- 更新日 : 2024年7月12日
上場準備におすすめの会計ソフトは?IPO準備企業が見るべきポイント
企業が上場するためにはさまざまな準備が必要です。例えば、事業計画や資本政策の策定、業務管理制度の整備など、丁寧に時間をかけて計画を進めていかなければなりません。そして、こうした計画を効率的かつ正確に進めていくためには、会計ソフトの活用も欠かせないステップと言えます。そこで今回は上場準備におすすめの会計ソフトについて詳しく解説します。IPO準備企業がチェックすべき会計ソフトの比較ポイントを、分かりやすくお伝えするのでぜひ参考にしてください。
目次
上場準備における会計ソフトの必要性
上場の準備を進める企業において、会計ソフトはなぜ求められるのでしょうか。上場には3年程度の準備期間が必要と言われており、会計ソフトはなるべく早い段階から導入する企業も少なくありません。上場準備における会計ソフトの必要性について以下にまとめました。
- 財務諸表を作成できる
上場を行う過程では不正のない財務諸表の作成と開示が求められます。財務諸表をスムーズに作成するために会計システムの活用が必要とされているのです。 - 業務の負担を減らせる
日々の取引の帳簿への記録は欠かせない作業ですが、会計ソフトを使わずにアナログで処理を行うには負担が軽視できません。会計ソフトがあれば帳簿を効率的に作成することができるため、業務の負担を大幅に減らすことができます。 - 正確に計算できる
会計ソフトであれば正確に計算を行えます。日々の取引の各種帳簿の作成や転記などの作業をアナログにで行うと、計算間違いをする危険性が軽視できません。会計ソフトを活用すれば入力した仕訳情報から自動で集計を行えるため、帳簿作成に関するミスの発生を軽減できるのです。
上場準備のための会計ソフトの比較ポイント
上場準備のために会計ソフトを選定するには、どのようなポイントを重視すれば良いでしょうか。さまざまなタイプのサービスが登場しているため、自社にマッチする会計ソフトを選ぶことが重要です。内部統制やインボイス制度への対応可否など、会計ソフトを比較するためのポイントを以下にまとめました。
クラウド型かオンプレミス型か
会計ソフトは大きくクラウド型とオンプレミス型に分類できます。クラウド型とはオンライン上にあるサーバーから提供されるサービスを、インターネット経由で利用できる形式です。一方、オンプレミス型は社内にサーバー・通信回線・システムなどを構築し、自社でシステム運用を行う形式を指します。それぞれのメリット・デメリットを以下の表にまとめてみました。
提供タイプ メリット デメリット クラウド型 ・導入コストを抑えられる
・簡単に導入できる
・アップデートの手間を省ける・セキュリティ対策が求められる
・カスタマイズが限定されるオンプレミス型 ・カスタマイズ性が高い
・セキュリティ対策を強化できる・導入には時間とコストがかかる
・運用に手間がかかる
クラウド型は個人事業主や法人企業など、多くの支持を集めています。コストを抑えられるだけでなく、利便性にも優れるため幅広い業種の企業で導入が広がっているのです。一方、オンプレミス型は機密情報などを保有する大企業などで採用されるケースが目立ちます。
内部統制に対応できるか
そもそも内部統制とは、経営者が従業員などを管理するための仕組みを指す言葉です。上場企業は金融商品取引法により内部統制の評価と監査が義務付けられており、対応している会計システムの導入が欠かせません。金融庁が公表している、内部統制を定義する4つの目的と6つの基本的要素を以下にまとめてみました。
内部統制の4つの目的 内部統制の6つの基本的要素 ・業務の有効性及び効率性
・財務報告の信頼性
・事業活動に関わる法令などの遵守
・資産の保全・統制環境
・リスクの評価と対応
・統制活動
・情報と伝達
・モニタリング
・ITへの対応
目的では「財務報告の信頼性」、基本的要素では「ITへの対応」が内部統制では求められます。例えば、会計情報を作成する際には、不正やミスが発生しないように統制を取らなければなりません。
もし、作成した財務報告書に虚偽や不正があれば、株主や投資家などの顧客に対して企業の信用度は落ちてしまいます。加えて、業務処理を行う際にはデータへのアクセス管理の統制が必要とされます。そうした要件を満たす会計ソフトを選定しなければならないのです。
アカウントの共有がしやすいか
アカウントの共有や権限の設定がしやすい会計ソフトを選びましょう。アカウントを共有できれば、時間・場所・端末といった制限から解放されます。好きなタイミングにさまざまなロケーションから会計システムにアクセスでき、パソコンからだけでなくスマートフォンからも操作が可能です。思い立ったらすぐにデータの閲覧や更新を行えるため、わざわざデータを相手に送信するといった余計な手間も省けます。
例えば、クラウド型のサービスであれば、アカウントのIDとパスワードがあれば簡単にアカウントの共有を行えます。権限の設定に関しても、相手のメールアドレスに対して、付与したい範囲の権限を設定して招待を送付できる機能があるものが中心です。ただし、どちらも情報漏洩などセキュリティには十分に配慮して行う必要があります。特に、IDとパスワードの取り扱いには十分に気をつけましょう。
他ソフトからの移行がしやすいか
ほかの会計ソフトや表計算ソフトなどからの移行がしやすいサービスを選定しましょう。上場準備では会計ソフトなどを見直して、システムを一新するケースも少なくありません。バラバラだった会計ソフトを1つにまとめてデータを一元管理できれば、作業効率の改善も望めます。そのため、複数のソフトからのデータの移行をスムーズに行えれば、少しの手間で大幅な業務改革も行えるのです。
一方、そうした際に新しい会計ソフトにほかのサービスからの移行に問題があると、作業を円滑に進められなくなってしまいます。例えば、データの移行が簡単に行えるかは必ずチェックしたいポイントです。互換性がある会計ソフトであれば、データをインポートできるケースが多いため、手動入力の必要はありません。しかし、そうした機能が不足しているとCSVなどの形式にデータを抽出するなど、手間がかかるケースもあります。もし、データの互換性に大きな問題があれば、手動によるデータ入力をしなければならない可能性もあるのです。
税理士の使用ソフトと連携できるか
顧問の税理士が使用するソフトと連携できる会計ソフトを確認しましょう。連携できる会計ソフトを選べば、時間のロスを減らしてより精度の高い業務を行えます。例えば、税理士が仕訳データをリアルタイムでチェックできるようになります。加えて、情報の受け渡しがスムーズになるので、税理士から詳細な経営分析を聞くことも可能です。
一方、税理士の使用ソフトと会計ソフトが連携できていないと、どのような不具合が生じるでしょうか。まず、同じシステムを利用できないので、手書きやエクセルで作成した帳簿を、税理士にメールなどで共有しなければなりません。こうした作業は毎月発生するため、双方に大きな手間がかかります。加えて、帳簿を送れたとしても、エビデンスが揃わなければ税理士は作業に着手できないため作業には時間がかかります。上場準備で時間がなく忙しいタイミングでは、こうした余計な手間の発生は避けたいポイントです。
このような事態を防ぐためにも、税理士の使用ソフトと連携できる会計ソフトかどうかの確認が大切です。無料トライアルで問題がないか試してみたり、顧問税理士に事前に相談して会計ソフトを選んでみたりして、事前に対策を講じましょう。
インボイス制度に対応しているか
そもそもインボイスは「適格請求書」と呼ばれ、正確な適用税率や消費税額といった情報などが記載された請求書などを指します。インボイス制度は2023年10月1日からスタートされる予定で、インボイスの発行、または保存によって消費税の仕入額控除を受けられる制度です。インボイス制度にスムーズに対応するためにも、対応している会計ソフトを選定しましょう。
インボイス制度の目的は、取引における正確な消費税額と消費税率を把握することです。背景としては2019年10月より導入された消費税の軽減税率が挙げられ、仕入税額に8%と10%のものが混在するようになりました。正しい消費税の納税額を算出するためには、商品ごとの価格と税率が記載された書類を保存する必要性が高まったのです。
インボイス制度は売り手側、買い手側双方に適用されます。売り手側は買い手から求められた際に、インボイスを交付しなければなりません。買い手側は原則として売り手から交付を受けたインボイスの保存が必要です。こうした業務フローに会計システムが対応していないと、仕入税額控除ができずに納付税額が大きく計算されてしまうといったトラブルが発生しかねません。インボイス制度に対応している会計システムで業務を効率的に進めましょう。
「マネーフォワード クラウド会計Plus」は上場準備にもおすすめ
画像引用元:マネーフォワード クラウド会計Plus
上場準備に最適なサービスをお探しでしたら、ぜひ「マネーフォワード クラウド会計Plus」をご活用ください。上記で上場準備のための会計ソフトの比較ポイントについて解説しましたが、マネーフォワード クラウド会計Plusを導入すればすべてのポイントに対応できます。
マネーフォワード クラウド会計Plusが上場準備企業におすすめな理由
- クラウド型で利便性に優れている
- 内部統制に対応できる
- アカウントの共有がしやすい
- 他ソフトからの移行がしやすい
- 他サービスとの連携に優れる
- インボイス制度に対応している
- クラウド型で利便性に優れている
マネーフォワード クラウド会計Plusはクラウド型のサービスなので、導入が簡単で利便性に優れています。さらに、クラウドなので端末の破損・紛失・災害時といったトラブルが起きても、データは安全に守られます。 - 内部統制に対応できる
上場を検討する企業に向けて、「マネーフォワード クラウド会計Plus」を用意しております。マネーフォワード クラウド会計Plusの利便性に加え、より効果的な内部統制を実現するための機能が備わっているサービスです。 - アカウントの共有がしやすい
顧問税理士にも直接マネーフォワード クラウド会計Plusにログインしてもらえます。データがクラウドに自動保存されるので、面倒なアナログなやりとりはいりません。常に最新データを共有しながら、日々の業務を進められます。 - 他ソフトからの移行がしやすい
エクセルといった表計算ソフトや主要会計ソフトなどから、データのインポートが可能です。「データ移行の代行サービス」も用意しているため、他ソフトからの移行が不安な方も安心です。 - 他サービスとの連携に優れる
銀行・クレジットカード・電子マネー・POSレジなど、さまざまなサービスと連携が可能です。例えば、Amazonなどの2,300以上のサービスとの連携に対応しています。会計に必要な日々の取引データが自動取得されるので、効率的に業務を進められるのです。 - インボイス制度に対応している
インボイス制度に対応しているのでスマートに利用できます。ほかにも、法令改正や消費税の増税への対応にも無料でアップデート対応するので安心してサービスを継続できます。
また、実際にマネーフォワード クラウド会計Plusを使用している企業の具体例として、ぜひ以下のインタビュー記事を参考にしてください。
まとめ
上場の準備において会計ソフトは欠かせません。エクセルなどで企業のお金の流れを管理することには、どうしても限界があります。正確に管理するという面においても、アナログな手法では課題が発生してしまいます。日々の帳簿など大量な企業の会計業務を円滑に行うためには、会計ソフトが重要な役割を果たしてくれるのです。特に、上場の準備を進めるためには、財務諸表の作成や内部統制の実施、ITへの対応が求められます。会計ソフトによる企業のお金の流れの管理は必要不可欠なステップなのです。企業の上場において求められる機能を改めて整理して、自社にマッチする会計ソフトを選びましょう。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
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マネーフォワード クラウド会計Plus サービス資料
マネーフォワード クラウド会計Plusは、IPO準備・中堅〜上場企業向けの業務効率化と内部統制強化を実現するクラウド会計ソフトです。
銀行やクレジットカード連携で取引データを自動取得、AIによる自動仕訳で会計業務を効率化。周辺システムと連携することで、二重入力や確認工数を削減します。また、仕訳承認機能やユーザーごとの権限・ログ管理機能を搭載しており、内部統制にも対応。SOC報告書も提供しています。
よくある質問
上場準備に会計ソフトの導入が必要な理由は?
財務諸表の作成や内部統制の実施には会計ソフトが欠かせません。日々の帳簿作成などの業務を正確かつ効率的に行うためにも重要な役割を果たします。
上場準備のための会計ソフトはどうやって選べばよい?
上場準備のための会計ソフトを選ぶためのポイントを整理すると以下の通りです。
- クラウド型かオンプレミス型か
- 内部統制に対応できるか
- アカウントの共有がしやすいか
- 他ソフトからの移行がしやすいか
- 税理士の使用ソフトと連携できるか
- インボイス制度に対応しているか
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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