- 更新日 : 2024年7月16日
クレドとは?語源はなに?会社・企業での使い方や目的を紹介
クレドとはラテン語の「Credo」が語源となっており、ビジネスでは企業全体の従業員が心がける信条や行動指針を指す言葉として使用されます。クレドがあることで従業員のモチベーションが向上したり人材育成を行えたりするメリットがあるのです。この記事ではクレドの意味やメリット、作成方法などについて解説します。
目次
クレドとは?
仕事をしていると耳にする機会が増えているクレドという言葉ですが、具体的にどういった場面で使われるのでしょうか。まずはクレドという言葉の意味や語源などについて整理してみました。
クレドの語源
クレドはラテン語で信条・志・約束を意味する言葉である「Credo」が語源です。現在ではビジネスネを中心に幅広いシーンでクレドという言葉が使用されています。
ビジネスにおけるクレドの意味
ビジネスにおけるクレドとは、企業全体の従業員が心がける信条や行動指針を指す言葉です。クレドには企業活動の軸となる価値観や行動規範が簡潔な文言で表現されます。小さなカードなどにクレドを記して従業員に携帯させる企業も目立ちます。
ミッションとの違い
ミッションには使命・役割・任務などの意味があり、ビジネスシーンでは企業が果たすべき使命や企業が成し遂げたい目標などを指す言葉として使用されます。企業が何のために社会に存在しているのか、何を目的に事業を行っているかということがミッションで定義されるのです。ビジネスではお金を稼ぐために行動することが基本ですが、ミッションは利益を抜きにしても企業が行うべき事業の意義を示すものとされています。
ビジョンとの違い
ビジョンには展望という意味がありますが、ビジネスにおいては企業が目指すべき理想の姿を示す言葉です。企業として将来にどういった夢を描いているか、今後どのような企業になることが理想であるかといったことがビジョンに明記されます。
バリューとの違い
バリューは価値という意味ですが、企業や組織で共有すべき価値観や方針を示す言葉としてビジネスで用いられます。どのような価値観で働くべきかを具体的にまとめた行動指針や行動規範などを、バリューとして記載する企業も多いです。
クレドを作る目的
クレドを作る目的は企業の改革や組織の優れた環境開発を実現することです。クレドには従業員が心がける信条や行動指針などが記載され、いつでもすぐに内容を確認できるような形式で共有されます。また、クレドを記載するためのフォーマットなどは決まっていないため、企業の強みや特長などが自由に反映されます。
クレドの記載される文章の量で言えば小さなカードにまとめられるほどの場合もありますが、そこに込められた想いや力は大きなものです。従業員の意識を変えて、企業を改善していくためのヒントがクレドには記されています。
クレドを作るメリット
企業がクレドを作成することによる代表的なメリットについて以下にまとめました。
モチベーションが向上する
クレドを作成すると従業員のモチベーションをアップさせる効果が期待できます。クレドは企業側の意思で一方的に作るものではありません。企業で働く従業員それぞれの意見も聞いて、納得を得たうえで作成されます。そのため、従業員が自身の考えや判断によって行動しやすくなり、モチベーションを高める有効な動機としてクレドは機能するのです。
人材育成を行える
クレドが組織に浸透すれば、主体的に考えて行動できる人材の育成にも有効です。クレドが導入されていると企業における意思決定の行動基準や価値観を、すべての従業員と共有できるようになります。トップダウンによる対応から脱却して、現場の従業員が自発的にアクションを起こせるマインドを育成できるのです。
コンプライアンスの強化につながる
クレドの導入によって、コンプライアンスの強化を実現することも可能です。コンプライアンスは法令遵守を意味しますが、社会規範やステークホルダーの利益を尊重することなど含む広い概念となっています。クレドによって従業員の意識を変えられれば、コンプライアンスも自然と社内に浸透するのです。
差別化を図れる
クレドは競合他社と差別化を図る手段としても有効です。例えば、ホテルなどで高品質な接客を目指す内容をクレドに盛り込めば、自社のイメージを明確に示せます。クレドに自社のバリューを明確に反映させることで、強みや特長をアピールできるのです。
クレドの作成方法
クレドの作成方法について以下にまとめました。
1.チームを作る
まず、クレドを作成するためのチームを社内で結成しましょう。チームメンバーには経営層・管理部門・一般従業員なども含めて、多様なポジションからメンバーを集めることがポイントです。
2.スケジュールと目標を決める
次に、スケジュールと目標を決定します。ほかの仕事のように期限を設定してクレドを作成することが大切です。目標の設定についてはクレドの作成理由や必要性などを議論することからスタートしましょう。
3.経営層へヒアリングする
続いて、経営層へのヒアリングを実施します。ヒアリングしたい具体的な項目としては、経営層が考える経営姿勢や企業の将来のビジョンなどが重要です。経営層の考えや意見をクレドに盛り込みましょう。
4.従業員へヒアリングする
従業員へのヒアリングも忘れてはなりません。具体的な方法としては全従業員に対してはクレドについてのアンケートを実施して、広く意見を収集しましょう。すべての従業員の意見を集約する取り組みを行うことで、クレドの存在価値を高められます。
5.明文化する
いよいよ、クレド作成のそれぞれのステップで収集した情報をまとめて明文化するステップです。明文化を行う際には短い言葉で分かりやすく、簡単な表現を使用することを意識してみましょう。
6.フィードバックを反映する
作成したクレドに対するフィードバックも反映させましょう。フィードバックをもらう対象としては経営層だけでなく、全従業員が望ましいです。より良いクレドを目指して最終的な調整を行います。
7.クレドを共有する
最後に完成したクレドを社内で共有します。具体的な方法としてはクレドカードの作成やパンフレットへの掲載などが一般的です。ITツールなどを活用すると、効率的に社内でクレドの共有を実施できます。
クレドの具体例・有名なクレド
それでは、クレドの2つの成功事例を見てみましょう。
サントリーグループ
サントリーグループはビール・清涼飲料・食品などの製造や販売を手がける大企業であり、クレドの導入にもいち早く取り組まれました。前文に加えて合計で17個のメッセージからクレドが形成されており、お客様満足の向上につながる活動が創出される風土が醸成されているのです。
例えば、『私たちは、お客様の「安心」を育むむのは「信頼」であり、お客様とサントリーの「信頼を築く」のは自分たちであることを忘れません』といった言葉がクレドとして記載されています。
損保ジャパン
損保ジャパンは自動車保険・火災保険・地震保険などのさまざまな商品で私たちの安全や安心をサポートする損害保険会社であり、SCクレドを導入している企業です。SCクレドはお客さまへの想いと企業としてのあり方を形にする目的で作られています。
例えば、私たちの原点という項目には『「助かった」「あなたでよかった」「ありがとう」私たちは、お客さまのその一言を誇りに、働きます。』という言葉がクレドとして記載されています。SCクレドはお客さまに対する判断・思考・行動の源として機能しているのです。
引用:お客様志向-クレド:CREDO|サントリーグループ
引用:お客さまを想う「SCクレド」|損保ジャパン
クレドを作成して従業員の意識を変えよう
クレドを作成して専用のカードを作成したり、ホームページやパンフレットに掲載したりする企業が増えています。クレドには働くうえで心がけるべき信条や行動指針が明記されているため、従業員のモチベーション向上やコンプライアンス強化などに有効です。
クレドが浸透すれば従業員の自発的な行動も促進されるため、一時的な気持ちの変化ではなく人材の育成にもつなげられます。企業の価値観を反映させたクレドを作成して、従業員の意識を変革してみてはいかがでしょうか。
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