

    さらに、経営者の議決権の希薄化を防ぎつつ、投資回収の方法を選択する自由も与えられるでしょう。

    よくある質問

    メザニンファイナンスとは?

    メザニンファイナンスは、企業資金調達の手段の一つであり、債権と株式の特徴を併せ持つ中間的な金融商品です。 従来の銀行ローンよりも返済条件が柔軟であり、企業が成長の過程で直面する様々な財務的課題に対応しやすくなります。

    メザニンファイナンスのメリットは?

    メザニンファイナンスで資金調達をするメリットは、主に以下の通りです。

    • 資金調達の手段を増やせる
    • 経営者の議決権の希薄化を防げる
    • 投資回収の方法を選択できる
    • 資金蓄積を早期に進められる
    • 資金提供者に柔軟な償還ができる
    特に企業が資本コストを最適化し、全体的な資本構造を改善するための手段を提供してくれるため、活用することで、企業は高いコストのエクイティ資金を避けつつ、過度の負債によるリスクを抑えることができます。

    メザニンファイナンスのデメリットは?

    メザニンファイナンスで資金調達をするデメリットは、主に以下の通りです。

    • コベナンツや担保により経営の自由度が下がる
    • 資金提供者から高い利回りを求められる


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