- 更新日 : 2024年7月12日
電子帳簿保存法における内部統制の課題は?システムの選び方も解説
国税に関する書類や電子形式の取引を保存する際に守らなければならないのが、電子帳簿保存法です。とはいえ、電子帳簿保存法の内容は複雑であり、まだ詳しく理解できていないという方もいるでしょう。
電子帳簿保存システムを導入すれば、電子帳簿保存法に詳しくない場合でも適切に電子データを保存できます。おすすめの電子帳簿保存システムはマネーフォワード クラウドです。この記事では、電子帳簿保存法の内容についても、3種類の制度に分けて詳しく解説しています。
マネーフォワードクラウドを導入するメリットや電子帳簿保存システムの選び方も紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
目次
電子帳簿保存法とは

 電子帳簿保存法とは、企業が帳簿や書類を電子形式で保管する際のルールを定めた法律です。デジタル技術の発展により、紙から電子データへ移行する動きが見られたため、電子帳簿保存法は制定されました。
電子帳簿保存法は、3つの制度に分類されます。
- 電子帳簿等保存制度
- スキャナ保存制度
- 電子取引保存制度
それぞれの制度を詳しく解説します。
電子帳簿等保存制度
電子帳簿等保存制度とは、会計ソフトや文書管理システムなどで作成された電子形式の書類を、電子形式のまま保管可能にする法律に基づいた制度のことです。IT化が進んだ現代では、多くの書類が電子形式で作成されています。
IT化によるビジネス環境の変化によって定められた電子帳簿等保存制度は、企業が効率よく帳簿や書類を管理するための手助けになっています。
電子帳簿保存法の対象文書は、主に以下の通りです。
令和4年1月1日までは、国税関係の書類を電子形式で記録するために税務署長の許可を得る必要がありました。しかし、電子帳簿等保存制度の改定後は、税務署長の事前承認が不要になり、企業の事務負担が軽減されています。
また、総勘定元帳や仕訳帳で優良な電子帳簿の要件を満たした場合は、過少申告加算税の軽減や所得税の青色申告特別控除を受ける権利が与えられます。電子帳簿等保存制度は、企業が電子形式の書類を保管するためのルールと覚えておきましょう。
※令和6年度の所得税については、定額で減税される特別控除が実施されます。詳しくは下記記事を参考ください。
電子帳簿等保存制度の業務フローについても知りたい方は、下記の記事をあわせて確認してください。
スキャナ保存制度
スキャナ保存制度とは、紙で作成された帳簿や書類をスキャンして、電子形式での保管を可能にした制度のことです。スキャナ保存制度により、企業は書類を保管するスペースが不要になりました。
企業としては、保管コストの削減以外にも資料の管理や検索の手間が省けたため、さまざまな業務の効率化に繋がっています。
スキャナ保存制度の対象文書は、主に以下の通りです。
スキャナ保存制度も同様に、令和4年1月1日で税務署長の事前承認が必要なくなりました。また、タイムスタンプの付与期間は最長約2ヶ月とされています。タイムスタンプとは、データの存在と改ざんがされていないことを証明する技術のことです。
スキャナ保存した国税関係の書類に不正があった場合は、重加算税の加重措置対象になります。どのような場合でも、不正は行わないように注意しましょう。
電子取引保存制度
電子取引保存制度とは、電子メールやEDIクラウドサービスなどで電子取引した書類を電子形式のまま保存する制度のことです。電子取引での注文や取引、決済などがすべて電子取引保存法の対象になります。
企業は、オンラインショップでの取引や決済を簡単に検索・管理できるようになりました。
電子取引保存制度の対象文書は、主に以下の通りです。
- 請求書
- 領収書
- 納品書
- 注文書
- 見積書
電子取引保存制度では、事実に基づいていることと情報が明確なことが大切です。そのため、マニュアルの完備や検索機能の確保が要件として挙げられています。また、タイムスタンプを活用した速やかな授受も、導入を検討する必要があります。
電子取引保存制度は、オンライン上での取引を適切に保管するためのルールと覚えておきましょう。
電子帳簿保存法における内部統制の課題

 続いては、電子帳簿保存法における内部統制の課題について解説します。
紙よりも管理が容易になる一方で、電子データ特有のリスクが課題として挙げられます。
- スキャン前の書類を改ざんされるリスクがある
- 電子データを改ざんされるリスクがある
- システム障害で電子データを消失するリスクがある
- 電子データの漏洩のリスクがある
内部統制の課題ごとに、適切な対策を実施しましょう。
スキャン前の書類を改ざんされるリスクがある
電子帳簿保存法における内部統制の課題として、スキャン前の書類を改ざんされるリスクがあることが挙げられます。紙の書類をスキャンしてデジタル化する前には、書類の内容を改ざんできる隙間が生まれます。
具体的な改ざんリスクは、以下の通りです。
- 領収書の使いまわし
- 書類の物理的改ざん
スキャン前の書類を改ざんされるリスクの対策としては、管理の見直しが重要です。責任者は厳格に書類を管理することで、物理的な改ざんができないようにしましょう。
また、領収書や納品書をすぐにスキャンにかけることやスキャン後はシュレッダーで廃棄するなど、管理手順を徹底する必要があります。スキャン前の書類が改ざんされないように、社内の体制を整備することが大切です。
電子データを改ざんされるリスクがある
電子データの改ざんリスクも、電子帳簿保存法における内部統制の課題です。電子データは紙に比べて、比較的に改ざんが容易と考えられています。電子データは紙とは違い、対応したソフトのみで内容を書き換えることが可能なためです。
具体的には、外部からの不正として不正アクセスや悪質なマルウェアからのサイバー攻撃に注意する必要があります。電子データの改ざんに対する対策としては、強固なサイバーセキュリティ対策が挙げられます。
ウイルスソフトの最新化や定期的なセキュリティのアップデートを実行しましょう。また、社員へのリテラシー教育が大切です。また、内部での不正としてデータの更新について変更の記録を自動的に取るようにすることも考えられます。
電子データは、常に改ざんされるリスクがあると認識しておいてください。
システム障害で電子データを消失するリスクがある
電子帳簿保存法における課題の1つに、システム障害で電子データが消滅するリスクがあることが挙げられます。予期せぬシステム障害や故障は、電子形式で保管する際の大きなリスクです。
具体的なシステム障害の原因は、以下の通りです。
- ハードウェアの故障
- ソフトウェアの故障
- コンピューターウイルス
- ヒューマンエラー
- 自然災害
システム障害の対策として、ハードウェアの定期的なメンテナンスや社員のITリテラシーを高める教育が挙げられます。電子帳簿保存法の適用に伴い、システム障害のデータ消失は大きなリスクです。できる限り、万全の対策を講じましょう。
電子データの漏洩のリスクがある
電子データの漏洩も、電子帳簿保存法における内部統制の大きなリスクです。電子データは、紙と違い、拡散が手軽でありスピードも速いです。簡単にコピーできてしまうことも、リスクを上げる要因となっています。
具体的には、不正アクセスや誤送信、デバイスの紛失などで第三者に漏洩する可能性があります。対処法としては、強固なサイバーセキュリティ対策や社員に対する情報管理の教育が適切でしょう。
電子帳簿保存法において、漏洩のリスクは避けられません。リスクを最小化するために、さまざまな対策を施してください。
内部統制の強化には電子帳簿保存システム選びが重要

 電子帳簿保存システムとは、税務関係の帳簿や書類を保存できるサービスを指しています。会社の経理をデジタル化するためには、電子帳簿保存システムに搭載されている機能を活用することが大切です。
さまざまな種類の電子帳簿保存システムがリリースされているため、以下の基準で自社に適したサービスを選択しましょう。
- 電子化したい書類が対応しているか
- 保存要件を満たす機能が充実しているか
- 自社の現行システムと連携可能か
- 無理のない料金プランか
- 誰もが理解できる操作方法か
システムの充実度も大切ですが、操作方法が複雑ではないかも重要なポイントです。電子帳簿保存システムの操作方法が複雑な場合、システムの導入や運営が上手くいかず、社員にストレスを与えてしまうかもしれません。
トライアル期間やヒアリングで事前に操作性が良いか確認するのがおすすめです。
マネーフォワード クラウドは電子帳簿保存法に対応
どの電子帳簿保存システムを導入するか迷っている場合におすすめなのが、マネーフォワード クラウドです。
 マネーフォワード クラウドの特徴は、以下の通りです。
- 電子帳簿保存法に完全対応
- 帳簿の電子化だけでなく、バックオフィス全体の効率化を実現
電子帳簿保存法に対応することで紙保存のコストや支払処理に使う時間を大幅に削減することができます。
まとめ
電子帳簿保存法は、企業が税務関係の書類を適切に管理するための法律です。社内の業務を効率化したいと考えている方は、早急に電子帳簿保存システムの導入をおすすめします。
また、電子帳簿保存法における内部統制の課題には、さまざまなリスクがあります。それぞれのリスクにおける対策を実行しながら内部統制の強化を進めていきましょう。
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よくある質問
電子帳簿保存法における内部統制の課題には何がある?
電子帳簿保存法における内部統制の課題は、主に以下の通りです。
- 電子データ改ざんリスク
- 電子データ消失リスク
- 電子データ漏洩リスク
電子帳簿保存システムの選び方は?
電子帳簿保存システムの選び方で大切な要素は、以下の通りです。
- システムの操作性
- バックアップ体制の充実度
- セキュリティ対策の充実度
- さまざまな業務に対応しているか
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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