- 更新日 : 2024年7月12日
内部統制における開示すべき重要な不備とは?判断基準や事例も紹介
内部統制を整備・運用するうえで、「開示すべき重要な不備」は本来あってはいけないことです。しかし、どのような不備が「開示すべき重要な不備」にあたるのかを理解していないと、対策は取れないものです。この記事では、「開示すべき重要な不備」はどのような不備なのか、また、その基準を解説します。また、不備が見つかった場合の対処法も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
内部統制における開示すべき重要な不備とは

開示すべき重要な不備とは、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性の高い内部統制の不備です。「重要」の程度は、金額的・質的重要性により判断されます。簡単に言い換えると、会社の内部統制に不備があり、誤った財務報告がされることで、投資家の意思決定を誤らせてしまう可能性があるほど重要度の高い状況のことです。
似た言葉に「重要な欠陥」がありますが、以前は「開示すべき重要な不備」と同じ意味で使用されることもありました。しかし、2010年10月28日の第19回企業会計審議会内部統制部会にて、内部統制制度の見直し案が示され、後に「重要な欠陥」から「開示すべき重要な不備」へ変更。これは、欠陥という言葉が、企業自体に問題があるかのようなイメージを与える可能性があることが懸念されたためです。
また「開示すべき重要な不備」は、場合によって「重要な要改善事項」と表現されることもあります。
内部統制における不備の重要性の判断基準

前述のとおり、内部統制における開示すべき重要な不備の判断基準には、金額的・質的重要性の2種類があります。
- 金額的重要性
発生した不備の評価は、ある一定の基準値を超えた場合に重要と判断されます。金額的重要性は、連結売上高や連結税引前当期純利益、連結総資産などに対する比率で判断され、連結税引前当期純利益を使う場合はおおむねその5%を基準値とするのが一般的です。 - 質的重要性
上場廃止基準や財務制限条項に関わる記載事項、関連当事者との取引、大株主の状況など、投資判断に与える影響の程度により判断します。
内部統制における不備の種類

同じ「不備」といっても、内部統制における不備の種類には、整備上と運用の不備の2種類があります。ここでは、整備上の不備と運用の不備について詳しく解説します。
整備上の不備
整備上の不備とは、そもそも内部統制が整っていないことで重要な不備が生じている状況です。内部統制が整備されていない状況では、当然財務報告において虚偽報告が発生するリスクが高くなるのは当然といえます。
たとえば、会計処理の際、支払い金額を誤って計上してしまうリスクを考えてみましょう。支払い金額の計上が正しいか、定期的に経理部長が領収書と会計システムのデータを照合して確認。確認したことを示すため、伝票に押印するのが上記リスクに対するコントロールです。
しかし整備上の不備がある場合、運用上の問題があるか実施者が内容を理解していないことによるチェック体制が整っていなため、誰も領収書と会計システムのデータ処理をおこなっていない状態になります。
運用の不備
運用の不備とは、内部統制は設計しているものの、その通りに運用されていない状況を指します。内部統制の意図を誤って理解していたり、理解が足りなかったりするために起こる不備です。
では、ここでも会計処理で支払い金額を誤って計上してしまうリスクを考えてみましょう。運用の不備では内部統制の設計はされているため、経理部長は定期的に確認作業をする手筈になっているはずですが、肝心の部長はその重要性を理解しておらず、不定期にチェックを実施。伝票への押印もしていない状態となります。
内部統制における開示すべき重要な不備の事例

ここでは、内部統制における開示すべき重要な不備の事例をひとつ紹介します。
| 事例 | 費用の過小計上 |
| 内容 | A社の連結子会社B社が、適切な期間に費用を認識しないなど、不正な会計処理をおこなった。その結果、A社は過大な営業利益を計上した連結財務諸表を記載した有価証券報告書を提出してしまった。 |
| 背景 | B社の会計処理に関するチェック体制が整っていなかった、B社の業務活動や会計処理の実態把握や管理・指導が不十分であった。 |
この事例では、A社の内部統制は設計・運用されていたものの、子会社Bにおける内部統制運用の不備があったことが分かります。原因として、子会社BはA社からプレッシャーを受けており、少しでも利益を高く見せようとしたため、不正な会計処理がおこなわれたと考えられています。
是正に向け、子会社Bの代表取締役の移動による管理体制の強化、取締役会に対するA社関与の強化、社内規定の整備・運用の検証などが実施されることとなりました。
内部統制で重要な不備を検出する流れ

では、実際に内部統制で重要な不備を検出するにはどうしたらよいのでしょうか。
内部統制の評価手順は、以下の3つのステップを踏みます。
- 評価範囲の選定
- 整備状況の評価
- 運用状況の評価
それぞれの手順を詳しくみていきましょう。
①評価範囲の選定
まずは、評価範囲を選定します。期末時の実績値と次年度の予測値をもとに、各拠点と勘定科目の重要性を分析して、評価範囲を決めます。
具体的には、以下のステップで進めていきましょう。
- 重要性の低い拠点の除外
- 重要な拠点の選定
- 重要な勘定科目を選定
- 個別評価科目を追加選定
個別評価科目とは、リスクが高い・非定型取引である・予測や見積もりが伴うなどの業務プロセスがある場合に個別に評価すべき科目です。
②整備状況の評価
評価範囲の選定後、次は整備状況を評価しましょう。整備状況の評価とは、評価範囲内の財政報告リスクを低減するため、ルールや運用状況を確認する手続きです。この段階では、ウォークスルーにて評価を実施します。
ウォークスルーとは、業務プロセスの整備状況を確認するための評価方法です。サンプルとして抽出した一つの取引を、始まりから終わりまで一連の業務の流れを文書化し、文書化作業で識別したコントロールのエビデンスを確認することで、該当プロセスのコントロール整備状況の有効性をチェックします。
③運用状況の評価
整備状況を氷解したら、最後に運用状況を評価します。運用状況の評価とは、設備状況の評価で有効性を確認できた部分について、評価対象期間中、継続的に有効性が認められるかを確認する段階です。評価方法には運用テストが用いられ、ウォークスルーで使われたサンプル以外の複数のサンプルで評価されます。
内部統制で不備を検出した場合の対応

万が一、内部統制で不備が検出された場合は、どのように対応すればよいのでしょうか。一般的な対応方法を以下に示します。
- 改善計画書の作成
- 改善計画書に沿った是正活動
- 再評価の実施
不備が見つかった場合、不備に対する改善策を取りまとめて計画書を作成し、監査法人に提出しましょう。改善計画書に問題がなければ、計画書に沿って是正活動を実施します。是正活動には期限を設け、一定期間内に改善されるよう、担当部門と話し合いながら進めていきます。
是正が完了したらそれで終わりにせず、必ず再評価を実施しましょう。業務プロセスの不備が改善されたか、再度評価を実施し、改善されない場合はもう一度改善計画を立てる段階に戻ります。
まとめ
開示すべき重要な不備とは、財務報告に重要な影響をおよぼす可能性の高い内部統制の不備です。「重要性」の判断基準は、金額的重要性と質的重要性により判断されます。また、内部統制における不備は、整備上の不備と運用の不備の2種類があります。整備上の不備はそもそも内部統制が整っていないことによる不備で、運用の不備は誤った運用による不備です。
不備が見つかった場合は、監査法人に改善計画書を提出し、是正して再評価を実施しましょう。
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よくある質問
開示すべき重要な不備とは?
開示すべき重要な不備とは、会社の内部統制に不備があり、誤った財務報告がされることで、投資家の意思決定を誤らせてしまう可能性があるほど重要度の高い状況のことです。以前は「重要な欠陥」と呼ばれおり、「重要な要改善事項」とも同じ意味で使われることがありました。
不備の重要性の判断基準は?
不備の重要性の判断基準は、金額的重要性と質的重要性の2つで判断されます。金額的重要性とは、連結売上高や連結税引前当期純利益、連結総資産などに対する比率で判断され、連結税引前当期純利益を使う場合はおおむねその5%が基準値です。 質的重要性は金額的なものではなく、上場廃止基準や財務制限条項に関わる記載事項、関連当事者との取引、大株主の状況など、投資判断に与える影響の程度を判断基準とします。
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